牌に愛されし少年   作:てこの原理こそ最強

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第12話

やはり朝とは辛いものでホントに布団から起き上がるのがツラい…別に夜更かししているわけじゃないのになぜこんなに朝起きれないのだろうか…目覚ましをかけたところでそれを何度も止めてはまた眠りについてしまう

 

「……くん

 

朝に弱いのは死ぬ前からそうだったけど、生まれ変わってまでこんなに弱いとはな…

 

「…くん

 

今や目覚まし三個もセットしてるのに…

 

「翔くん!」

 

「んぁ…あぁ、美穂子さん…?」

 

「もう、やっと起きた。もう朝ごはんできてるよ」

 

「ふぁ〜…ありがと。あれ、でも今日って日曜だよな」

 

「だからって遅くまで寝てることないでしょ?ほら、起きた起きた」

 

「わかったよ」

 

できれば日曜ぐらいゆっくり寝かせて欲しいんだけどね…ってオレはオヤジか!まぁこんな風に美穂子さんがよく起こしにいてくれるおかげで今のところ学校には皆勤賞だ

 

「お、やっと起きたか」

 

「おはよう、父さん」

 

「あぁ、おはよう」

 

リビングに行くとそこでは父さんが本を読んでいた

 

「はい、翔くん」

 

「ありがとう」

 

「美穂子ちゃん、すまないね。うちの息子がいつも迷惑かけて」

 

「いえ」

 

「母さんは?」

 

「福路さんの奥さんと一緒に出かけたよ」

 

「そっか。美穂子さんはどっか出かけたりしないの?」

 

「私はこれから部活」

 

「あぁ、もう最後の大会だっけ」

 

「うん」

 

美穂子さんは学校で麻雀部に入っていてそろそろ最後のインターミドルが始まるんだった。これが美穂子さん達三年生達にとって中学生最後の大会だ。できれば知り合いには多く勝ち抜いてほしいな

 

「そっか。頑張ってな。応援してるよ」

 

「翔くん…うん!」

 

美穂子さんはオレの言葉に満面の笑みを浮かべてキッチンに戻っていった

 

「そうだ、翔」

 

「ん?」

 

「今度父さんお得意さんと話し合いがあるんだ。それについて来てくれないか?」

 

「へ?なんでオレが?」

 

「そこのお嬢さんが麻雀をするそうでな。オレ達が話し合いをしている間、お前にはお嬢さんの相手をしてほしいんだ」

 

「う〜ん。まぁいっか」

 

「すまんな」

 

父さんの言い方からするにそのお得意様は相当なお金持ちの家みたいだ。そんで長野で大金持ちの娘が麻雀するってなると、想像するにあそこだろう…

 

オレは美穂子さんが用意してくれた朝ごはんを食べて自分の部屋に戻った。するとオレの携帯に連絡が入った。その画面には『怜』とあった

 

「もしもし、怜か?」

 

『お〜、久しぶりやな〜』

 

「いや、先週も電話で話したじゃんか」

 

『そうやったかな〜?まぁええわ』

 

相変わらず怜は適当だな

 

「それで?どうした?」

 

『いやな、うちも今年で中学生最後やん?』

 

「そだな」

 

『そんで次は高校生になるんよ』

 

「それぐらいわかるわ」

 

『なのに翔は会いに来てくれへんのかなーって思ってな』

 

確かに最後に会ってから大分経つけど、そんな気軽に行ける距離じゃないんだよ

 

『さらに言うと、竜華がそろそろやばいで…』

 

「竜華さんが?」

 

『この前「翔くんが来ないならうちが会いに行く!」なんて言って、ホントに旅行の用意しとったで』

 

「…マジでか」

 

竜華さんはどうしちゃたんだ…?

 

『だからできれば高校生になる前に一回こっち来てくれへん?そろそろうちも寂しいわ〜』

 

「あぁ〜…そうだな。でも悪いんだがおそらく行くのは年明けになりそうなんだ」

 

『そうか…まぁしゃ〜ないな〜』

 

「すまんな」

 

そして年明けの春休みを使って大阪に訪れる予定を立ててしまった。だが電話はそれだけで終わるわけもなく、それから小一時間電話を続けた

 

 

 

 

そして次の週の日曜日、オレは父さんと共に超豪邸のめちゅくちゃでかい門の前に立っている。そしてそのめちゃんこおっきい門が少し開いてそこにはタキシードに身を包んだ一人の男性が立っていた

 

「お待ちしておりました、菊池様とそのご子息様。私はこちらで執事をしております、萩原と申します」

 

「どうも、菊池です」

 

その人は背も高く気品に満ちた雰囲気を醸しだている。その人は萩原と名乗り、原作でも出てきたあのハギヨシさんと同じ名字である。どうやらハギヨシさんのお父さんらしい

 

「お待ちしておりましたわ!」

 

すると萩原さんの後ろからそんな甲高い声が聞こえてきた。そこには日傘をさしてもう片方の手を腰に当てて立っている女の人がいた

 

「こちらはこちらのご当主のお嬢様、龍門淵 透華(りゅうもんぶち とうか)お嬢様でございます」

 

「あなたが菊池 翔さんですわね?」

 

「え、は、はい…」

 

「ようこそ、菊池 翔さん。わたくしはあなたを歓迎しますわ」

 

「ど、どうもです」

 

さすが龍門淵 透華さん、原作でも見てたのと全く変わらないな

 

パチン!

「ハギヨシ」

 

「はっ!」

 

「おわっ!」

 

龍門淵さんが指を鳴らすとどこからともなくこれまたタキシードに身を包んだ萩原さんに比べると背は低い、原作に出てくるハギヨシさんが姿を現した

 

「翔さんをご案内してさしあげて」

 

「かしこまりました、透華お嬢様」

 

オレは父さんと別れてハギヨシさんに着いていった

 

なんか高そうな花瓶やら壺が左右にある長い廊下を進み案内された部屋、部屋というよりもう大広間と言った方がいいかもしれないところには龍門淵さんの他に四人いた

 

「へぇ〜、そいつが」

 

「純くん、そいつとか言っちゃダメだよ」

 

「ようこそ」

 

オレの記憶が正しければ井上 純(いのうえ じゅん)さん、国広 一(くにひろ はじめ)さん、沢村 智紀(さわむら ともき)さんだ

 

「遥々大義」

 

そしてその隣では腕を組んで仁王立ちしているちっちゃ…小柄なひとが天江 衣(あまえ ころも)さんだ。やはりオーラでわかる…天江さんは別格か…

 

「ではまず自己紹介をしましょうか。わたくしは龍門淵 透華と申します」

 

「沢村 智紀」

 

「国広 一だよ」

 

「俺は井上 純だ。そんでこっちのちっこくて子供みたいなのはのが天江 衣だ」

 

「こどもじゃない!ころもだ!それにころもがいちばんお姉さんなんだ!」

 

「ど、どうも…菊池 翔です」

 

オレは頭を下げて挨拶をした

 

「さて、自己紹介も済んだことですし、さっそく始めましょうか」

 

龍門淵さんはそこにある麻雀卓に片手を置いてそう言った

 

「そうだな」

 

「誰から入る?」

 

「公平にじゃんけん」

 

「ころもははいるぞ!」

 

「じゃ、じゃあオレが抜けますよ」

 

「何をおっしゃいますか!あなたと打つために来てもらっているのにあなたが抜けてどうしますか!あなたは交代禁止ですわ!」

 

「え…」

 

麻雀とは一局やるだけで相当な集中力を使う。なのにこれから何局やるかわからないのに交代なしときた…しかも相手はあの龍門淵高校に入る方々だ。疲れそうだな

 

「じゃあ僕が抜けるよ」

 

「私も」

 

最初は国広さんと沢村さんが抜けるようだ

 

「いいのか?」

 

「それではお先に」

 

「さぁ!楽園の境地を楽しもうぞ!」

 

原作を見たときも思ったが天江さんの言ってることはわかりづらいな

 

「よろしくお願いします」

 

オレも三人に続いて卓についた

 

 

 

 

 

 

「うわぁ」

 

「異常」

 

対局が終わると後ろでオレの打牌などを見ていた国広さんと沢村さんがそんな声をあげた

 

「ころもの…まけ…」

 

「…マジかよ」

 

「ありえませんわ…」

 

対局していた三人もそんな覇気のない言葉を発する

 

「ふぅ〜」

 

「菊池くん、すごいね」

 

「翔でいいですよ、国広さん。みなさんも翔と呼んでください」

 

「そっか。僕のことも一でいいよ」

 

「わかりました」

 

「わたくしのことも透華でよろしくてよ?それよりも、一体なにをしましたの?」

 

「いえ、何もしてませんよ」

 

「なら、ころもの力は通じないのか?」

 

「そんなことなかったですよ。でも今回は井上さんがいてくれたのでうまく回避できました」

 

「純でいいよ。だからか、なんか今日はよく鳴ける牌が多いと思った。なんだよ、いいように使われてたのか」

 

最初の対局はオレが制した。まぁ原作からみんなの能力は分かっていたから天江さんの海底コースなら純さんが鳴けそうな牌を推測してズラし、その間にオレは和了りを連発した。まぁまだ昼間だから天江さんも本気ではないだろうし、それに透華さんが()()()()()()よかった

 

「しょーは…」

 

「ん?」

 

「しょうはころもとまーじゃんを打てて楽しいか?」

 

「もちろん!」

 

少し不安そうな顔をする天江さんにオレは笑顔でそう答えた

 

「じゃあ次は僕も入れてもらおうかな」

 

「私も」

 

「ころもはここだ!」

 

天江さんはオレの膝の上に勢いよく飛んできて座った

 

「天江さん…?」

 

「衣!翔さんがご迷惑でしょう!」

 

「ころもの方がおねえさんだからいいんだ」

 

どんな根拠だよ…まぁ軽いからいいけど

 

「透華さん、オレは大丈夫ですから」

 

「翔さんがそうおっしゃるなら」

 

「うむ。しょー!ころもはしょーよりお姉さんだからころものことはお姉さんと呼ぶのだ」

 

「はぁ…じゃあ衣姉さんと呼ぶな」

 

オレはそう言いながら衣姉さんの頭を撫でた

 

「な、撫でるな〜」

 

「いいじゃないか。姉義弟(きょうだい)のスキンシップだよ」

 

「そ、そうか。ならば致し方ない♪」

 

その後衣姉さんは撫でられるのが気に入ったのか他の人の番のときは自分でオレの手を頭に乗せていた

 

それから三、四局したところで父さんがきた。時間は既に六時を過ぎていたので夕飯に誘われたのだが母さんが家で待ってるから今日のところは変帰えることになった。衣姉さんは泣きそうな顔をしていたが頭を撫でながら「また来るから」と言ったらパーッと笑顔になり手を振って見送ってくれた

 

「どうだった?」

 

「ん?楽しかったよ。ちょっと疲れたけど…父さんは?」

 

「あぁ、バッチリだ」

 

「ならよかった」

 

父さんも成功しオレも楽しかった1日が終わった

 

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