本当の本気で記憶があいまいになる程の長期間放置しておく気はなかったんですが・・・。
曖昧な記憶で無理やり再現するよりかは今の自分が書きたいように書いた方がまだマシかと割り切って書きましたので文体とかいろいろ違っちゃってるかもしれません。その時はもう・・・御免なさいと謝るしかない情けない作者です・・・。
「なんだよ、あれは・・・」
一夏は無意識のうちにつぶやいていた。
ISは原則として変形しないと言うか、出来ない。フィッティングやフォーム・シフトで形状が変更されるのは普通のことだが、後はせいぜいパッケージによる装備追加で部分的にフォルムが変わることがあるくらいだ。
だってISって、人型大の大きさしかない機械の鎧をまとって戦ってるだけだし。
一つ目をした緑色の巨人に対抗するためV字アンテナつけた20メートル級の巨大人型戦闘用ロボットのコクピットに乗り込んで戦うのとは事情が異なるのだ。
あのサイズで人型以外の形に変形してしまえば間違いなく骨が折れる。それも多分、腰骨の辺りがゴキリと。
子孫繁栄のためにも操縦者の折れてはいけない骨を守るためにも、ISが変形することはないし形状が大きく変化しすぎることもない。ーーー本来ならば。
だが今、彼の目の前で起きている現象はその常識を覆して余りある程のインパクトを持っていた。
「あ、ああああああああっーーーーーー!!!!!」
ドイツから来た代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒが悲鳴とも叫びともつかない絶叫を発し、彼女の纏っていた漆黒のIS《シュヴァルツェア・レーゲン》から激しい電流が放たれる!
電流の熱で溶けたわけでも無いのに装甲が「ぐにゃり」と曲がってドロドロの液体状に変わりながら、自らの主であるラウラを飲み込んでいく。
やがて、黒く深い闇が彼女の小さな身体全体を包み込んだとき。その姿はシュヴァルツェア・レーゲンではなくなっていた。
操縦者自身の身体をISサイズで再現したかのように、黒く染まったラウラの身体に最小限度の装甲を取り付けてフルフェイスの仮面とライン状のセンサー・アイを赤く光らせている。
人が纏って戦うISが操縦者を取り込んで入れ替わり、その人本人に取って代わったかのような醜悪な機体が産まれい出てしまったのだ!!!
「《雪片》・・・・・・!」
そして一夏にとっては個人的に無視できない要素として、漆黒のISモドキの右手には一振りの日本刀型IS武装が握られている。
かつて自分の姉、織斑千冬が振るっていた刀。それに酷似した物だ。
彼にとって思い入れのある品を汚されたように感じた彼は激高し、それを止めた幼馴染みの少女や、パートナーとしてタッグを組んでいる男装中の少女と一計を案じ、漆黒の泥に飲み込まれたIS《VTラウラ》と決着をつけるため残された全てのエネルギーを込めた一刀をーーー零落白夜を発動して切りかかろうとした、まさにその時!
「じゃあ、行くぜ偽物野郎。零落白夜ーー発ど」
ブィィン! ブィィン! ブィィン!
白式のOSが警告音を発し、今の一夏に危険が迫ってきていることを知らせてくれた!
ーー警告! 背後から機関銃が遠慮容赦なく残弾すら気にすることなく、前方にいる敵機目掛けて乱射されようとしています!
トリガー確認、初弾装填は今更。恥も外聞も放り捨てていいからとっとと逃げろ! 死ぬぞ!!
「「「へ?」」」
一夏、箒、シャルルが三者三様の表情で異口同音に疑問の声を発した一瞬の後。
どどどどっどどどかどかどかどかづづづづどかがばんどかずどかばこづどどどどど!
呆れるほどの銃声が響くと同時に弾丸の雨霰が飛来してきました!
上から降ってきたんじゃないんです! 真後ろから猛禽類みたいに真っ直ぐ飛来してきたんです!
エネルギー不足から白式を全面展開できない一夏と、一夏に残ってたエネルギー全部譲渡しちゃってラファール展開不可能なシャルルと、撃墜認定されたから展開したままだけど乗り捨ててきた箒という『生身のIS学園生徒三人』に向かって真っ直ぐに!
「「「ぎゃゃゃあああああああああああああああああああああああっっ!!??」」」
大声で悲鳴を上げながら必死に逃げまどう三人の専用機乗り共!
専用機乗りだろうと量産機乗りだろうとも、ISから降りれば肉体的にはただの人。銃弾の乱射をまともに食らって生きていられるはずがないので、命を絶つ武器の重さがどうとか気楽なことは言っていられません。言ってる間に撃たれて死にます。
弁論は敵の攻撃から逃げ延びて、自分はまだ生きているんだと実感してからでも遅くはないのです!
「なんだこの攻撃はぁぁぁぁっ!? 一体誰が撃ってきたぁぁぁぁっ!?」
「わかんないよぉぉぉぉぉっ!! ボクにはこれがマシンガンによる乱射攻撃だってこと以外にはなんにも分かんない!」
「マシンガン!?」
箒とシャルルによる悲鳴会話を離れた場所で遮蔽物の影に隠れながら耳にした一夏はピーンと来ました。
この絶妙に空気読まないタイミングでの機銃乱射攻撃には覚えがありました。つか、むしろアイツ以外にこんな事するバカは地球上に存在してはいけません。
「篠原美矢! またお前かあああああああああっ!!!!!!!!」
一夏は絶叫し、その雄叫びに応えるように後方から笑い声が聞こえてきました。
とてつもなく楽しそうで、これ以上面白いことなどこの世に存在していない!と心の底から信じ込んでいる、マシンガン大好きなマシンガンラバー美少女によるネジが数本ハズレて異世界まで飛んでったような笑い声が・・・・・・・・・・・・。
「う~さ~ぎ~追~いし~♪ マッシンガーーーーーーッン!!
こ~ぶ~な~釣~りし~♪ マシンガーーーーーーーーーッッン!!!
みんなぁぁぁっ! 乗ってるかぁぁぁい!? マッシンガーーーーーッン!!!!」
どがどがずがががが!! どがどがががががが!!!!!!!
「にゃはははは♪ 今日も美矢っちは楽しそうでうらやましいね~♪ 美矢っちが楽しそうだと、のほほんさんも楽しくなるから嬉しいよ~♪」
楽しそうに楽しそうに、心の底から楽しそうに笑い声をあげながらマシンガンを撃ちまくっている美矢の隣で、銃本体の左下から垂れ下がってる長い弾薬ベルトを持っていてあげながら(短くなってきたら早めに伝えるポジ)のほほんさんが、のほほんとした笑顔でのほほんと言ってのけていたりする。
一応、彼女の位置からも一夏たちの姿は見えていたのだけど避けてくれると信じていたし、実際避けれてるんだし問題ないよねオールオッケー♪ ・・・と、美矢に当てられたのか頭のおかしい思考法のもと味方ごと敵を撃つ行為に荷担しまくっていたのだった。
さて、今回の彼女たちが取っている射撃方法は以下の通りである。
1、避難して誰もいなくなった観客席で、流れ弾から観客を守るために張ってあるアリーナの遮断シールドに《ヒトノコ君》で一点バースト射撃を行い小さな穴を空けます。
2、その穴から銃の先っちょだけを突き出した状態で敵に狙いを付けます。
3、発砲による反動で狙いがブレないように銃を固定するストックを作りましょう。
4、ストックは2年に進級したら整備課に移る予定の本音さんがそこらにあった有り合わせの部品で自作しました。トロいですが手先は器用な女の子です。あと、物を組み立てるのが上手いです。材料が適当なので性能はそこそこですけど機関銃には関係ないですね。
5、準備完了です。遠慮容赦なく残弾も気にせず撃ちまくりましょう。非常事態発令が出されてますし、IS学園の生徒たちは有事の際には出撃して戦う予備戦力ですから、ドイツ『軍』が保有している機体が他国で暴れ出したのですから撃っても罪にゃあなりません!
・・・は? 射線上に一夏たちがいる? ーーーだからなんだ! それがどうした!
非常事態発令が出されている中でノンビリおしゃべりしているバカ共が悪い!!
それがーーーーー戦場だ!!!!
「お前たちはISバトルを愛しているか!? IS学園を愛しているか!?
私は今日もマシンガン愛で満たされているぞぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!
お前たちの愛で、私を魅せて見せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」
機関銃を愛する者なら誰だろうとマシンガンを愛する同志で仲間だから「お前と私のどちらのマシンガン愛が上か撃ち合うことで確かめ合おう!」
マシンガンが好きじゃないなら仲間じゃない。仲間じゃないら敵だ、死んでもらいたい。「そう囁いている。私たちのマシンガンが」ーーーどっちだろうと撃ち合わないルートがないじゃねぇか。
世界一理不尽すぎるマシンガン愛で戦う愛の戦士、篠原美矢は今日も元気にただ撃つだけです。
撃った後のことは撃つ時には考えません。何事も撃ってから考えるのがマシンガンラバーズのポリシーだからです。
「ヒヤッハーーッ! マッシンガーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!
やっぱり撃つのはた~のし~い~な~♪♪♪」
ちなみにだが、ラウラを吸収したVTシステムーー正式名称《ヴァルキリー・トレース・システム》は呼んで名前の如く過去のモンド・グロッソの部門受賞者《ヴァルキリー》の動きをトレースするシステムである。
そしてモンド・グロッソの各競技は格闘・射撃・近接・飛行などである。
・・・・・・『日本刀』で再現できそうなヴァルキリーが千冬以外にいそうにないように見えるのだが気のせいだろうか・・・・・・?
少なくとも今ラウラに取り付いてるVTシステムがトレースしているのは千冬の剣術だけなようで(願望が強くなると発動する仕組みだし、おそらくそれが原因)射撃戦にはまったく対応できない仕様になっているらしい。撃たれるがままだ。
この事件が終結した直後に完全デリートされるため真実か否か確認しようもないことであるが、千冬の剣術を機械でトレースするには無理があったのではないかと推測される。
只でさえ日本の古式剣術は精神論的な教え方を基本としており、理論的な教育指導方法は江戸時代に生まれたものであり、江戸時代に剣術修行で人斬り殺したら犯罪なのだから仕方がないのだけれども『人を日本刀で斬り殺せる技術』というものを機械でしかないシステムで再現しようとしたならば『それ専門に特化させる』以外に手がなかったのではないかと作者は予測している。
それ以外のと言うか、それ以上のことを要求するならば天災篠ノ之束製のスパコンと同水準の容量を持つOSが必要で、ドイツにそれを発明する技術力がなかったから限定的に再現する程度までが当時の限界だったのではないか、と。
第2回のモンド・グロッソまではともかく、それ以降の千冬はIS操縦者をやめているため『ISで千冬の剣術の動きを再現するのに必要なデータ』の収拾機会は失われてしまっているし、動きを再現するという縛りがある以上は入力されている試合内容のデータ以外には自分で考えない機械であるVTシステムが反応できる理由も特にはない。
そして、公式試合のモンド・グロッソで観客席から弾除けの遮断フィールドを盾にして一方的に撃ってくるような敵選手はいない。・・・いて堪るか!追い出せ!追放しろよ!
・・・・・・結果、このような結末を迎えてしまいましたとさ・・・・・・。
ーーーーウォォォォォォォ・・・・・・ォォォォン。
己の無力さを嘆くかのような悲しみに満ちあふれた女声の悲鳴が一夏たちにも聞こえてきて、VTラウラを形成していた泥が再び粘液状になって崩れていく。・・・女声の涙を再現するかのように、ドロドロとではなくサラサラと・・・・・・。
そして黒く染まったVTラウラの中からゆっくりと出てきた本物ラウラは、うっすらと眼を開け天を仰ぎ。一筋の涙を眼帯をしている左目から流し、こう呟いてから気絶した。
「剣の時代は・・・・・・もう終わっていたのだな・・・・・・・・・」
ーーーと。
つづく
おまけ「敵の倒れた戦場の外側で」
美矢「センセー、試合終了のブザーも非常事態宣言解除の連絡もないんで、黒いのに乗ってた人を撃っても大丈夫でしょうか?」
千冬「大丈夫なわけあって堪るか!?」