更識家の流夏君   作:NO!

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番外編。元旦編、流夏君と春奈ちゃん、これからもご機嫌がいいみたいです。

「あなた、準備はいい?」

「ああ、いつでもいいぞーー流夏」

「春奈、もうすぐよ?」

「あう〜?」

「ニュ……?」

 

「「では、皆さん、明けましておめでとうございまーーす!」

 

 ある日の更識家、そこには新年を迎えた更識家がいました。えっ? 他のメンバーはどうしたかって? それはそれ、これはこれ、作者の都合です。

 まあ、それは置いといてとして、更識家は軽く談話していました。なごやかかつ、同時に夫婦は自分たちの愛息、愛娘を微笑ましそうに見ていました。

 服もお正月をイメージして、着物でした。楯無さんは袴を、刀奈さんは水色を基調とした和服を、そして……流夏君や春奈ちゃんも和服を着ていました!

 流夏君は袴を、春奈ちゃんも袴を纏っていました! 可愛らしいですね〜〜あっ、いけない、いけない! では、本題に入らせていただきますね!

 今回は新年を記念して、更識家が去年を振り返る事にしたのです! 先ずは……楯無さんが口を開きました。

 

「あの時は泣けたよな〜〜」

「泣けたって、何を?」

「ああ、春奈が産まれた時だったな〜〜」

 

 楯無さんは、刀奈さんの腕の中にいる春奈ちゃんを見ます。春奈ちゃんは楯無さんに気づくと、笑いました。パパ〜と思っているかもしれませんね。

 楯無さんは頬を緩めていましたが、刀奈さんが微笑みながら「貴方」と我に返そうという意味で訊ねました。これには、楯無さんも「はっ!?」と我に返ると、慌てて、言いました。

 

「あ、あの時は病院でわんわん泣いたな〜〜息子だけじゃなく、娘も産まれたんだ〜と思ってな」

「ふふっ、その時、お義姉さんに「静かにしろ!」と怒られたんだもんね?」

「それは言わなくてもいいだろ、ち、千冬姉も喜んでいたから」

「ふふっ、そうね?」

 

 刀奈さんは微笑みました。そうです、それは春奈ちゃんが産まれ、刀奈さんがいる病院での出来事でした。楯無さんは分娩室の前の通路でウロウロしていました。

 挙動不審とも言えましたが、千冬さんや簪さん、刀奈さんの両親は細長い椅子に腰掛けていました。流夏君は千冬さんの膝の上に座りながら後ろから抱き締められていました。

 千冬さんは呆れていましたが楯無さんが夫として、妻を心配している事に微かに喜んでおり、刀奈さんとそのお腹の子が無事である事を祈っていました。

 流夏君はジッと見ていましたが千冬さんは「大丈夫だぞ〜流夏、もうすぐお兄ちゃんになるんだぞ?」と笑っていました。流夏君はジッと見たままでしたが解らないみたいでした。

 そして……おぎゃあ、おぎゃあ! と分娩室から赤ん坊の泣く声が聴こえたのでした! これには簪さんや刀奈さんの両親、千冬さんも驚き、流夏君は「あう!?」と驚きました。

 そして、楯無さんは驚きつつも、分娩室から中年の助産師が出てくると、彼女は微笑みながら「おめでとうございます、元気な女の子でしたよ」と言いました。

 これには周りも喜びますが、楯無さんは泣きながら「ありがとうございます」と何度も言っていたのでした。

 

「凄く嬉しかった、刀奈が無事もそうだけど……春奈も産まれたから」

 

 楯無さんは刀奈さんの腕の中にいる春奈ちゃんを見詰めます。春奈ちゃんは「うにゅ?」とキョトンとしていましたが、どうしたの〜? と思っているかもしれませんね?

 

「ふふっ、そうね」

「ああ……あっ、そうだ。刀奈、実は面白い事があったんだ」

「えっ、面白い事?」

「ああ、実は……」

 

 

 楯無さんは話を始めました。それは、春奈ちゃんが産まれてから三ヶ月後、流夏君が幼児だけ参加出来る遊び場の時でした。

 その時は刀奈さんは春奈ちゃんを見ている為にお留守番ですが、楯無さんと、休日だった為に伯母バ……おほん! 伯母の千冬さんも一緒に行った時です。

 その時は何ともなかったのですが、お母さん方は楯無さんと千冬さんを見て、驚きを隠せなかったのです。有名でもありますが、二人のお子さんを持つ父親としても、彼の姉である彼女だから有名なのです。

 でもでも、流夏君は大変な事になっていたのです。流夏君は周りの、特に女の子の幼児達から見られていたのです。中には恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている娘もいたのです。

 流夏君は気にもせず、遊んでいましたが楯無さんと千冬さんを見て破顔しました。これには千冬さんは顔を真っ赤にしながら頭から湯気を出しながら倒れそうになったのです。

 楯無さんが慌てて支えますが、周りの女の子幼児達も恥ずかしそうに顔を両手で覆い隠したり、う〜と声を上げていました。お母さん達は自分の娘達の様子に慌ててしまいましたが、何故そうなったのかは、判らない……訳ではありませんでした。

 流夏君を見ていた事に気づいたのですが、全員、彼に惚れたかどうかは定かではありませんでした。

 

「あれは大変だったな〜千冬姉を介抱しながら流夏を見ていたからな〜」

「うふふ、そんな事があったのね? 流夏、貴方も中々やるわね?」

 

 刀奈さんは笑いながら、楯無さんの膝の上に座っている流夏君を見ました。

 

「うう〜?」

 

 流夏君はキョトンとしていました。どうしたの〜? と、思っているかもしれませんね? 流夏君、貴方も罪な男の子ですね?

 刀奈さんはそう思いながらも、ある事に気づきました。

 

「あっ、そうそう、私も大変だったわよ?」

「えっ? どうしたんだ?」

 

 楯無さんが訊ねると、刀奈さんは微笑みながら春奈ちゃんの頭を撫でました。

 

「うにゅ〜?」

 

 春奈ちゃんはお母さんの行動にキョトンとしていましたが、徐々に笑顔を浮かべました。刀奈さんの手の平の温もりがとっても大好きだったからです。

 刀奈さんは微笑みますが口を開きました。

 

「あの時、春奈ったら私から離れようとはしなかったもんね〜?」

「うにゅ?」

 

 刀奈さんは、ある事を思い出しました。それは春奈ちゃんが産まれて四ヶ月。あの赤かった肌も肌色になり、徐々に笑顔を浮かべるようにもなっていた頃です。

 その時の春奈ちゃんは可愛らしかったのですが……春奈ちゃん、お母さんから離れようとはしませんでした。楯無さんが抱っこしようと引き剥がそうとしても、赤ちゃんらしくなく、力があったのです。

 楯無さんは苦笑いしていましたが結局、刀奈さんに抱き締められながら寝る事が何度も遭ったのです。

 

「春奈ったら、お母さんが大好き過ぎて、お母さんは困ったのよ?」

「うにゅ〜〜?」

「フフッ、判らないかもしれないけど、私は嬉しいわよ?」

 

 刀奈さんは喜んでいますが母親として、過日、愛情を注いでいましたからね? それが春奈ちゃんに伝わったからです。春奈ちゃんは当たり前の事を下に過ぎないでしようがそう思われていますからね?

 そんな妻と娘を楯無さんは微笑ましそうに見ていました。

 

「あう〜〜?」

 

 おや? 流夏君ったらジッと見ていましたが声を上げました。

 

「どうしたんだ流夏?」

 

 楯無さんが訊ねても、流夏君は何も言いませんでした。

 

「あう〜〜」

 

 あらあら、流夏君ったら、刀奈さんに対して、必死に手を伸ばしています。ママ〜と甘えたいみたいです。これには刀奈さんも微笑みますが楯無さんも微笑みました。

 

「ふふっ、流夏ったら」

 

 刀奈さんは気づくと、春奈ちゃんを楯無さんに差し出します。

 

「はい、貴方」

「あっ、ああ」

 

 楯無さんは気づくと、春奈ちゃんを抱き締めました。これには春奈ちゃんも喜びます。パ〜と破顔していました。楯無さんは頬を緩めますが流夏君は……。

 

「あう〜〜」

 

 刀奈さんに抱っこされていました。ママ〜と甘えていました。刀奈さんは微笑みますが嬉しいのです。ですが、更識夫婦と兄妹、彼等の日常は終わった訳ではありません。

 これからも始まるからです。そして今日も、元旦でも流夏君と春奈ちゃんはご機嫌がいいみたいでした。

 

「うふふ!」

「にゅ〜〜!」


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