何やら四魂の玉に憑依してしまったんだが誰か助けてクレメンス 作:nenenene
「ねえ、あんた。持ってるんでしょ? 四魂の玉」
それは、少女の声だった。
しまった。思考に没頭しすぎた。今の俺は、四魂の玉。世界中でねらわれてるんだった。慌てて周囲の気配を探る。
いた! 木の陰で姿を隠しているようだが、感覚が鋭敏化した俺にはすぐに分かる。かなり強力な妖怪が潜んでいるようだ。
「だれ! どこにいるの!?」
かごめが、声の主へとすいかする。きょろきょろと周囲を見回している。どうやら、相手がどこにいるのか分からないなしい。
そんなかごめへと、答えが返ってくる。
「逆髪の結羅。それがあたしの名前」
そう言ってその妖怪が、木の陰から姿を現す。
妖怪は人間の少女の格好をしていた。
『は?』
その少女を目にした瞬間。俺は我が目をうたがった。
その少女が、あまりに破廉恥な格好をしていたからだ。
少女の着ているのは、黒革の着物の様なモノ。戦国時代に来てからというもの、普通に目にしていた、ザ・和風な服装だ。
ただし、その着物。異常に、露出がおおい。胸元をがっつりと開け、オッパイの谷間を強調。袖無しのノーズリーフで、脇下も大胆にカットしているため、横乳もしっかり見えてしまっている。貧乳な子がそんな格好をしたらイタイだけだが、少女は巨乳。非常によく似合っていた。
さらに、その着物。スカート丈が短い。股下数センチしかない。深く抉れたスリットが入っているせいで、太ももが露出。白く伸びる生足が、目に眩しい。
さて、そんな少女の髪は、黒色。おかっぱ頭にしている。釣り目がちな瞳は紅色。じっとりと獲物を狙っている狩人の目をしている。
少女が見つめている獲物、それは間違いなくかごめだ。
「うふふふ。早く寄越しなさい。四魂の玉を」
少女がそう言って、艶やかに微笑む。
「な、何に使うのよ!?」
緊張した様子のかごめは、両手でしっかりと俺――四魂の玉――を掴む。どうやら、妖怪には渡したくないようだ。
「四魂の玉を何に使うか? くすくすくす。馬鹿な女ね。そんなの決まってるじゃない。それを使って、永遠の若さと美しさを手に入れるのよ」
そう言うや、少女が右手を振るう。
ヒュン!
という風切り音。少女の指から糸が飛び出し、かごめへと急接近。一瞬で間合いを詰める。
「?!」
突然のことに反応できないかごめ。そんなかごめに接近した糸は、かごめの手の中に進入。握りしめられていた俺の身体にグルグルと巻き付く。
再び、ヒュンという風切り音。今度は、かごめの元から結羅の元へ。俺を掴んだまま、少女の元へ運んで行く。
「うふふふ。なんて綺麗……」
逆髪の結羅と名乗った妖怪は、手に入れた俺を見て、ウットリとした表情を浮かべる。間近で見てみると、この少女妖怪はすこし化粧が濃い。でも、可愛い。何歳ぐらいなんだろう? 彼氏はいるのかな? もう経験者なんだろうか?
そんな疑問が俺の頭をよぎる。
「か、返してよ!」
かごめの叫び。
「何? まだいたの?」
結羅が不思議そうな顔をする。
「まだいたの、じゃないわよ!! 早くか返してよ!!」
自分が無視されたことに、激怒するかごめ。
「四魂の玉は手に入ったし、あんた、もう死んで良いよ」
対する結羅は、冷酷なことを平然と口にする。
「なっ?!」
一方のかごめ。こちらは、結羅の台詞に衝撃を受ける。そして、自分が現代日本の非力な女子中学生であるということを思い出したらしい。
途端に、その表情は青ざめ、恐怖に凍り付く。
「ほら? なにしてるの? 早く逃げないと、こうよ?」
そう言って結羅は、さいど指を振る。
ヒュン。という風切り音。一瞬後には、かごめの背後にあった大木が両断。轟音とともに倒れてしまう。
「ひ、ひいいいいいいいい!! だ、誰かああああああああああああ!!」
余りにもたやすく切断された大木を見たかごめは、一目散に逃げだす。
「うふふふ」
そんなかごめを見て、少女妖怪は傲然と冷笑する。
「10秒だけ待ってあげる。すぐに殺しちゃ、狩りの楽しみがなくなっちゃうから」
そう言って結羅は、視線を俺、つまりは四魂の玉へと向け直す。
「ふふふふ」
妖艶な笑みを浮かべる少女妖怪。俺を口元へと近づけると、ペロリ。ひと舐め。
『な、なんですとおおおおおお!! ちょ、おまっ! 初めは文通から!』
いきなり初対面の美少女(巨乳)に身体を舐められた俺は、ろうばい。うろたえて、意味不名な叫び声を上げてしまう。ついでに、チンポが立ってくる(いや、チンポなんてないけど。玉だけに)。
だが、これに、
「え?」
少女が反応。目を丸くした。
「今の声、ひょっとしてあなた?」
そう言って、俺を見つめてくる。ちょっ!? 聞かれてるんですけど!! 焦る俺!!
『どうする俺!! なんて返せばいい!!』
狼狽する俺は、思わず心の中の思考をそのまま叫んでしまう。
「ひょっとして四魂の玉って、童貞なの?」
少女の問い。おいいいいいいいいい!!! 完全に気付かれたぞ! どうすればいい! どうすれば良いんだアアアアアアアアアアアアアア!!
だが、童貞な男子高校生の俺に、こんな場合での対処法は手に余る。全く上手い考えが浮かばない。
そこで取り敢えずは、会話を進めることにした。
『あ、はい。そうです』
答えてから、自分で自分に突っ込みを入れる。おいいいいいい!!! 何バカ正直に答えてんの!! バカなの!! 死ぬの!!
「やっぱりね。ふふふふふ。じゃあ、あたしが今日、あなたの童貞を卒業させてあげるわ」
そう言って少女は、俺をミニスカの中へと誘う。
『えっ!? えええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!』
俺の叫び。
「うふふふふ。大丈夫よ。あたしがリードしてあげるから」
『そう言う問題じゃないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!』