牌に愛されし少年   作:てこの原理こそ最強

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生まれ〜小学生
第1話


ー5年後ー

 

オレはてっきり中学生ぐらいに転生されるのかと思っていた。でも…でもまさか、()()()で転生させられるとは思わなかった。体は赤ちゃんでも中身はこの前まで大学生だったんだぞ!?授乳のときとかオムツ変えられるときとか恥ずかしくて死にそうだったよ!

 

オレの名前は“菊池 翔(きくち しょう)”と名付けられ、兄弟はなし。父さんと母さんは共働きだ

 

転生先は岩手にある山奥の小さな村だった。そこは生前に住んでいたところとは全然違い静かで人口も少ないから村のみんなが知り合いみたいになった。特にそこにはオレと同年代の人は少なくて、隣の家に住んでいる二つ上の女の子とよく遊んでいた

 

『しょ〜お〜ちゃ〜ん!あ〜そ〜ぼ〜!』

 

噂をすればその女の子が遊びの誘いにきた。少しいたずらするか

 

「…」

 

『あれ〜?しょうちゃ〜ん!あそぼ〜!』

 

「…」

 

『いないのかな〜』

 

玄関の外で端から端を行ったり来たりしている影を見てオレはおもしろく感じる。でもそろそろ返事してやろうかな

 

ガラガラ

「あー!しょうちゃんいたー!」

 

「おっす豊ねぇ」

 

そこにいたのは白のワンピースに身を包み長い黒髪をした小学生にしては身長が高い女の子、姉帯 豊音(あねたい とよね)だ。会った初っぱなで弟に任命されてしまい、それ以来“豊ねぇ”と呼んでいる

 

「しょうちゃんヒドいよ〜。なんですぐでてきてくれなかったの〜?」

 

「ごめんごめん。少し意地悪してみたくて」

 

「むぅ〜。いいも〜ん。しょうちゃんのおかあさんにいいつけるも〜ん」プクッ

 

豊ねぇは頰を膨らまして怒ってしまった

 

「あぁ…それはしないでほしいかな…ほら、これで勘弁して」ナデナデ

 

「ん〜♪もう、しょうがないな〜♪」

 

機嫌は治ったようだ。豊ねぇは怒ってもこうすれば大概はどうにかなる

 

「じゃああそぼ!」

 

「いいよ。今日は何しようか?」

 

「そうだな〜」

 

この村にはゲーセンみたいな娯楽場がないので、遊ぶとしたら公園や学校の校庭、あとは家の中でしか遊ぶところがないのだ

 

その後豊ねぇが「きょうはおうちのなかであそぼ!」って言ったので家でトランプやかくれんぼをして遊んだ。結果は豊ねぇの惨敗。てか一回も勝っていない。オレは転生の特典で頭の回転がバカみたいによくなっちゃってるから、トランプでは相手の目線からどこにババがあるか分かっちゃうし、かくれんぼはころころ隠れる場所を変えていたのでまったく見つからなかった。最終的に見つからなくて豊ねぇが泣き始めたからかくれんぼは中止になった

 

「ただいま〜」

 

「あ!しょうちゃんのお母さんだ!おかえり〜」

 

「あら豊音ちゃん。いらっしゃい」

 

「おかえり」

 

「翔もお出迎えありがとう」

 

遊びがひと段落したところで帰ってきたのはこの世界でオレを生んでくれた母さんだ

 

「急いで夕飯作るね。豊音ちゃんも今日は食べていきなね」

 

「やった〜!」

 

「ボクも手伝うよ」

 

オレは今は5歳だけど生前でも料理はやっていたので全然できる。最初はまだ危ないからとなかなかやらせてくれなかったけど、このごろは包丁以外はやらせてくれるようになった

 

「ならわたしもおてつだいする〜」

 

「あら〜嬉しいわ〜」

 

オレに続いて豊ねぇも手伝うと言い出し、今夜はみんなで料理をした

 

その後父さんも帰ってきて、姉帯家のご両親も一緒に夕飯を食べた

 

 

 

夕飯を食べ終わった後は恒例の()()が始まった。最初はうちの父さんと豊ねぇのお父さんと近所のおじちゃん達がやっているのを外から見ているだけだったが、今は大人に混じって入っている。ちなみに豊ねぇもだ

 

「じゃあ今日は誰から入る?」

 

「私片付けあるからお先どうぞ」

 

「ボクもお母さんの手伝うから後ででいいや」

 

「そうか?じゃあ先にやらせてもらおうかね、豊音ちゃん」

 

「うん!しょうちゃんありがとう!」

 

オレと母さんは夕飯の後片付けをやるため、最初は父さんと豊ねぇ、豊ねぇのお母さんとお父さんでやることになった

 

「ポン!」

 

食器を洗っていると豊ねぇのそんな声が聞こえてきた

 

「豊ねぇ始まったかな?」

 

「そうね。豊音ちゃんのあれは厄介なのよねぇ…」

 

「ポン!」

 

豊ねぇは既に原作の能力に近いものを持っていた。まだ全部ではないがその中の“友引”はよく使っている

 

「チー!」

 

友引はポンやチーをしまくって裸単騎をわざと作りツモって和了るというものだ。最初見たときの親達の反応は余裕そうなものだったが何回もになるとそれはそれは表情は一変していた

 

「チー!」

 

オレと母さんは豊ねぇがちょうど裸単騎になったところでその場に戻った

 

「ぼっちじゃないよ〜」

 

この言葉もこのころからあったのか。そして次に豊ねぇが山から牌をツモると

 

「お友達が来たよ〜。ツモ!1000・2000」

 

「やられた〜」

 

豊ねぇが友引をやり遂げ、どうやら父さんが親っかぶりらしかった

 

「さて、誰が抜けようか」

 

「しょうちゃん入っていいよ!わたしちょっとトイレ!」

 

「わかった」

 

「じゃあ奥さんはこっちに。わたしが抜けますから」

 

「すいません」

 

豊ねぇとオレが、豊ねぇのお母さんと母さんがそれぞれ変わった

 

「さて、今回は負けないぞ?翔くん」

 

「悪いけど今回もボクが勝つよ、おじさん」

 

豊ねぇのお父さんがオレにそう言ってきたのでオレも言い返す

 

「でもマジで天和とかはやめてほしいな…」

 

「ほんとよね〜。どんな確率よ…」

 

オレの両親が言っているのは事実で、オレは麻雀をやり始めてからなぜか役満で和了る確率がめちゃくちゃ高い。これも転生んお特典のおかげなのか…でもオレ麻雀の能力に関しては何も言ってないんだけどな…

 

ルール確認をして最初の親が決まり勝負が始まる

 

「じゃあオレの親からだな」

 

最初の親は父さんからだ

 

ちなみにオレの配牌はこうである

{一筒一筒一筒九筒九筒一萬一萬九萬九萬九萬一索一索東}

わぉ…清老頭(チンロウトウ)まっしぐら…

 

父さんは 西 を切って次がオレの番だ

 

オレは山から牌をツモる。ツモったのは{一索}……みなさんごめんなさい。オレはそう思いながら{東}を切る。もちろんダマだ

 

オレの次は豊ねぇのお父さん。牌をツモって手牌から一つ切った。それを見たオレはすかさず宣言する

 

「ロン」

 

「「「っ!」」」

 

オレの声に3人はビックリする。そりゃそうか

 

豊ねぇのお父さんが切ったのは{一萬}だった

 

「清老頭で32000ね。おじさん飛び」

 

「…マジか」

 

「翔…お前ってやつは…」

 

「私一回もツモってないんだけど…」

 

3人は驚いている。母さんはその感想でいいの?

 

「ただいま〜。あれ?お父さんどうしたの?」

 

そこへ豊ねぇが帰ってきた。豊ねぇは愕然としている豊ねぇのお父さんに声をかける

 

「ははは…お父さんまた負けちゃったよ」

 

「そうなの?かったのはしょうちゃん?」

 

「そうだよ」

 

「そっか!やっぱりしょうちゃん強〜い」

 

「うわっ!」

 

結果を聞いてなぜかご機嫌になった豊ねぇはオレに抱きついてきた

 

「豊音は本当に翔くんが好きね」

 

「うん!わたししょうちゃんだ〜いすき!」

 

子どもは純粋だと思いながらも内心嬉しいのは秘密だ

 

その後交代しながら何局か打ったところでお開きとなった。ちなみにオレは全勝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー2月ー

 

年も明け雪も降っている今日、オレは父さんの仕事の都合でこの村から離れることになった。1ヶ月ほど前にこのことを聞かされたときは悲しかったけど、親の都合じゃ仕方ない。それよりもこのことを豊ねぇに話したときの方がヤバかった。もうワンワン泣いちゃって…宥めるのにすげぇ時間がかかった

 

そして今、家具とかはもう引越し屋さんが持って行ってしまったので家の中はもぬけの殻だ。その家を外から眺めている

 

「長い間、お世話になりました」

 

父さんがそう言った。オレも5年間だけではあるがここに住んでてよかったと思う

 

家に挨拶し終えて呼んでおいたタクシーに乗ろうとするとそこには村中のみんなが集まっていた。そこには豊ねぇの姿もあった

 

「しょうちゃん!また会えるよね!?」

 

「あぁ。必ず会えるよ」

 

「わたしのことわすれないでね!」

 

「忘れるわけないじゃんか。オレの姉さんだぞ?」

 

オレはまた泣き始めた豊ねぇの頭を撫でながらそう言う

 

「翔ー。行くよー」

 

「はぁい」

 

母さんに呼ばれ一度振り向き、最後の挨拶をするために豊ねぇの方を向こうとすると

 

チュッ

オレの頰に柔らかい感触がした

 

「またね!しょうちゃん!」

 

「…あぁ!またな、豊ねぇ!」

 

目元に涙を浮かべながらも笑顔でそう言ってくれる豊ねぇ

 

そしてオレはタクシーに乗り、父さんの転勤地の“鹿児島”へ向かった

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