ある日の昼下がり……いえ、六時ぐらいにはなる頃、此処は更識家の玄関。
「流夏、もうそろそろ出掛けるぞ〜〜?」
「あう〜〜?」
そこには更識家の当主である楯無さんと、彼の息子である流夏君が居ました。流夏君はお父さんの楯無さんに抱っこされていますが……あらら!? 流夏君の服が変……と言うよりも、可愛らしい物でした!
彼は何時もの服ではありませんでした。彼は、流夏君は浴衣を着ていました。蒼を基調としつつも白の水玉模様がある浴衣でした。でもでも、流夏君はお父さんをジッと視ていました。
でもでも、お父さんも浴衣を着ていました。白を基準としつつも水色の水玉模様がある浴衣でした。正反対とも言えますがお父さんは夏をイメージした浴衣でした。
二人は玄関にいますがある人達を待っているからです。その人達とは……おや? 通路の方から声が聴こえました。
「お待たせ!」
「ムニュ……?」
その人達は……彼の妻である刀奈さんと、その娘である春奈ちゃんでした! 二人はある事で遅くなりましたが彼等の前に来ると……。
「…………」
あらあら、楯無さん、刀奈さんを凝視していました。それどころか、頬を紅くしつつありました。何故なら、刀奈さんも浴衣を着ているからです。
水色を基調としつつも、紫陽花の花弁の模様が所々ある浴衣でした。ですが、それだけでなく、刀奈さんは浴衣が似合い過ぎたからです。それが原因か、楯無さんは頬を紅くしながら見惚れていました。
「……クスッ、貴方」
刀奈さんは微笑みながら訊ねました。恥ずかしいのか、嬉しいのかはわかりませんが頬を紅くしていました。
「あっ……い、否」
楯無さんは頬を紅くしながら頬を掻きますが最愛の妻の浴衣姿に言葉を失っていました。
「フフッ、流夏もよく似合うわよ?」
「うあ〜〜?」
刀奈さんは流夏君を視ながら言うと、彼はキョトンとしていました。でもでも、肝心の春奈ちゃんは赤ちゃん服ですが半袖でした。同時に彼女はお母さんに抱っこ紐で抱っこされていますがお母さんをジッと視ていました。
「よく似合うわよ? それにそれは特注で、流夏に合わせるように作られたのよ?」
「うあ〜〜う?」
流夏君は未だにキョトンとしていますが刀奈さんは「フフッ」と笑いますが楯無さんを視ます。
「貴方、いつまでも私に見惚れないの」
「あっ、ああ」
刀奈さんの言葉に楯無さんは我に返りますが、直ぐに流夏君や春奈ちゃんを交互に視ながら笑います。
「流夏、春奈、今日はお祭りに行くぞ〜〜」
「あう〜〜?」
「む、にゅ?」
お父さんの言葉に流夏君は彼を見上げ、春奈ちゃんはお父さんを視れませんがお母さんを見上げました。楯無さんと刀奈さんは笑っていますが彼等は家族でお祭りに行く事になったからです。
三十分後、ここは河川敷近く。そこには多くの店や人でにぎわっていました。何故なら今日は祭日だからです。その為、お祭りがやっているのも祭日ですがお店は違います。
何故なら、祭日ならではのメインが夜にあるからです。
「あう〜〜?」
「ニュ……?」
そんな中、お祭りには彼等も居ました。更識家の面々です! 彼等がお出掛けする先は此処だったのです! それに流夏君は兎も角、春奈ちゃんは初めて来たのです!
流夏君は楯無さんに抱っこされていますが人混みの中で迷子にならない為でもですがはぐれない意味でも抱っこされているのです。
流夏君は辺りをきょろ、きょろと視ていました。此処何所〜〜? と思っているみたいです。商店街とは違い、かなり賑やかだからでしょうね? 流夏君はそう考えていますが楯無さんは笑っていました。
「流夏、覚えていないのか?」
「あう〜〜?」
「ははっ、まあ、覚えていないか? それに一年に一回だからな?」
「うぁあ〜〜」
流夏君は声を上げますが何にも判らないみたいです。でも、楯無さんは言いました。
「此処はお祭りといって、年に一度だけの行事だ。お好み焼き、タコ焼き、綿飴、かき氷、ラムネといった飲食物もあるけど、お面や金魚すくい、射的や籤引き等のゲームもあるんだぞ?」
「うぁあ〜〜?」
楯無さんはお祭りにある物を一通り教えました。これには流夏君も流石に理解出来るかどうかはわかりませんが彼は再び辺りをきょろ、きょろします。
「うふふ、流夏ったら、判らないみたいね?」
刀奈さんが流夏君に言いますが流夏君は反応し、彼女を視ました。お母さんは微笑んでいますが彼女は不意に春奈ちゃんを視ます。
「にゅ、う……?」
あらあら? 春奈ちゃんったら、周りをきょろ、きょろと視ていました。初めて見るからでしょうかね? 何所なの〜〜? と思っているかもしれませんね?
「フフッ、春奈ったら、気になるのね?」
「にゅ……?」
刀奈さんの言葉に春奈ちゃんはお母さんを視ます。不思議そうにジッとですが刀奈さんは言いました。
「お祭りだけど……フフッ、春奈は初めてだからね〜〜?」
「うぁ〜〜?」
「そんなに気になるのね? フフッ、でも今は、ここにある飲食物は春奈にはまだ早いけど、お母さんので我慢してね?」
「にゅうう〜〜」
春奈ちゃんは声を上げますが刀奈さんは春奈ちゃんの背中を撫でました。
「うぅ〜〜」
あらあら、春奈ちゃんったら破顔しました。気もちいい〜〜と思っているみたいです。でもでも、そんな春奈ちゃんを刀奈さんは微笑ましそうに視ていますが娘の喜んでいる姿を視ているからです。
母親として愛娘の喜ぶ姿は何よりも嬉しいのです。彼女だけではありません、楯無さんも春奈ちゃんを視て微笑んでいました。
「……あう?」
でもでも、流夏君はジッと視ていましたが……ふと、ある店を視て。
「……フアァァ〜〜!」
あら? 流夏君ったら声を上げました。それは嬉しそうな物であり、お父さんの楯無さんとお母さんの刀奈さんは驚きました。
「どうしたんだ流夏?」
楯無さんが訊ねますが流夏君は何かに必死に手を伸ばしていました。
「「うん?」」
そこには、お面が何面も並べられている店が構えられていました。そこの人はおじいさんでした。でもでも、おじいさんは流夏君を視て微笑んでいますがお面はアニメ、特撮……まあ、これ以上は色々とあれですが兎に角、沢山ありました。流夏君はそれを見ていましたが声を上げていました。
「流夏、欲しい物があるのか?」
「うぁあ〜〜」
楯無さんが言うと、流夏君は喜んだままでした。よっぽど欲しい物があるみたいです。どれも良いのですが一応、楯無さんは流夏君を、刀奈さんは春奈ちゃんを連れて、店の方へと近づきました。
「いらっしゃい!」
おじいさんが彼等に言いますが流夏君はお面をきょろ、きょろ視ていました。どれが良いかな〜〜と思っているみたいです。
「ゆっくり視なよ〜〜どれも良いからな?」
おじいさんは流夏君に対して優しく言いました。これには流夏君はあまり気にしませんが彼は……おや? 流夏君が。
「あう〜〜」
あらあら、流夏君ったら、それを教える意味で、あるお面を指差しました。とてもとても小さな人差し指は一面のお面を指していますが楯無さん、刀奈さんは流夏君が指したお面を見やりました。因みに春奈ちゃんはお母さんを視ていましたが喜んでいました。
それは、バイクに跨がる特撮ヒーローのお面でした。流夏君はそれを気に入っているのか声を上げていました。
「う〜〜うう〜〜」
流夏君は嬉しそうにそれに手を伸ばしていました。掴みたいみたいです。届け〜と必死でした。でもでも、それは楯無さんが抱っこしている為、届きませんでした。
そんな彼に楯無さんと刀奈さんは微笑み、春奈ちゃんはお兄ちゃんが何をしているのかを気にしていましたが首があまり回らない為、横を向いていました。
「流夏、欲しいのか?」
「あう〜〜」
楯無さんが言うと、流夏君は嬉しそうに応えました。楯無さんは微笑んでいましたがおじさんを視ます。彼は微笑んでいますが流夏君を視ているからですね。
「欲しいのかい?」
「う〜〜」
「ほほっ、そうかそうか?」
「すみません……フッ」
おじいさんの言葉に楯無さんは軽く謝ります。でもでも、流夏君は一面のお面を欲しがっているように必死に手を伸ばしていました。刀奈さんは微笑んでいますが春奈ちゃんの背中を撫でていました。
でもでも、流夏君は、もうすぐ始まるメインイベントにどんな反応をするのかは彼には判らないのと、今は、ご機嫌は良いみたいでした。
「フフッ!」
次回、あの方々が登場です!(ヒント、二人の身内かつ幼馴染み達!)