ようやく、ブランデーの紅茶割とヘテロクロミアの伊達男が出会うみたいですよ?
当初、ヤン・ウェンリーは広域無指向性通信機……『帝国艦にも繋がる通信チャンネル』、21世紀で言う”国際救難周波数”に近いニュアンスの通信で呼びかけるが「応対されることは予想してなかった」と、この時点から半世紀以上先の相対未来に出版され、見事ベストセラー入りを果たす”彼の回顧録”には記してある。
だからこそ、好き放題言い始めたのだと……
「あーあー、私は今回の作戦の立案にあたった中の一人、自由惑星同盟軍ヤン・ウェンリー中佐だ」
この時、バグダッシュは内心、『ほとんど一人で作戦組んでおいて、今更何を言ってやがる!』と思ったとか思わなかったとか。
(やはり、”
とヤンはマイクと言えば付き物のとある
ちなみにマイクと言えば、別の意味で那珂ちゃんもだが……ヤンの個人的趣味から言えば、2隻を並べたら遠慮なく霧島を選ぶ。
もっとも、一番秘書艦にしたいのは誰かと問われれば、かつてはともかく今は
主にどこぞのハイネセン在住の包容力と母性が病んでると勘違い(?)されるほど有り余ってる、パッキンロングのグラマー美人の影響で。
次点で某
ここですっごい蛇足情報を一つ。
『変態と書いて”しんし”と読む』我が同胞には朗報なのだが……この宇宙歴時代、13日戦争以前の地球のサブカルチャーを秘匿/保管し、当時娯楽の少なかった同盟にばら撒いたアレイスター・ハイネセンの”
しかも、秘書艦を連れて軍艦で一緒に海に出て、間近で艦娘達の勇姿やあられもない姿(ヲイ)を見たり、特殊イベントをクリアすれば深海棲艦を(艦娘化で浮上させず、深海棲艦のまま)捕虜にしたり、説得したり、説得が成功したら仲間にできたり、ほっぽちゃんに特効の烈風やお菓子を与え続けて好感度を爆上げして嫁にできたりするスペシャル仕様だ♪
まあ、ほっぽちゃんだけではないが……ワイドボーンの不動の嫁艦(他にも潜水新棲姫とか。無論、特定駆逐艦/海防艦娘がずらり)だったものでつい。駆逐古姫、駆逐棲姫、離島棲鬼、護衛棲姫、レ級すら入ってないあたりにワイドボーンの鋼の意思を感じる。
ヤンは、アンネローゼと出会う前は、嫁艦の殆どがレ級以外は鬼と姫そろい踏みの深海棲艦(当然、上記の深海棲艦も嫁艦)だったらしい。やりこみ派の火力至上主義か?
ちなみに、その開発やらアプデには、同盟軍の技本やリクルート部隊が深く関与してるという噂があるが……真実を探ろうとすると
「敵ながら帝国貴族の奮戦、見事なり。お陰で我々のヴァンフリート4=2への有人基地設営計画は頓挫してしまった」
ヤンの最後の仕事……それは、”自分達の
そう、表向きこの作戦は”
今後もイゼルローン要塞からの誘引/間引き作戦を行うためには。
「犠牲をいとわぬ献身的な、そして不屈の敢闘精神、実に見事」
ヤンは、大事なことなので二度言った。
まあ、言ってる本人も歯が浮くような思いを感じてるので、どうか勘弁してやってほしい。
というか、『逆にむしろ煽ってね?』と思わなくもないが、そこはノーコメントで。
「その為、我々は任務続行不可能と考え、後退する」
だが、次の瞬間……
『随分と好き放題を言ってくれるな?』
”ざわっ!”
”バーミンガム”のブリッジがざわつくのも無理はない。
ある意味、無礼極まりないヤンのオンステージに、なんと画像付きでこちらの通信に応えた者がいたのだ。
いかにも貴族然とした、長身で黒髪の伊達男。
長い脚を組み、アドミラルシートに頬杖をつく姿は、非常に絵にもサマにもなっていた。
「これはこれは。随分と上位階級の方とお見受けしますが? しかも爵位持ちの。そのような高貴な方が、しがない中佐風情に何用で?」
……やっぱりヤン、丁寧な口調だけど煽ってないだろうか?
『ふん。面白くない反応だな? まあ、いい』
ロイエンタールは凄みのある笑みで、
『見事に鼻息荒い貴族達を誘い出し。魔女の巨釜叩き落とした男の顔でも見ようと思っただけだ。不満か?』
帝国貴族らしい尊大さを醸し出しつつ言うロイエンタールに対し、
「大いに不満ですな。不勉強につき名は存じませんが……閣下、小官は先程申し上げた通り一介の中佐に過ぎません。閣下がお気にするほどの傑物とは言えませんので」
『いくら
……
なお恐ろしいのは、ヤンとロイエンタールが終始笑顔だということくらいだろう。
いや、二人の表情を素直に笑顔と呼んでよいかどうかは悩みどころではあるが。お互い、目は笑ってないし。
「以後、お見知りおきを……とは言いたくないですな。閣下はお強い。出来る事なら、二度と戦場でまみえたくない物です」
『500隻で1500隻を沈めておいて、どの口が言う事やら』
「ですが
『そういう形にしておくという事か? まあ、”予定数の間引きは済んだ”ようだしな。これ以上、ヴァンフリートに留まる理由はないということだろう?』
「何をおっしゃる。どれほど
慇懃無礼という言葉がしっくりくるヤンに、ロイエンタールは今度こそ楽しそうな表情で、
『よかろう。”我々は防衛に成功し、貴殿らが引く”……これで良いのだな?』
「御意に」
☆☆☆
ヤン・ウェンリーの言葉に嘘は無かった。
事実、同盟の3500隻弱の艦隊は、先刻まで行っていた猛火の如き戦闘がまるで幻だったかのように、粛々と船を引かせ始めたのだ。
這う這うの体という雰囲気で一目散にイゼルローン要塞を目指す敗残の貴族艦隊……いや、生き残った数から言えば、貴族戦隊とはあまりにも対照的な様子だった。
その二つの集団を見比べるだけで、誰の目にも『どちらが勝利者なのか?』は明らかだろう。
「ヤン中佐」
『はいっ?』
撤収作業を見届けるためか、しんがりとして最後まで周辺空域に残っていたYS11特務護衛船団の旗艦に通信を絞り、ロイエンタールは呼び掛ける。
「リンチ少将、いや今は中将だったな? は健在のようだな」
『お察しの通りに』
苦笑する立体スクリーン越しのヤンに、
「次に会う時のナンバーに期待していると伝えておいてくれ」
『は、はあ……それは勿論、伝えますが』
困惑気味のヤンに、ロイエンタールは『してやったり』と小さな満足感を感じつつ、
「あれは帝国にない音楽だ。兵が喜ぶ」
『ああいうのがお好きならば、閣下も同盟に来られれば良いのでは?』
亡命の勧誘ともとられかねない際どい発言に、ロイエンタールは面白みを感じた。
(俺に亡命を示唆するか……)
「完全武装の大艦隊で、ハイネセンに乗り付けていいというのであればな」
『それはご勘弁頂きたい』
ハイネセン制圧宣言ともとられない返しに、今度はヤンが声を出して笑ったのだった。
後々の時代、多くの歴史家は語る。
ヤン・ウェンリーとオスカー・ロイエンタール・フォン・マールバッハ……時代を代表する二つの陣営の花形は、会うべくして
そして、何度も殺し合い、時には手を結ぶことになる二人の奇妙な因縁と友情は、この時始まったのだと……
Chapter End
読んでいただきありがとうございました。
一番このエピソードで書きたかったのは、同盟における”艦これ”事情です(キリッ
いや~、長かった(^^
予想以上に長くなってしまった第05章もこのエピソードで終わりです。
先ずはここまで読んでくださった皆様にお礼を!
この世界線のヤンとロイエンタールの初顔合わせは、いかがでしたか?
とりあえず、弾は飛ばさず舌戦(?)で戦場をまとめたようですが……書いてる途中から思いましたが、うん。「なんかこの二人、似てね?」と(笑
次回からは新章スタート! ……ですが、しばらくヴァンフリートの後日譚的な話になりそうです(^^