刻の少女は表舞台で踊る   作:夢見屋

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お待たせしました。
色々とやることが一段落して漸く投稿。

いや待たせてホントに申し訳ない。


…え?なにやってたかって?

勉強と、テストと、東京ドールズとバンドリとFGOだよ(おい

でも、更新速度は今後もこんな感じになるとおもいますので、ご了承下さい。ホントにスイマセン



因みにサブタイは適当

8/24修正


舞台の下の、小さな仕掛け

 

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際。少し明かりて。紫だちたる雲の。細くたなびきたる。

 

 

枕草子で有名な、清少納言が書いた冒頭部分である。

 

春のほのぼのと夜が明ける頃。日が昇るにつれてだんだんと白んでいく、山際の辺りが少し明るくなって、紫がかっている雲が横に長く引いている様子。

 

つまりは春の季節、夜明けの景色の美しさを語ったものであるが、その景色は自然が消え始めた現代でも未だ残り続けている大切な文化の一つとも言えるだろうか。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

朝。体内時計の目覚ましが起床命令を脳に送信すると同時に狂三の目は覚める。

 

窓の外を見れば、まだ日は顔を出し始めたばかりであり、空は黒から漸く白さを見せ始める。

窓を開ければ春先の涼しい風が部屋へと吹き込み、少々覚めきっていなかった目も、肌寒さに耐えかねてすっかりと冴えてしまう。

 

部屋の壁に立て掛けてあるシックな時計の短針は、未だ六時前を指している。

 

ベッドのシーツを整え、寝室から洗面所へ向かう。冷たい水で洗顔をすると、次はリビングへと向かう。

 

このマンションは、一戸につき割と部屋が広い。寝室とは別で一部屋、リビングとキッチンにさらに最新設備のお風呂までが揃っていてなんと家賃は掛からない。

勿論それは住民全員が精霊であるのだが、それでも一人暮らしをするのにこれほど好条件の物件は早々にない。

 

割と最近住み始めたばかりの狂三も、この家の快適さに最初は驚いたものである。

 

リビングへ足を運ぶと、先ずはテレビをつける。朝のニュースを横目にキッチンに移動すると、これまたマンションとしては大きめな冷蔵庫から食材を取り出して朝御飯の調理を始める。

 

別に朝食を採る必要は無いが、士道から「精霊でもしっかり食事は採るように」と再三言われている。

食事は完全な嗜好品扱いなのだが、昨晩のように士道が度々食卓に誘ってくれることもあり最近は意識的に食事を採るようにしているのだ。

 

そんな狂三の本日の朝食は、トースターでこんがりと焼き上げた食パンにマーガリンと、切ったウインナーが入ったスクランブルエッグ、レタスとニンジンとトマトのサラダに蜂蜜入りのヨーグルトと昨晩作っておいたミネストローネである。

 

朝から中々に豪華に見えるバランスの取れた食事である。

本人としてはこの程度は朝の手間にもならないし、士道に比べたらまだまだである。彼のレベルに追い付くまでの道のりは長いようだ。

 

朝食を平らげれば、さっさと食器を洗い、寝室に戻って制服へと着替え、再び洗面所へ。

洗濯物を洗濯機へ放り込み、スイッチを入れる。

 

ここで、少し反則技を使う。

 

右手に短銃を取り出すと、洗濯機に向かって一発打ち込む。使った弾は「一の弾(アレフ)」。効果は、撃った対象の外的時間を加速させる能力。これを洗濯機に当てることで、中の洗濯物共々に洗浄時間を短くする。

少々使い方が間違っている気がしないでもないが、まあ能力の応用である。

 

朝が忙しい奥様方からしたら羨ましがるだろうし、精霊を知っている人たちからすれば「なんて贅沢で無駄な使い方なんだろう」と言われかねない。実際無駄以外の何物でもない。

 

そうして本来は二十分ほど掛かる洗浄を五分で終わらせると、その洗濯物をもってベランダに干す。先ほどの天気予報では今日は快晴で、風も丁度いい感じに吹いてくる絶好の洗濯日和な空である。

 

最後に鏡で身嗜みを整えて準備完了である。

 

時計を確認すると、時刻は六時半。第一高校の登校時間は八時から八時半までであり、狂三の自宅から学校まで一時間ほど掛かる。

 

あと三十分ほど余裕があるが、未だ寝てるであろう隣人を叩き起こすべく早々に家を出るのであった。

 

 

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「うーあー、耳が痛いです…」

「全く、情けないですわね。お大事になさいな」

「いやいや狂三さんが耳元で空砲連発するからじゃないですか!」

「起きない方が悪いです。昨日みたいにならないよう起こしてあげたのですから、感謝してもいいのですのよ?」

 

時は変わり一高前。駅から出て学校に向かって歩いていく。響は右耳を押さえながら顔を顰める。

今朝、狂三が隣の部屋に(無断で)上がると未だ惰眠を貪っていた響に対し、耳元で空砲を何十発も連発したのだ。

 

空砲とはいえ発砲音。

 

当然響は飛び起きてベッドから転げ落ち、床に頭を強打。「のおおぉぉ"ぉ"ぉ"ぉ"…」と、女性があげてはいけない呻き声で床の上をゴロゴロと転がった。

因みに狂三は、それを見てとても良い笑顔だった。

 

「やられるのが嫌なら起きられるようにすることですわね」

「朝は苦手なんですよぉ…」

 

さめざめと情けないことを言いながら歩く。

極端に朝が駄目なのか、中学時代から「起きる」ことだけはどうしても改善されなかった響。しかもちょっとした騒音などでは梃子でも起きない図太さときた。

本人も努力はしているようだが、如何せん進歩が見られない。今朝だってベッド脇に置いてあった目覚まし時計は無惨にもひしゃげた状態で床に転がっていたのだ。

そんな響の朝の弱さをどうしたものかと思案する狂三である。何だかんだで面倒見が良いのだ。

 

「おはようございます、お二人さん」

 

後ろから声が掛けられる。振り替えると美月がいた。

 

「お早うです美月さん」

 

響が挨拶を返し、三人並んで歩く。

教室に着くまでの僅かな時間、今朝の話をネタにしながら登校するのだった。

 

 

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教室に着くと、既にエリカが登校していた。「おはよー」と声を掛けられれば同じように返す。

時計は八時半前を指しており登校時間は割とギリギリだったようである。

 

が、まあ別に気にする必要はないし、それを気にする教師もいない。一学期最初の一時限目は履修科目の選択。自身のデスクの端末から受ける科目を選択するだけ。故に教師は就かないし、もしものことや分からないことがあれば端末内のヘルプを開けば大体の説明は載っている。

まず選ぶ科目は必修科目。現代文・数学・物理・地理・英語の主要五教科と保体、魔法実技基礎と魔法座学基礎の八科目。

そして、一年生の選択科目は全部で三科目。

魔法工学基礎、魔法実技、CADプログラム基礎である。

 

魔法工学基礎は、言ってしまえば機械工学。物理的に、実物の機械の組み立てなどの基礎を学ぶ。

 

CADプログラム基礎は魔法工学基礎とは逆に、CAD内のプログラム及び魔法式の開発技術の基礎について。

 

そして魔法実技は必修科目の魔法実技基礎の応用。基礎の方では単純な魔法使用の訓練などを行うのならば、こちらは対人を想定した、生徒同士の訓練科目である。

 

魔法実技は生徒だけのため危険性が高いのかと言われればそんなことはなく、二科生・一科生問わず監視カメラで全ての授業を録画しているためトラブルがあればその場で教師たちが駆け付けてくる。

なので比較的安全な科目であるが、今は別にどうでもいい。

 

まあ、これといった目的のない狂三としては正直どれでもよいのだが。

 

どれにするか迷いながらふと達也の方に目を向ければ、高速でキーボードを入力していた。人目見ただけで圧巻のタイピング速度である。しかも見た感じではミスを一つもしていないようだ。

 

その高速タイピングに内心で関心していると、今度は達也の前の席から「おぉ、スゲェ」と感嘆の声が上がる。

 

「あぁ、スマン。タイピングオンリーなんて珍しいもんでな」

「そんなに珍しいか?」

 

若干首を傾げながら此方を見てくる。それに返すように笑顔で傾げ「さぁ?」とジェスチャーで答える。普通のコンピュータには触れたことはあるが、今日日まで電子端末というものにあまり触れてこなかった身としてはよく分からないのだ。

 

その後も話は進んでいき、自己紹介を交わす。

名前は西城レオンハルト。父親がハーフで母親はクォーターらしく、日本人顔だが目鼻立ちは日本人にしては少し凹凸がついている。

見るからに体育系男子感バリバリであり、本人の志望コースも体を動かすことができることに進みたいと言っていた。

 

そこからエリカも会話に入り込んできたのだが、途端に空気が怪しくなってきた。

 

「で、達也。コイツ誰だ?」

「うわっ、人に指指していきなりコイツ呼ばわりとか、失礼な奴ね。これだからモテない男は」

「はぁっ?テメーの方が失礼だろうがよ!」

 

どうやらこの二人、性格的相性は抜群に悪いようである。出会って五秒も経たぬうちに口喧嘩勃発。

あまり放置すると周りにも迷惑が掛かりそうだったため「まぁまぁ」と間に入って二人を宥める。

 

それと同時に予鈴がなり、取り敢えず各々の席に戻っていった。

 

その後、本鈴が鳴ったと同時に教室のドアが開くとスーツを着た女性が入ってきた。

普段は絶対に来ないであろう教師が入ってきたことに周りが少しばかりざわついていたが、特に何事もなくオリエンテーションの説明は進む。話の内容として、履修科目を選択したのならば後の時間は教室を出ても構わないということであった。

 

すると、途端に一人の生徒が周りの目も気にせず足早に教室を後にしていった。

それを見ててっきり達也も出ていくのかと思ったが、彼はそこまで目立つ気も無いらしく、結局、皆の履修選択が終わるまで座っていた。

 

 

履修選択が終われば、「昼までどうするか」と話し合い結果学校内の施設を見て回ることになった。

因みにその時、達也は図書館の閲覧室へ行くつもりだったのだが、キラキラと少年のように輝いていたレオの瞳が途端に落胆一色に変わると「しょうがない」と言わんばかりに苦笑いをして此方に合わせた。

傍目から見たら少し父子のやり取りに見えてしまったことは心の中に閉まっておく狂三だった。

 

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「あらあら、これは何だか、雲行きが怪しいですわねぇ」

 

目の前の光景を見ながら、狂三は小声で呟く。

 

現在、目の前では一科生の集団とこちら側、E組のメンバーが睨み合っていた。周りの空気は剣呑であり、一触即発状態である。

 

何故こんな状況になったのか、今日一日を振り返ってみる。

 

まず始めはお昼時。クラスを出たあのあと集団で工房や武道場を周り、丁度いい時間で食堂へと向かった。

 

食事を始めて暫く経ったとき、A組も丁度昼食を取りに来たのだろう、此方に深雪が駆け寄ってきた。一緒にどうか、ということで深雪を入れようとしたのだが、ここで問題が発生。

今まで一緒に行動していたA組のメンバーが此方へ来て色々と言ってきた。要約すれば「二科生と食事するなんて」ということだったが、不穏さの増した空気を察して達也がその場を離脱。E組メンバーもあとを続くようにその場は収まった。

 

次は専門過程見学をしている際のこと。

 

この時は、生徒会長である七草真由美が「射撃場」に居たため、その場の見学者は激増していた。そのなかでこちらは先に中に入っていたために割と近くで見ていたのだが、実技の弱い二科生が前列に居るとやはり他の一科生からも目立つ。

それも、最前列で観ていたために余計に悪目立ちをしていたのだ。

 

そして、少し前。

 

帰宅時間となり、達也に合流しようと此方に来た深雪をA組の集団がまた引き留めたのだ。

あまりにもしつこかったために、遂に美月が爆発。そこから口論へと発展し、レオとエリカも喧嘩腰。A組側は少し後ろにいる女子二人を除いて敵意剥き出し状態である。

 

 

その光景を見ながら達也の表情を伺う深雪とどうしたものかと言わんばかりの達也。

 

 

そしてさらにそれを傍観している狂三という結果、今の状況が出来上がったわけである。

 

そして、口論の末に一触即発の空気は遂に現実のものとなる。

 

「現時点でどちらかが優れているなんて、分からないじゃないですか!」

 

美月の発した言葉がトリガーとなり、此方を睨み付けていた一科生――森崎は、腰からCADを引き抜いた。

 

「だったら見せてやる」

 

抜いた銃をレオに照準し、魔法式が展開される。

 

「これが、才能の差だ!」

「ッ野郎!」

 

それを止めるべく、レオが森崎に向かって飛び掛かろうとする。

だが、向こうの方が先に魔法式を展開しているために、このままではレオが先に撃たれてしまう。

到底間に合うものではない。

 

が、引き金が引ききられる前に、森崎の手からCADが叩き弾かれた。

いつの間にか動き出したエリカが警棒のようなもので叩き落としたのだ。

 

「この距離なら、接近戦のほうが速いのよね」

 

冷や汗を垂らしながら後ずさる森崎と、そんなエリカに「俺の手までぶっ叩くつもりだったろ」と突っ込むレオ。ほんの少し空気が軽くなったが、A組の後ろに居た二人組の一人が、オロオロしながらも魔法式を展開しようとしていた。

 

まだ、誰も気付いていない中で、狂三は一速く察した。流石にこんな場所で殺傷力の高い魔法を撃つことは無いと思うが、どちらにしても発動させること事態が問題だ。

 

 

この時、達也も気付いていたし、狂三が何かする必要はなかった。

 

 

だが、我々の後ろから小走りで此方に向かってきている生徒会長の姿を視認した瞬間、流石に不味いと判断した。

 

だから、これは気紛れの一発だった。

 

 

狂三は、踵でコツンと地面を叩いた。

 

一瞬。

 

空気中を風が吹きすさぶように何かが周囲を吹き抜けていった。

それが何なのかは分からないし、周囲の人は感じることも気付くこともない。

 

結果として、少女の魔法が発動することはなかった。

 

魔法が不発に終わった結果、少女は非常に不思議そうな顔をしていた。が、後ろから掛かってきた声によって、この場全体の雰囲気も、一瞬で緊張感の増すものとなった。

 

「止めなさい!自衛目的以外での魔法の校内使用は禁止されています!」

 

間に割り込んで来た真由美と、もう一人の女子生徒――風紀委員の腕章を着けている――によって、その場の戦闘の空気は別の意味で重いものへとなった。

 

「貴方たちは1-Aと1-Eの生徒ですね。事情を聞くので此方に来てください」

 

真由美の言葉に静かになる場。その時、達也が庇うように前に出た。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

「悪ふざけ?」

 

「はい。森崎一門のクイック・ドロウは有名ですから。後学のために見せてもらおうとしただけです」

 

真顔でそれらしい理由を述べて、その場を取り繕う。

しかし、そこからさらに横槍が入る。

 

「だとして、彼は人相手に目標を定めていたが、どうなんだ。的ならば木があるだろう」

「確かに彼はレオに向けて照準していましたが、術式には寸止めするように組み込まれていました」

 

その言葉に、森崎は驚愕、風紀委員の女子は「ほう」と声をあげる。

 

「つまり君は、その場で展開された魔法式を読み取ることができるということか」

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

「…誤魔化すのも得意と見た」

 

再び沈黙が流れる。達也は真顔であり、風紀委員の方も達也を睨み付けたまま離さない。

そこで、真由美がパン、と手を鳴らす。

 

「まあいいじゃない。何もなかったんだからよしとしましょう」

「しかしだな、真由美…」

「本当に見せてもらおうとしただけなんでしょ?」

「…はい」

 

真由美が達也にウィンクしながら再度確認をとる。どうやら貸し一つ、といった表情であったが、達也も少し苦々しい表情をした。

 

「それでは、今回のことは不問にします。以後、このようなことが無いように気を付けてくださいね」

 

そうして、真由美は去っていき、風紀委員の女子生徒も後を追うように去ろうとする。

そして、何かを思い出したように振り返り、達也の名前を聞いて今度こそ去っていった。

 

==================

 

真由美たちが去ってから暫く経つと、森崎が達也を睨み付けながら毒を吐く。

 

「借りだなんて思わないからな」

「貸しだなんて思ってないから安心しろ」

 

その言葉にさらに毒を吐きながら、最後は「司波さんは僕たちと居るべきだ」と吐き捨ててA組の集団は去っていった。

 

それを溜め息をつきながら見送った達也は「帰るか」と一言を発する。

全員が同意し、帰ろうとした矢先、狂三が未だ硬直したままの女子二人組に声を掛ける。

 

「そこのお二人さん、良かったら一緒に帰りませんか?」

 

狂三の言葉にハッとして、ワタワタとしながら「は、はい!」と答える少女だった。

 

 

結果としてA組の少女二人、光井ほのかと北山雫は先ほどのことを謝ったのだが、彼女たちが何かした訳でもなかったため軽く「気にするな」と返すだけで終わった。

その後は意気投合し、仲良く九人という大所帯で帰路に着いた。

 

話を進めるなかで、達也が「そういえば」と狂三に質問を投げ掛ける。

 

「ほのかが魔法を発動させようとしたとき、何をしたんだ?」

 

その言葉に周囲は何をいっているんだ?といった顔をしながら狂三の方を見る。なぜならあのときは、誰もほのかが魔法を展開している姿を見ていなかったからだ。

 

それに対し、狂三は内心驚いていた。

まさか、そこまで気付かれているとは思わなかった。

あの瞬間のことは、妨害された本人以外は気付く筈がないと思っていたのだが、達也は想像以上に知覚できるらしい。

 

狂三のなかで、達也にも要注意人物のマークがされた。

そして、狂三は達也の質問に答えるよう口を開く。

 

「少々特殊なやり方ですが、光井さん自身にわたくしの魔法を使いました。即座に掛けられたこと、誰にも気付かれなかった理由は、わたくしのCADの特徴ですので、企業秘密ですわ」

「あ、あの時止めてくれたのは時崎さんだったんですね。ありがとうございます」

 

ほのかの感謝にいえいえ、と答えながらみんなに説明していく。

 

「簡単に言えば、あの魔法は状況変化に作用する魔法です。効果は指定範囲、又は指定対象の状態固定といったところです」

 

「…それはつまり、『物体変化を止める魔法』ということか?」

「はい、その認識で構いません。さらに付け加えるならば、この魔法は加速・減速の応用です」

 

狂三の説明に「そうか」と一応は納得した様子の達也だった。

 

事実、狂三の言っていることは本当である。

あれは正真正銘魔法であったし、精霊の力は使っていない。ただ、狂三自身の力を元に劣化再現しているため狂三の魔法は狂三以外は扱うことができない。

 

あの魔法、名称を「偽・七の弾(フェイク・ザイン)」という。元となっている「七の弾(ザイン)」は対象の完全な時間停止に対して、此方は込めたサイオン量に応じた分だけの擬似的な時間停止効果であり、さらに止められるのは状態変化だけである。

流石に精霊の力を魔法で完全に再現するなど無理である。

 

だが、狂三はそこまで話す気など毛頭ない。

 

その場で適当に話を流しながらその日は帰宅した。

 

 

駅で別れるとき、達也の視線がずっと此方を向いていたことには、気付かない振りをして。




ということで、物語が少し変わった今話でした。

変更点:

ほのか、狂三の気紛れで摩利からの疑い回避。結果矛先が森崎に向く。


狂三の魔法の設定は割とガバいので、あまり強く突っ込まないで(gkbr
今後もこんな感じだから(prpr

名前だって中二病だし。あ、いや、そこはもともと狂三さんがそうだったk(グシャ

さらに補足:

選択科目の三教科は完全作者の妄想。

最初は大きく三つに分かれているが、一年生二学期からは更に各科目内で細かく分かれていく。
特に魔法実技に関しては、原作に出てきた専門過程という形で魔法の種別や競技に応じて細分化される。


「狂三普通に魔法使えてんじゃん」という点については、もう少し先で説明を入れます。お馴染みの八雲さんと達也の質問タイムのところです。
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