更識家の流夏君   作:NO!

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松岡さん、彼、護衛人の過去は悲しくも、流夏君と春奈ちゃんを守ろうと再び決意したみたいです。

 ある日の正午。ここは更識家の庭が見える広間、そこには、玩具を手にして、嬉しそうに遊んでいる子がいました。

 

「う〜〜あ〜〜」

 

 ご存知、その子は流夏君! 流夏君は今、バトルライダーのソフビ人形で遊んでいました。近くにはお気に入りのバトルライダーもありましたが今は手に持っている二つで遊んでいました。

 片方はコブラをモチーフにした人形を、もう片方はメモリーを使った白い体に黄色い目が特徴の人形でした。

 流夏君は破顔しながら遊んでいましたが、近くには松岡さんが微笑ましそうに見ていました。彼は楯無さんが仕事の間、刀奈さんが春奈ちゃんのオムツを取り替えに部屋を離れている間、流夏君を見ていたのです。

 流夏君は子供らしく、無邪気な笑顔を見せており、バトルライダーでソフビ人形で遊んでいるのを見ているだけでした。

 

「流夏様は好きですね? バトルライダーが」

「うあ〜〜」

「フフッ、私も嬉しいのですよ? 流夏様の笑顔で疲れが吹っ飛ぶようにも思えるんですから」

「う〜〜」

 

 流夏君は嬉しそうに笑う中、松岡さんも笑みを浮かべています。そんな中、ある生き物達が歩み寄ってきました。松岡さんはその生き物達に気づき、振り返ります。

 そこにいたのは、二匹のドーベルマンでした。この屋敷の周りを警戒し、夜中でも侵入者が来たら吠えるよう訓練された犬です。二匹のドーベルマンは流夏君を見ていましたが、流夏君は二匹に気づくと、ニパッと笑いました。

 

「ぽ〜〜く〜〜」

 

 流夏君がそう言うと、二匹のドーベルマンの片方は困惑し、もう片方は胸を張りながら吠えました。

 

「ク〜〜ン(止めろよ〜〜ポチって名前嫌だよ〜〜)」

「ワン!(クロ、流夏を守る! 絶対!)」

 

 片方はポチ、もう片方はクロと言いました。二匹は流夏君により、名前を与えられたドーベルマン達でしたが勇ましく、侵入だけでなく、流夏君と春奈ちゃんを守る為の番犬としても任されています。

 二匹は流夏君の言葉で反応を見せる中、松岡さんは不意にあることを思い出しました……そして、ここからは、ナレーションも一旦敬語を止めます。

 何故なら、松岡は最初、赤ん坊の世話を任されていなかったからだ。任されたのは当主の命であり、ある人物との約束だったのだ。

 

 

 

 松岡は、とある過去を思い出す。流夏が産まれる前、彼の父であり、当主である楯無と友人である男性の三人で任務に赴いていた。

 その任務はISを使える楯無のお陰で難なく終わった——しかし、一発の凶弾が友人に致命傷を与え、友人は倒れた。

 その友人はとても明るい性格でおっちょこちょい。暗部内では浮いた存在だったが、松岡にとっては鬱陶しくは感じられず、少し気を許す相手だった。

 その任務で友人が倒れ、友人は松岡の腕の中で死ぬ間際、笑いながらこう言い遺していた。

 

『松岡——毅、当主様を守ってくれよな……! 当主の、未来の当主様を、稚児を守ってくれよな……! 俺との約束だぜ!』

 

 友人はそう言った後、殉職した。松岡は、毅は友人の死に嘆き哀しみ、当主に支えられなければいけない程、酷く泣き叫んでいた。

 それ以来、毅は、本来のクールな性格の彼が、身を潜めるようにばったりとそんな性格を見せなくなった。任務のとき以外は、全く見せなくなった。

 その性格は、流夏に対しては亡き友人の性格を見せ、接していた。流夏だけでなく、春奈にもそう言う素振りしか見せなくなった。

 

 友人との約束を果たすために、自分を押し殺していた。今も押し殺している中、——それに、私も敬語に戻ります。

 

 近くには、ソフビ人形で遊ぶ流夏君がいました。流夏君はきゃっきゃっと笑っていましたが松岡さんはまた微笑むと、ゆっくりと彼の頭を撫でます。

 流夏君も頭を撫でられて笑っていますが松岡さんはフフッと微笑んでいました。すると、襖が開き、ある女性が女の子の赤ちゃんを抱きかかえていました。

 

「流夏、待たせたわね?」

「う〜〜」

 

 お母さんの刀奈さんと妹の春奈ちゃんでした。流夏君は二人を見てふぁぁ〜〜と笑うと、ソフビを置いて立ち上がり、テクテクとお母さんに歩み寄ります。

 その間、刀奈さんは襖を閉めると、膝を曲げ、春奈ちゃんを片方へと移動させるように持ち替え、空いた方で流夏君を受け止めました。春奈ちゃんも笑う中、刀奈さんは流夏君と春奈ちゃんを見て微笑むと、ニッコリと流夏君を抱きしめたのです。

 

「…………」

 

 そんな光景を松岡さんは微笑ましそうに見ていましたが、友人もいたら、と思いつつも友人との約束の為、流夏君と春奈ちゃんを守る、と再び決意したのでした。

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