あと、原作者様ゴメンナサイ。ISバトルとモンド・グロッソが完全なショーとして認知されてる世界観を作ってしまいました。ギャグ二次創作という事でお叱りはなしでお願いします。
学年別タッグ・トーナメント開催当日。
IS学園には来賓だけでなく普段は公開されていない一般にも門扉が開かれ、まさに新世代の極上エンターティメント《モンド・グロッソ》の花形スターを目指す美しき少女たちが華麗に空を舞い、天駆ける妖精バトルを繰り広げる大空のステージに相応しい彩りを演出されていた。
『行けーっ! セシリアーーっ!! 華麗に決めろー!』
『きゃーっ! 鈴様ーっ! かーわいーっ♪』
『シャルルくーーん! こっち向いてーーっ!』
中でも特に人気が高いのは、言うまでもなく国家代表候補生たち。
当然だ。彼女たちは将来『モンド・グロッソ』に出場して人気を獲得させるために国家が選出し、専門教育を施したアイドル候補生たちのなかでもエリート中のエリート。
見せることで魅せる術を叩き込まれた、スター選手たちなのである。人気を得やすい戦い方など、考えるまでもなく繰り出すことができずして何が国家の人気取りに貢献する代表候補生か!!
ーーただ、そうなると当然来客の中には野次を飛ばすものなども訪れ、周囲の全てが美少女だらけで男一人のハーレム環境を与えられた世界で唯一のリアルハーレム野郎『織斑一夏』には激烈な非難と悪意と嫉妬が集中するのだが、意外にも一夏以上のイケメンリアル王子様シャルル・デュノアには好意的な評価と声援が送られていた。
『いいぞデュノア! もっとやれ!もっと撃て!
お前は俺たち男すべてが理想とする未来像だーーっ!』
ーーと、血の涙を流しながら絶叫する見目麗しくないモテない世の男性の方々から、成りたくても成れない『理想の俺たち』として素直な賞賛と憧れと兜を脱いでの降参が散発していたからだ。
逆に半端な天然ジゴロで自分たちでも手が届きそうな(そう言う風に誤解される庶民的な雰囲気をまとった)織斑一夏には、素直な嫉妬と憎悪と敵意とその他諸々のマイナス感情が一身に集められ、空飛ぶイケメンのファンたち(女性オンリー)との間で深刻な対立構造が生じてしまい学園警備側が対応に苦慮することとなっていた。
いかに女尊男卑の世の中とはいえ、男女比的には然したる変化が生じていない以上、顧客として考えた場合には男女は完全に平等なのである。
可能な限り双方ともに楽しんでいただきIS学園にも、またIS経済にも多額の貢献と献金をなしてほしい。それがIS学園を運営している日本政府と上部組織のIS委員会が共有する真の正義と利益であったのだった。
そんな中、意外にも善戦し順当に順位を進めていく異形の二人に来客たちの注目が集まりだしていた。
ISバトルを楽しみ隊(仮名)の二人、篠原美矢と布仏本音の適正値的にはバランス悪すぎで勝てる道理を持たない変人コンビである。
彼女たちのバトルスタイルは、試合開始直後から一歩も動かずにマシンガンを楽しそうに笑いながら撃ちまくる。ただそれだけなのだが、戦術も戦理も戦技もへったくれもないこの戦い方はIS操縦者たちにとって最大の鬼門となっていた。
何故ならばーー
「そんなバランスの悪い装備で何が出来るというのかしら!? 素人ね、私が本当のISバトルというモノを教えてあげーーどがががががが!ーーきゃあああああああっ!?」
「天に星! 地には華! 華麗に舞い上がれ我が剣舞! ローゼス・ハリケーーずががががが!ーーひゃわわわわわっ!?」
「ちょ、おま、ISバトルはショーなんだから技名ぐらい言わせてもらえないと私たちにも立場ってもんがーーずがどがずどどどどどどどどど!ーー降参!降参するからもう撃たないでー!(ToT)」
ーーまぁ、こんな感じだからである。
魅せることを重視して操縦法と戦闘技術を教え込むのが世界第一産業の中核を成すIS産業である以上、彼女たちIS学園一般生徒も国家代表候補生も、これまで受けてきた訓練自体が美矢たち相手には足枷と手枷と手錠と鎖にしか成り得なかったために敗退を繰り返すしかことしか出来ず、観客たちは未だかつてないISギャグバトルに大盛り上がりを見せて笑い転げ回り、学園備品を盛大に壊しつつも豪快に金を落としまくっては学園経営陣の頭を抱えさせる超特大問題児と化していた。
一方でーー
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「き、きゃああああああっ!?」
ビーーーーッ! 勝者、ラウラ・ボーデヴィッヒ、篠ノ之箒ペア。
「ふん。つまらん。所詮はファッション感覚で、お遊びのIS操縦法しか教わっていない雑魚どもの力などこの程度に過ぎんのだ。
貴様等に織斑教官は相応しくない。顔を洗って出直してこい」
「・・・・・・・・・」
痛みに顔をしかめる相手選手と、情け容赦ない戦い方に不満を抱くパートナーからの視線を意に介することなく試合会場を後にするラウラ・ボーデヴィッヒであったが、言ってること自体は概ね間違ってはいない。
だって本当のことだもん。
世界第一産業で、主力となる目玉イベントが《モンド・グロッソ》なんだよ? 『インフィニット・ストラトス/ヴァーサスト・スカイ』世界中で大ヒットして超売れまくっているんだよ? これがお遊びのファッションでなくて何だというのさ?
ーーな感じで世界の声からのツッコミを受ける自覚のない天然キャラのラウラちゃんであったが、実は彼女。知られていないところで物凄い残念ぶりを発揮していた。
そもそも何故ドイツは見せ物のためのスポーツに過ぎないISバトルの国家代表候補に彼女を選び、ましてや軍から選抜しようなどとトチ狂った発想を抱いてしまうようになったのか?
簡単だ。戦いに関して真面目に考えすぎたのである。
『白騎士事件』の折り、世界中で起こった大混乱を人々はISバトルが隆盛を極めるに従ってすぐに忘れ去ってしまったが、嘗て二度の大戦で敗北の痛みを思い知り、二度と悲劇を繰り返さないためにも未来永劫忘れるまいと誓ったドイツだけは忘れ去っていなかったのである。本気でISを国防・及び世界平和維持のために運用する気満々だったのである。
その為には、一部軍部のバカどもが先走って作り出してしまった試験管ベビーであろうと無駄には出来ない。彼女自身が生きていける場所を作ってやるためにも軍人の道へ進ませるより他に道はなかったのだから致し方がないことではあった。
考えてもみるがいい。現代社会で人がいかに自分たちと違う存在へ敵意を向けるかということを。それが自分たちと異なる手順で生まれ落ちた、自分たちより優れた力と知能を生まれ持った新人類と言うなら尚更だ。コーディ○ーター。
母親の母胎からではなく試験管の中から摘出された、母なる大地から自然に生まれ落ちてない存在の彼女を世間に認知させ受け入れさせるためには、軍に進ませて国に貢献させるしかないと判断したドイツ政府であったが、ここで問題が生じてしまう。
ISバトルへの無理解がそれであった。
先述したようにドイツはISバトルをショーだと認識していない。ガチなのである。本気で勝つつもりで機体を開発して操縦者を育成するものだから、勝ちはしても人気が出ないのだ。金が入ってこないのである。
要するにお金の問題でラウラは冷遇されざるを得ない一時期を過ごさざるを得なくなってしまったわけだが、軍とて自分たちが生み出してしまった少女を使い捨てる気は微塵もなかった。
ちょうど折り良く情報部の網に引っかかった亡国機業の一部マヌケどもが当時の世界最強ブリュンヒルデの弟御を誘拐したことを察知し、個人的にリークしてやることで大会優勝後に彼女へと近づいて個人的な恩返しという形でレッスンをお願いしようと目論んだわけだったのだが、彼らは余りにも平和ボケした日本人という生き物を知らなすぎていた。
あろう事か千冬は、その道のプロであるドイツ軍の制止も援助も振り切って突貫し、誘拐犯どもを一人残らず惨殺すると言う暴挙にでる。
駆けつけたときには時既に遅く、彼らが眼にしたのは死人のような眼で宙を見つめている世界最強と、死体の山を前に陶酔した瞳で血塗れの姉を見つめる幼い少年の姿であったのだ。
「あ、これヤバい奴だわ。しばらく二人は離してた方が良いわ絶対に。
自分のせいで姉が大量殺人犯しちゃったことを自覚してない幼く純粋な弟と、責任感強すぎなヤンデレブラコン&トラウマ持ち姉なんて一緒に暮らさせたらどうなるかドイツ人の俺らが一番よく分かってるもん。
とりあえずドイツへ療養しにおいで。ちょうど面倒くさい子供が居るから気晴らしにはなるよ? あと、ついでで構いませんので人気が出るISバトルの勝ち方教えてください」
ーーと、こういった経緯からドイツは急遽方針を変更して純軍事的には敵を捕縛するしか役立たないAICを搭載した新型IS《シュヴァルツェア・レーゲン》を開発し、冷徹な性格と妖精めいた容姿を持つラウラに、千冬の祖国ジャパンの伝統文化ジャパニメーションから得た発想により少佐の階級とナチス親衛隊をモチーフにした軍服を着用させ純然たるヒール役としての地位をISバトルで獲得させることを目指した訳であるのだが。
娯楽に対する認識不足の戦争民族ドイツ人とは異なり、愉悦を至高とする遊び人民族日本人の方々は既にお分かりであろう?
ヒールとは悪“役”であって“悪ではない”ことを。
本物の悪は正義の味方に倒されなくてはいけない憎むべき存在だが、エンターティンメントとしての悪役“ヒール”は悪役を演じることで視聴者を楽しませなければならない。
正義の味方を引き立たせるには、同等かそれ以上に魅力的な悪が必要不可欠だからと生み出されたのがヒールであって、蹂躙するにしても叩きのめすにしても悪の論理を語るにしたって作法と手順と流儀とマナーがあるのだ。ショーを構成する要素の一つがヒーローであって、ヒールなのである。
つまりは要約してしまうと『金のために戦いあってるマッチポンプバトルの名前が勧善懲悪』という身も蓋もない価値基準なのだが、まぁ現代のIS社会は概ねこんな調子で成り立っているのだと理解してくれればそれで良い。
そんなこんなで本来のIS社会の思想的には適しておらず、半端なヒールでしかないラウラに人気が集まる道理はないのであるが。
そこはほら、IS操縦者って見栄えが良いじゃん? ISスーツも本人に合わせてデザイン性を重視して作られてるじゃん? おまけにラウラって、ロリで少佐でツルペタで冷酷で対象超限定指定のヤンデレで対象外には天然のドSじゃん?
エロい格好したドS合法ロリ美少女が敵を圧倒し、ハイレグスーツ(ISスーツ)に包まれた小ぶりな後ろ尻をフリフリしながら去っていく姿に興奮しないIS好きなど居るわけもなし!
『う、うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!
ラウラちゃーーーん! 素敵!愛してる! 俺たち(私たち)のことも冷たい目で見下しながら罵ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!』
・・・・・・・・・IS産業におけるニッチ産業を構築しつつ、ラウラ・ボーデヴィッヒは準決勝へと赴く。
さぁ、次は織斑一夏・シャルル・デュノア戦だ! 圧勝で試合を終わらせて、織斑教官とドイツでバカンスしながら扱きまくってもらうぞ! 我々にとってはむしろご褒美です!
「世界は・・・・・・腐っている! 誰かが正さなくては成らないんだ! だから! それ故に! 私は戦う道を選ぶしかなかった・・・。だが、その結果は・・・・・・」
「あの、先生? 織斑先輩? 試合を見て昔を思い出すのは分かりますけど、現役時代の正義の騎士風を演出するのはいい年なんですし、やめといた方がいいんじゃないかと・・・いひゃいいひゃいいひゃいですふぇんぱい、ほっへはをひっひゃらないでーっ!」
「・・・・・・・・・(静かなる怒)
つづく ・・・え、本当に? この話進めても本当に大丈夫なん?