評価の方はいいのか悪いのかイマイチわかりませんが、これからも不定期ながら更新していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします!!!!
変な汗をかきつつ隣にいる咲に恐怖しながら観戦室の席に座る。そこでも隣には咲が座り、汗は絶えることなくこれでもかってほど出ていた
「翔さん、大丈夫ですか?」
「へ?だ、大丈夫でござんす」
「ござんす?」
もう和の方を見ずに自分が何を言ったかさえわからない…
「…翔くん」
「ひゃい!」
そんな中、咲がオレのことを呼んだ
「もう大丈夫だから。ね?」
「そ、そうか」
その言葉を聞いて安心したオレは背もたれにもたれかかる
「ふふっ、翔くんすごい汗」
「仕方ないだろ」
「でも、原村さんだけじゃなくて…私のこともちゃんと見てね?」
咲は肘置きに置いてあるオレの手の上に自分の手を乗せてオレの顔に自分の顔を近づけてきた
「咲?」
咲の顔はどんどん近づいてくる。ダレカタスケテー!
「何をしているんですか…?宮永さん…?」
「え…わっ!ごめん、翔くん!」
「お、おう…」
和が声をかけてくれたおかげで咲は正気に戻った。よかった…
「咲も意外と大胆ね」
「うぅぅぅ…」
咲は顔を真っ赤にして俯く
「ほら、対局が始まるよ?」
染谷先輩の声でみんなは画面に目をやる。既に他の三校は来ていて優希が最後に宅に座った
ビー!
『県予選団体戦第一回戦、開始です』
『ついに戦いの火蓋が落とされました。東家は清澄高校の片岡 優希』
合図のブザーとともに対局が開始され、実況の人も熱が入る。さて合宿の成果は出るかな?
ー東一局ー
優希の配牌は
{二索五索七索九索四筒赤五筒八筒八筒七萬七萬九萬東東北}
となった
「うわー、あいつすげぇな」
「いけそうね」
確かに配牌からいい手ができそうだ。ホントに東場には好かれてんな
「ポン」
{東東横東}
優希はいきなり下家の切った{東}を鳴いた
『おっと、清澄。いきなり鳴いてきましたね』
『えぇ』
今の声は藤田プロか。そういえばここの解説者だったな
「カン」
優希は二巡目にツモった{東}でカンした。槓ドラは{八筒}で優希にドラが二つのった
「チー!」
そして上家が切った{六筒}を鳴く。三巡目にして親ッパネ確定だ
「ロン。親ッパネで18000だじぇ!」
下家が切った{八索}で和了った
『いきなりの親ッパネ炸裂。清澄高校、幸先のいいスタートですね』
『えぇ、まぁ。まだ始まったばかりなので』
『そ、そうですね』
解説する気あんのかね
その後も優希の快進撃は続いた
ー東一局 一本場ー
「ツモ!2100オール」
ー東一局 二本場ー
「ロン!8300」
『これは驚きました。清澄の猛攻です』
「はぁ、ノッてきたな。優希のやつ」
「ああなると私でも止めるのは苦労するのよね」
「えぇ!ほんま!?」
「オレも苦労しますよ」
『はい、それ嘘!』
部長のときとは違い、オレの言ったことは全員のツッコミで一掃されてしまった。とほほ…
ー東一局 三本場ー
「リーチ!」
優希は七巡目で{四筒}を切ってリーチをかけた。それに対して他の三人はベタおり気配
「きたじぇー!一発、自摸!メンタンピン、三色、ドラ1。8300オール!」
「うわー…相手に同情してしまう」
「これは、私の布陣がうまくはまってるわね」
「最悪じゃ…」
「よし!」
「その調子!頑張って!」
「調子良さそうだな」
観戦室では優希の快走劇を暖かく見守っている
ー東四局ー
「ロ、ロン。断么九のみ」
優希は先ほどまでの勢いはなくなり、その優希の序盤の勢いに飲まれて他の三校の先輩も安てばかりで和了ってしまう
ビー!
『E卓先鋒戦、終了です』
「うぉっしゃ!」
先鋒戦終了で清澄の点数は149600点。先鋒戦は優希の一人歩きの状態で終わった
「さてと、他校がセオリー通り強い人を先鋒にしてたのならもうキツいはず」
「次はわしの出番かの」
「守る必要はないから。突き放して」
「もちろん!そのつもりじゃ!行ってくる!」
しかし次鋒戦が始まって染谷先輩は大打撃を受けてしまった。南一局までで−13000点となっている
「染谷先輩、危なくないっすか?」
「まこが何年麻雀打ってると思ってるの?誰だっていい手が入らないときだってある。でも見ててごらんなさい」
心配した京太郎が部長に聞くが部長はなんの心配もしていないようだ
「あぁ、わかります。いい手来ないときありますよね」
『はい、それ嘘!』
またもや全員に否定されてしまった。
南二局に突入して染谷先輩がメガネを外した
「勝負手が来たみたいよ?ほら」
「あ!」
「ローン!16000!」
ー南三局ー
「ロン、3900!」
ー南四局ー
「ツモ!3000・6000!」
ビー!
『E卓次鋒戦、終了です』
次鋒戦が終わって清澄は168500点。
『間も無くE卓中堅戦が始まります。出場メンバーは対局室に集合してください』
「さて、行ってくるかな」
「頑張ってください!」
「うん。和と咲は二階の喫茶室で何か食べてきたら?」
「え、でも…」
「バナナと乳製品を同時に摂ると脳が活性化するんですって」
「またテレビの雑学番組ですか」
「菊池くんは咲がまた迷子にならないか見といて」
「要するに付き添いですか?」
「なははは、そうとも言うわね」
「はぁ、わかりましたよ」
部長はオレらに自分の対局を見てほしくないのか、はたまた普通に気をきかせたのか。いやいや、気をきかすならオレはいらないはず
「部長の応援、しなくてもいいのかな…」
「大丈夫ですよ。あの人に任せて悪くなったことなんて、今までありませんから」
「へぇ〜、そうなのか」
特に心配してはいないし、大丈夫であろう。オレ達は喫茶室に向かうため廊下を歩く
「おい、そこの」
すると突然、背後から聞き慣れた声がした
「って翔じゃないか」
「純さん。一さんも、どうしたんすか?」
「翔くん、知り合いなの?」
「ちょっとな」
「お前が原村 和か?」
純さんは咲を見ながらそう言ってきた
「いや、こいつは…」
「原村は私ですが」
「「はっ!」」
「こっちか!」
「そうです」
二人はどうしたんだ?しかも一さんの目線は和の胸に釘付けだ
「透華はなんでこんなの意識してるんだ?」
「こんなのとか言っちゃダメでしょ」
「じゃあ、お前はなんなんだ!」
「純さん。人に指ささない。どうしたんですか?」
咲は純さんの外見と身長で少し怯えたのだろう、オレの手を握ってきた。すると…
「…翔。その手は、なに…?」
「え、は、一さん…?」
「なんでその子と手を繋いでいるのかな…?」
「国広くん!?」
一さんの雰囲気はさっきの先に似たものとなっていた。やべぇ、泣きそう…
「翔…?黙ってちゃわからないよ…?」
「は、一さん…落ち着いて…」
「翔!ちょっと来い!」
そう言われて純さんに腕を引かれた。そしてその勢いで一さんに密着してしいまった
「す、すいません!一さん!大丈夫ですか…?」
「…」
一に反応はなくより怒らせたかと思ったら、顔をオレに押し付けてなんかスースーって聞こえる
「…あの、一さん?」
「はっ!だだだ大丈夫だよ!うん!」
離れてくれた一さんは両頬に手をやって顔を赤くする。しかし今度は背後からすごい視線を感じる
「翔、くん…」
「翔さん…」
なんと今度は咲と和がヤバい雰囲気をまとっていた。しかしそこで
ビー!
『E卓中堅戦、終了です』
「ほ、ほら!部長終わったみたいだし次は和だろ?戻るぞ!純さん、一さん、また!」
「お、おう…」
「またね、翔」
一さん!可愛らしいんだけど今はそんな笑顔しないでー!
「仕方ないですね」
「出ないわけにはいかないもんね」
ふぅ…二人とも大丈夫かな
「「でも」」
ガシッ!!
「ふぁ?」
「「あとでO・HA・NA・SHIだよ(ですね)」」
「…は、はい」
お父さん、お母さん、ごめんなさい。僕の命は今日まで見たいです…
「ただいまー」
「早かったですね」
「安い手ばっかり、速攻で六回も和了りおった」
「そうそう、六回もだぜ!」
中堅戦が終わって清澄は183000点
「あら?菊池くんはどうしたの?」
「…」
「知りません!」
「自業自得だよ!」
オレはもう女性恐怖症になりそうだ
ビー!
『E卓副将戦が始まります。出場選手は対局室に集合してください』
「さ、あなたの番よ」
「はい」
「私より早く終わらせてきなさい」
「はい!」
「原村さん、はい」
咲はペンギンのぬいぐるみを和に渡す
「頑張れ、のどちゃん!」
「和、頑張ってな!」
「ほら、あんたもなんか言ってあげんさい」
「あ、あぁ…頑張れよ、和。信じてるよ」
「頑張ってね!原村さん!」
オレはこのとき何を言ったか覚えていない
「行ってきます」
ようやく意識がちゃんとしてきたところで室内を見回してみると続々と人が入ってきた。おそらく全員和目当てだろう
「あれ?ハギヨシさん?」
「ん?どうしたの?翔くん」
「ん?あぁ、和の人気はすごいなって」
「そうだね」
ハギヨシさんがお茶を渡しているのは透華さんだろう。サングラスをしているだけで変装できてるとでも思ってるのかな…でもなぜ透華さんが?
「原村だ!」
「全中覇者の!」
和が画面に現れた瞬間、室内はドッと湧く
『さぁ、いよいよ原村 和の登場ですね』
『えぇ』
実況の人も和には注目しているようだ。また実況も含めて和の持ってるぬいぐるみが気になるようだ
『ん?原村が持っているのは何でしょうか』
『ぬいぐるみのようだが』
『ただいま、検査が行われています』
まぁインターミドルチャンピオンがいきなりぬいぐるみを持って登場したら驚くわな
『問題ありません』
『ただのぬいぐるみ、のようですね。藤田プロ、なぜペンギンなんでしょうね』
『私に聞くなよ』
そりゃそうだ。ただのうちの部長の入れ知恵だし
『さぁ原村選手、今卓につきました』
「え?持ったまま打つの?」
「可愛いんじゃね?」
「くくっ!ウケてるウケてる」
「ウケ狙いだったんすか!?」
「ま、合宿で試した結果だけどね。半分ぐらいはネタのつもりだったけど」
「ネタっすか…」
「恐ろしい女じゃ…」
「でも多かった和のイージーミスがペンギン挿入後は激減しましたよね。これは成功と言っていいのでは?」
合宿前はネットとリアルの差でイージーミスが多かった和だが、ペンギンを抱いて打つようにしてからそのミスが減った
「そうね。和はネット麻雀のときが一番強かった。ハンドルネーム“のどっち”は伝説とまで言われたもんよ。つまり、最強の原村 和は今初めて人々の前に、降臨するのよ」
「あぁ、確かにネット上での和は強かったですよ。オレも負けましたもん」
『はい、それ嘘!』
みなさんはとことんオレにツッコミを入れるのが好きらしいな
『さぁ始まりました、副将戦』
『おー!!』
『前年度の全国中学生大会の覇者、原村 和の高校デビュー戦です』
ー東一局ー
和の最初の配牌は
{三筒五筒赤五筒六筒一萬二萬四萬七萬九萬九索東白北}
となり、一巡目でツモったのは二索
「失礼します」
それから数秒だけ間を置いて{北}切った
「一打目で悩んでたぞ?」
「何も考えずに{北}か{九索}だろー」
外野うるせぇな。あれが今の和なんだよ
「ネット麻雀ののどっちは最初だけ少し考えるのよね」
「そうなんですか」
「そう言うても四、五秒程度じゃけどね」
「だが二巡目以降は悩んで手が止まることはない」
「そう。相手が打っている間に考慮が終わっていて、何がきたら何を切るか全てのパターンに答えが出てる」
部長の言った通り二巡目に入った和はツモってから切るまでがノータイムだった
そして八巡目、和の手牌は
{三筒四筒五筒赤五筒六筒一萬二萬二萬四萬五萬七萬八萬九萬}
となって、ツモったのは{五筒}。そしてここもノータイムで{六筒}を切る和
「なんだ今の{六筒}切り!」
「{一萬}切りの方が待ち広くない?」
確かに{四筒}{七筒}の残りが少ないのを考えても和了るだけなら{一萬}切りだな。だけど和は一瞬で一通の目を残した
『藤田プロ、今の{六筒}切りは…』
『二回に一回貰える1000点と三回に一回貰える2000点、長く戦うならどっちを狙う?』
『2000点の方が効率がいいですね』
『それと同じこと。原村 和は一瞬でその判断をした。和了率しか考えない人と期待値まで計算に盛り込む人とでは結果にかなりの差が出る』
「和は普段なら一通なんて狙わないけどね」
「他家の捨て牌見て{三萬}がまだ残ってるちゅうことじゃろか?」
「っ!入った!」
そこで和に{三萬}が入った
「リーチ」
『原村 和、先制リーチです。チームは断トツなのにここでリーチですか?』
『守るより突き放す方がいいというチームのためなのか、それともチーム戦関係なしにスタンドプレーに走っているのか』
んなわけねぇだろ。和は誰よりもチームのことを考えてるさ
そして次に和がツモったのは{四筒}だった
「裏目った…」
「八巡目に{一萬}切っときゃ一発ツモじゃったのぅ…」
「咲ちゃん、タコス食う?」
全くその通りだが、優希はタコス食ってないでちゃんと観戦しろよ
『一局目、流局です』
「原村 和、パッとしねぇな」
「そうね」
まだ一局だろ。お前ら急かしすぎだよ。横ではなんか透華さんがガッツポーズしてるし
ー東二局ー
ここで少し危ない感じになってきた。五巡目に対面の選手が大三元を聴牌しようとしていた
「やばっ!」
「大・三・元!」
まぁ、今の和なら心配いらんだろ
「チー」
「ポン!」
和が鳴いたときの捨て牌{白}を対面に鳴かれる
「ポン」
しかしその対面の捨て牌{三萬}を鳴き返す
「ロン。断么九、ドラ1。2900は3200です」
対面が二枚目の{發}をツモってしまったが、和が喰いタンで往なす
「ロン。三色、ドラ2。12000は12600」
『千曲東、これは痛い』
「千曲東は終わったな。さすが原村 和」
「でも、原村が出る前からめちゃくちゃ点差ついてなかったか?」
「そういえば…もしかして清澄って強いのかな…」
それからというもの点差だけに高い手を狙う他校は誰も和の速さについていけなかった
ビー!
『副将戦、終了です。清澄高校副将の原村 和、圧倒的な速さで勝利です』
最終的に副将戦が終わるときには清澄は208100点で終了した
「清澄の一回戦突破は確実だな」
『藤田プロ、原村 和の試合をご覧になっていかがでしたか?』
『う〜ん…正直驚いた。以前の彼女とは次元が違う』
『そのきっかけはなんでしょう』
『ペンギン…かな…』
『あはは、まさか…』
ある意味あってるけどな
「さて、次は咲の番ね」
「はい!」
「咲」
「ん?」
「他家、飛ばして終わらせてこい!」
「うん!わかった!」
そして和だけでなく咲の高校でのデビュー戦も幕を開けた