鮮血のカタルシス   作:ネコ缶

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飛躍

「健一くん、ケガは大丈夫?」

 

「ああ」

 

「ごめんね、私のせいで怪我させちゃって」

 

「優香のせいじゃないさ」

 

私のせいなのに、

全部、私が悪いのに。

優し過ぎる。

 

私は座っている健一くんに、

手を差し伸ばした。

 

「これからお父様に、

あなたを生かす様に

お願いしに行くから、

一緒に行こう」

 

「僕は、他人の

許可が無いと

生きる事が

できないのか、、、

 

昔から、ちっとも変わっていないんだな」

 

健一くんは

また可哀想な表情をした。

 

「違う!」

 

健一くんは、いきなり大声を出した

私に驚く。

 

「間違っているのは、

 

お父様のほう。

 

お父様は、優秀だけど、

 

間違える事だってあるわ。

 

だから、

 

私たちが、説得して、

 

間違えを、教えてあげれば

 

いい。

 

正してあげればいい。

 

だから、一緒に行こう」

 

 

 

 

「分かった」

 

 

 

健一くんがやっと腰

をあげてくれた。

 

健一くんの手は柔らかくて

気持ちがよかった。

 

これが、生きているって事なんだ。

 

「私たちの基地は、

ここから、北へ100キロ先にある

山奥の大きな研究所」

 

「電車とかバスで行くの?」

 

「違うよ」

 

私は、健一くんにグッと顔を近づけた。

 

「歩いて行くの。

だって、私たちは命を狙われて

いるのに、公共機関に乗ったら、

相手に居場所が特定されて、

殺されちゃうよ。

第1、電車なんて乗ったら、

逃げ場が無いじゃない。

それじゃ、(はぁはぁ)

 

あなたを護れない」

 

(僕の顔に優香の吐息がかかる。

甘い匂いを醸している優香は、

僕のことを、艶かしい表情で

見つめる。

 

ーーあなたが欲しいーー

 

そう心の中で叫んでいる様だった。

 

可愛い

僕は、そう感じた。)

 

 

「分かったよ」

 

健一くんはなぜか嬉しそうだった。

 

ひょとして、私と、

歩いて行動できる事に

興奮したのかな?

 

 

 

私たちは、歩いて北へ

向かう事にした。

 

 

私たちは、歩いて、

歩いて、歩きまくった。

 

「はあはあ、優香、疲れないの?」

 

「大丈夫よ。疲れたの?

おんぶしてあげようか?」

 

「いいよ。まだ歩けるから」

 

「そう。でも、

疲れたらいつでもしてあげるから」

 

 

そうこうしているうちに、

 

もう夜になってしまった。

 

静寂に包まれる。

 

星が綺麗だった。

 

 

木のほとりで野宿する事にした。

 

夕食は、健一くん家から

持ってきた非常食で間に合うみたい。

 

「食べないの?」

 

「大丈夫、私は慣れているから。

それより、遠慮せずに食べて?

これ以外、安全な食べ物はないから」

 

そう、私は、組織を裏切った。

 

だから、お父様を説得するまで、

 

どんな手段で殺してくるかわからない。

 

ひょとしたら、

 

お店の店員に化けて、毒入りの食べ物を

 

食べさせられてしまうかもしれない。

 

いずれにせよ、他人は、信用できない。

 

 

「ハクション!」

 

私は、いきなり出た音に驚く。

 

「風邪引いちゃったの?」

 

私は、健一くんが半袖で、

 

寒そうな格好をしているのに

 

気がついた。

 

「そうみたい」

 

「はあー、仕方ないなぁ〜

じゃあ、私の下着貸してあげるから、

これ着て」

 

私は、下着を脱いで渡した。

 

「やめておくよ」

 

「どうして?私の好意が受け取れないの?

そんな悪い子とは、寝てあげないよ」

 

私は耳元でささやいた。

 

誰も訪れないであろう木陰の下、

 

私は、

健一くんに何をやっても自由なんだ。

 

「着ればいいんでしょ、着れば!」

 

健一くんは、私の下着を着てくれた。

 

 

健一くんは小さいから、

なんとか着れたみたい。

私の匂いの染み付いた下着。

 

私は、いつからそんな趣味を持って

 

しまったのだろう。

 

「キャハ、大好き」

 

私は、木陰の下で健一くんを抱いた。

 

というより、包み込んだ。

 

「へへ、私が、暖めてあげるよ。

今日は私のおっぱいを枕にして

寝ていいよ」

 

私は、女の子座りをしながら、

呟いた。

 

もしかしたら、こんな事して、

 

拒絶されちゃうかもしれないって

 

思ったけど、

 

しばらくしたら、

 

気持ちよさそうに

 

寝ちゃった。

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

私は、ずっと起きていた。

健一くんが誰かに寝ている間に、

殺されない様に。

 

私は、健一くんの頭を撫でながら、

考え事をしていた。

 

私は、悪い人や社会の役に立たない人

を沢山殺したのに、どうして、

自分の好みだけで、主観だけで

 

生かす人、殺す人を決めているのだろう。

 

私は、沢山の人を殺してきた宿命

と共に、

 

 

健一くんも殺さなければいけないのではないか?

 

私は、ただ優秀なお父様に

責任を擦り付けて、

 

罪から目をそらし続けているだけじゃないのか?

 

 

そうか、私は、この人を殺せば、

また、お父様に褒めてもらえるんだ。

そうしたら、

 

死んじゃおうか。

 

 

私は、健一くんの首元に手を伸ばす、

私たちは、いきてちゃいけないんだ。

 

一緒に死のう?

 

だが、私は、彼の可愛い寝顔を見てしまう。

 

殺せない。

 

もっと、私のことを好きになってほしい。

 

もっと私という存在を、

刷り込みたい。

洗脳したい。

 

 

私は、ただ健一くんを見守る事しかできなかった。

 

次の日

 

「おはよう、健一くん。私のおっぱい

気持ちよかった?」

 

「うん」

 

少し赤くなりながら頷いていた。

しばらくすると、

思い出した様に、

 

健一くんは、

着ていた私の下着を返してくれた。

 

「さて、残りあと三分の一、

あと、もう少しだよ」

 

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