FAIRY TAIL 海竜の子   作:エクシード

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 更新遅れてすみません……
 別々の日に少しずつ書いているのですが、一部見返した自分が困惑するほど暴走してます。
 その部分を消そうか迷ったんですが、更新がこれ以上遅れることになりそうなのでそのまま投稿しました。
 なので、そのつもりで見ていただけると幸いです。


空白の7年

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

 暖かく、少し眩しい日差しに照らされて目が覚める。

 まず最初に感じたのは不快感だった。

 

「うえ……気持ちわる……」

 

 口に不快感を覚えた為に、舌を出して口の中の物をペッと吐き出してみる。

 それでも不快感は消えないが、まだ口の中に残っているこのジャリジャリとした物が砂だと言うことが分かった。

 

 正体が分かったことで少し落ち着いた僕は、辺りを見回している。

 

「ウェンディ!?」

 

 僕の隣でウェンディが倒れていた。それだけじゃない、シャルル、フィール、ルーシィさんまで倒れている。

 そこで僕はようやく思い出した。アクノロギアと戦った事。そして、アクノロギアの咆哮(ブレス)を防ぐために手を繋ぎ、魔力を集めようとしていた事。

 

 少し痛む頭を押さえながらあの後の事を思い出そうとしていると、ウェンディの手がピクリと動いた。

 

「うん……ん……?」

 

 ウェンディは静かに体を起こしてボーッとしていたが、すぐに目を擦って周りを見回し始める。

 その間にルーシィさん達も目を覚ましていた。

 

 状況が分からない為に一人で頭を悩ませていた時、「おーい!」と言う叫び声と共にジェットさん達が駆けて来た。

 ジェットさん達は僕を見て、涙を流しながら頭をポンポンと叩いてくる。

 

「ルーシィ達も無事だったんだな!」

 

「テューズも全く変わってねぇじゃねぇか!」

 

「え……? は?」

 

 何故ジェットさん達がここに居るのかとか、さっきの言葉の意味とか、みんなが妙に老けたというか大人になっている事とか、聞きたいことが沢山あったのだが、ジェットさん達は取り敢えず付いてこいと言って僕達を連れていく。

 

 みんなに付いていって広場に出ると、みんなは僕達にここで待っているように言って何処かに行ってしまつた。

 暫くするとみんなはグレイさんやガジルさん達を次々と連れてきて、天狼島に来ていたメンバー全員がここに集まった。

 

『全員集まれたようですね』

 

 突然聞こえた綺麗な声に振り返ってみると、天使の羽のような頭飾りを付けた少女が、少し高い場所から僕達を優しげな眼差しで見下ろしていた。

 

『私の名はメイビス。妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスター――メイビス・ヴァーミリオン』

 

 自らを初代マスターだと言う少女を前に、ジェットさん達やナツさんを除く全員が言葉を失った。

 マスターは顎が外れてしまいそうなほど口を開いているし、もしこの少女の言葉が本当だとしたら目の前に居る少女は幽霊だということになってしまう。

 

 普通なら信じられないような話だが、何故か彼女の言葉は真実だと思った。

 彼女が初代マスターだという証拠は無いのだが、それでも信じてしまえるような何かが彼女にはあった。

 

『あの時、私は皆の絆と信じ合う心、その全てを魔力へと変換させました。皆の思いが、妖精三大魔法の一つ――妖精の球(フェアリースフィア)を発動させたのです。

 この魔法は、あらゆる悪からギルドを守る絶対防御魔法。しかし、皆を凍結封印させたまま解除するのに7年の歳月がかかってしまいました』

 

「なんと……初代が我らを守ってくれたのか……」

 

 涙ぐむマスターの言葉を初代マスターは首を振って否定し、体を輝かせながら宙へと浮かび上がる。

 

『いいえ、私は幽体。皆の力を魔法に変換させるので精一杯でした。揺るぎない信念と強い絆は、奇跡さえも味方に付ける。良いギルドになりましたね、三代目』

 

 そう言って初代はマスターに笑いかけ、光と共に消えてしまった。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 あの後、ジェットさん達から7年間の事を聞きながらマグノリアに帰還したのだが、驚いた。

 話では聞いていたのだが、実際に見てみると……こう……思っていた以上にギルドが小さく、そしてボロくなっていた。

 

 その変わりようにマスターは顔を青くし、ナツさん達はショックだったのか乾いた笑みを浮かべている。

 一度改装されてはいるが、ナツさん達は小さいときから前の建物に居たのだから思い入れもあるだろうし、初代の頃からずっと受け継がれてきた建物でもあつた。

 ショックを受けるのも無理はないだろう。

 

 

 いざギルドへ入ろうとした時、入り口から何か揉めているのが見えた。

 黄昏の鬼(トワイライトオウガ)

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)黄昏の鬼(トワイライトオウガ)に借金をしているらしく、その話を聞いた時にはマスターからは手を出さないように、とナツさん達は注意を受けたのだが……やってしまった。

 

 ナツさんに蹴り飛ばされた男は綺麗な放物線を描きながら壁に衝突し、他の男達は僕達の方に振り返る。

 その瞬間、男達はグレイさん、エルザさん、ガジルさん、そしてマスターに一撃ずつ入れられて撃沈した。

 

 もし、もしギルドが以前のままの状態だったのなら、マスターの一声かけて追い払うだけだったかもしれない。

 一言で言えば、彼らは運が悪かった。

 もう少し後、マスター達が落ち着いた状態であれば手を出されずにすんだだろうに、生憎今のマスター達は変わり果てたギルドの姿を見て遣る瀬無い思いをしていた。

 

 そして、運悪くギルドに来ていた黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の男達に感情の矛先が向けられてしまったのだ。

 

「へへ……ただいま!」

 

「皆様お待たせしました!」

 

 男を蹴り飛ばしてスッキリしたナツさんはニシシと笑いながら片手を上げ、ハッピーはぴょんぴょんと跳び跳ねて手を振っている。

 

 僕達の知らない間に時代はX791年へと変わり、その間僕達を待ち続けてくれていたギルドのみんなは涙を浮かべて迎えてくれた。

 その日の夜は空白の7年を埋めるように、みんなは飲んで踊ってと盛大に騒ぎ続けた。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「あの……リーダスさんこれ……」

 

「ウィ、オレなりに二人の7年間の成長を予想して描いてたんだ」

 

 リーダスさんに渡された絵を見て震えているウェンディを不思議に思い、絵を覗き込んでみるとその理由がすぐに分かった。

 

「あぁ……胸が……」

 

 リーダスさんの描いたウェンディはエドラスのウェンディに似た雰囲気を持っていたが、胸が全く無かった。断崖絶壁、まな板と言われても否定出来ない程に。

 後ろの方からは、フィール達が自分達の描かれた絵を見て気持ち悪いと批評する声も聞こえてくる。

 

「私……大きくなっても大きくならないんでしょうか……」

 

「ウィ? 何か変なとこある? この絵」

 

 リーダスさんは頭を描いて困惑しているが、無理もないだろう。本人は真面目に描いたのだろうし、絵自体もおかしい所は無い。

 少し酷く言ってしまうと、ウェンディが勝手に傷付いているだけなのだから。

 

 だがしかし、リーダスさんももう少し夢を持たせてあげても良かったと思う。ウェンディを傷付けるつもりがなかったのは分かるのだが、流石に断崖絶壁は可哀想だ。

 

 そんな事を考えていた時、ギルドの扉が勢いよく開かれた。逆光に照らされて現れた五人は、六魔将軍(オラシオンセイス)を壊滅させた時に一緒に戦った魔導士である蛇姫の鱗(ラミアスケイル)リオンさん、シェリーさん、ジュラさんと、僕は初めて会う眉毛の長い人と犬っぽい人。

 

 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)は僕達の捜索に協力してくれていたらしく、ナツさん達は蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の皆さんと楽しそうに話している。

 

 

「じゃーん! これがアスカ!」

 

「可愛いですね!」

 

「お二人にそっくりです!」

 

 僕達にリーダスさんが描いた娘さんの絵を見せてくれるアルザックさんにそう返すと、アルザックさんは「そうでしょそうでしょ!」とデレデレしながらアスカちゃんのここが可愛いんだと熱弁を揮う。

 

「なるほど、ウェンディに似た感じだな。可愛らしいもんだ」

 

「おい……」

 

「リリー!?」

 

 今胸の無かった自分の絵を見てそういった事に過敏になっているウェンディにとって、今のリリーの言葉は地雷以外の何物でもない。

 そう思って僕とガジルさんはリリーを止めようとしたが時既に遅く、ウェンディは「リリーまでぇぇ!」と泣きながら走り去ってしまった。

 

「え!? 何故だ!?」

 

 ウェンディが出ていった理由が分からないリリーは灰のように真っ白になり、ガジルさんはリリーの後ろで頭を押さえてため息をついている。

 ウェンディが心配になってギルドの扉を見つめていると、誰かに足を軽く蹴られた。

 

「ちょっと、そんな所でボーッとしてないで早くウェンディを慰めて来なさいよ!」

 

「えぇ!? そういうのはシャルル達の方が向いてるんじゃ……」

 

「生憎、私達はウェンディを傷つけたこのデリカシーのない駄目エクシードにみっっちりとお仕置きをしなければなりませんので」

 

「何故だ!?」

 

 フィールに笑顔で「テューズもお仕置きを受けたいんですか?」と言われてしまっては仕方ない。

 状況が分からず汗を浮かべているリリーに心の中で合掌し、巻き込まれない内にウェンディの後を追う。

 

 ウェンディは直ぐに見つかった。隅で蹲っているウェンディの肩に手を置いて声をかけてみる。

 

「あんまり気にしちゃダメだと思うよ?」

 

「でも……不安になってきて……テューズは私は胸が大きくなると思う!?」

 

 シャルルとフィールめ、恨んでやる。

 女の子と胸の話を出来るほど僕は大人じゃないんだ。それに、こんなに真剣に聞かれてしまってははぐらかせないじゃないか。

 

 恥ずかしさで答えが上手く纏まらずに黙っていると、ウェンディは僕がウェンディに気を遣って答えられずにいると勘違いしたらしく、俯いて嗚咽を漏らし始めた。

 

「あぁぁ!? 違う! いや、誤解だ……と思うよ! うん! ウェンディの胸はちゃんと成長するよ! きっと!」

 

「それじゃ私が言わせてるみたいだよ……バカ……」

 

 うん、確かにそうだ。

 よくよく考えてみれば、さっきまで黙っていたのにウェンディが泣き始めた途端あんなことを言うなんて、それこそ気を遣って言ったと思われるじゃないか。

 それに、あの優しく、暴言など滅多に吐かないウェンディがバカと言った。

 天狼島で言われた時とは違い、今回は声のトーンが本気(マジ)だ。確実に怒ってらっしゃる。

 

「も、もし胸が成長しなくても大丈夫だよ! 僕は今のウェンディの胸も可愛らしくて好きだから!」

 

「ふぇ!?」

 

 ウン? 今僕は何て言った?

 駄目だ。何か目がぐるぐる回ってもうよく分からない。

 思考が上手く纏まらないし、頭から湯気が出てる気がする。

 

「胸が無くても充分魅力的だと思うよ! て言うかウェンディだったら胸の大きさとか関係ないよ!」

 

「そ、そんな……あぅ……」

 

 僕は女の子に何て事を言ってるんだろう。

 いやホントに何熱弁してんの? こんな事言ってどうすんのさ。これから僕はどんな顔してウェンディと会えばいいの?

 

『そなたは少し素直になった方がいい。少し我慢しろ』

 

 そんなリヴァルターニの幻聴が聞こえた気がした。

 でも素直になるとかそういうレベルじゃないよ? コレ。こんなところ誰かに見られたら僕は社会的に死ぬレベルだからね!?

 リヴァルターニの幻聴にそう返し、お願いだから止めてとそう切望していた時。

 

「何言ってんのよあんたはァァ!!!」

 

 と言う叫び声と共に何かが背中に衝突し、衝撃で体がくの字に曲がる。

 背中を押さえて膝をつく僕を見下していたのはシャルルだった。

 

「心配になったからフィールにリリーを任せて来てみれば、あんたはウェンディに何て事言ってんのよ! 評議院に連行されたいの!?」

 

「いやホントごめんなさい……でもありがとう、助かったよ」

 

「……頭でも打ったの? あんた」

 

 片手だけをシャルルに向けて親指を立てると、シャルルは心配そうな眼差しで僕を見つめてくる。

 ウェンディは訳が分からないと言った表情だ。

 

「ウェンディ、今のは気にしないで……お願いします」

 

「う、うん……えへへ……」

 

 若干頬を染めて笑うウェンディ。

 まぁコンプレックスだった胸の事を気にしないと言われたから、多少は楽になったのかもしれない。

 だったらあれにも意味があった。

 僕も正気に戻ったし、ウェンディももう落ち込んでない。万事解決。全て終わったし、もう今日は家に帰ろう。

 

 7年間大家さんが掃除してくれていたらしく、僕達の家は綺麗な状態だった。

 大家さんは以前から、まだ幼い僕達を気にかけて助けてくれたし、今度恩返ししないと。

 

「あんた、これで終われると思ってるの?」

 

 ですよね……

 家に帰ろうとする僕を睨み、シャルルは僕の行く手を阻む。

 見逃してはくれないか……。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 あの後シャルルに土下座をし、大家さんが2年分負けてくれて5年分となった家賃。本来4人で均等に割前勘定するはずだった家賃のうち、半分を僕が払うと言うことで許してもらった。

 

 お陰で僕の財産は底を突いたのだが、家を締め出されるよりはマシだろう。

 一応僕の家の筈なのだが、シャルル達には敵わない。シャルル達はウェンディの事になると容赦がないから恐ろしい。

 

「はぁ……仕事しないとな……」

 

 空っぽになった財布を逆さにしてため息をついていると、グレイさんに肩を叩かれた。

 

「7年分の家賃なんてかなり大金だからな……オレの仕事に付いてくるか?」

 

「いいんですか?」

 

「結構長い仕事になりそうだが、その分報酬はいいんだ。時間大丈夫だよな?」

 

「勿論です! 一緒にやりましょう!」

 

 そう言うとグレイさんはニヤッと笑い、僕は相変わらずミラさんやキナナさんの手伝いをしているフィールに用件を伝えてグレイさんに同行する。

 

 結論から言うと、仕事はすぐに終わった。

 仕事内容は盗賊達の討伐。盗賊達は幾つかのグループに別れ、別々の拠点を持っていたため長くなりそうだったのだが、盗賊達は余程大事な用があったのか、運よく一つの拠点に全員集まっていて簡単に討伐出来た。

 

 だから仕事も一日で終わり、今はグレイさんと二人でご飯を食べているのだが、これはチャンスかもしれない。

 フィール達には仕事は長くなると伝えてあるし、僕達も長期での仕事だと覚悟してたので荷物もちゃんと準備してある。

 

「あの、グレイさん。天狼島の時に言おうとしてた事なんですが……」

 

「ん? そういや何か頼みがあるんだったな。」

 

 飲んでいた飲み物を置き、グレイさんは「何でも言ってくれや」と笑いかけてくれる。

 

「僕を……特訓して欲しいんです!」

 

「……特訓?」

 

 僕がグレイさんに頼みたかったのは特訓だった。

 悪魔の心臓(グリモアハート)との戦いでもっと強くなりたいと思った僕は、フィールにその事を相談したのだ。

 当初は同じ滅竜魔導士であるナツさんに修行をつけてもらおうと考えていたのだが、

 

『ナツはダメです。ナツの事ですから、テューズを置いて自分の特訓を始めますよ。エルザは無理難題を押し付けてくるでしょうし、グレイに頼むのが無難でしょう』

 

 フィールそう説得され、僕はグレイさんに特訓を頼むことにしたのだ。

 

「まぁオレは構わねぇが、容赦しねぇぞ?」

 

「お願いします」

 

「……分かった。場所を移すぞ」

 

 立ち上がって店を出ていくグレイさんに付いて行って2週間程特訓したのだが、ボロボロになって帰って来た為にギルドのみんなに余計な心配をかけてしまった。

 

 

 

 

 

 





 どうでしたかね?
 見返した時、酔いながら書いているんじゃないかと思いました。お酒は飲めないのでそんな筈ないんですが、深夜テンションとは恐ろしいですね……

 更新が遅れた理由としてもう一つ。
 星空の鍵編を全て見返したんですが、あまりテューズを動かせないかもしれないです。
 言ってしまうと、今のテューズの立ち位置だとナツ達程ミッシェルと接点が持てないんですよね……
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