「うぁぁ〜〜」
「うふふ、流夏ったら甘えん坊さんね?」
某月某日の正午過ぎ、ここは更識家の広間、そこには更識家の長男である流夏君とお母さんの刀奈さんがいました。二人は今、いえ、流夏君はお母さんにお昼ご飯を与えられていました。
人参や菠薐草等を使ったお粥ですが刀奈さんの手作りです。それを流夏君は沢山食べていました。刀奈さんは手にはスプーンと、もう片方の手にはお粥が少し入っているお碗を持っていました。
それで流夏君にご飯を与えているのです。
「フッ……」
「ス〜〜……」
近くには刀奈さんの最愛の夫であり、流夏君の父親でもありながらも胡座を掻いている楯無さんや、彼や刀奈さんの長女であり、流夏君の妹である春奈ちゃんが敷き布団の上で仰向けになりながら可愛らしい寝息を立てていました。
春奈ちゃんは兎も角、楯無さんは流夏君を微笑ましそうに見ていましたが刀奈さんはスプーンで掬った一口のお粥を流夏君の口元へと差し出しました。
「はい流夏、あ〜〜ん」
「あ〜〜」
刀奈さんが言うと、流夏君は口を大きく開けると、スプーンの先端、掬いの部分を口に含みました。その後に刀奈さんはスプーンを流夏君の口から優しくとりました。
掬いの部分にはお粥はありませんでした。それは流夏君が食べているたのです。流夏君は口をもぐもぐとさせていました。可愛らしい咀嚼音とも言えますが赤ん坊である為、仕方ありませんね?
「流夏、美味しい?」
刀奈さんは微笑ましそうに訊ねました。すると流夏君は……。
「……ウマッ!」
あらあら、流夏君たら嬉しそうに簡潔な感想を述べました。美味しい〜〜と。これには刀奈さんも微笑みますが楯無さんも微笑みました。我が子の可愛らしい声と歓ぶ姿、両親でもある彼等から見たら嬉しいとしか言えませんでした。
父として、母としての喜びを感じているのです。流夏君は「ママ〜〜」とお粥のおねだりをしていますがお粥はもう少しあるのです。刀奈さんは微笑みながら手にしているスプーンでお粥を掬おうとしました。
「……グスッ、うぇぇ〜〜!」
あらあら、寝ていた春奈ちゃんが泣き声を上げながら起きました。これには楯無さんや刀奈さんも驚き、流夏君も驚きました。
「春奈、お腹空いたのか?」
楯無さんは春奈ちゃんを抱っこしながらあやします。春奈ちゃんは泣いていますが楯無さんは困惑していました。そんな春奈ちゃんを刀奈さんは微笑ましそうに見ながら。
「貴方、春奈を此方に渡して。貴方の言う通り、お腹空いたから上げるわ」
「判った、流夏の昼は俺がやっとくから頼む」
刀奈さんはお粥の入ってるお碗やスプーンをテーブルの上に置き、楯無さんは春奈ちゃんを刀奈さんに差し出しました。
「良々、春奈、お腹空いたのね?」
刀奈さんは春奈ちゃんをあやしながら服のボタンを外しました。一方で楯無さんはテーブルの方へと向かうとその近くに座り、お粥の入ったお椀とスプーンを手に取ると、スープンでお粥を掬いました。
「流夏、あーん」
楯無さんはスプーンを流夏君の口元へと差し出しました。
「…………」
でもでも? 流夏君はお母さんをジ〜〜ッと見ていました。お母さんは春奈ちゃんを優しく抱っこしていますが春奈ちゃんに授乳しているのです。
春奈ちゃんはお母さんに授乳されていますが瞼を閉じています。さっきまでの泣き声が嘘のようにでした。流夏君はジ〜〜ッと見ていましたが、楯無さんが愛息に言いました。
「流夏、どうしたんだ?」
「あう〜〜?」
流夏君はキョトンとしていますが楯無さんは微笑んでいました。
「はは〜〜ん? さてはママのあれを飲みたいのか〜〜?」
「う〜〜?」
楯無さんは流夏君がお母さんを見ている事に気づいたみたいです。でもでも、流夏君はあれですが此の子は一年前まではお母さんの母乳が主食でした。
と言っても、大半がそれでしたけど、楯無さんは流夏君を煽ります。
「飲みたきゃ、ママに言うんだぞ〜? と、言っても、今は哺乳瓶や離乳食がメインだけどな?」
「あう〜〜?」
お父さんの言葉に流夏君は理解出来ないみたいです。まあ、彼もまた、どんな物を食べているのかは兎も角、今はお粥と言う離乳食がありました。
それに、楯無さんは今は流夏君に対して笑っていますがそんな彼を刀奈さんは見ていましたが微笑んでいました。同時に何かを思い出したのか彼に、楯無さんに言いました。
「貴方、ちょっと此方に来て?」
「うん? どうした?」
「良いから早く、流夏、お粥、ちょっと待っててね?」
「あう〜〜?」
刀奈さんの言葉に流夏君は首を傾げます。でも、刀奈さんは軽く手招きします。楯無さんに対してでした。
これには楯無さんは首を傾げましたが彼はお粥やスプーンをテーブルの上に置くと、彼女に近づきます。
流夏君と春奈ちゃんはパパとママを見ますが楯無さんは刀奈さんに言いました。
「どうしたんだ?」
楯無さんが言うと、刀奈さんは「耳貸して」と言いました。これには楯無さんは更に首を傾げましたが取り敢えず、刀奈さんに耳を貸すと。
「…………」
刀奈さんは楯無さんにボソッと耳打ちしました。そして……。
「……はうっ!?」
これには楯無さんは驚きと共に徐々に顔を真っ赤にしました。そして、顔を両手で覆い隠すと、恥ずかしそうに俯きました。
「ふふっ……」
一方の刀奈さんは頬を紅くしながらも嬉しそうでした。彼女は愛する夫の為にある事を耳打ちしたのです。それは二人にとって大切な事かつ、互いを……あらやだ、自分は何を言ってるのでしょうか!? だって……。
「うあ〜〜?」
「う〜〜?」
そんな二人を流夏君と春奈ちゃんは不思議そうに見ていました。どうしたの〜〜? と思っているかのかもしれません。でもでも、刀奈さんは二人を交互に見ていますが軽くウインクします。
これは私達夫婦の事よ? 流夏や春奈には未だ早いわよ? と。勿論、刀奈さんは何かに気づいていますが……私もそれは言えません。だって……言え、これは夫婦の問題かもしれませんね?
楯無さんは未だに恥ずかしそうですが刀奈さんは嬉しそうでした。でも、流夏君と春奈ちゃんはお父さんの様子や嬉しそうなお母さんを見てキョトンとしていました。
ともあれ、今日もまた、流夏君と春奈ちゃんはご機嫌いいかどうか判らないのですが、二人はパパとママが何を話しているのかは判らないようですね。
「うあ〜〜?」
「う、にゅ……?」