金髪さんのいる同盟軍   作:ドロップ&キック

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今回は色々とフラグ回?
少なくとも新オリのフルネームが判明します(^^

一応、簡易版の解説をあとがきに載せておきますね~。

8/4、一部階級を修正しました。






第041話:”緑ヶ丘さん、もしかしてピンチかも……?”

 

 

 

うむ。ラインハルト・ミューゼルだ。

俺は今、同盟駆逐艦”イナヅマ”に航海士長として乗り込み、他の船と100隻程度の小戦隊を組みアルトミュール恒星系での哨戒任務についている。

 

ちょっとできた休憩時間に、久しぶりに友のことを思い出していたら……

 

”ぱしゃ”

 

と前触れも無く撮影された。

まあ、イナヅマに乗り込んでからもううんざりするほど聞いた音だ。今更、目くじらを立てるつもりは無いが、

 

「”()()()大尉”、前にも言ったでしょう? 写真を撮るならせめて一声かけろと」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「だってだって~。ミューゼル君、微笑んですっごく優しい表情してたんだもん! こんなシャッター・チャンス、滅多にないんだよ!!」

 

あー、とりあえず紹介くらいはしておこう。俺も人間が丸くなったものだ。

この比較的小柄な黒髪ポニテ娘の名は、”アオバ・アヤ”大尉。ヤン先輩と同じE式なのでアオバが名字らしい。

”俺の写真を可能な限り撮れ”というどう考えても貧乏くじとしか思えない命令を軍広報部から受け、嬉々としてこなしてる変人だ。

 

「ミューゼル君、今失礼な事考えなかった?」

 

チッ、鋭い奴め。

 

「そんなことありませんよ、大尉。それとミューゼル君はやめてもらえませんか? ここは軍艦、せめてミューゼル中尉と」

 

「え~っ! 私とミューゼル君の仲なんだからいいじゃ~ん」

 

どんな仲だ、どんな。

それと露骨に拗ねるな。本当に俺より年上なんだろうな?

 

「こっちは無遠慮に写真を撮られた記憶しかないんだが?」

 

いかんいかん。相手は上官だったな。

ただし、上官だからと言って敬意を払うとは限らんが。

 

「公務だよ公務♪ ほら、私ってば今回、公式に君専任のカメラマンだしさ☆」

 

「建前上、従軍記者の代役では?」

 

確か今回の出兵、どうやら俺目当てに従軍記者の志望が殺到したらしく、軍は広報部の人間を代表として同乗取材、それを後でプレス・リリースすると約束することで要望を押し返したらしい。

まったく。”エル・ファシルの三英雄”とやらのお冠を否定する気は無いが、この馬鹿騒ぎはいつまで続くんだ?

 

「建前は建前だよ。軍の本音は君の画像データを可能な限りゲットすること。これが良く売れるんだよ♪」

 

ああっ、あの同盟軍の悪ノリ、「プライベート? 何それ美味しいの?」的なダウンロード販売のことか。

軍も小銭稼ぎにあの手この手とよく考えるものだ。

 

「あのね、君ってばついに週間ダウンロード数でかのブルース・アッシュビー元帥を越えたんだよ! やったね!」

 

「別に欠片ほども嬉しくないんだが?」

 

「あ~の~ね~! 君は自分の偉業をまったくわかってない!」

 

違うな。わかる気がないだけだ。

ふん。ここは少し切り口を変えて追い払うか。

 

「そんなに俺の画像データで小金を稼ぐなら、せめて俺の財布が膨らむ算段でもつけてからくるんだな。そうすれば少しは話を聞いてやらんでもない」

 

あー、もういい。敬語は忘れた。

 

「ほほ~う……言ったね?」

 

アオバ大尉はニヤリと笑い、

 

「広報部には、実はそれとなーく君にもインセンティブが発生する依頼が来てるのだよ♪ いやー、君が乗り気だなんて上の方は大喜びだろうねー♪」

 

「なんだと……?」

 

俺がその真相を問いただそうとした瞬間、

 

 

 

”ずぅぅぅぅ・・・ん!”

 

巨大な振動が、船全体を揺さぶった!!

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「きゃっ!?」

 

衝撃で前のめりに飛んだアオバ大尉の体を反射的に空中でキャッチ!

俺自身も跳ね飛ばされたが、壁をけり体を回転させることでなんとか、衝撃をやりすごそうとするが……

 

”ガッ!”

 

「ッ!」

 

顔をしかめる程度の衝撃で床に叩きつけられた。

だが、この程度ならせいぜい酷くても打ち身程度だろう。

 

「あの……ありがとう」

 

俺の腕の中で小さく縮こまりながら、小声でそう礼を言う大尉だったが、

 

「そう、しおらしくされると調子が狂うな」

 

「それひどくない!?」

 

うむ。大尉はこの位でちょうどいい。

とりあえず怪我を負った様子もない。俺は立ち上がり、

 

「どうやら何かあったらしいな……大尉、立てるか?」

 

俺が伸ばした手に、

 

「う、うん。大丈夫みたい」

 

掴まるとそのまま助け起こす。

 

「どうやら、あまり好ましくない事態が起きたらしいな……大尉、ブリッジに走るぞ」

 

「はっ、はい!」

 

 

 

(この感覚……敵から砲撃を喰らった感じじゃないな。どちらかといえば、爆発か?)

 

となれば考えられるのは触雷なんだが……

 

だが、考え事をしていた俺は、このときアオバ大尉と()()()()()()()走ってることに気がつかなかった。

後にして思えば、広報官と一緒にブリッジへ駆ける必要はなかった気もするが……まあ、結果オーライだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジに上がった俺が最初に見たのは、

 

「ラベルト大尉!?」

 

艦長席から投げ出され、床でうめき声を上げる艦長の姿だった。

俺は、慌てて駆け寄り介抱すると、

 

「ミュー……ゼル中尉か?」

 

「ええ」

 

多少痛みでしゃべりにくそうだが、幸い意識の混濁などは無い様だった。

 

「アポリオン中尉は……?」

 

アポリオン大尉とは、この船の副長のことだ。

見渡す限りブリッジにはいないようだが……

 

「食堂にい、るはず、だ」

 

艦長と副長が同時にブリッジから離れることは無い。

時間的に考えて、交代で昼食をとっていたのだろう。

 

死屍累々という状況……ただ、幸い死人は出てなさそうなので軽く安堵する。

中でも比較的軽傷に見える者を視線で探し、

 

「”()()()()()”少尉、至急食堂に副長の所在と安否の確認を。それとただちに衛生兵をブリッジに寄越すよう伝えてくれ」

 

「はっ、はい!」

 

俺の部下と言う立場の新任航海士、イブリン・ドールトン少尉は幸い軽傷と言うほどの怪我もしてないようだったが……正直、ブリッジでも艦全体でも何人が任務継続に耐えられるかわからん。

 

(これは最悪の事態を考えた方がいいのかもしれんな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




出てきたのはオリキャラだけじゃない件について(挨拶

ちなみに”イナヅマ”の艦長さんのフルネームはロベルト・ラベルト大尉、副長さんはアポリー・アポリオン中尉です。
元ネタがわかる人は存外多い? 名字のつけ方が富○式だし(^^

そして、ちょろっと出てきたミス・ドールトン……このシリーズでは幸せになって欲しいな~と。
この時点では、彼氏はいないようですよ?


☆☆☆



オリキャラ設定

アオバ・アヤ
漢字表記:青葉(あおば) (あや)
階級;大尉
所属:同盟軍広報部
年齢:ヤンより上(らしい)
種族:人間(重巡型艦娘や烏天狗じゃありません)
身長:154cm、体重:???、3サイズ:けっこうグラマー(どこがとは言わないが、流石にアンネローゼよりは小さいようだ)
キャライメージ:艦娘の青葉+東方の射命丸文。容姿は「髪を黒く染めた青葉」なのか「髪を伸ばしてポニテにした文」なのか微妙なところ。

ざっくばらんな性格の自称「素敵なおねーさん」。ただし、割と子供っぽい部分も多々ある。
一応、軍広報部の所属だが、何やら上の方とは色々コネがあるらしい……


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