鮮血のカタルシス   作:ネコ缶

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糸ってハサミで簡単に切れますよね。
人の心も命も所詮、そんなものなの
でしょうか。


制裁 前半

「おい‼︎」

 

僕は、誰かから声をかけられた。

 

僕は、公園のベンチの方を向く。

 

そこには、ホームレスだと思われる

 

五十代くらいのおじさんがいた。

 

僕は、何か悪い事をしたのだろうか?

 

「こんな、人気のない、広い公園で、

 

平日の真昼間、若僧がいったい何をしとるのかのう」

 

「何って、それほどの事じゃ、、、」

 

「いいから座れい」

 

僕は、座り、おじさんと話した。

僕は、おじさんに、

休学中で夜間、アルバイトをしながら

自分探しをしていると嘘をついた。

 

自分探しなんかしてないくせに。

 

僕は、怒られると思った。

 

別の優秀な若僧と比べられ、

 

若いんだから、

大学行け、仕事しろ、とか諭されると思った。

 

だが、おじさんはにっこり微笑むと、

 

「おじさん、実は、

 

一流大学の薬学部出身でな〜〜、

 

今から十年前は、

 

立派な製薬会社の研究者だったんや。

 

だけどな、おじさん、

 

仲のいい同僚に

裏切られてしまって、

結局、

出世の為の道具にされてしまったんや」

 

「どうしてですか」

 

「おじさん、ある時、

そいつに泣きつかれて、

 

『俺、妻が妊娠したんだ。だから、頼む。

俺に、研究データ譲ってくれ。

俺はバカだから、いい成果出せないから

頭のいいお前の力を借りたいんだ。

それで、出世しないと、三人とも、

路頭に迷ってしまう。だから、頼む!』

 

て言われて、三人が幸せになれるならと、

喜んで、おじさんが研究している新薬のデータ

を譲ったんや。

 

そしたら、そいつ、とっても、

嬉しそう

での〜〜。

嬉かった。

本当に、嬉かった。

 

おじさんの存在があいつを幸せに

できたんや。

 

あいつはすぐ出世したから、

おじさんなんかあいつの靴の裏

舐める価値すらなくなってしもうた。

 

でもな、そんなある日

あんな散々、わいにお礼するって言う

て言っていた、あいつがいきなり

 

偉い人連れて

いきなり

怒鳴り込んできてな、

 

『お前、俺の製薬データ盗んだな!

お前のパソコン調べさしてもらう。』

て言われて。

 

ほんで、わいは本当は

違うのに、不正疑惑かけられ、

偉い人に散々怒鳴られて、

結局、退職金も没収されて、

クビになってしもうた。

 

当然、泥棒三流研究者なんか、

ノミみたいな小規模製薬会社

にも相手にされなかった。

 

わいは独身だったのが、

幸いで心中せずに済んだが

 

唯一の友に

裏切られたのは辛かった。

それからというもの、

やる事がなくて、一気に

衰え、とうとう、

白髪になってしまった。

まだ36なのによ〜〜。

 

今では、話し方、見た目

全てジジイだ。」

 

 

 

おじさんは何故か笑っていた。

僕は、沈黙していた。

するしかなかった。

 

何故おじさんが

笑っていられるのか、

理解できなかった。

 

でも、

突然、

笑い終えると、

 

「おじさん先月、

あいつに会いに

製薬会社に行ったが、

あいつは、俺のこと

なんて憶えてすら

いなかった」

 

と小声でささやき

涙を一滴だけ落とすと、

 

「だから、

学問や大学での知識なんて

大したことじゃなくて、

本当に大事なのは、

人を、どう使うか、

どう使用するかなんだ」

 

おじさんは悲しそうに呟く。

 

おじさんが人生で得たものは、

たったそれだけだたのだろうか?

 

僕は、家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とおじさんはそれからというもの、

 

ほぼ真昼、毎日、一緒にいた。

 

話す内容は、ほとんどないけれども、

 

でも、楽しかった。

 

生きているという事を実感できた。

 

だが、ある日、

 

僕が、アルバイトのシフトが変更

 

とかどうとかで、

 

公園に行くのが、

夕方になってしまった。

 

だが、

 

おじさんは、僕と同い年くらいの女性

 

に殺されていた。

 

静寂だけがさまよっている。

 

 

 




次はヤンデレ展開にするつもりです。
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