鮮血のカタルシス   作:ネコ缶

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兄から授かった娘。
真は、育てていけるのでしょうか。


サイファ 後半

俺に向けた兄からの

一枚の《手紙》があった。

 

『拝啓 優秀な弟へ

 

私は、もう、こんな濁りきった

人間世界に、生きたくありません。

御免なさい。裏切ってしまって。

弟を裏切った私は、

地獄に行くのでしょうか。

 

ですが、

こんな、醜い世界より、

ましだと思います。

 

ここで一つお願いがあります。

 

私の娘を、『真』の娘だと

思って育ててください。

無職の私と娘二人を面倒見る

より、楽でしょう。

そして、あわよくば、

 

法の世界から、この世界を

浄化(カタルシス)して、

ください。

 

そして、悪を、

『サイファ』(無に帰すること)

してください

偽善者の兄、修より』

 

 

(兄貴、あんたは間違ってなんかいない

間違っているのは兄貴を殺した、

この世界の方だ‼︎)

 

兄貴の葬式をした。

 

兄貴に治してもらった(?)患者達の多く

 

と、その身内が参加した。

 

でも、みんな、

 

泣いているようだが、よく見ると

 

皆んな兄を嘲笑っていた。

 

(あはははははははははははは

過労でおかしくなってついに死んだか。

まっでも、人殺しの割には私の息子を

治した事くらいは評価するわよ。

あなたが死んだおかげで

息子は生きられる。

《死んでくれてありがとう》)

 

兄は、薔薇だったのだ

不器用ながら、完璧な花(手術)を

咲かせようとした。

 

だが、花びらが堕ちれば、

 

兄も、薔薇もゴミなのだ。

 

息子が助かれば、主治医が

過労死しようが自殺をしようが、

 

関係ない。

 

 

俺は、弁護士ではなく、

 

冷酷な『検事』になろうとした。

 

人は救うものではない。

 

『裁く』ものだ‼︎

 

 

 

『私』は

 

兄の娘を『サイファ』

と名付けた。

 

サイファは、

私の事を本物のパパだと信じていた。

 

だから、サイファに

 

『パパ』

 

と呼ばれるだけ、幸せを感じる

 

一方、

 

兄は絶望しながら死んだ

という事実を思い出してしまう。

 

 

 

サイファが十二歳の時だった。

 

 

 

「パパ、私、

今まで天国にいるママにも

褒めてもらえるくらい

良い子にしてたよ。

だから、遊園地連れってくれるよね?」

 

天国のママ………サイファを産んだ直後死んだ

と説明したが、嘘だ。

許してくれ。

 

私が、良い子、悪い子を

判断できる資格なんて無い。

 

「ああ、約束だ、どこでも良いぞ!」

 

私は、検事として忙しくも、

 

できるだけ、

 

サイファのそばにいようとした。

 

でも、まとまった時間が取れなかったので、

 

私は、サイファとの遊園地を、

 

サイファ以上に楽しみにしていた。

 

 

遊園地は、とても楽しかった。

 

まるで恋人(いなかったが)

 

とデートするような気持ちだった。

 

『パパ、かき氷買って。

パパの好きなやつ。

パパに食べさせてあげるよ』

 

無邪気にすごい事を言うな〜。

 

寂しい思いをさせすぎたのかな?

 

サイファは遊園地で遊びたいのでは

 

無く、私と遊びたいのだ。

 

「パパ、やっぱかき氷はいいや。

 

パパは照れ屋さんだもん。

その代わり、私の事抱いて。

いい子にしてたんだから、

 

それくらいしてくれても、

 

いいよね」

 

私は、サイファを抱いた。

こんな事で良いなら、

いつでもしよう。

 

サイファが親離れするまで。

 

 

「さあ、サイファ、

もう夕方だから、帰って夕食にしよう」

 

サイファは無意識の内に、私の手を繋ぐ。

 

「手を繋いで帰るって恋人みたい」

 

「どこで覚えてきたんだ」

 

「パパがいない時テレビでよく

やってるよ」

 

「そうか、いつも寂しい想いさせて

ごめんな。だから、たまには、

私がカレーでも作ろう。

まずくならないようちゃんと

手伝うんだぞ〜」

 

「パパの手料理だ〜〜やった〜

手伝う、手伝う!」

 

 

 

あたりは少し

薄暗くなってきた。

 

 

やばい、道の影で、

チンピラが三人もいる。

 

「サイファ、パパと約束してくれるかな」

私は小声で話しかける。

「なに?」

サイファもヒソヒソ声になるの。

 

「私たちが道を素通りする時、

あの人達とは絶対に目を合わせたら

ダメだぞ。パパとの約束守れるかな」

 

サイファは頷いた。

 

チンピラは、

目さえ合わせなければ、

なにもしてこない。

 

それは、

人間の心理上明らかと言えるだろう。

 

トコトコトコトコトコトコ

 

チラッ‼︎

 

「オイ!チビガキ!

何見てんだよ‼︎」

 

「パパごめんなさい!

約束破って」

 

サイファが泣き出す

 

「あんた、その検事バッチ、、、検事か?」

 

チンピラの一人が、胸ぐらを掴んだ。

 

「ああ、それがどう、ウグ!」

 

「パパー!」

 

私は、チンピラから鉄拳をくらった。

 

顔が腫れ、

地面に眠りにつくかのように、

倒れこむ。

 

「パパ、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい

ごめんなさい」

 

「黙れクソガキ!」

 

「俺は、検事が大嫌いなんだよ。

クソ検事どものせいでよ〜〜

俺のダチがよ〜未だムショから、

でれねんだよ。

ただババー

跳ねたくらいでよ〜〜

だから、検事見ると

殴り殺したくなるんだよね〜〜」

 

「サイファ逃げろ!!うぐ、」

 

ドゴン、ドゴン、ドゴン………

 

「いやだ、パパを置いてくなんて」

 

 

「くそ、どうか修兄さん

サイファを護ってください」

 

チンピラの手が止まる。

 

助かったのか?

 

「お前、なんで俺の子供ん時の、心臓の

主治医の名前知ってんだよ。

お前は、あの《人殺し》の弟?

殺す‼︎」

 

「うぐグググ」

 

私は首を絞められる

 

「お前の兄貴のせいでよ〜

俺はどれだけ学校で

殺人鬼だっていじめられたと

思ってるんだ。

全部あいつの、

『天雅 修』のせいだ。

俺がチンピラになったのもあいつ

のせいだ」

 

 

薄れゆく意識の中で思った。

 

『運命とはなんて残酷なんだろう』

 

兄はこんな奴を助ける為に、

ボロボロになりがら働いたのか。

何が前途有望な若者だ。

こんな、こんな屑の為だけに

兄は死んだのか?

 

 

(パパ、どうして約束破ったのは

サイファなのに、どうしてサイファじゃなく、

パパが傷つくの?

悪いのは全部私なのに!

 

パパを虐める奴なんて

《死んじゃえば良いんだ‼︎》)

 

「ウギャー」

 

タンパク質の焼けた匂いが一面に

漂う。

 

チンピラ達が、生きたまま焼かれ、

気化している⁉︎

 

サイファの方を見て見ると

サイファの髪の毛が縮んでいた。

 

 

 

サイファがやったんだ。

 

 

 

(昔、読んだ伝説にこんな話があった。

 

 

自身の髪の毛を消費することで、

 

敵の村を一瞬で焼け野原にした

 

少女がいたと。

 

 

現代では、もしそれによれば、

 

特殊相対性理論の、

 

質量とエネルギーは、同値である

 

ということで説明がつく。

 

質量というのは、原子炉同様

 

ウラン原子の微細な質量変化

 

で莫大なエネルギーを得たり、

 

また、

太陽同様、水素がヘリウムに

 

変化する時に、質量変化し

 

その、質量が減少したぶん

 

膨大なエネルギーを、

 

宇宙に撒き散らしているの

 

である。

 

おそらく、サイファは、

 

自分の身体の部位を、

 

核爆弾並のエネルギーに

 

変化させる、

 

一種の『触媒』

 

じみた粒子や細胞やら、

 

科学ではわからない

 

形質的異常を

 

持っているに違いない。)

 

 

『ふふふ、サイファの力で皆んな

消えちゃったね』

 

骨やすすですら残ってはいなかった。

 

サイファが私の方に近づいてくる。

 

私は、逃げも、隠れもしなかった。

 

 

 

サイファは私にキスをしてくれた。

それは、

私やサイファにとって『初めての事』

だった。

 

サイファの唇は、なんて、

人間らしく、暖かくそして柔らかい

のだろう。

 

サイファが一瞬、天使に見えた。

 

「さっお家に帰ってカレー作ろ」

 

サイファは満面の笑みだった。




サイファがついに真を護る為に
暗殺者の芽を
出してしまいました。
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