牌に愛されし少年   作:てこの原理こそ最強

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第33話

プールから帰ったオレは携帯を見ると何件もの着信が入っていた。それは全て“淡”からのものであった。オレは部屋のベッドに座り淡に電話をかけ直した

 

PLLLL…

 

「もしもし、淡か?」

 

『あー!ショウ、やっと出たー!』

 

「すまんな。少し出かけててだな」

 

『愛しの淡ちゃんの電話を無視するとは何事か!』

 

「だから悪かったって。それで?要件はなんだ?」

 

『も〜!せっかくの私との電話なんだよ!?もう少しお話するとかないの!?』

 

「はいはい。それで要件は?」

 

『バカ!!!!!』

 

ブチッ!

あの野郎、要件も言わずに切りやがった。なんなんだよ…はぁ、仕方ない…

 

PLLLL…

 

『何さ!』

 

「あぁ、悪かったよ。ごめんよ、愛しの淡ちゃん」

 

『へっ…?ふ、ふ〜んだ…い、今更そんなこと言っても、許してあげないんだから…』

 

「なぁ、許してくれよ。淡に嫌われたらオレ生きて行けないよー(棒読み)」

 

『そ、そうなの…?』

 

「そうだよー(棒読み)」

 

『……な、なら許してあげなくもない、かな…』

 

「ホントか?ありがとう。やっぱ淡はいい奴だな〜」

 

『えへへへ♪』

 

なんとチョロいんだ、お前は…

 

「そういえばそっちは予選どうなったんだ?」

 

『あ!そうだった!それ言いたくて電話したんだった!』

 

ということは東京も終わったのか。まぁ照さんが率いる高校が予選で負けるなんて思ってないけどな

 

『勝ったよ!私達!』

 

「おぉ、おめでとう」

 

『へへ〜ん!私の相手じゃなかったよ!』

 

「淡は麻雀強いもんな」

 

『ぶ〜…私のこと負かしといてよく言うよ〜』

 

「はははは、それもそうだな。とりあえずおめでとう」

 

『ありがとう!』

 

それから三十分ぐらい別に大したことないことを話して電話を切った

 

ちなみに豊ねぇや霞姉さん達、怜と竜華さんや洋姉絹姉、宥さん玄さんも無事に県予選を突破したらしい。残念ながら憩さんは団体戦では全国には行けなかったらしい。でもまだ個人戦は諦めたわけじゃないらしい

 

 

 

そして長野も今日から二日間、男女ともに県予選個人戦が始まる。男子と女子では会場が違かったのでオレと京太郎は男女個人戦の会場に来ている

 

「うわ〜、たくさんいるな」

 

「今の麻雀界は女子の方に傾いているけど男子でもこれだけいるんだな」

 

「緊張してきた」

 

「まぁ初めてだし、そんなもんじゃないか?」

 

『これより対戦表を表示します』

 

そのアナウンスとともにでっかい電光掲示板にA〜Zまでの対局室にそれぞれの高校名と名前が表示された。その中からオレと京太郎の名前を探す

 

「オレは対局室Kか」

 

「オレはSだな」

 

京太郎はKでオレはSとなった

 

「じゃあな京太郎。お互い頑張ろうぜ」

 

「おう!」

 

とは言いつつ京太郎はまだまだ初心者。一回勝てればいいとこかな…

 

『さて、それぞれの対局室に選手が揃いました!県予選男子個人戦、開始です!』

 

さて、初戦の相手はどんなやつかな?オレは他家(ターチャ)の三人の様子を見渡す。オレは今日の朝から考えていたことがあった。それは今日の個人戦、序盤は相手の打ち方を見るために敢えて手を抜くか、最初から他家を飛ばすつもりで全力を出すか。そしてそれは今決めた、飛ばそう

 

ー一回戦ー

 

「ロン。32000」

 

ー二回戦ー

 

「ロン。三倍満」

 

「ツモ。8000オール」

ー八回戦ー

「ロン。32000」

 

『午前の部終了です。お昼休憩を挟んで午後の部を開始しいます』

 

さっきの対局で午前中の八回戦が全て終了した。外の電光掲示板に“一位 清澄高校 菊池 翔”と出ている

 

「ま、こんなもんかな」

 

とはいいつつ正直なところオレは全然満足できていなかった。普段から咲や衣姉さんと対局しているせいか男子は全体的に弱い

 

「はぁ…」

 

「お、おつかれ京太郎」

 

「おう…」

 

「どうだった?」

 

「負けてきた…」

 

「そうか」

 

「清澄の名に泥塗っちまった…」

 

「そう気を落とすなよ。お前の分もオレが頑張るからさ」

 

「翔…そうだな!絶対優勝してくれ!」

 

「おう!任せとけ!」

 

やはり初心者の京太郎はダメだったか。でも京太郎にはまだ来年と再来年が残ってる。その間に強くなればいいだけだ。今回はお前の分までオレが全国もぎ取ってやる

 

「京太郎は女子の方に行ってていいぞ?」

 

「えっ?でも翔はまだ…」

 

「オレは大丈夫だ。オレの分も女子の方を応援してやってくれよ」

 

「そうだな。わかったぜ!」

 

「頼むな」

 

最後にオレと京太郎は互いの拳をぶつけて京太郎は女子の会場へと向かった

 

京太郎を送り出したはいいが午後の部が始まるにはまだ時間あるし、どうすっかな〜

 

「しょー!」

 

「ん?あれ?衣姉さん?」

 

そこに現れたのは衣姉さんだった。ハギヨシさんもいる

 

「どうしたんだ?透華さん達の応援は?」

 

「それは午前中してきた。しょーが一人で寂しいと思って午後はしょーの応援にきたぞ!」

 

「そっか…ありがとな」

 

「ん〜♪」

 

なんとも嬉しい言葉をかけてくれた姉さんの頭を撫でてやった

 

「調子は、良さそうですね」

 

「はい。こう言うとあれですが、衣姉さん達との対局の方がよっぽど楽しいです」

 

「そうですか」

 

ハギヨシさんにホントのことを話すと目を閉じて笑われた

 

「ころももしょーとの麻雀は楽しいぞ!」

 

「ありがとな」

 

ビー!

『これより県予選男子個人戦午後の部を開始します。選手のみなさんはそれぞれの対局室に入室してください』

 

「よっしゃ!じゃあ行ってくるな!」

 

「うむ!ぶっち切ってくるのだ!」

 

「おう!」

 

そしてオレは指定された対局室に入った

 

ー九回戦ー

 

「ツモ!6000・12000!」

 

「ロン!16000!」

 

ー十回戦ー

 

「ロン!12000!」

 

「ツモ!4000・8000!」

 

「ロン!24000!」

ー二十回戦ー

 

さて、これで一日目最後の対局だ。もう早く終わらせて帰りたい

 

最後のオレの手牌は

{一萬二萬三索赤五筒六筒東東北北西西南發}

となった。しかもなんと北家(ペーチャ)。借りるよ、初美姉さん

 

「ポン」

 

一巡目、{北}を鳴いて{三索}切り

 

「ポン」

 

二巡目、{東}を鳴いて{一萬}切り

 

三巡目、{南}をツモって{二萬}切り

 

四巡目、{西}をツモって{發}切り

 

「ポン!」

 

その{發}を上家(カミチャ)に鳴かれたけど関係ない

 

五巡目

 

「ロン。32000」

 

対面(トイメン)が{四筒}を切ったのでそれで小四喜(ショースーシー)を和了って終局となった

 

オレは早く帰ろうと思って対局室を出たのだがそこを係りの人に止められる。どうやらインタビューがあるらしい。めんどくさい

 

インタビューはいいのだが他の対局が終わっていないため一時間ぐらい待たされる羽目になってしまった

 

『こちらには一日目全戦全勝!しかも全ての試合で他家を飛ばして勝利。しかもしかも大会史上歴代トップの点数と時間の短さで勝ち抜いた清澄高校の菊池 翔選手にお越しいただいてます!』

 

「どうも…」

 

『今日の対局を振り返っていかがですか?』

 

「はぁ…よかったと思います」

 

『そう、ですか。では明日の抱負をお願いします』

 

「頑張ります」

 

『そ、それでは明日も一緒に戦う皆さんに一言』

 

「もし対戦するときはよろしくお願いします」

 

なんとも適当な言葉なのはわかってる。だって見世物みたいで嫌なんだもん。本音なんてもっと言えないし…

 

インタビューを終えたオレは一度女子の会場に向かうことにした

 

「お疲れさまで〜す」

 

「あ!翔くん!」

 

「翔さん、お疲れさまです」

 

「その様子じゃ勝ち残ったようね」

 

「もちのろんです」

 

「さすが翔くん!」

 

「おめでとうございます」

 

「おう。こっちはどうな感じなんだ?」

 

「一日目を終了して一位が優希、二位が咲、三位が風越のキャプテンよ」

 

「そうなんすか。優希が一位ってすごいじゃん」

 

「えっへん!相手にならなかったじぇ!」

 

「そうかい。でもそれは今日が東風戦だけだったからじゃないのか?明日の二日目は東南戦だけど大丈夫か?」

 

「へーきへーき」

 

こりゃあ今日の勢いで調子に乗ってるな。こんなんじゃ明日は痛い目見るぞ

 

 

 

 

 

そして二日目

 

「えー!二日目は東南戦!聞いてないじょ…」

 

「昨日菊池くんが言ってくれたでしょ?そもそもルールは最初に配った紙に書いてあったはずよ?」

 

「これは昨日圧勝した私を妬んだ運営サイドの陰謀に違いないじょ!」

 

優希のなんとも見当違いな考えにみんなは呆れた表情をする

 

「つか、話聞いてないのはお前だろ」

 

「こうなったら試合ごとにタコスを前の二倍食べてパワーアップするしかない!名付けて“タコスバイバイ計画”!」

 

京太郎の尤もな指摘をスルーしてなにやらトンチンカンな計画を立てる優希。その名前だとタコスと別れるみたいだな

 

「京太郎!タコスの仕入れ頼んだじょ!」

 

「それだと十試合目で五百十二個食べることになるぞ」

 

「いくら私でもそんなには食えないじょ…」

 

こりゃ算数ドリルのやり直しかな。さて、オレもそろそろ移動するかな

 

「じゃあオレはこの辺で」

 

「えぇ、悪かったわね。わざわざこっちまで来てもらって」

 

「いいえ」

 

「翔くん!頑張ってね!」

 

「頑張ってください!」

 

「咲と和もな。部長達も頑張ってくださいね。後輩に負けたなんてことになったら恥ずかしいですよ?」

 

「わしらはついでかの」

 

「…言ってくれるわね」

 

「ははっ。それでは」

 

オレは女子の試合会場を出て男子の試合会場に向かった

 

 

 

ピンポンパーン

『ただいまより個人戦二日目、一回戦の対戦表を発表します』

 

さて、昨日は南北に分かれて戦っていた選手達が今日はここに集まって来ている。それも上位陣だけ。全国に行けるのはその中の三人だけだ。オレの場合京太郎が残念ながら昨日の一日目で脱落してしまったから同じ高校同士で対戦する心配はない。それに個人戦には団体戦で出れなかった選手も出場する。つまりダークホースが存在するかもしれないということだ。まぁ今回の大会一番のダークホースはオレだろうな

 

『各選手は指定された対局室に移動してください』

 

掲示されたところからオレの名前を探していると一回戦目は対局室Kとあったのでそこへ移動した

 

『さぁ、県代表選抜戦個人戦も今日で二日目、最終日です!半荘(ハンチャン)十回戦の得点上位三名のみが全国大会に出場する権利を得られるのです』

 

さて、今回は手強いと思える人はいるのだろうか

「ロン。16000」

 

『対局室A、終局。すごい!すごすぎる!圧倒的!清澄高校 菊池 翔選手、全国出場決定!』

 

はぁ…物足りない…すごく物足りない…大会運営の人、今度は男女混合麻雀大会とか開いてくんないかな…

 

オレは早々と試合を終えたので優勝トロフィーを受け取って女子の試合会場に向かった

 

 

 

女子の方はまだ終わっていないらしかった。しかも順位表を見て驚いた。現在一位は咲、二位が美穂子さん、そして三位が南浦 数絵(なんぽ かずえ)という全く名前を知らない人だった。咲や美穂子さんが上位にいるのは予想通りなんだけど、南浦さんという人は上位に食い込むだけの実力の持ち主なのか。ちなみに和が四位でそのあとに透華さん、モモ、部長が続いてるのか。みんな頑張ってるみたいだな

 

これからちょうど最後の対局が始まるようだ。しかも咲と同じ卓には南浦さんも入っているようだ

 

『さぁ、始まりました最終十回戦。誰が全国への切符を手にするのか!』

 

『残っているのは実質一枠だがな』

 

『はい。現在一位の宮永と二位の福路はほぼ全国への支柱を手にしています。残るはあと一枠です!』

 

さて南浦さんの実力を拝見するとしましょうか

 

「リーチ」

 

最初の先制リーチを宣言したのは注目していた南浦さんではなく団体戦で風越の次鋒をしていた人だ

 

立直(リーチ)、一発、自摸(ツモ)断么九(タンヤオ)、ドラ1。4000オールです」

 

『親の風越吉留いきなり先制!』

 

団体戦のときはほとんど見れなかったから実力の程はあまりわからないな

 

『さぁ、対局室Cでは既に東ラスです』

 

咲はここまで一回も嶺上開花(リンシャンカイホー)で和了ってないな。他家(ターチャ)が三人とも順子(シュンツ)中心の手を作っているからか

 

「ロン。断么九、平和(ピンフ)、ドラ1。3900は4500です」

 

今回振り込んだのは南浦さんだ。今のところはそこまで実力を持った選手には言えないが…しかし、南場に入った瞬間場の雰囲気が変わった

 

「リーチ!」

 

リーチを宣言したのは今まで何の動きもしていなかった南浦さんだ

 

「立直、一発、自摸…裏1。2000・3900」

 

南場に突入してから南浦さん自身の雰囲気がガラリと変わった。もしかして優希と同じようにこの人は南浦のときは強いのか?

 

「リーチ」

 

「ポン」

 

南浦さんの切った{白}を咲が鳴いた。しかしまた初牌(ションパイ)切りリーチ。全局もそうだったけど東場では初牌なんてほとんど切ってなかったのに

 

「立直、自摸、断么九…裏3。3000・6000」

 

やっぱりこの人は優希の真逆の人だ

 

「ポン」

 

「カン!」

 

「ツモ、嶺上開花。500・1000」

 

認めよう。南浦さん、あなたはいい打ち手だ。だが…

 

「カン!」

 

「「っ!」」

 

暗槓(アンカン)…!」

 

いい打ち手止まりだ。その程度じゃあ()()は倒せねぇよ

 

「ツモ。嶺上開花、清一色(チンイツ)、ドラドラ。4000・8000です」

 

『対局室C終了。またも清澄の宮永 咲、嶺上開花からの逆転トップです。しかしこれで南浦選手は三位から脱落、原村選手が総合三位となりました』

 

おぉ、和が三位になったか。じゃあこのまま決まりかな。いや、まだ全部の試合が終わったわけじゃなかった

 

『対局室Aは最後に竹井 久が和了り、終了。さぁ、これで全ての対局が終了しました。果たして結果はどうなったのか!……出ました。対局室Aを制したのは清澄高校の竹井。しかし三位までの順位に変動なし!全国出場は総合三位の清澄高校一年、原村 和!二位、風越女子三年、福路 美穂子!そして一位は清澄高校一年、宮永 咲』

 

やったな。咲と和が全国か。美穂子さんも個人戦では全国に行けてよかった。まぁ三人の実力なら驚くことじゃないか

 

それから全国へ出場する三人に対する表彰状授与、そして一位の咲にはトロフィーが贈られた。トロフィー持った咲がこけないか内心ヒヤヒヤもんだった…

 

こうして長野県予選個人戦は終了した

 

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