更識家の流夏君   作:NO!

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 今回は出ます。あのキャラが……!


 流夏君、ある事をして笑っていましたが、それはとても嬉しい出来事であり、ご機嫌良いみたいです。

「うふふ……」

 

 某月某日の正午過ぎ、此処は更識家の広間。そこには正座をしている二十代前半の女性と、ある赤ん坊がいました。空色の長い髪に外側に跳ねているのが特徴的かつ、紅い瞳が特徴的な女性でした。

 白いブラウスに、膝まである蒼いスカートを穿いていました。ですが、その女性はこの家の当主である楯無さんの愛妻、刀奈さんでした。そして彼女は微笑みながら、ある赤ん坊を授乳させていたのです。

 その笑みは母親としての喜びと優しさとも言えました。視線の先には自分の胸をちゅぱ、ちゅぱ、と小さく音を立てながら母乳を飲んでいるのです。

 勿論、刀奈さんの愛息である流夏……あれ!? 流夏君じゃありません! 彼女が抱いているのは流夏君じゃなく、五ヶ月になる女の子の赤ちゃんでした。

 肩まで伸びている水色の髪に、水が含んでいるようにふっくらとした頬っ辺。瞳の色は目を閉じている為に判断出来ません。桜色の赤ちゃん服を着ていました。

 

「……ムニュ」

 

 すると、その女の子は何かに気づき、瞼を開きました。とても紅く、澄んでいました。

 

「ふふっ、どうしたの春奈?」

 

 刀奈さんはその娘を春奈と呼びました。そうです、刀奈さんは二人目を授かったのです。その娘の名は更識春奈ちゃん、楯無さんと刀奈さんの娘であり、流夏君の妹なのです。

 春奈ちゃんは刀奈さんを見ながら何かを思っているみたいですが視線を自分の口元へと移しました。飲む事に集中したいみたいです。同時に瞼を閉じました。

 静かに飲みたい〜。そう思っているみたいです。誰にも邪魔されたくないからでしょうね?

 

「春奈……ふふっ」

 

 刀奈さんは春奈ちゃんを見てクスッと笑いますがその場を動こうとはしませんでした。春奈が飲む事に集中している、そう気付いたからです。

 愛娘を思っての事ですが母親としての使命と優しさだからですね。

 

「刀奈」

 

 すると、広間を出入り出来る襖の方から声がしました。これには刀奈さんも襖の方を見ます。この声に聞き覚えがあるのもそうですが嬉しそうでした。

 そうなのです、その声の主は刀奈さんの最愛の……。

 

「貴方」

 

 刀奈さんは愛しそうにそう呟きました。すると、襖が開き、そこには二十代前半の一人の男性と、彼に抱き抱えられている一才半くらいの赤ん坊がいました。

 整った顔立ちに黒髪黒眼。白い長袖のシャツに青いズボンが特徴的な男性でした。赤ん坊は抱き抱えてくれている人に良く似ていますが刀奈さんの面影が少し残っています。

 そうです、彼等は刀奈さんの最愛の夫、愛息なのです。そして旦那さんの名前は更識楯無さん、旧姓を織斑、旧名は一夏さんです。そして、楯無さんに抱き抱えられているのは流夏君。

 そうです、この子が流夏君なのです! 彼は一年前までは五ヶ月だったのですが今はもう一歳半、立派なお兄ちゃんにもなったのです!

 春奈ちゃんは流夏君の妹ですがお兄ちゃんである事には変わりは無いのです。

 

「ママ〜〜」

 

 流夏君は抱き抱えられながらも刀奈さんを見て嬉しそうに呼びました。これには刀奈さんも微笑みますが楯無さんも微笑みます。ですが、流夏君は必死に手を伸ばしていました。勿論、刀奈さんに対してです。

 流夏君はお母さんが大好き。でも、お母さんは今、春奈ちゃんに授乳している最中なのです。春奈ちゃんはちゅぱ、ちゅぱと音を立てていますが気にもしていません。

 

「こら流夏。ママは今、春奈にあげているだろう?」

 

 そんな流夏君にパパの楯無さんは苦笑いながら言いますが流夏君は聞く耳を持ちません。でも、楯無さんは流夏君を抱っこしたまま部屋の中に足を踏み入れ、後ろ手で襖をしめると、刀奈さんの方へと歩いていきました。

 

「貴方」

「刀奈……」

 

 二人は互いの相手を見てそう呟きました。ですが、二人は愛しそうに見ていたのです。楯無さんは刀奈さんを、刀奈さんは楯無さんを。すると、楯無さんは刀奈さんの前で腰を下ろすと、流夏君を膝の上に座らせたのです。

 

「春奈、一杯飲んでるのか?」

「ええ。この娘ったら、飲み終えるまで離れないみたい」

「ははっ、そうか」

 

 楯無さんと刀奈さんは春奈ちゃんを見やりました。春奈ちゃんは未だに飲んでいますが静かかつ、誰にも邪魔されたくないようにも思えました。

 それはまるで、一年前まで乳児だった流夏君を思い出したのです。彼もまた、飲み終えるまで、そこを離れなかったのです。でも、彼も今は一歳半ですがお父さんの腕の中で春奈ちゃんをジッと見ているのです。

 まるで幼い頃の流夏を思い出す。

 でも、両親から見れば嬉しいのです。流夏君も大事だけど、春奈ちゃんも大事だからです。我が娘を思うが故でもありますが二人目が長女である事が嬉しかったのです。

 流夏君と春奈ちゃんは二人にとって、大事な宝物なのです。

 

「な〜〜?」

 

 あらあら、流夏君ったら、春奈ちゃんをジッと見続けていたのに声をかけてしまいました。でも、流夏君はもうお兄ちゃんですが好奇心があるように春奈ちゃんを呼んでいるみたいです。

 

「ム、ニュ……?」

 

 あらあら、春奈ちゃんったら、流夏君の言葉に反応したのか瞼を開き、流夏君を見ます。

 

「流夏、春奈が飲んでいる最中でしょう?」

 

 そんな流夏君に刀奈さんが苦笑いしながら注意しました。でもでも、流夏君は春奈ちゃんを見て手を伸ばします。すると、春奈ちゃんは少し嬉しそうに笑うと、手を伸ばしました。

 そして……流夏君の手と春奈ちゃんの手が触れました。兄と妹の軽いやり取りでしたが流夏君はニャ〜〜と笑い、春奈ちゃんは恥ずかしそうに笑っています。

 流夏君は春奈ちゃんを妹と認識していますが、春奈ちゃんも流夏君をお兄ちゃんと認識出来たみたいです。

 

「ハハッ……」

「フフッ……」

 

 そんな二人の兄妹に楯無さんと刀奈さんは微かに笑っていました。愛息と愛娘のやり取りを微笑ましそうに見守っていたのです。宝物達が互いを認識している、可愛らしいやり取りをしている。

 それだけでも嬉しいのですが今は家族団欒の時でした。今日は仕事が無いからです、ですが今はそんな事を考えたくない、更識夫婦はそう思っていました。

 今は我が子達と一緒にいたい。それだけでした。すると、楯無さんと刀奈さんは互いの相手を見ます。そして笑いますが嬉しいからでしょうね。

 そしてそして、流夏君、いえ、流夏君と春奈ちゃんは今日も嬉しそうでした。

 

「な〜〜」

「……ム、ニュ……」




 はい、今回から更識春奈ちゃんと言う長女が更識家の新しい一員として加えられました。
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