という訳で微ERO注意ですが……何やら、新キャラの予兆が?
事後である。
ナニがという訳ではないが、とにかく事後である。
半ば精神崩壊……というか幼児退行を起こしていた
まあ、スイッチ入って1回のあとも、
「ぱぱとおふろはいるぅ♪」
更にお代わりで、
「ぱぱぁ、あしゅりーのおもらしみてぇ♪」
と放水ショー込みで更に1回。
ヤンの体力的カラータイマーが点滅し始めたが、
「ぱぱぁ、あしゅりーしあわせだよおぉ……」
とスヤスヤと安らかな寝息をアシュリーが立て始めたので九死に一生を得た。
(アンネには感謝しないと……)
正直、普段からアンネローゼに”ベッドの中の乱戦(ただしベッドの中とは限らない)”鍛えられていなければ、先に
(もうちょっと体力つけた方が良いかな?)
まあ、『首から下が役立たず』の評判高いヤン・ウェンリーにそういう細やかだが大きな意識改革をもたらせただけでも、今回の性k……もとい、”貴重な経験”は意味を持つだろう。
まあ、自分のためというより「好きな女性を悦ばせるため」という動機が、なんとも微妙……というかヤンらしいと言えばヤンらしい。
一つ言えるのは、凝り性なヤンらしく士官学校時代に受けた「軍人としての身体づくり」のための”
特に女性陣。
平たく言えば、10年後くらいに『首から下が役立たず』→『首から下も
そもそも考えてみればこの男、士官学校で定期的に行われている体力審査に毎回ギリギリであろうとなんだろうと、しっかりクリアしていたのだ。
単に好みじゃないからやらなかっただけで、フィジカルでもやればできる男なのだろう。ヤン・ウェンリーは。
☆☆☆
ヤンと結ばれた祝い酒……特別な日に飲もうと思っていた酒と告げずアシュリーは秘蔵の純米大吟醸酒、”十四代 龍泉”を開けながら、さしつさされつ甘い旨味を堪能していた。
まあ、これが彼女なりの矜持で”
この世界線では一升瓶はあまりメジャーじゃないのか、あるいは単に高い酒だからなのか、瓶のサイズはヤンが愛飲するブランデーやワインの標準的なそれと変わらぬ720mlサイズだ。
おそらく、日本酒がライスワインとして認知されてる影響だと思うが……小柄な彼女には、一升瓶より似合ってる気がした。
「技術開発研究部・艦艇科の”ジョージ・ゲンサイ・ヒラガ”中将?」
そんな時、アシュリーの口から聞き覚えのない名が出たのだった。
「ええ。本人は利便性を考えてW式の表記にしてるけど、確か本来はE式の名前で、
”艦艇科”とは、自由惑星同盟軍大学にある部門の一つで、艦艇に関する技術研究や開発を担う学科だ。
少し細かく言えば、本来同盟軍の艦艇建造を担当するのは、国防委員会直轄の”艦政本部”という部門だ。
原作では、統合作戦本部の下の技術科学本部が各星域の造兵廠を統括していたようだが……それではあまりに効率が悪かった。
宿命的敵国である銀河帝国との接触により、主力兵器である軍艦の大量建造を余儀なくされた自由惑星同盟は、軍艦の研究/開発/生産を行う部門を独立させ国家/軍事リソースを集中投入できるようにダゴン会戦直後に組織改編。
艦政本部は、軍艦艇その物やその装備品の研究開発、技術科学本部はそれ以外の軍事装備品の研究開発と割り振られたのだ。
実際、特化のために分割再編されたとはいえ、二つの組織は今でも緊密な連携を持っており、例えばアキレウス級旗艦型戦艦の主砲である25㎝中性子ビーム砲は、艦政本部から技術開発本部が開発委託を受けて実用化したものだ。
とはいえ、
だが、その前段階の……『海の物とも山の物ともわからないが、もしかしたら使い物になるかもしれない技術』、基礎段階の技術研究開発までは手が回ってなかったのが実情だった。
基本、そのレベルは軍需企業に丸投げに等しかったのだが……企業である以上、利益は最優先となり、利益を生まないと判断された研究開発はどうしてもおざなりになる。
その状況に危機感を覚えた同盟軍首脳部は、軍の教育機関としては頂点にあたる軍大学に、下部組織にあたる技術開発研究部門を立ち上げたのだ。
そもそも、同盟軍は理数系の人材も多かったので、予算と施設さえ確保すればどうにか形にすることができた……のが、今から100年ほど前だ。
勿論、軍大学
実は軍大学の中に情報部の分室がある大きな理由の一つが、この研究機関の存在だった。
表沙汰になる前に始末をつけられたので知られてはいないが、過去に何度も産業スパイやあるいは帝国スパイの暗躍があり、実は防諜と監視が、彼らの大きな存在意義だった。
今は人員も規模も予算も拡大し、実際に艦艇科では実験艦や技術実証艦の独自建造まで行えるようになっていた。
その艦艇科のトップが、ヒラガ中将だった。
「そのヒラガ中将を訪ねろと?」
「ええ。私の紹介状を持参すれば、無碍にはされないはずよ? ヒラガの
とつまみのカラスミを小さな口に放り込み、満足そうな顔をするアシュリー。
「あー、その言い回しだともしかして知り合い?」
「まあね。正確にはお母様の……と言うべきかな? もう亡くなったのだけど、ヒラガ中将の奥様とお母様が友人だったのよ」
「へぇ」
「まあ、それでも長く生きた方だと思うわ。お母様より一つか二つ年上だったし……テルマルイズ様、ピンクブロンドがとても綺麗な方だったわ」
「えっ? アシュリーのお母さんって、確か……」
彼女は小さくうなずき、
「ええ。テルマルイズ様も、お母様やワタシと同じ”
「そっか……」
”
代謝が子供のまま激しく、老人性の病にかからない代わりに寿命が短く、自由惑星同盟市民全般の平均寿命が90歳とされる時代、この病の者の平均寿命は50歳代とされている。
「まあ、さして珍しい話じゃないわよ。同盟全体でネオテニー・シンドロームを発症してる人間は、どんなに少なく見積もっても100万人はいるもの。それに生きてる間は見た目の問題から相手を色んな意味で見つけにくいとか、基本的に生理がないから子供が作りにくいっていう以外、特に不都合はないし。逆に死ぬまで衰えがないから、それはメリットとも言えるしね」
2.4万人に1人、しかも発症者の99.99%が女性ということを加味すれば、果たして珍しくないと言えるのかは不明だが……
彼女は微笑み、
「まあ、ネオテニー・シンドロームの女を娶る時から、長生きできない事はわかってることだもの。気にすることじゃないわ」
「アシュリーが気にするなって言うならそうするけど」
甘い……割と好みの味だった米酒の味が、ヤンにはほんの少しだけほろ苦くなったような気がした。
「それに、ワタシの年齢だとあと30年はウェンリーと一緒に居られそうだし♪」
「下手をすると、私の方が先に宇宙の塵になりそうだね」
そう苦笑するが、
「コラッ! 滅多なことを言わないの。ね?」
「ハイハイ。とにかく艦艇科を訪ねればいいんだね?」
「うん。艦艇科には同盟でも最高峰の艦船用VR-CADルームとかもあるから、きっとウェンリーの役に立つと思うわ」
全くの余談ではあるが……
トリューニヒト家に仕える家令、同盟でも有数の執事服の似合う男”ウォルター・アイランズ”は、仲睦まじく微笑むお嬢様の姿を見て、ホロリと流れた涙をハンカチでそっと拭うのだった。
読んでいただきありがとうございました。
名前が出てきた、ジョージ・ゲンサイ・ヒラガ、漢字表記にすると平賀源才譲司の元ネタは……
平賀源内(江戸時代の天才的な発明家)+平賀譲(天才艦船設計者)+平賀才人(ゼロの使い魔の主人公)です(^^
原作のスーンスールズカリッター氏的なノリで、”平賀”縛りで三人分の名前を繋げて作ってみました。
ちなみに中将という階級だけあって、もう初老なキャラです。
亡き奥様の元ネタは、勿論、ゼロの使い魔のヒロイン”ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール”と、アメリカ映画の”テルマ&ルイーズ”より。
やっぱり複合ネームです(^^
作中に出てきた、”十四代 龍泉”は、実在する日本酒で幻と呼ばれるほどのURです。
おかげでプレミアつきまくって、ガチで720mlサイズで安い時も35万円以上するんですよ(汗
アシュリーは、元ネタの大野アシュリーと同じく日本酒好きで結構酒飲み設定なんですが、普段飲みは”