「……」
「ウ、ニュ……?」
「「…………」」
ある日の正午、更識家の楯無さんと刀奈さん、流夏君と春奈ちゃんの部屋。その部屋はとても広く、家族四人がいるには広すぎるくらいの和室でした。
その部屋には書斎や棚、テレビもありますが更識夫婦は可愛らしい兄妹のやり取りを微笑ましそうに見ていました——楯無さんは持ち物であるスマホを片手に、カメラスコープを兄妹に向けていました。
その兄妹であり、夫婦の宝物である子供達は今、春奈ちゃんはお母さんの腕に抱かれていました。でもでも〜〜流夏くんは〜〜?
「……」チュ〜〜
あらら!? 流夏君ったら春奈ちゃんのこめかみにチュウ〜〜していました! キョトンとしていますがその光景は微笑ましく、赤ちゃん達の親でもある更識夫婦はこの瞬間を微笑ましく、そして大切な瞬間でもありました!
休日であり、愛息と愛娘との大切な時間を有意義に過ごしたいのです。そんな中、流夏君は春奈ちゃんを自分の方へと引き寄せながらこめかみに口づけしたのです。
どうしてそんなことをしたのかは、理由がありました。それは〜〜春奈ちゃんがくずっていた為にお兄ちゃんとして妹である春奈ちゃんを慰めようとしたのです!
流夏君は偉いです! でもでも〜〜流夏君は春奈ちゃんが泣くのを止める為、妹の為にやったことでした!
春奈ちゃんは泣き止みましたが流夏君はニパッと笑うと、頭を撫でたのです。これにが春奈ちゃんもキョトンと……あらあら、春奈ちゃんは顔を真っ赤にして、お母さんの胸に顔を埋めてしまいました。恥ずかしいのです。
「な〜〜?」
流夏君は春奈ちゃんの様子に首を傾げていました。
コンコン
おや? 襖の方から襖を叩く音が聴こえて、楯無さんと刀奈さんは音がした方を見ました。
「誰かいるのか?」
楯無さんが訊ねます。でもでも、シ〜〜ンと言う音が似合うかのように反応はありませんでした。
使用人か誰かが悪戯しているのか? 楯無さんはそう思っていましたが襖の方からは返事はありません。
「なんだろう?」
楯無さんはスマホをしまうと、立ち上がり襖の方へと近づき、そして、開けました。
「……あれ?」
おや? 楯無さんは何かに気づき、視線をしたの方へと向けました。そこには、ある物が有ったのです。
しかし、辺りを確認しますが人の気配はしません、使用人が通った気配もないのです。楯無さんは不審に思いながらも、したにある物を、それを手に取りました。
「貴方?」
刀奈さんが呼ぶと、楯無さんは振り返りました——手には、ある合体ロボの二体の恐竜ロボが同梱されていたのです。
「ファァァ〜〜!!」
あらあら、流夏君ったら、楯無さんが持っている合体ロボの箱を見て破顔しました!
そうです! 流夏君はその合体ロボを欲しがっていたのです! そのロボは少し前に、楯無さんが見ていた戦隊ロボの、恐竜のロボでした!
そのろぼは青い肉食恐竜と白い草食恐竜が同梱されている合体ロボでした! 流夏君がそれに気づいたのは、楯無さんが久しぶりにDVDで観た時に目に留まったのです!
赤い肉食恐竜、青い草食恐竜、黄色い翼竜と戦っていたのです! でもでも、流夏君はそれよりも二体の青いのと白い方を気に入っていたのです。
DVDではそれが出ているのしか観ていませんでした。楯無さんと刀奈さんは流夏君がそれを欲しがっていることに気づいていましたが流夏君が本当に欲しいかどうかも分からなかったのです。
でもでも、流夏君の様子は嬉しく、嬉しそうに手を伸ばしているのです。ですが……。
「(……どうして、俺と刀奈がいるにも関わらず、気配はしなかったんだ?)」
楯無さんは、新品同様の青い肉食恐竜と白い草食恐竜のロボが同梱されている合体ロボの箱を見ながら、考え事をしていました。
流夏君が愛おしそうに抱きしめている箱——所謂、その箱に同梱されている二体の恐竜ロボの合体ロボはとても高く、限定品なのですから。それを新品同様で手に入れるのは難しく、値段も四桁行くくらいなのです。
それを、難なく手に入れることは難しく、探すのにも一苦労するのです。それを簡単に手に入れることが出来る者は限られているのです——おや? 楯無さんは何かに気づきました。はっ、としたのでしたから。
「(待てよ? そういったことを出来る奴がいたな!? ——もしかして……ああ〜〜っ)」
楯無さんは頭を抱えました。そうです、そう言った芸当が出来るのは、知り合いの彼女……では無く、自分の部下の一人なのです。その人は性格は冷静ですが交流をあまりしないのです。
理由は簡単——その人は夜でしか行動せず、更には流夏君や春奈ちゃんを護衛、それも影の護衛者なのです。流夏君と春奈ちゃんが寝静まっている頃を見たり、夜の屋敷を護衛する人なのです。
戦闘力や信頼は高く、松岡さん同様、楯無さんの片腕のような存在なのです。しかし、気配を消すのは暗部一であり、楯無さんや刀奈さんでさえも特定出来ない程なのです。
楯無さんはその人に対し、呆れているのと、こんな高い物を彼が買ったことに驚きと、彼が何をしているのかはまでは特定出来ない中、刀奈さんが訊ねます。
「貴方」
「うん? どうしたんだ刀奈?」
楯無さんは刀奈さんの呼びかけに反応し、彼女の方を見ました。刀奈さんは微笑みながら視線をある方へと向けていました。楯無さんはその視線を追うように移動させると、そこには合体ロボの箱を必死に伸ばしていたのに、いつの間にか楯無さんの足下まで来て、必死に手を伸ばしていたのです。
箱から視線を逸らす様子もなく、嬉しさのあまり、声を上げ続けていました。そんな様子を楯無さんはじっと見ているうちに——頬を緩めてしまったのです。
「ふう〜〜多いなおい」
その頃、更識家の——屋敷内にある中庭——そこは何匹もいる錦鯉が池の中で泳ぎ、桜や紅葉になる木が幾つもある場所でした。
更識家、使用人達にとって憩いの場でもあり、心安らぐ場所でもありました。そんな場所を、中庭にある落ち葉を集めるように、竹の箒で掃いている松岡さんがいました。
運転手だけでなく、流夏君や春奈ちゃんの子守りだけでなく、こういった使用人のお仕事も兼任しているのです。小さな積み重ねが……なんて話はありますが彼は他の使用人とは違い、実力ある人だからです。
彼を知る使用人は沢山いますが本来の彼は……言え、これ以上はいわない方がいいかもしれませんね? 取り敢えず、彼は箒で落ち葉を掃いてると、ふと、池の方を見ました——。
「うわっ!?」
池の方を見た瞬間、驚きました。そこには、池の近くには、池の中を泳いでいる錦鯉達を見ている人がいたのです。その人は二十代くらいの男性で、左目を長い前髪で隠しているのです。
整った顔立ちに赤い眼、黒いスーツを着ているのです。物静かなのか、何も言わず、池の中を泳ぐ錦鯉を眺めていました。
「な、なんだ黒影かよ……」
松岡さんはその人を黒影、さんと呼びました。黒影さんは何も言わず、ずっと錦鯉を眺めているのです。これには松岡さんは頭を抱えます。
「黒影……少しくらい、話を聞いてくれたっていいだろう?」
「…………」
「まあ、お前があんまり人と接したくないのは分かるけど、俺達ぐらいには話をしたっていいだろう?」
「……流夏様」
「えっ?」黒影さんの話に松岡さんは不意を突かれましたが黒影さんは言葉を続けました。
「流夏様にプレゼントを渡した……流夏様、喜んでいた……」
彼はそう言うと、立ち上がり、踵を返してその場から離れていきました。
「お、おい黒影!」
松岡さんは呼び止めようとしましたが黒影さんは聞く耳を持たずにそのまま離れていきました。後ろ姿は寂しそうでしたが松岡さんは黒影さんの言葉に対して、何も分からないみたいでした。
「うふふ〜〜」
「きゃっきゃっ!」
その頃、流夏君は黒影さんがプレゼントしたであろう合体ロボの二体の内、青い恐竜ロボを歩かせるように動かしていました。春奈ちゃんは白い恐竜ロボで遊んでいましたがお兄ちゃんと一緒に遊んでいて、凄く上機嫌でした。
「ふふっ」
「ははっ」
そんな様子を更識夫婦は微笑んでいましたが流夏君と春奈ちゃんは今日もご機嫌いいみたいです!