「ハァ……ハァ……!」
「大丈夫ですか、…様!」
「大丈夫だよ、……ちゃん……」
ゴーストタウン化した街を歩く二人の女性。
青みかかった黒のロングヘアの女性は左脇腹と右太腿から血をダラダラと流し、銀髪ロングヘアの女性に支えられながら歩いていた。
否、逃げていた。
自分達から全てを奪った"追跡者"から。
「……ちゃん、私の事はほっといて早く逃げて……」
「そんな事、出来ません……」
逃げ続ける二人の女性。
そんな二人に迫る魔の手、それは……
「私からは逃げられないって、知ってるでしょ。死んでもらう、今度こそ」
篠ノ之束、その人だった。
「ダメ、逃げて、……ちゃん!!」
「逃がさない、ここで、死ね!」
宣言と共に10機の無人ISを展開する束。
その無人機の腕と一体となったレーザーキャノンに光が集い、そして……
「なっ!?」
「えっ!?」
「何っ!?」
銃声が10回、そして、爆発音も10回。
それが10機の無人ISを屠った証と知るのに数秒かかり……
あまりの展開に誰もその場に動けなかった。
そして、10機のISを屠った者は、静かに二人の女性と束の間に降り立つ。
「IS反応があったから来てみれば天災(笑)が弱いものイジメ、無様だな」
「今、なんて言った……」
「何だ、遂に耳までおかしくなったか。では、わかりやすく言ってやろう。弱いものイジメが大好きな人間失格の天才(笑)」
「殺す」
降り立った黒髪の女性に対し、襲いかかる束。
だが……
「遅い、遅すぎる」
接近してきた束の頭にハイキックを叩き込み、壁に打ち付け、更に持っていた銃剣付きライフルを1マガジン分撃ち込む女性。
辺り一面を煙が覆い、状況の判断が出来ない中、黒髪の女性は唯じっと束を吹き飛ばした方角を見つめ……
「おぼえてろーーーーー!」
煙の中から巨大な人参が天高く飛んでいくのを確認した後、一言。
「ブチ込め」
その言葉と共に人参が爆発。
だが、束が現れることはなかった。
「チッ、逃げ足だけは一流か」
舌打ちしながら持っていたライフルを仕舞う女性。
そして……
「では、話を聞かせてもらおうか、『篠ノ之束』」
そう言いながら女性、通称『黒セラフ』は不敵な笑みを浮かべるのだった。
青空市警殺署、そこのエンジェルフォース詰所。
そこでは二人の女性が茶を嗜んでいた。
「で、逢うつもりはないのか、ファントム」
「今更逢える訳無いでしょ、全部アイツに奪われたし、それに箒ちゃんは絶対『私』に悪印象しか抱いていないもん」
「考え過ぎだと思うぞ、一回腹を割って話せば理解してもらえると思うが?」
「そんな事無い!!」
「やれやれ、頑固な事。いったい誰に似た事やら」
ドンッ!とテーブルを叩く『大きく0と書かれた仮面』を被る女性『ファントム・O・ドラコーン』。
「まぁ、いい。今は無理して会う必要もない。が、いつかは会わなきゃ駄目だぞ。血の繋がった姉妹だ、別れたままというのも悲しいものだ」
そう言うと湯呑に残ったお茶を飲み干し、立ち上がるもうひとりの女性こと黒セラフ。
「そろそろか……これから私はルーシェ達が開発(という名の魔改造)するというISを技研の連中から引取りに行く。お前はどうする、見に行くか」
「おう、行く行くーーー!」
「んじゃ、行くぞ。途中で銀セラフをピックアップするからそのつもりで」
「あいよー」
(恐らくあっちの『束』はこっちに箒が来たことに気づいているだろう、今の内に迎撃戦力準備しておくか)
そんな事を考えながら引取り先に向かう黒セラフ。
「あ、待ってぇーー!」
そして彼女を追うファントムだった。
「あいむしんか~とぅ~とぅ~」
歌を口ずさみながら寮への道を歩く箒。
その背後には二匹の犬?がトコトコと追従し、彼女の両肩と頭にはトカゲみたいな生物が缶ビールを飲んだりスナック菓子の袋の中に頭を突っ込んでいた。
「同居人か……どんな人なんだろうか?」
とりあえず
程なくして彼女のこれからの住処となる神無月寮に到着。
受付で鍵を貰い、部屋へ直行、ノックをすると『どうぞ』という声が聞こえたので入るとそこには……
「あら?」
蒼いISを装着した金髪の女性。
瞬時に腰に下げた刀に手を掛ける箒。
同時に目の前の女性が虚空からライフルを取り出し、箒目掛け銃口を向ける。
静まり返る室内。
そんな中、箒の脳裏には5つの選択肢が浮かんでいた。
1.とにかく拷問だ、拷問にかけろ!
2.まずは挨拶から、古事記にもそう書いてある
3.押し倒してズキュゥゥゥン!!!しよう
4.太陽万歳!
5.ISを倒せるのはISだけって話だが、この私が負けるわけねえだろ。行くぞおおぉぉ!!と叫ぶ
「…………」
『とりあえず3番は無いな』と思う箒。
女同士でする趣味はないのである。
と言うか2番以外マトモな選択肢がねぇ!と思うのも無理はなかった。
2番以外酷いもの。
そして、箒は2番の選択肢を実行した。
「ドーモはじめまして、シノノノ・ホウキです」
刀から手を放し、前で合わせ、お辞儀をしながら、挨拶。
目の前の女性もライフルを虚空に仕舞うと箒と同じように両手を合わせながらお辞儀をしつつ、自己紹介を始める。
「ドーモ、シノノノ・ホウキ=サン、セシリア・オルコットです」
挨拶は大事である。
古事記にもそう書いてあるから。
因みにその光景を見ていた銀髪ロングヘアの女性達がこんな事を呟いていたという。
「アレが、たば……ファントム様の妹ですか……何時忍者に鞍替えしたんでしょうか?」
「知るかそんな事」
次は近い内に投稿出来たらいいなぁ