最近、夜が眠いです。そして寒いです。布団で寝ながら書くのが書き辛いのが厄介な季節になってしまいました。
その影響が作品に出てる事は自覚してる次第……あまり深く考えず呼んでくれたら嬉しく思います。深いことが考えれる状態じゃないです故に…(ブルリ)
篠ノ之箒と愉快な仲間たちが命令無視して無断出撃して、ガンマニアの爺たちにウェーブされた美矢ちゃんは待機命令自体をスッカリ忘れて出撃してった夕暮れ時の海。
その時より時間は、ほんの少しだけ巻き戻る。
ざぁ・・・・・・。ざぁぁん・・・・・・。
そこは遠くから波の音が聞こえてくる、不思議な空間でした。
蒼い空と白い砂浜だけが延々と広がっており、ここがどこで、今がいつなのかもサッパリ分かりません。
「ここは・・・・・・?」
その空間の砂浜を、一人の人間が歩いていました。
白いブレザーに、黒とか赤とか黄色とか様々な色の小さなパーツを付け足したIS学園の男子用制服を着て、一人だけで砂浜を歩いていました。
ちなみに女性だけが動かせるISの操縦者を育成するためのIS学園に、男子生徒は一人しかいません。
一人いれば十分なはずなのですが、最近では色んな平行世界やパラレルワールドで二人目や三人目や四人目の男子生徒が女子高だったIS学園に入学するのが当たり前になってるみたいですね。
でも、この世界では一夏くんが一人だけで充分なので一人だけです。
男装生徒ならいましたけど、先月の終わりにいなくなったので孤立状態に戻ってます。
「夏・・・・・・なのか? 今は・・・・・・」
独り言を呟きながら、ズボンの裾を折り返して、手には靴を持った状態で素足のまま砂浜を歩いてました。
靴は、いつ脱いだのか本人にも分かりませんでしたが、気にしませんでした。意外とチャッカリした都合のいい解釈ができる自己防衛本能の強さが一夏くんの知られざる魅力です。
「――。―――♪ ~~♪」
ふと、歌声が聞こえてきました。
とても綺麗で、とても元気な歌声が気になって、一夏くんは声の方へと歩を早め、
「ラ、ラ~♪ ラララ♪」
やがて、そこにいる少女と出会いました。
波打ち際で、わずかに爪先を濡らしながら踊るように歌い、謡うように躍る。どっかの戯れ言好きな人が好む言葉遊びで表現したくなるような、白い髪と白いワンピースに包まれた白い少女。
「ふむ・・・・・・」
なぜだか声を掛けようとは思わなかった一夏くんは、近くにあった流木へと腰を下ろして、ただぼ~~っと少女の歌声を聞きながら、ぼんやりと少女と目の前の光景とを眺めていました。
―――そして丁度、同じ頃。
ズドォォォッン!!!
「初弾命中。続けて砲撃を行う!」
『!!』
「やりましたの!? ――いえ、まだ・・・っ!!」
『《シルバー・ベル》最大稼働――開始』
「!? まずい! これは―――セカンド・シフトだ!」
『キアアアアア!!!』
「な、何ですの!? この性能・・・・・・軍用とはいえ、あまりにも異常な―――」
「よせ! 逃げろ! こいつは――ぐわぁぁぁッ!?」
「ラウラーッ!? よくもっ・・・・・・!!」
ドン! キン!! キュゥゥン・・・!!
一夏くんの仲間たちが結構ヤバい状況に陥りかけていましたが、別空間にいる一夏くんには通じません。
新しい人の形ではない、魂を重力に引かれた古い時代の人間たちに未来基準ではなる事にはなる現代少女たちでは、時間も距離も関係なく互いの思いを伝え合うことは出来ないのです。物理的な理由によって。
「・・・・・・あれ?」
ですが、一夏くんと違って物理法則に左右されないらしい白い女の子は、キュピーンという光とともに何か感じ取ることが出来たのか、歌うのも踊るのも辞めて空を黙ったまま見上げており、不思議に思った一夏くんは少女の隣へ向かうと声を掛けました。
「どうかしたのk―――」
「私は、この惑星の女神です」
そして、いきなり割り込んできて現れた自称女神様から、そう言われてました。
そう言ったから自称女神様なのかも知れません。どっちでもいいですが、どーでもいい事でしたが。
唖然としている一夏くんの目の前に現れて、同じく唖然となっている白い少女の姿を背中で見えなくしてしまった美しい女性は、きらびやかな服や装飾品に身を包み、背中からは眩しくない程度に後光が輝き、なんとなくソレっぽく見えなくもありません。
よく見ると足が空中に浮いてる辺りも、まぁ女神らしいと言えばらしいのでしょう。ただ濡れたくなかっただけと言われたら、そうなる人もいるでしょうけれども。
「そして私は貴方に、とてもとても重要な頼みがあります。今この惑星は危機に瀕しています。
この宇宙を我が物にしようとする四大魔王宇宙の側近の一人である、六大暗黒将軍宇宙の力によって悪の心を増幅された人間たちが、悪の秘密結社軍団《ファントム・タスク》を結成し、世界中を戦渦に巻き込む大戦争を起こさせるため悪の世界破壊計画をはじめようとしているのです。
私の力が足りないばかりに、ソレを見ても嘆き悲しむ事しかできず・・・・・・宇宙に平和をもたらそうと宇宙中に活躍が轟いている別世界の地球の勇者を召喚したこともありましたが・・・・・・あいつらは駄目です。
最近の人間にありがちな神様を全く敬わないタイプの典型例で、管理教育の弊害が丸出し過ぎてて、親の顔が見てみたいほど礼儀作法も敬意もへったくれもあったもんじゃありませんでしたので、追い返しました。出戻りです。
いくら田舎惑星の女神だからって、神様に礼儀を払わない勇者なんて要りません。ゴミ以下です。たとえ強くても、あんなのに頼るぐらいだったら別の勇者の方が私は良い」
そして、いきなり長広舌説明&本人たちが既にいないらしい別世界勇者たちの悪口をぶつくさ呟き捨ててきました。
反論すべき本人たちが、この世界から自分たちの世界に還らされた後らしいので、どうにも態度と言い草が尊大になってるみたいですね。
余談ですが、そのとき呼ばれて帰って行った異世界勇者たちは、戦い以外のときにはIS学園並に色々やってる人たちだったため、帰る前の日にはインディーズバンドの大会に出て入賞してから帰って行ったという、この世界の人たちは誰も知らない伝説を築いた人たちだったりします。
おかげで授賞式は、優勝者不在のまま行う羽目になりましたが。司会のお姉さんが、とても困った表情と態度をしてたそうでしたが。でも余談です。
「そういう訳ですので、織斑一夏さん。あなたが、その勇者たちの代理!! アンダスタン!?」
「いやあの・・・・・・えっと・・・・・・」
いきなり話振られて戻されて、困るしかない一夏くん。
彼からは見えない位置でしたけど、白い少女の方も困っています。
・・・そりゃそうでしょう。
どこから出てきたのか全く分からない女の人から、大人が言ったら即座に熱を測られそうなことを力説されたのですから、「コイツ頭大丈夫か?」と変な人を見る眼で遠ざからないだけ、むしろ誠実な対応なぐらいです。
「もちろん、タダでとは言いません。貴方が今負っている傷は、私が女神パワーで完治させてあげましょう。
それから、勇者と共に戦う勇者の仲間にも力を与え、女神の加護によってパワーアップした彼女と力を合わせれば、勇者に選ばれた貴方に不可能なことなど何一つなくなります。
・・・・・・ただ残念なことに、この前呼んだ勇者たちを異世界から召喚するためパワーを消耗しすぎてしまい、仲間たちの方は一人分だけしか加護を与えられません。
そして貴方にも、悪と戦って仲間を守るための力を与えましょう」
「俺に・・・・・・力を?」
「そうです」
力強く女神は頷いて、力強い瞳で一夏の瞳を見つめ返すと、力を込めて自分の想いを彼に向かって語りかけてきます。
「いいですか一夏さん。正義とは暴力のことではないのです。勘違いしてはいけません。
ですが、力の伴わない正義もまた、人を救うことは出来ないのです。
つまりは、道理のない暴力を振るう悪を倒すための力は正義です。アンダスタン?」
「あ、え、は、はい。・・・・・・え? あれ? んんぅ?」
女神様から、神様らしくないことを力説され、最初は自分の思いと合ってるかなと思ってたんだけど、途中からなんかズレてたような気がして、「あれ? 俺ってそんな風に思ってたんだっけ?」と小首をかしげて悩みはじめる一夏くん。
ですが、そんな一夏くんを前にして女神様は急に、「いけない! ヤツが来たみたいだわっ」とか、どっかのヒーロー主人公に詳しい説明なしで厄介事を丸投げしてきて巻き込みまくる系ヒロインみたいなこと言い出した挙げ句。
「では、お別れのときが来たようですね。
次合うときは、貴方がさらなるパワーアップを必要として、六大暗黒将軍宇宙の野望を大幅にくじいて勢力を削りまくった後ぐらいになるでしょう。
それと貴方は単純すぎて嘘が吐けない性格なので、周りの人たちを不思議がらせて敵に感知されている事実を知られないため、今聞いた話は過去の記憶の中で辻褄が合うようテキトーに再構築を・・・・・・そうですね。
では、そこの白い少女から力をもらったと言うことにしておきましょう。私が女神パワーで見たところ、彼女には特殊な力があるようですが、それは貴方一人をパワーアップさせるだけのため、もう一人の仲間のレベルアップまでは私の力なしでは不可能です。
それを全部そこにいる少女の意思とは関係なく、彼女の力でやってあげたという事にしておきますので、どうぞ遠慮なく悪をぶっ倒して来ちゃってください。
悪に容赦は無用です。道理の通じない暴力を振るう悪には、話すだけ無駄なのです。
・・・・・・どうか、そのことを忘れることなく、この星を・・・・・・この星に生きる全ての生命を守るため・・・・・・勇者よ、後はよろしくお願いします」
「え? あ、はい。・・・・・・んんぅ・・・?」
最後まで、なんか微妙に違ってる感を漂わせながら一夏の意識がボヤけていって、目が覚めたときには旅館の一室でベッドに横になりながら、ボンヤリと夕日が沈もうとしている海を眺めていて――――
「・・・・・・って、ダメじゃん! 急いで箒たちを助けに行かねぇとッ!!」
と、大慌てで服を着替えて装備も持って部屋を飛び出していきました。
自分が、仲間たちがピンチな状況に陥ってる情報を、いつどこで入手したのか? 見せられたシーンなんてあったか? とかの疑問を記憶の辻褄合わせでテキトーに違和感なく埋め込まれてしまった一夏くんには全く疑問を感じないまま、ただ仲間たちを守り、仲間たちと一緒に戦う場所へ―――戦場へと戻るために一夏くんと白式は帰ってきたのでした・・・。
――そしてまた、もう一人。
「おや? なにやらゴーカートが光に包まれ出したような気が・・・・・・?」
海を行き、箒ちゃんたちとゴスペルとの戦闘空域からは遠ざかっていた自覚のない美矢ちゃんは、突如として発光し始めた自分が乗ってるアメリカの大型デパート製ショッピングカート型マシンガン飛行機銃座を見下ろしながら不思議そうに首をかしげていると、やがて「ハッ!? まさか・・・」と真相に気付いた時のような声を上げて真顔に戻ると。
「まさか・・・・・・まさか遂に、マシンガンの光によって全人類を導くため、マシンガンのメシアが復活する日が来たのでしょうか!? OB!!」
違ぇよバカ。――としか言われようがないほどのバカ発言を大真面目におこなって、言葉自体には特に何の意味も与えられませんでした。
所詮は、真相に気付いたときのような顔と声だけだったら、真相に辿り着いてなくても簡単にできますからね。
自分が正しい答えだと信じることが、客観的な正しい答えだとする証拠にはならない。ぶっちゃけ双方に何の関係性すらもない。悲しい現実の常識です。
とは言え、無意味なバカ発言と発光現象とが関係してる訳もありませんので、光は少しずつ大きくなっていきながらショッピングカート全体を飲み込んでしまいます。
美矢ちゃんは見てませんし、そもそも負傷してたこと自体を知りませんでしたが、一夏くんが目覚めて新たな力を手にしていたと知ったときと全く同じ現象が彼女の身にも起きていたのでした。
そして光が収まったとき―――――美矢ちゃんが使う、専用IS武装《ヒトノコ君》はさらなる進化を遂げた姿を、海の上と美矢ちゃんの前で初めて現したのです!!!
「う、うぉぉぉぉぉぉっ!? 仲間たちの想いが・・・・・・仲間たちのマシンガンを愛する心が私の中で広がっていくような・・・!?
――もう私は一人じゃない、みんなで一緒に戦おう。そしてっ!!
みんなぁぁぁぁぁッ!! マシンガンを愛してるかァァァァァッ!?
私たちはマシンガンを愛してloveして、朝も昼も夜もご飯の時だってモデルガンと横に並んで座って食べてるぞォォォォッ!!」
いえ、それは只の変態です。
その変態が、変態らしい姿となって大海原を掛けていく。
今のヒトノコ君はパワーアップして、弾数と威力が大幅に向上した姿。
《ヒトノコ君×6ラバーズ》に進化して、シルバリオ・ゴスペルを倒すため戦場へと向かい直す!!
「んんっ!? ・・・・・・クンクン、この臭いは・・・・・・マシンガンの薬莢が放つ硝煙の臭いか! ならばコッチだーっ!
臭いを辿っていけば着いた場所・・・・・・それこそマシンガンを撃ちまくって良い場所だ―――っ☆ ひゃっふぁァァァァッッ♪」
やっぱ犬かコイツは。しかも今回は方向まで合ってるし。
マシンガン限定で常人離れした能力を発揮できるようになり、マシンガン以外のことは何が起きても大して気にならない集団。
それこそが全日本マシンガンラバーズ。
美矢ちゃんが帰るべき、仲間たちが待つ場所である。――変態の巣窟とも言えますけれども。
つづく
*進化したヒトノコ君の説明は次話でする予定です。