何やら四魂の玉に憑依してしまったんだが誰か助けてクレメンス 作:nenenene
拝啓
お父様 お母様
お元気ですか?
不詳、峰雪勇人は今、マンガの世界にいます。理由は知りません。気が付いたらこっち世界に来てました。
あ、でも、元気にはしてます。今日の朝なんて、美少女に捕まったとおもったら、イキナリ童貞を失ってしまいました。
何とか帰れるよう努力したいと思いますが、帰れる見込みは全くないし、もしかしたらこっちで結婚して子供をもうけたりとかもあるかもしれません。
って、何の手紙だ、これ?
いや、まあ、手紙というのは嘘だ。なにせ、今の俺は、四魂の玉。単ある玉であるからして、手も無ければ足もない。つまりはペンなんて持てない訳でして……要するに脳内妄想によって手紙を書いているフリをしている訳でございやんす。
閑話休題。
昨日、四魂の玉に憑依したばかりの普通の男子高校生であるはずの俺は今、結羅のオッパイに挟まれてまさに天国状態。
いやー。良いよね。巨乳。
柔らかくて、弾力があって、あたたかい。
欠点があるとすれば、性的刺激が強すぎることぐらい。
おかげで噴射してしまいます。え? なにをかって? はっはははは! 野暮なことは聞かないでほしいな! そんなことは聞かないでほしいな!
閑話休題。
それはそうと、今、結羅は木の上に座っている。その木のすぐ近くには、粗末な木材で作られた人間の集落がある。
何を隠そうその集落。犬夜叉とか、謎のBBAが住んでいる村だ。
では、結羅が何をしているのかというと、答えは簡単。村を襲撃するつもりなのだ。
でもなあ、正直言って俺はこの襲撃に反対だ。なにせ、原作では、犬夜叉たちを攻撃した結羅は、返り討ちに会って殺されてしまうのだ。
結羅(巨乳)が気に入っている俺といては、オッパイちゃんが死亡するようなリスクは出来るだけ避けたい
『なあ、オッパイちゃん。ホントに犬夜叉を襲うのか?』
俺はそう言って翻意を促す。
「そうよ。だって、犬夜叉はシコン様を守ってたんでしょ? そのうち、シコン様のことを取り返しに来るわ。だから、こっちから先手を打って殺しておくの」
あ、この台詞から分かる通り、俺と結羅は「オッパイちゃん」「シコン様」と呼び合う仲になりました。
朝の交流の成果です(キリ)。
『でもなぁ。俺はオッパイちゃんを危険な目に合わせたくないんだよ』
「ふふふふ。シコン様は心配性なのね? でも大丈夫。出来損ないの半妖なんかにあたしは負けないわ」
自信満々に宣言する結羅。いや、原作でもそう言って、あっさり殺されたんですが……とは言えない。
マンガの話を登場人物相手にしても、しょうがないからだ。
『でもなぁ……』
全く乗り気にならない俺。そんな俺に、結羅は業を煮やしたらしい。
「なにの? このあたしが半妖程度に後れを取るとでも言いたいの?」
どうやら、プライドを傷つけてしまったようだ。結羅の頬が膨らむ。
「見せつけてあげるわ。このあたしが、どれだけ強い妖怪なのかを!」
そう言うと結羅は、木の上から一気に飛び降りると、村へと堂々と歩いて行く。
『え?! ちょっ!? どういうこと!! 遠距離から髪を使って襲撃するんじゃなかったの!?』
俺は焦る。これじゃあ、話が違う!
「計画変更よ。シコン様にあたしの力を見せつけてあげる!」
あ、やぶ蛇った。これじゃあ、更に翻意を促しても、ますます逆上させるだけに終わりそうだ。俺は、自分を失敗を悟った。
「ふんだ! シコン様はそこで見てて! 人間の村の一つや二つ、あたしの敵じゃないんだから!」
胸を張った結羅は、逃げ隠れもせず堂々と村へと近づいて行く。
何だかなぁ。どうしたものか? 俺は頭を抱える。しかし、全く妙案は思い浮かばない。そうこうしている内に、村に到着。
当然だが、村人たちにはすぐに見つかった。村人たちは、鐘を鳴らして警報を発する。すぐにワラワラと集まってくる人間達。手に手に農具や薙刀など。武器になりそうなものを持っている。
あっという間に結羅は、人間達に包囲された。
と、包囲の一角がくずれ、一人の老婆が進み出る。昨日会った、桔梗の妹だ。
「なんじゃ!? おぬし!? 何しに来た!!?」
そう言って、結羅へと詰問する。
「犬夜叉って知らない?」
結羅のほうは老婆を無視、自分の要件を一方的に伝える。
「なに? おぬし、犬夜叉の知り合いか?」
老婆の的外れな質問。これに結羅はムカついたようだ。
「あたしが半妖と知り合いなわけないでしょ! そいつを殺しに来ただけよ! 早く案内しなさい! さもないと」
そう言って結羅は、すっと目を細める。
「こうなるわよ!」
結羅の右腕が振るわれる。すると、腕に巻きついた糸が高速で飛翔。村人の一人、その首をちょん切ってしまう。
「な!?」
「三太!!」
「おんな!!」
「許さねえぞ!」
仲間を殺され、激昂する村人たち。
だが、
「静まれ!!」
老婆が一喝。このBBAは余程指導力があるらしい。一同はすぐに冷静さを取り戻す。
「この妖怪は、おぬしたちでは勝てん」
老婆の宣告。これに結羅は気を良くしたらしい。
「当然でしょ。あたしは結羅、逆髪の結羅。人間風情に敵う相手じゃないわ。身の程をわきまえるのね」
そう言って傲然と胸を張る。
だが、馬鹿にされた方の村人たちは黙っていない。
「なんだと!」
「きさま!!」
口々に騒ぎだす。そんな村人たちは、
「静まれと言ったはずじゃ」
老婆の一言で再び大人しくなった。まるで、飼い主に怒られた子犬みたいな様子。
「おぬしもじゃ、結羅とやら。むやみに村人を挑発するのは止めてもらいたい。村人の相手など、おぬしにとっても時間の無駄じゃろう? 犬夜叉のところに案内するから、付いて来るのじゃ」
「そうね。たしかに無駄だわ。案内役は一人いれば、それで十分なんだし」
結羅の冷酷な宣言。
「なに?!」
老婆はろうばいするが、何もできなかった。
次の瞬間、何百本という糸が宙をまう。ポン、ポン、ポンという残虐な音。あまりにも手軽に、村人たちの首が撥ねられていく。
「そんな! やめてくれ! 犬夜叉は明け渡す! だから村人たちは!」
老婆の懇願。皺だらけの顔をグチャグチャにして、結羅へと命乞いを始める。
だが、
「いーや」
それが結羅の回答だった。
「うふふふふ。人間って、なんて弱いのかしら」
結羅の冷酷な台詞。ポン、ポン、ポン。数分とかからずに、村人たちは全滅した。案内役の老婆、ただ一人を除いて。