尚、サブタイトルは単なる【ガルパン】との、正規英語と違うツッコミは無しでお願いしますね?
自分でもつまらないと思ってるネタでツッコまれると逆に返事で困ります故に…。
時間なかったので仕方なかった次第っス…
*:間違えて消しちゃってた部分を修正して、先ほど書き足しました。
夏の夕暮れ空の下。葉桜が鮮やかな学校内で過ごした懐かしい思い出に、必死になって浸って現実逃避に走ってる生徒が一人いました。
彼女の名前は、篠ノ之箒。IS操縦者育成のためのIS学園で、今日から専用機持ちになったばかりの一年生です。国家代表候補生の地位は、まだ無い。
とても端正な顔立ちをした、そして今はどこかもの悲しそうな目と表情をした少女でした。長い黒髪が頭の後ろでまとめられてシュンと項垂れるように垂れています。
よくいえば愁いを帯びた渋い表情ですが、悪く言えば、くよくよウジウジと思い悩んだ神経質な女子高生です。
普段は腰に差してなくても持ってる日本刀も、今日はなし。
(私のせいだ・・・・・・)
そう心の中で呟いて、また溜息を吐きます。心の中だけで。
彼女の傍らにはベッドが置かれていて、三時間前に出撃して敗北して帰ってきてから、ずっと目を覚まさないままの一夏が力なく横たわっています。
作戦が失敗して海へと落下し、海から引き上げられて旅館まで戻ってから三時間以上が経過していますが、身体の至る所に包帯が巻かれた一夏君は未だに意識が戻っていません。
・・・・・・彼がこんな身体になってしまったのは、三時間ほど前の出来事が原因でした。
距離の関係から、一夏君と二人だけで迎撃するため出撃する事が決定された箒ちゃんの新たな新型機《紅椿》と《白式》は、敵であるシルバリオ・ゴスペルを相手にいいところまで行ったのですが・・・・・・
『何をしている!? せっかくのチャンスに――』
「船がいるんだ! 海上は先生たちが封鎖したはずなのに・・・ああくそっ! 密猟者か!
『馬鹿者! 犯罪者などを庇って・・・・・・、そんな奴らは―――っ!』
「箒!!」
『ッ――!?』
「箒、そんな―――そんな寂しいことは言うな。言うなよ。力を手にしたら、弱いヤツのことが見えなくなるなんて・・・どうしたんだよ、箒。らしくない。全然らしくないぜ」
『わ、私、は・・・・・・』
と言うような、犯罪者捕まえて給料をもらう刑事さんたちによる人情ドラマ展開みたいな会話をして、お涙ちょうだい時代劇とかに弱そうな箒ちゃんの心の隙間を突かれかけたところを一夏君が庇って負傷し、現在に至る。なんか庇うこと多かった今回の一夏くんバトルでしたね。
(私が、しっかりとしないから一夏がこんな目に――ッ!)
そう思って、ぎゅっとスカートを握りしめて責任の重さに自責しつつ、自らを戒めるように拳が色を失うほど強く強く握りしめる。
・・・・・・ちなみに彼女自身は普段から、ベッドで横たわってる一夏くんを日本刀振り回して斬りかかり、恥ずかしさからガチで殺しにかかってくるのが日常風景になってる女の子なんですけど、今は忘れてます。
巻き込まれて壊された部屋の家具など、被害総額は建物の修繕費だけで数十万単位は超えてると思いますけど、IS学園は治外法権なので日本国刑法の適用外です。
なので箒ちゃんが普段から犯してる、密漁より罪が重い殺人未遂とか、未遂で終わらなかった器物破損の常習犯な罪状とかは法的に存在しないことになってますので、箒ちゃんは犯罪者じゃなく密猟者だけが犯罪者です。
女尊男卑による性差別肯定社会じゃなければ、ほとんど情に訴えて無罪を手にする犯罪の言い逃れ現場ですね。みんなは真似しちゃダメですよ?
まったく、権力という力ってヤツは人を駄目にします。そんなときでした。
「あー、あー、わかりやすいわねぇ」
夕暮れの室内に、よく通る声が流れました。
言い逃れ犯、もとい箒ちゃんも「ハッ」となりましたが声のした方に顔を向ける気力はなかったので俯いたままです。
「あのさぁ」
遠慮なく「パンッ!」とドアを開く音を従えて、部屋の真ん中をズカズカ進んで、一人の女の子が入ってきました。
栗色の髪をツインテールにした、とても可愛らしい見た目の女の子です。特に胸とか。
でも今は身分照明用のパスポート写真の中で映っている、すました顔とは似ても似つかない表情で、目の前で蹲ったままの箒ちゃんを睨み付けます。
「一夏がこうなったのって、アンタのせいなんでしょ? 」
「・・・・・・・・・」
「で、落ち込んでますってポーズ? ――っざけんじゃないわよ!」
中国代表候補生で、箒ちゃんと同じ一夏君の幼馴染みでもある凰鈴音ちゃんは、落ち着いた口調で話しかけてきたと思ったら突然キレて胸ぐらを掴んで、相手を無理矢理立ち上がらせました。
箒ちゃんは驚きますが・・・・・・如何せん。身長差がありすぎます。
鈴の顔の高さまで、相手の顔を持ち上げても、中途半端な体勢になるのが精一杯で、完全に立ち上がられると今度は自分の方が見下ろされる立場になるので癪です。
内心で「チィッ!!」と激しく舌打ちして、世の不条理を呪う言葉を百通りほど並べ立てても、鈴ちゃんは声には出さず箒ちゃんへ言うべき言葉だけを伝えます。
こういう時、弱味を見せたら負けなのです。相手を強い言葉で怒鳴ったときには、責めだけに徹して自分の弱味は決して見せずに取り繕って押し切る。
それが交渉術の基本です。みんなは外交官とかになる人以外、真似しないよう気をつけましょう。
「やるべきことあるでしょうが! 今戦わなくてどうすんのよ!?」
「わ、私・・・は、もうISは・・・・・・使わない・・・」
「甘ったれてんじゃないわよ! 専用機持ちっつーのはね、そんなワガママが許されるような立場じゃないのよ!」
バシンッ!と、ほっぺたを叩いて平手打ちして箒ちゃんを床に倒して、それを更に締め上げながら鈴ちゃんは自分の怒りと燃える闘志を写した瞳で、相手の瞳と見つめ合う。
・・・・・・今の彼女たちは知りませんが、今から数ヶ月ほど後に知り合う専用機持ちの女の子は、『自分の専用機が完成してないのは貴方のせい』という理由で平手打ちしようとして、機体が完成した後には『怖いから戦いたくない。私には無理』という理由で逃げようとしますけど、殴られることなく新たな仲間の一人に加わえられ、鈴ちゃんもそれを認める未来が待ってます。
基本的に、自分の惚れてる男が被害受けたかどうかが大事な女の子だったのかもしれません。
それこそ専用機とか関係なしに、『あたしの男に怪我させたケジメ付けろやー!』なノリで。
「戦うべき時に戦わない、臆病者が」
真っ直ぐ相手の瞳を身ながら、言い切る鈴ちゃん。
ちなみに彼女は、惚れた男との恋愛競争では、自分から仕掛けて応じられた時には嘘で誤魔化し逃げやすい、恋愛スペランカーだったりしますけど、今は忘れてます。思い出せません。
人は自分に都合がいい主張を叫んでる時には、都合の悪い記憶は思い出しにくいものなのです。
そして現実的効果として、鈴ちゃんの誤魔化し詭弁は効果絶大で、箒ちゃんの瞳の奥底に燃える闘志の火を灯すことに成功したようでした。
「ど――どうしろと言うんだ! もう敵の居場所もわからない! 戦えるなら、私だって戦う!」
「やっと、やる気になったわね。・・・・・・あーあ、めんどくさかった」
「な、なに?」
「場所ならわかるわ。今ラウラが――」
言質を取ったことで、今からの前言撤回は許されなれない立場に追い込んだ獲物・・・・・・もとい箒ちゃんを見て、安堵の溜息を吐きながら鈴ちゃんが言っている途中で再びドアが開き、
「出たぞ。ここから30キロ離れた沖合上空に目標を確認した。
ステルスモードに入っていたが、どうも光学迷彩は持っていないようだ。衛星による目視で確認でした」
「さすがドイツ軍特殊部隊。やるわね」
銀髪ロングヘアーで、真っ黒な軍服に身を包んだドイツ国家代表候補生にして、ドイツ軍特殊部隊の隊長でもあるラウラ・ボーデヴィッヒちゃんの登場です。
格好いいセリフと登場の仕方でしたが、やってることは軍人としての地位に与えられてる職権乱用しまくって、個人的な復讐戦のため事案犯しまくってるだけでしたが・・・・・・恋する女の子の乙女心はノンストップハートなので気にしません。
愛の力は人を狂わせます。
愛で我を忘れた女の子たちは、法律が無力な『正義の戦士』へと生まれ変われるのです。怖いですねぇ。
「ふん。お前の方はどうなんだ。準備はできているのか?」
「当然。甲龍の攻撃特化パッケージはインストール済みよ。シャルロットとセシリアの方こそどうなのよ」
「ああ、それなら―――」
「たった今、完了しましたわ」
「準備オーケーだよ。いつでもいける」
そしてラウラちゃんに続いて、次々部屋の中に入ってくる、イギリス代表候補のセシリア・オルコットちゃんと、フランス代表候補のシャルロット・デュノアちゃん。
旅館の一室だけを間借りした、臨時の病室の中に専用機持ちたちが全員そろうと、最初よりは狭苦しくなった圧迫感と一緒に箒ちゃん一人へと視線を集中させ。
「で、あんたはどうするの?」
鈴ちゃんから、そう問いかけられました。
ここで逃げたら、自分の意思と判断で「私は臆病者です」と認めたことになり、さっき言った言葉は感情的理由で反発しただけの誤魔化しでしたと、事実上言ってるのと同義になる状況を作り出してから、わざとらしく最終選択権だけは箒ちゃん自身に委ねるのでした。
「私は・・・・・・私は―――」
ぎゅうっと拳を握りしめて、箒ちゃんは決意を表しました。
退路を断たれて、自棄になっただけかもしれませんが。
自分の失言問題で後悔してないもん、決意しただけだもん!・・・という事にしたいだけだったかもしれませんが。
「戦う・・・・・・戦って、勝つ!! 今度こそ、負けはしない!!」
「決まりね。じゃあ作戦会議よ。今度こそ確実に堕とすわ」
「ああ!!」
不敵に笑い合って、四人の少女たちは気になる男の子に重傷を負わせた相手に対する復讐戦の準備を着実に、そして密かに、誰にも邪魔されないよう確実に進めていきました。
現在地をロストしたから諦めるしかないと思われた報復攻撃を、ラウラだけが持つ軍人特権を乱用することで可能になり、量産機では勝てない相手に対して専用機持ちたち全員で襲いかかれば勝てる可能性が出てくるから挑むことに決した、シルバリオ・ゴスペルへの織斑一夏仇討ち作戦。
・・・・・・やはり人は、強い力を手に入れると弱かった頃の自分のことは結構忘れるみたいですね。力は人の心を惑わします。よい子の皆は真似しないよう気をつけましょう。
・・・・・・さて、この時。
旅館の一室で少女たちが全会一致で無断出撃と仇討ち合戦をおこなうことを決定して、旅館から出て行って出立する心の準備を完了させた丁度その頃の砂浜でも、別の少女たちによる出発式が行われておりました。
「忘れ物はないですかな? 我らが女神よ」
二階建ての和風建築に、ビーチが隣に直接繋がっている旅館の裏口で、マシンガンの女神信者のお爺ちゃんが声をかけていました。
時間は夕方。梅雨も明けて夏本番に入ったばかりの初夏で、日は傾いてもまだ暑いです。桜じゃないけど緑一色の木でセミが鳴いています。浜辺から大分後ろの雑木林でですけれども。
声をかけられたのは、一人の少女でした。
ピッチリとして、生地の下にある体つきがクッキリと浮き立つように作られている、薄手の水着みたいな服を着た、なかなかの美少女です。
レオタード姿みたいな服の背中には、小さな焚き火のイラストプリントと、【オープンボルトの銃を投げるな!撃ちまくるのだッ!】という文字が書かれたISスーツ。
こんなISスーツ、どこのメーカーで扱ってるのかIS学園関係者でも知ってる人は少ないと思います。だから聞かないで。
「はい! 本当にお世話になりました、大先輩方!!」
女神と呼ばれた少女は、白衣の下にギャリースーツ着てジャングルブーツ姿の爺さん達にペコリと頭を下げました。
そう、今は臨海学校の二日目。一夏たちがIS委員会からの要請を受けて旅館を出撃して敗北して逃げ帰ってきてから三時間ほど経ってから、一般生徒枠の美矢ちゃんも勝手に続いて出発する時間になっていたのです。
本当は夜に敵が来るのを待って、マシンガンで迎撃される光景をオツマミ片手にビールを嗜みながら皆で命懸けで見物する予定でいた彼らだったのですが、考えてみれば敵が夜に旅館を襲ってきてくれるとは限りません。
なぜなら今いる場所は旅館で、味方の基地ではなかったからです!!
今から少し前になって、その事に気付いた彼らは予定を変更して、自分たちの方から撃墜しに行く必要性をようやく理解して準備を始めます。
旅館をもっと遅く出撃した方が夜間の迎撃にはドンピシャになるはずでしたが、暗い中歩いたり空を飛ぶのを、美矢ちゃんの友達である常識人ののほほんさんが心配してしまったので、少し早めの出発です。
余談ですが、美矢ちゃんたちは一夏くんが負傷して担ぎ込まれたことを知りません。
織斑先生が専用機持ちと関係者以外には、厳重に緘口令を敷いちゃったのが原因です。
『状況に変化があれば通達する。それまで各自、現状待機』
そのお知らせだけが来てから、そろそろ三時間が経過してます。
要するに、三時間ずっと『いつ戦闘になるか分からないから、いつでも戦える状態のまま待ち続けろ』です。精神的に遂行できる人は多くなさそうな命令です。
関係者の誰かと親しい生徒の中には、状況の推移から凡その予測を立てて心配してくれてる人も一定数いたのですけど、そこまでじゃない人達は教えられた内容通りまでしか考えてません。
まして、密かにバレないよう旅館を抜け出してきちゃった人たちなら尚更です。
「《フローム・マーイ・コールド! デーッド・ハーンズ!!》」
と旅館の裏口から離れた場所で、必要はないけどイメージはしやすくなる召喚の呪文とポーズを取って叫んで、美矢ちゃん専用のIS武装【ヒトノコくん】を呼び出して実体化させ、ジジイ達の工作タイムが始まりました。
「よし、出来たぞい! ガンカメラ設置完了じゃ!」
「これで女神が夜の闇の中、マシンガン撃ちまくって敵が落ちる姿をワシらも見れるのじゃな!? こりゃ萌える! OB萌ーえッ!!」
「わ~い♪ なんかよく分からないけど良かったね美矢っち☆ のほほんさんも手伝った甲斐があったというものなのだ~」
こうして出来上がったのが、前回の試合の中でなんか追加されてた【大型ショッピングカート製マシンガン銃座】に更なる改造を施して、ガンカメラも設置した【大型ショッピングカート製マシンガン銃座mkーⅡ】です。
カメラの前には、しっかりとIS装甲用の金属板で補強してありますから多少の攻撃は弾きますし、簡単には壊れません。
おまけに、ショッピングカート風銃座にも海上で使えるよう、水陸両用ホバリング機能にパワーアップ!!
・・・・・・本来だったら天災篠ノ之束さんが手がけたISに、ここまでの手を加える事は常人には不可能なのですが・・・・・・
「うりゃッ! 愛じゃ! マシンガン愛でなんとかするのじゃ! マシンガンを愛する心さえあれば、世界の形さえ変える事が出来るもの!!」
『応ッ! マシンガン・ラブイズOK!!』
とかのノリで、愛と気合いと工夫とか才能でどうにかしました。
基本的にマシンガンが好きすぎてしまって、マシンガンに関する事だけには奇跡起こせるレベルで愛してラブしてキチガってる人たちですので、愛の力でパワーアップも可能なのです。バトル漫画の主人公みたいに。
「では、出撃前に一句。
“敵艦見ゆとの警報に接し、連合艦隊は直ちに出動、これを撃滅せんとす。
本日天気晴朗なれども波高し”――以上、いざ出撃!!
篠原美矢、ヒトノコくんmkーⅡ行っきまァァァッす!!
ジーク・マシンガンに栄光あれぇぇぇッ!!」
『マシンガン万歳! マシンガン万歳OB!! マシンガン万歳!!!
マシンガン万歳OBィィィィィィッ♪♪♪』
そして、万歳三唱しながらウェーブもやってる変な爺さん達(&面白いので一緒にノってる女子高生一人)に見送られて篠原美矢ちゃんも、箒ちゃんたちと同じ目標に向かって一足先に出撃していったのでした。
「わ~い♪ なんか分かんないけど、ウェーブばんざ~い☆
美矢っち、お土産は無理して買ってこなくていーからね~」
「はいッ! 行ってきます! 勝利の栄光をマシンガンに!!」
友達に対して(?)も、そう告げて海の上を、IS専用武装に乗って走らせていく美矢ちゃん。
目標のいる場所も、彼女にはわかっています。
「・・・・・・コッチですね。自分を撃たせるためコッチへ飛べと、マシンガンが叫んでいる。私には、それが聞こえる・・・・・・ッ!!
うぉぉぉぉぉぉッ!!!! マッシンガ―――――ッッン!!!!!!!!」
そう叫びながら、海上移動用ホバー機能付き大型ショッピングカート風台座を走らせ、波を蹴散らして進んでいく篠原美矢ちゃん。
彼女の行く方向は皮肉にも、少し後に箒ちゃんたちが向かう方向と―――――
まったくの、正反対な逆方向でしたッ!!!
当たり前ですよね? 正確無比な衛星中継の目視で確認した場所を、勘と愛だけで分かりゃあ苦労しません。
マシンガン愛がいくら強かろうと、運頼りな方法論だとダメなときゃダメなのです。愛してようと愛してなかろうとハズレる時はハズレるのです。
それが愛という想いで物理的問題に対処する方法の、構造的問題点。
所詮は、根性論や精神論至上主義の一緒なので、普通に限界あるのが現実っす。
こうして、箒ちゃんたちと逆方向に向かって先に飛んでいった美矢ちゃんが、後から出発した箒ちゃんたちとゴスペルとの戦いには少し遅れて参戦することが決定する流れとなって、彼女たちの物語は戦闘開始までいったん終わり。
次は、一夏君の物語だよ~♪ ・・・・・・次回へ続く