IS学園のマシンガンラバー   作:ひきがやもとまち

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バケモノの最新話を書いてる最中、とある方の感想内容を思い出して試しに神様視点でのギャグ回を書いてみました。評判悪くなければ今後はこれで行かせて頂ければなぁ~。

なお、内容はサブタイトル通りです。


第4話「学園ミヤ」

 六月上旬。

 月末には一週間かけて行われる大規模イベント『学年別トーナメント』を控え、IS学園はにわかに活気づいていた。

 

 ある者はトーナメントに備えて自機の整備と調整を行い、またある者は己をさらなる高見へと誘うために放課後の自主特訓に明け暮れる。

 

 そんな中、我らが主人公篠原美矢が所属する1年一組の生徒たちが話題として上げるのはもちろんIS・・・ではなくて、格IS企業が販売しているISスーツのどれが好みか、であった。

 

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

「え? そう? ハヅキのってデザインだけって感じしない?」

「そのデザインがいいの!」

「私は性能的に見てミューレイのがいいかな。特にスムーズモデル」

「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」

「・・・米陸軍特殊部隊グリーンベレーの野戦服か、アフガニスタン紛争当時のソビエト連邦空挺軍服、ローデシア紛争時の傭兵たちが着ていた服のどれが欲しいのだが、誰か扱っているメーカーを知らないか?」

 

「「「・・・いや、ゴメン知らない。つか、アンタ誰さ?」」」

 

 やはり女子校。女の子はみんなオシャレに夢中。分類上はスポーツ用品でも実際には戦闘服に近いISスーツにだってデザイン性を求めます。いつの時代も女の子は着飾るのが大好きですからね。仕方がありませんよ。

 

 ・・・・・・若干名、時空と時代を超越してきたっぽい誰かが混じっていた気もしなくはないですが、気にしてはいけません。ISは何でもありな兵器なので、それを扱う彼女たちだって何でもありなのです。異論は認めん。

 

 

 かしましくも賑やかで、華やかすぎるほど花がある美少女揃いのIS学園一年一組。

 三十人近くいる美少女生徒たちの中、一人だけ異質な雰囲気を醸し出していなくもない変わった女の子がいました。

 

 

 機能的でメカニカルな印象のあるIS学園の白い制服。

 その上から胸元に“アパーム弾持ってこい!”とプリントされ、“つまりーー貴様らも永遠である!”とポップ体で刺繍が施された薄手のパーカーを羽織り、頭には額の位置に“発砲を許可する!”のイタリック文字が記された野球帽という異常な格好の日本人生徒でした。

 

 

 短めの黒髪と大きくてつぶらな黒い瞳を持つ彼女の名前は篠原美矢。

 この学園の新入生で、いろいろと規格外というか基準外というかイレギュラーと言うべきか、とにかくちょっだけ変わった所があるだけの平凡な女の子でした。これも異論は認めない。

 

 そんな彼女もまた他の子たちと同じくオシャレについて悩んでいました。ファッション雑誌を見下ろしながら腕を組み、難しそうな顔でつぶやきます。

 

「やっぱりIS用マシンガンの色はパーソナルカラーに塗装したいですね・・・そうなると全身ピンクか、あるいは米軍のマルチカム迷彩を採用してみるべきか・・・。う~ん、悩まされますねー」

 

 一人だけオシャレの感覚が違いました。違いすぎました。なんか感性が全然別時空の人間です。国が違うとかいうレベルの違いじゃありません。世界が違います。

 今更ながら彼女を入学させたIS学園執行部は全員、病院に入院した方がいいと思う。

 

「ーーよし。やっぱりピンク色にしましょう。かわいいから。

 そして可能ならばISスーツもピンク一色で!」

 

 なんか話が飛びました。飛びまくりました。跳躍でも飛躍でもなくワープするほど飛びまくりましたが、気にしてはいけません。

 IS学園一年一組は変人が多いのです。だからノープロブレムです。まったく問題ありません。

 仮に彼女の二つ名が『ピンクの悪魔』になったとしても、望むところなので問題は皆無です。

 

 

 

 ・・・一応は原作の主人公が先月行われたクラス対校試合の試合中に所属不明の無人ISに襲われ、転校してきたばかりのセカンド幼馴染みともども危ない目にあってゴタゴタとし、その後から織斑一夏と篠ノ之箒との仲がギクシャクしだしたりとイベント事はあったのですが、マシンガン以外のすべてに興味のない篠原美矢にとってカラーリング問題が解決した今、悩むべき問題はたった一つのみ。

 

 

「戦いの中で武装を呼び出す際には呼び出しコールが必要ですが・・・どれにしましょう・・・?」

 

 

 ーーそれだけでした。それ以外には何も学ばず何も考えていませんでした。

 

 まだ敗北を喫していない彼女が“考える”と言う新しい言葉を覚えるには、今少し時間がかかりそうです・・・・・・。

 

 

 

 

 

「諸君、おはよう」

「お、おはようございます!」

 

 平時には強いのに戦闘時には戦闘に参加しようとせず戦力にならない世界最強ブリュンヒルデこと、織斑千冬先生が颯爽と登場してきました。今日もぴしっとして厳しそうです。

 

 これで生徒(味方)ではなく敵に対して厳しく当たってくれれば文句はないのですが・・・敵は切らずに弟を殴るが彼女の教育スタイルなので仕方がありません。そういう仕様なのです。彼女のブラコン愛を生暖かい目で見守って上げましょう。

 

「今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるようにな。

 その為ISスーツを忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらうが、それもないものは・・・まあ下着でも構わんだろう」

 

 織斑先生の言葉に年頃の乙女たちは微妙な反応を返しますが、パイロットスーツが下着で代用できるという発言はISスーツを着た女子生徒が下着姿でロボットに乗った女子高生と同じ認識で男性たちに見られていると解釈しないのは何故なのでしょうか?

 

 あるいは承知の上で着ているのかもしれません。

 下着姿で戦い、下着姿で世界大会に出場し、下着姿で表彰台に上ってトロフィーを受け取る。

 それが彼女たちの語る夢なのかもしれませんね。変態的ですが。

 

 ・・・と言うか、下着や水着と同じカテゴリーならデザイン性重視のだけでよくね?

 性能って必要か?下着に。履き心地とかを考慮してるんでしょうかね?

 

 ロボット乗るときに着る下着の好みをクラスメイト同士で語り合う女子校・・・近未来的ですね。もしくは世紀末。

 

 

 

「では山田先生、ホームルームを」

「は、はいっ」

 

 連絡事項を伝え終わった担任の織斑先生が副担任の山田先生にバトンタッチします。

 これを後進の育成ととるか職務放棄と捉えるかは、人それぞれだと私は思う。

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも二名です!」

「え・・・・・・」

「「「えええええええっ!?」」」

 

 いきなりの転校生紹介にクラス中がいっきにざわつきます。

 そりゃそうです。IS学園には一学年につき大体百二十名が在籍していて、1クラスは約三十名前後入ります。単純計算で最低4クラスある教室のなか、わざわざひとつのクラスに二人も入れる必要性がどこにも見あたりませんからね。明らかな配分ミスです。

 

 きっと今頃世界のどこか、地球の反対側辺りでIS委員会の偉い人たちが涙ながらに退職届を書かされていることでしょう。国家権力が表向き介入できない組織の偉い人たちも意外に大変そうですね。合唱。

 

「二人とも、入れ」

「失礼します」

「・・・・・・」

 

 司会進行役を山田先生にゆだねていたはずの織斑先生が美味しいところを持って行きました。意外とちゃっかりしている人です。女手一つで弟を育てる社会人とは、こういうものなのでしょうか? 大人ってズルい。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

 転校生の一人。どうやら性別は男性らしく男物の制服を着ている金髪碧眼の美少年が、さわやか笑顔で挨拶します。

 世界で二番目の男性IS操縦者の登場に生徒たちは騒ぎ、お仲間の参戦に織斑一夏は安堵します。

 

 よかった、これでパンダ扱いされる珍獣仲間が増えたぞと。

 

 男女比率で圧倒的に上回られてる女子校で、男が一人で生きていくのは意外とつらいのです。しかも思っていたほどにはセシリアとの距離が縮まっていないので尚更です。

 

 友達が昔なじみのファースト幼馴染み一人だけから始まるのと、開始直後のイベントで諍いの末にケンカ友達ができるの。

 ギャルゲーにおいては結構重要な分岐路である場合があります。ご注意を!

 

 

「ラウラ・ボーデヴッヒだ」

 

 もう一人の転校生である女生徒・・・まぁ、性別だけを問題にするのであれば平凡きわまるごくごく普通のIS操縦者の少女が無感動に一言だけ告げました。あとはダンマリです。

 

 

 ・・・いやいや、もう少しだけでもしゃべろうぜ? な?

 ーーなどと言ってはいけません。なぜなら同じような言葉に「よろしくお願いします」とだけ付け加えて入学直後の自己紹介を終わらせた世界初の男性IS操縦者がいるのですから、責めたりしたら可哀想と言うもの。

 姉ともども温かく見守って上げましょう・・・。織斑姉弟に縁結びの神様の御加護があらんことを・・・。

 

 ーーだってこの人たち、それないとマジで只のコミュ症になりかねませんからね。片っぽ生活無能力者だし。

 人との絆は大切です。ダメな人たちは特に。

 

 

「!! 貴様が・・・!」

 

 

 つかつかつか・・・、

 

 

 バシンッ!

 

 

 

 クラスを見渡したとき偶然目があった織斑少年に歩み寄ると、問答無用で平手打ちをかました転校生のラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 突然のことに驚き唖然としたまま一時フリーズしていた織斑少年ですが、やがて意識を取り戻すと猛然と食ってかかります。

 

「いきなり何しやがる!」

「ふん・・・」

 

 いきなり自分を殴りつけてきた初対面の女の子相手に大声で怒鳴りつける織斑少年ですが、これでも彼は一応『強い男がか弱い女の子を守らなきゃいけない』的な思想の持ち主です。一応は。

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

 

 冷たいまなざしで織斑一夏君を見つめながら宣言する一夏の姉、織斑千冬の愛弟子ラウラ・ボイーデヴィッヒちゃんですが、果たして彼女は分かっているのでしょうか?

 

 彼女と一夏君の関係をおぼろげながらでも理解できているのは、IS学園に来る前の姉を知る一夏君と千冬姉さん本人自身。そしてこの後事情を少しだけ説明してもらえる幼馴染みの篠ノ之箒ちゃんを含めた三人だけだという事を。

 

 

 

 つまりーー今の彼女と彼の立ち位置を第三者的にみた場合はこうなります。

 

 

 

 いきなりドイツから転校してきたミステリアスな美少女が織斑君を殴って、その上に熱い瞳で見つめながら『あの人の弟であることを認めない』って言ってる!

 

 

 まさかこの二人ーー家族のしがらみで別れさせられた恋人同士なんじゃないの!?

 

 

 

 

 ・・・シェイクスピア的悲恋物語の妄想はご遠慮ください。ロミオさんとジュリエットさんに失礼です。

 

 ちなみにだが彼女たち二人の悲劇的恋愛騒動は、実質一週間に満たない超短命な線香花火的ラブストーリーである。さらに言うなら、十六歳のロミオが十四歳のジュリエットに真夜中のバルコニーで熱烈な愛の告白をすると言う『坊やだからさ』の代名詞的ストーリーでもあった。

 

 熱血漢で直情的な甘い坊や(イケメン)=織斑一夏。

 年下(ロリ)で(見た目だけは)お姫様的容貌の美少女=ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 ーー織斑一夏の社会生命・・・・・・完!

 

 

 

 

 

『き、きゃああああああああああああああああっ♪

 NTRよ! リアルNTRだわぁぁぁぁっ!!!

 時代の流行は、略奪愛!』

 

 

 IS学園は恋に恋する乙女(腐ってる女子)が多いーー。

 

 

 

「あー・・・ゴホンゴホうぇっえええ!? なんだ!なにが起こった!?

 一夏! お前いったい今度はなにをしたぁぁぁぁっ!?」

「してないし知らないし! した覚えすらないし!

 て言うか自分の弟を女たらしみたいに言うの、やめてくれませんかね織斑先生!

 パワハラで訴えますよ!」

「おう、できるもんならやってみろ愚弟! こちとら社会人、しかも国家代表候補たちの元教師様な御身分だぞ!

 たかだか男の新入り風情、片手の小指一本で叩き潰してくれるわ!」

「それパソコンのメールをワンクリックで送ってるだけだろ!? 元教え子で今はIS委員会とかのお偉いさんに!

 権力の横暴反対! 俺は自由と権利と男の尊厳のために戦い抜くぜ!」

「こんのバカ弟がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

 貴様ごとき未熟者が粋がったところで何ひとつとして成すことなど出来ぬわ!

 真に大事を成したいと願うなら、この私を越えて行けぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「くぅぅ・・・! だが、今に見ていろマスター姉さん!

 俺はいつか必ずアンタを越えてやるぅぅぅぅっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予想外すぎる展開に頭テンパったバカ姉弟が暴走し、Gな展開へと雪崩込んでしまったIS学園一年一組。

 

「えっと・・・僕たちはどうすればいいの・・・かな?」

「・・・・・・」

 

 

 置いてけぼりを食らったシャルル・デュノアと、先制攻撃を無かったことにされて取り返しに来た恩師にまで忘却の淵に沈められたラウラ・ボーデヴィッヒには何も出来ることなどない。

 

 ただただ呆然と、これから一年間お世話になるクラスメイトと担任教師たちによる醜態きわまる恥態を傍観するより他に道などなかったのである。

 

 

 

 

「よし! 決めましたよ! 呼び出しコールは、

『フローム・マーイ・コールド! デーッド・ハーンズ!』

 これです! これに決めました!」

 

「「君(お前)誰さ(だ)!?」」

「??? あなた達はいったい・・・はっ! まさか!

 世界崩壊後のマシンガンワールドからやって来た、光のマシンガナー!?」

 

 

「「な・ん・だ・そ・れ・は!?」」

 

 

 

 ようやく遙かな未来の座礁した豪華客船から現代の現実世界に戻ってきた美矢の意識。

 

 ですが当たり前なことに意識がなかった頃の記憶がある訳もなく・・・ぶっちゃけ新キャラ二人の事情も何もかんも聞いていませんでした!

 

 

 

 ・・・・・・バカに巻き込まれて振り回される犠牲者が、また二人・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで君たち、機関銃は好き? 好きだったら私たちは仲間だ!

 好きじゃなかったら仲間じゃない。仲間でない以上、敵だ。私に撃たれて死んでもらいたい。そう囁いている。私のマシンガンが。

 と、言うわけでぇーーー“フローム・マーイ・コールド! デーッド・ハーンズ!”」

「「教室内でIS用武装だけを実体化させるなぁぁぁっ!!!

  ISそのものじゃないから校則で禁止できな・・・う、うわぁぁぁぁっ!!」」

「やっちゃええええええっ!!

 ひゃはあああああああっ!!

 気持ちいいぜぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 意識を戻した美矢は撃ちます。撃ちまくります。今日はあんまりしゃべってない分を撃つことで補います。足りない台詞は弾丸の無駄遣いでカバーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・今日もまた、篠原美矢ちゃんが所属するIS学園一年一組は平和な一日を過ごしました。

 

 ええ、平和ですとも。誰がなんと言おうと平和なものは平和なのです。断じて一部生徒による無差別発砲事件など起きてはいません! あれは単なるガス漏れ事故です!

 

 以上で、IS委員会への報告書の筆記を終わります。

 IS学園実質的運営者、轡木十蔵よりーー。

 

 

 

 IS委員会主催、査問会の記述より

 

 

 

つづく




鈴登場回、飛ばされる!(ToT)/~~~
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