IS学園のマシンガンラバー   作:ひきがやもとまち

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昨日の分に代わって正式な9話です・・・が。やはりバトル物の勉強するため別作者の本をメインに読みながらだったせいか文章が適当過ぎるのが気になります。内容はそこそこ良かったんですけどね・・・(どうせ中継ぎ回と言うのもありますが)

次からは今作を書くときに限りGGOだけを読みながら書くことで、時雨沢先生の癖ありすぎな文体を自分なりに参考にして書きたいと心に決めた次第です。


第9話「夏だ! 海だ! 《ヒトラーの電動ノコギリ》でノルマンディーだ!」

 暗い、暗い闇の中に私はいた。

 

『時世が変わったよボーデヴィッヒ・・・刀の時代は終わったんだ・・・・・・。逝かせてくれ、私は疲れた・・・・・・』

『待ってください織斑教官! 私はまだあなたに教わっていないことが沢山・・・きょうかーーーっん!!!』

 

 

「ーーはっ!?」

 

 ガバッ!と音を立ててベッドから跳ね起きたドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒは、現在の座標と時刻を示してくれる軍用腕時計に目を落とし、現時刻が早朝の六時半であり場所はIS学園一年生寮であることを確認してからホッと息を付く。

 

「なんだ夢か・・・良かったよ~・・・・・・(しくしく)」

 

 ・・・ベッドの上でうずくまって泣き出す全裸の少女(外見年齢10才前後)・・・なんだか色々と誤解を招きそうな気がするが誤解である。

 

 彼女はただ先月末に行われたタッグトーナメントで、『強さ=攻撃力』という超攻撃的な考え方のもと傍若無人なバトルを繰り返し、ザコには勝ち続けたのに一番勝ちたかった宿敵には敗け、相方の方にとどめを刺され、敗けを認められなかったから機械にすがって身体を乗っ取られ、最後には専用機持ちですらないマシンガンバカの一般生徒に手も足も出せないまま射撃の的扱いされて負けた後にはスッポンポンを晒して大恥かいただけのドイツ代表候補生です。決して手込めにされかけて泣いてる幼女じゃありませんのでお間違いなく。

 

 

 そも、彼女にとって不幸の始まりは、前月末のタッグトーナメント決着後に『実は女性だったことが発覚したシャルル・デュノアことシャルロット・デュノアを、男である織斑一夏と同室なままでは問題があるから別室に分けよう』という意見が提出されたことに始まる。

 

 これは主にシャルロットの方に原因があって、「どこの国が所有するかで揉めている織斑一夏と女の子が同室のままで子供でも出来たりしたら、格下のフランスに所有権を主張する根拠が出来ちゃうじゃないか!」と、イギリス、イタリア、ドイツのイグニッション・プラン次期主力機有力候補三カ国が猛プレッシャーをかけてきたため学園側が配慮した結果だったりする。

 

 一国に勝る軍事力を保有している、如何なる国にも所属していない独立国でもあるIS学園は実のところ日本国本土以上に政治面には気を使わないとやっていけない危うい立場にあるので、この手の配慮は生き残りのため必要不可欠なのである。世の中、強いだけで許されている事と実際にやれる事とは別なものだから・・・・・・。

 

 

 しかも結局はラウラの後釜で美矢のルームメイトを誰にするかで揉めて「だったら一夏だけを一人部屋に隔離しちゃえばいいじゃん」で、他はほぼ全員元鞘に落ち着かせる辺りに後先考えないで大事なことを決定しちゃう日本人らしさが滲み出る結果となってしまいましたとさ。最初からそうしておけば良かったのにね?

 

 

 

 強くなって独立というのは思ってたより夢のない、考えものなようです。

 

 

 

「・・・ん? 今日はやけに静かだと思ったが・・・・・・あのバカが朝から出かけていたのか・・・」

 

 屈辱とともに敗北の記憶がよみがえり、自分を負かした相手を一目見ようと視線をやると、そこに件のマシンガンバカなルームメイトの姿はありませんでした。

 

 とはいえベッドを使った形跡はありますし、トイレか朝シャンにでも行ったのだろうと適当に当たりを付けて、ラウラはもう一度布団の中へと潜り込みます。

 

「まぁ、いいや。私は寝る。寝てしまおう。どうせ現実は辛いだけだし、せめて夢の中だけでも私に優しくしてくれる都合のいい世界を見せてくれるかもしれないから・・・」

 

 悪い夢から覚めても現実の悪夢は終わってくれない以上、せめて良い夢が見られるかもしれない幻想の世界へ逃避したくて仕方がない負け犬少女ラウラちゃんでした。

 

 

「・・・ぐぅ」

 

 ーーって、寝付くの早! 軍人さんは寝るのも起きるのも早くて規則正しい!

 

 

 

 ・・・ラウラが夢の世界から現実に帰還してきて、もう一度傷心旅行に旅立ったのと、ほぼ同時刻でのこと。IS学園寮の裏にあるぽっかりと空いた小振りな空簡に「ビュン!ビュン!」と言う、刃が空を切る小気味よい音が鳴り響いていた。

 

「ふうっ・・・夏の早朝稽古は清々しくて良いのだが・・・やはり、まとわりつく汗だけはどうしても気持ちよくはならんものだな・・・」

 

 白い道着に紺袴、足には足袋と草履を履いた本格的な侍装束で抜き身の日本刀を振り回して素振りをしていた篠ノ之箒がタオルで汗を拭いながら独りごちる。

 なんといっても季節は夏。滋孝は7月である。動けば汗をかいてベチョッと張り付き服は透け、一般学生なら女尊男卑時代であろうとも男たちからの視線を気にしなければ恥ずかしすぎる季節なのである。

 

 そんなクソ暑い季節に格好にこだわって幾重にも重ね着したまま思い鉄の塊振り回してれば暑くて当然、汗かくのも当然。

 むしろ暑さに負けない正常な肉体活動に心の底から感謝を捧げるべきところなのだが、人への感謝と自然への信仰を忘れたことには定評のある現代日本人の箒にとって姿格好とは「まず形から入る」のに必要なものでしかなく、実用性や機能性は尊ぶべきではないとする歪んだ精神論を地でいく彼女に理解しろと言う方が不可能な思考法なのだろう。・・・残念!(ズバァッ!!)

 

「しかし、7月か・・・7月なのだな。一夏め忘れておったら承知せんぞ・・・っ!!」

 

 何かを思い出したのかブツブツ言いながらシャワー室へと赴く、剣道部幽霊部員・篠ノ之箒。

 ちなみにですが、IS学園で供される料理などは全額国=日本国の税金が持ってくれてますけど、部活動の月謝はどうなってるんですかね? 気になるけど余談です。

 

「まぁ、いい。とにかく今はシャワーだ。榊原先生、今日もシャワー室をお借りしま・・・・・・榊原先生? 珍しいな、いつもはいるのに今日はいないのかーーーー」

 

『おおっ!? こんな所に火薬なし空撃ちエアマシンガン連射するのにピッタシの場所が!? ちょっとそこ行く割と美人なお姉さん先生! 一つお聞きしたいのですが!

 この場所は生徒に開放されていますか!? IS学園寮はマシンガンを愛する生徒にも優しく門扉を開いておりますか!?』

『あらやだ、口が上手い女の子ね~あなた♪ ここの使用権利? OKOK、ぜんぜんOKよ♪ 他の子も使ってることだし、構わないからドンドン使っちゃって頂戴な☆』

『イヤッホーーーーーーッウ♪ ガン・ホー! ガン・ホー! ガン・ホー・マシンガーン♪♪』

『あ、でも偶にでいいから私にも撃たせてね? なんだかスッゴく気持ちよさそうでストレス解消に良さそうだなーっと思って、ずっと気になってたのよね~ソレ☆』

 

 

 

『『それでは二人一緒に仲良く、マシ~ンガ~~~っン♪♪♪』』

 

 

 

「・・・・・・私の知っている榊原先生はーーーー死んだのだ!!!」

 

 明日からは二度とこの場所は使わないと、心に誓って篠ノ之箒はIS学園生活最後の早朝シャワー室を使い納めするために入室していく。

 シャワー浴びながら色々とモヤモヤしている間に撃ち終わったバカが入ってきて気持ちよく歌を歌いながらシャワー浴びる音を聞かされ、こめかみに青筋立てることになる近い未来の自分を今を生きる箒はまだ知らない・・・・・・。

 

 

 

 

 んで。なぜか描写される機会が多すぎる場所『学生食堂』。

 

「うん、美味い! やっぱ朝に一番食べる方が体の稼働効率はいいからな。科学的にも証明されてるし、後は寝るだけの晩飯を一番多く食べるのがいいだなんて言う方がおかしいんだ」

 

 織斑一夏は今日も元気によく食べている。清々しくなるほどの健啖ぶりではあるのだけれど、食べたいのに食欲湧かないストレス過剰な状態の人間から見ると、ちょっとだけウザい。

 

「そうか、良かったな。ーータダで食える国立校の飯はさぞ美味かろうよ、姉の臑齧り(ボソッ)」

「ぶほっ!? げほっ、げほっ、げほっ・・・」

「ちょ、ちょっと一夏。汚いよぅ・・・」

 

 姉の金銭的負担を減らしたかったから藍越学園を目指していた遠くない過去の自分を思いださせられて、他人の払ってくれた税金で食いまくってた織斑一夏は盛大にむせる。

 涙目になって睨みつけた先にいるのは、発言者で加害者でもあるラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 ドンヨリとした表情と、腐った目の色のまま「最近食欲ないんだよな・・・」とつぶやきながら納豆をひたすらかき混ぜ続けている。回転する物を見ていると、何となく落ち着いてくる気がする人心の不思議~♪

 

「・・・私の状態がヤバいことぐらい一目瞭然だというのに、誰一人として声すらかけてこようとしない・・・。誰も彼もが自分と仲間たちのみで形成されている狭いコミュニティ内の平和維持と幸福だけで満足して都合の悪い現実には目を向けようともせず、存在すらも気づかないフリして無かったことにしようとする・・・世の中所詮、そんなもの・・・。

 ーー青春とは嘘であり悪であり、欺瞞と偽善と犠牲によってのみ成立する。やはり、ドイツの偉大なる哲学者フリードリッヒ・ニーチェは正しかった・・・」

「いや、あのラウラ? 僕はちゃんと気にして上げてるし、声もかけて上げてるからねー?」

 

 本国では率いる部隊の隊員たちから敬遠されててボッチだったし、日本に来たらきたで転校初日からやらかしちまったレッテル貼られて今も引き連り続けている。人の噂は45日で終息するものだとしても、一度張られたレッテルという悪評は延々とついて回り続けるもの。

 たかだか空気読めて優しくて気立てもいい「俺の嫁にしたい度ナンバー1」なだけで人間関係のもつれ解消措置としては無能な清涼剤シャルロット・デュノアが投げかけてくれた労りの言葉に無力さを感じつつも、ドン底のさらに底にいる今ならば細やかな優しさだけでも人がどれだけ救われる物なのかが理解できたのでの素直に礼を伝えておいた。

 

 

 日常の人間関係においては最高戦力となり得るシャルロットと対照的に、その目に映る範囲内で起きる事件で刀の刃が届く範囲にいた人たちだけを救える限定的正義のヒーロー織斑一夏は日常パートだと普通に役立たなくなり、視線をさまよわせた後メシをかき込むことでお茶を濁すぐらいしかやることが思いつかない。

 特殊な生い立ち故に底上げされてる能力値も戦闘技能に全振りされているので偏りが激しいのだ。局地戦型ワンサマーにとっての日常パートは、種族的にアウェーである。

 

 

「そ、そうだ! みんな来週からはじまる校外特別実習期間の準備は進んでるんだろうな!? 俺はとっくの昔に終わらせてるぞ! 男は持ち物少なくていいから楽だよな!」

 

 空気を和らげるために、わざと大声で道化を演じる一夏。

 セカンド幼馴染みの鈴も、初恋の幼馴染みである一夏をフォローするため言葉を付け足す。

 

「そ、そうよね! 一夏の言うとおりだわ! アンタもたまにはいいこと言うじゃない! でもね、一夏!

 アンタ、いくら節約のためだからって水着買い直す費用までケチろうとするんじゃないわよ!? 高校一年の夏は一生に一度きりなんだから目一杯楽しまなきゃ損損♪」

「学校指定のがあるんだから買い直す必要なんてない思うし、正直めんどくさいけど仕方がないな! 今週末にでも見に行ってくるぜ!」

「・・・・・・ウザ(ぼそ)」

「「ぐっ・・・」」

 

 無理矢理にでも場の空気を盛り上げようと空元気を出しまくった二人だったが、ローテンション状態のラウラの前にあえなく撃沈。鈴に至っては、前回の無許可試合に続いて二度目の敗北。中国候補は訓練以外のバトルではいいとこ無しですね。

 

 ーー自分がテンション低いときに無理して盛り上げようとする人って、露骨すぎて却ってシラケるんですよね~。うん、あるある。

 

 

「と、とにかく海ですわ海! サンシャイン・サマービーチ! 輝く太陽、飛び散る水しぶき、浜辺で戯れる仲のいい恋人たち・・・」

 

 最終戦力(最後に残ってたら誰だろうと最終戦力です)セシリア・オルコットが声を張り上げてみんなを鼓舞します。

 

 そしてそれに乗ずる、どっかのマシンガンバカ野郎!

 

 

「そう! 年頃乙女にとっての海とはバカンスの場であり、ロマンスの場でもあり、素敵な殿方とすごす一夏の思い出の場でもあり・・・そ、そして何より純血をち、ち、ち・・・」

 

 

「血を見て襲いかかってくる巨大ジョーズ! アホみたいに暢気に遊び呆けていた女子高生たちの平和は鮫によって壊される宿命を持っている!

 そして迎え撃つため配置されたマシンガンの銃列!

 一千丁のマシンガンでノルマンディーの海を鮫軍団の死骸で埋め尽くしてやる・・・最凶だと自惚れている一方的な殺戮者に遺伝子レベルで埋め込まれた恐怖心という本能を思い出させてやろうじゃないか・・・!

 人類の発祥した母なる海よ、懐かしき故郷よ・・・・・・私は約束通り帰りに征くぞ! 母なる海を戦場に変えるために! マシンガンを撃ちまくれるようにするために! ただそれだけの為に! 大海原よ・・・・・・私は帰ってきたーーーーっ!!!!!」

 

 

 

『いるべき場所へ帰れ! このマシンガンバカ野郎!!!!』

 

 

「はぁ・・・人生は実にむなしい・・・」

 

 

 

 ――今日もIS学園は平和です。

 

 

つづく

 

おまけ1「篠ノ之束の研究所にて」

 

束「うっふっふ~、《紅椿》カンセーイ♪ 世界中の誰一人として造れていない第4世代機が今ここにあることこそ、束さんが世界最高最凶の頭脳を持つ天災科学者である証拠ーーぶぇっくしょい! う~・・・ズズ。おかしいなぁ、風邪でも引いたのかな~?」

 

 

おまけ2「次回予告(嘘編)」

 

生徒たち「海っ! 見えたぁっ!」

    「やったー♪ もっと急いで急いでスピード上げてー♪」」

 

『突っ走れ!! 突っ走れ!! あの微かに見えた海へと向かって突っ走れ!!

 今でも思い出すあの喧噪と銃撃音に向かってエンジンが焼け落ちるまで突っ走れ!

 もっとだ!! もっともっともっと!!』

 

生徒たち「誰よ!? アンタたち!?」

 

『我ら! 真にマシンガンを愛する者の集団《全日本マシンガンラバーズ》!!!

 みんなー! 乗ってるかーい!? 車にーーーーーーっ!!!』

『オウ、イエーーーーーッス!!!』

 

生徒たち「せんせーい!? 不法侵入者が! 部外者の人がIS学園生徒しか入っちゃ行けない場所に入り込んじゃってまーす!」

 

 

 

不法侵入ウサギ「ぶぇっくしょい!! ズズ・・・? 最近なんだかくしゃみ多くなってる気がするな~?」

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