手を染め、結果、何百もの家族を一家心中へと陥れた、
大企業の重役など、法律では、厳密に裁ききれない
『悪』を裁き殺すときはいつも、相手の情報を覚え、
心に刻み込んでいた。
そうすることで、たとえ死んで、皆忘れても、
存在だけは優香の心に残り続ける。
それが、犯罪者に対する、人間に対する、
優香自身の愛情だった。
優香が『他』の暗殺者と異なり、
相手の命と相手の罪を尊重する事によって
しか手に入れることができない
絶対的な『強さ』を手に入れたのだ。
そんな純白の少女がどうして、
暗殺者になったのだろう。
私は、優香。
私は、夢を見ている。
ママとパパは、
昔は、私を愛してくれていた。
だが、私が10歳になった時、
パパは、会社をクビになって
しまった。
「優香!タバコ買ってこい!
誰のおかげで食っていけると思って
るんだ!」
「お父様のおかげです」
だったら、さっさと買って来い!
バシン!!
私はビンタされ、床に倒れる。
「あなた、いい加減に、、、」
ドゴン!!
ママはパパに殴られ、血を吐きながら
倒れる。
パパがすかさず蹴りを入れる。
ママはいつも、私の身代わり
になってくれる。
ママを、守りたい。
でも、ママがいるから、
私は暫くの間、殴られずに済む。
ママが痛いとき、私は救われる。
ママがずっと痛ければいいのに。
違う!
ママは私が守る。
私が昔の、幸せな生活に
パパとママを戻すんだ。
この頃の私は、幼すぎて、
『精神の痛み』というのが、
鈍いが、『肉体の痛み』と比べて
どれほど長く、苦しいのか
今ほど理解できなかった。
私は、急いてタバコを買いに行く。
そんな辛い生活が半年続いた頃だった。
夕食時
「このシチューまずいぞ!」
パパがお椀を投げた。
ガッシャーン!
お椀が台所の食器棚に
ぶつかり、弾け飛ぶ。
「ごめんなさい。許して」
『母』は土下座し『父』に謝る。
「許さねーよ」
父は母をボロ雑巾のように蹴る。
「マジーんだよ、クソ」
「許して、お願い………」
シチューは、三人の大好物で
以前まで、怒らず、食べていて
くれたのに。
『終わった』
もう二度と、三人の幸せな生活は
取り戻せない。
倒れてガラスまみれになった
食器棚に『包丁』が埋もれていた。
私はそれを持つ
『死ね』
私は、父を刺した。
これで、母を守れる。
「グハ、、、。
この、クソどもが、
誰のおかげで、、、グバ!」
私は、父を刺して刺して
刺して、、、刺した。
あたりが真っ赤になるまで。
だが遥かに綺麗な光景だった。
私の、純黒の心と比べて。
「ママ〜〜」
私は、ママに近づく。
褒めてよ。
私は、ママを護ったんだから。
ママは何故か私から逃げる。
「な、なんてことを!
来ないで悪魔!そう、
あなたは私たちの娘じゃなくて
『悪魔』
だわ。あなたがいたら
あなたがいたから
パパもおかしくなったんだわ」
どうして?
さっきまで、
二人で仲良く、シチュー作ってたじゃない。
あの笑顔は嘘だったの?
そうか。
この世界すべて『偽物』なんだ。
私は母の首を削ぎ落とした。
気持ちよかった。
みんな、偽物、、、。
優しい顔してるが皆んな、
嘘。
みんな、、、
「死んじゃえーーー‼︎」
私は、半狂乱のまま
包丁を振り回し、
外に出た。
だが、たまたま
近くの交通事故の取り調べをしていた
警官に捕まってしまった。
「離せ、殺す!みんなあーーーー!
返せ!優しかった時のパパとママを‼︎」
私は、児童養護施設【自動養護施設】
に入れられた。
そこは、犯罪を犯した児童を擁護
ではなく、
『監視』する場だ。
殆ど、監視付きの牢獄と同じ。
皆んな、大人たちは毎日、
何も考えず、同じ動きをし
餌を与えるだけ。
毎日、毎日同じ動き。
子供は犯罪者だろうと
そうでなかろうと、
大人だろうと
『機械』と同じ。
大人は子の表情から
子の感情を考察する
のではなく、
『モニター』を見るだけだ。
『人間は考える葦である』
違う。
誰も、何も考えちゃいないんだ。
道徳、倫理観、感情
何も考えてない。
何も考えない、
脆くて儚い『葦』
皆んな偽物なんだ。
だが、半年ほどしたら
奇跡という名の出逢い、
が起きた。
『考える葦』に、
出逢ってしまったのだ。
「お父様」
無意識だった。
看守の隣にいた、
スーツ姿の男性が、
昔の、優しかったパパに
似ていたからだ。
「貴様、私に話しかけたのか」
「うん」
「いけませんよ。天雅 真 様
(テンガ シン)
ここでは、檻の中の幼児に、
むやみなたらに話しかけては、
うわ!」
看守が怯え、尻餅をつく。
私が睨んだからだ。
「ほう、
殺意が滲み出たいい目をしている。
お前は、どうして、煉獄に来てしまったのだ」
「両親をパパとママを殺した」
「パパは嫌いだったのか?」
「ううん、パパもママも今でも、
『大好き』だよ」
私は、真に向かって微笑んだ。
『じゃあ何故殺した』
「二人とも悪い事したから………」
「そうか」
真は看守に私を出すように命令する。
「どうしてですか天雅 様?
この子は残虐非道で、、、」
「うるさい。
私の力を持ってすれば、
お前ら看守など、全員
路頭に迷わせることもできるんだぞ」
再び真は私の方を向く。
「名前はなんというのだ?」
「優香、
天宮 優香」
「優香………。お前らしく
優しい名だ」
「優しい?私は『悪魔』だよ」
「違う。お前は、大好きな両親
が罪を犯したから、
罰したのだ。
大好きな人間の道を直し、
導くには、優しく愛情がなければ
ならない。
私とともに『偽りのよどんだ社会』
を、『正しく優雅な社会』へ、
創世し直さないか?
私が、いや、私ほどの小心者
が、
優香のパパの代わりにはなれんだろうが
私なら、いつでもそばにいてやれるから」
私は、真というパパの手を握った。
私は、それから、一般人の知らない
警察の特殊部隊『ゼロ』
ゼロは、暗殺部隊で、
本来は発動させたくなく
『ゼロ』パーセントの
活躍というのと、
ターゲットを油断させるため、
(か弱そうな、)
若い女性である資格があった。
つまり、男子『ゼロ』パーセント
というのと、最後に、
ターゲットを殺し損ねた
暗殺者は、裏切りとみなされ、
組織全体で裏切り者を、
『暗殺』する。
つまり、生息率『ゼロ』
これらの意味の複合体が
暗殺組織 ゼロ なのだ。
私は、ゼロで徹底的な
『教育』を受けた。
働かず何も努力せずに悪知恵を働かせることで、
生きることが
できる人がいる一方で、何人もの
優秀な人々が熱心に働いてるのに、
いつまでも、いい暮らしができない、
貧しい人もいる。
なんで?
どうして優秀な人が、
くだらない会社の理由で解雇され、
そして、家族のために、交通事故
という名目の『自殺』をして、
家族の、未来のある家族の為に、
生活費のために、『死亡保険金』
を作るのだろう。
どうして、そんな愛情深い人が
死んじゃうのに、いつも、遊んでる
自由気ままなニートが生き残れるの?
ニートなんか、悪なんか、
死ねばいいのに。
そう思いながら、首を締めて沢山の
人を殺した。
でも、
それでいいの?
私は、
パパの期待に応えるため、
私の嫌いなニートに制裁を
与えるため、
努力し、努力し、努力し、
、、、。
そして、ついには
100人いるゼロの中で、
ナンバー2の暗殺者になり、
『鮮血のカタルシス』という
称号が得られるほど
強くなった。
だが、ニートの全ては、
『悪』なの?
いじめられてニートに
なった人もいるのでは?
私見たく、地獄から這い上がれた
人もいるのでは?
『所詮、世の中こんなもん』
殺した父がよく言っていた。
私は、悪を根絶やしにするという
目的を建前に、
悪が広がる草原の中、
必死で生きてる善という名の葦
ですら、
根絶やしにしてしまっているのでは?
『ふふふ、所詮、世の中そんなもの』
私は、自己満足のために人を殺す。
そいつは、善かもしれないし悪
かもしれない。
ぎゅーーー
私は、またニートを殺す。
「はあはあ、優香、どうして、
苦しい、優香、、、、、」
私は、
目がさめる。
私は、護ると決めた、
健一くんの首を締めていた。
「ごめんなさい」
私は手を健一くんから話す。
「ゴホ、ゴホ。大丈夫。
気にしなくて、大丈夫だから」
ごめん。
恐らく、健一くんは
早く寝た私が、心配で、
様子を見に来てくれたんだ。
無意識でも、そんな健一くんを、
殺そうとするなんて、、、。
私こそ悪なんじゃない!
健一くんは私が生かそう。
次から、優香と健一が協力し、生きる為に
戦う物語をスタートさせる予定です。