青春は赤く染まりて   作:原作未読の魔改造フェチ(百合脳)

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 ヤンデレ箒さんが書きたかったので。
 あと今メインで書いてる(失踪中)方のssが何時まで経ってもIS学園入学編に移行しないので。

 という事で息抜きで書いてた短編小説が、どうも1話で収まりきらない気配を感じたので書けてる所まで分割投稿。続き? おう考えてやるよ(投稿するとは言ってない)

 でもまぁ、原作読んだことない私が言う事ではありませんが、箒さんって原作からして一夏君や恋のライバル相手に木刀振り回したりしてるらしいし、ヤンデレってもあまり変わらない気が……


 あっれーなんでこんなところに『ガールズラブ』タグがー?(棒


赤い夢

 ―――(あか)(あか)(あか)

 

 どこを見渡しても緋いばかり。苛烈なまでの色彩が網膜を焼く。まるで眼孔から赤い絵の具を流し込まれたかのよう。火炎の如き暴力的な赤色の起こした錯覚か、全身に火が回ったかのように熱さを感じる。

 

 ……否、錯覚ではない。実際熱いのだ。燃えるように、焼けるほどに。

 火炎の如き赤色、という表現は訂正しよう。私の目に映る景色が真紅に染まっているのは、事実それが一面の火の海だからだ。如き、どころではない。火炎そのものの赤である。

 まるで焦熱地獄が地上に現出したかのよう。私の視界を塞ぐ赤色の半分はそれだ。

 

 そして私の目の前に広がる世界を構成する赤の、もう半分は液体であった。火の紅に染まっていない僅かな空間を埋めるように広がる緋色の液体。生命の脈動を感じさせ、また同時に絶命の静寂(せいじゃく)をも想起させる、赤黒く粘ついた生温かいソレ―――血液だ。

 しかし視界の半分を埋め尽くす程の血潮とは、いかほどの量か……と、ぼんやり霞がかった頭で考えていたらふと気付く。―――体が動かせない。指一本すらも。

 

 そこで漸く自分が地面に倒れ臥している事を自覚する。未だ幼い私の体は血溜まりの真ん中に沈んでいる。体中の湿ったような感触から察するに、総身が血に塗れているのだろう。痛覚が麻痺しているのか何も感じないが、どうやら全身から出血しているようだ。

 自分では見えないが頭部からも出血しているらしい。垂れてきた血糊が目に掛かって……ああ、なるほど。視界の半分を埋め尽くす夥しい量の血だと思っていたが、単に眼の上に血が垂れて視界が塞がっていただけか。

 とはいえ、命に関わるレベルの大量出血には違いない。身体が動かせないばかりか意識も朦朧とする程度には失血しているようだし、ふわふわとした現実感の無さのおかげでまるで他人事のように客観的に自身の状態を分析できているが……それは翻って、臨死の状態である事の証左だろう。

 まだ小学校にも上がっていない(わらわ)の私だが、その短か過ぎる生涯に終焉が近付いていた。

 

 ………あぁ、だんだん世界が遠のいていく。鮮烈な赤だけが私の認識できる全てになる………

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

「……ん、朝か」

 

 目が覚めると自分の部屋。とは言っても数日前に越してきたばかりの学園寮の自室だが。

 時計を見れば朝の5時。普段通りの起床時間だ。ここから朝の鍛錬を行い、シャワーを浴びてから朝食を取るというのが昔からの習慣である。隣のベッドで寝ている幼馴染―――何の因果か女性にしか動かせないIS(インフィニット・ストラトス)を動かしてしまったが故にこの学園に放り込まれた世界唯一の男性―――である織斑一夏を起こさないよう静かに布団から出て、運動着に着替えると、先の夢と同じくらい真っ赤なリボンで髪を結い、愛用の木刀を持って部屋を出る。

 

 それにしても、今朝は懐かしい夢を見た。幼き日の赤い記憶。私こと篠ノ之箒の始まりの記憶。

 あれはまだ私が幼稚園児だった頃……家族で一緒に暮らしていた頃、姉さんがISを発明するよりも前。あまりに衝撃的な出来事だったからか、あの『赤』の事ばかり記憶に残り、それより以前の事などもう殆ど覚えていない。ただ物心付く前から竹刀(けん)を振るっていたことと、他の者には両親だろうと無関心だった姉さんが私には優しく構ってくれていたことだけは朧げながら憶えている。元々幼少の曖昧な時分の記憶だ、それだけ覚えてれば御の字だろう。

 しかしあのカンバスに真っ赤なペンキをブチ撒けたような紅蓮の記憶だけはどれほど時が経とうとも……それこそ一生忘れることは無いだろう。あの『赤』以降の思い出は比較的ハッキリと覚えているので、アレは篠ノ之箒にとっての原初の記憶と言っても過言では無い。

 私という存在の奥深くにまで刻み込まれた、私という人間を構成する上で最も重要な意味を持つ一欠片(パーツ)。……要するに、今となっては良い思い出だ。

 

 

 ―――(まこと)、今朝は()い夢を見た。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 ―――赤。アカ。あか。

 

 そもそも、私はどうしてこんな真っ赤な世界で死に掛けているのだったか。

 夢の中の私は薄れ行く意識の中で考えるが、何も分からない。

 

 

 ……これは後で知ったことだが、私は両親と街へ出かけた際に迷子になってしまったらしい。それだけなら暫くすれば両親が見つけ出しただろうが……ここで不運が重なる。胡散臭い新興カルト宗教の狂った信者共が爆弾テロを起こし、私はそれに巻き込まれてしまったのだ。神社の娘である私が無宗教主義になったのはそのトラウマかもしれないが、それは余談。

 市民ホールに仕掛けられた時限爆弾が吹き飛ばす筈だったどこぞの政治家とその後援者達の集会はしかし、たまたま主催の政治家先生が前日にぎっくり腰で入院してしまった為中止となり、被害は極少数で済んだ。

 その極少数が私である。当て所なく彷徨う内に市民ホールに迷い込んでしまった私は、たまたま爆弾の設置場所……爆心地に一番近い位置で爆風を受けてしまった。幸いにも他に死者は出なかったらしいが……私にとっては幸いでもなんでもない、唯一の死者になりえたかもしれないというのは只の不幸である。

 

 

 無論、夢の中の……即ち当時の私はそんな事情を知り得ない。訳も分からぬまま自分の身に降りかかった不幸を嘆くばかりである。

 自身を襲った理不尽に対する怒り、あった筈の未来を奪われてしまう悲しみ、抗う術を持たざる己への無念、命が失われていく実感から来る本能的な恐怖、それら全てひっくるめた上での諦め。

 泡沫のように次々浮かび上がっては弾ける黒い感情の数々も、私を侵食する外界からの赤に塗り潰され虚無に染まる。心の動きまでも鈍くなる。いよいよ死が近付く。全てが赤くなる。

 

 赤い、だけになる。

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

「こんな時間から鍛錬とは熱心な事だな、篠ノ之。明日の準備は万端といった所か?」

 

 朝焼けの中、夢の内容を反芻しながら木刀の素振りをしていた所に後ろから声がかかった。大変不本意ながら、私の良く知る声だ。私の想い人に、ある意味最も近い女性。

 無視しても良いが一応目上だ、振り返ることもせず素振りを続けながら返答する。

 

「日課ですから別に珍しい事でもありません。貴女こそこんな朝っぱらからぶらぶら出歩いているなど珍しいではありませんか、昨日は飲み足りなかったと見えますね? 織斑先生」

 

「私とて毎日毎晩酒盛りに興じている訳では無いし、偶には朝早く起きて外の空気を吸いに出る事もある……というか篠ノ之、毎度ながらお前は私に対して何故そんなに辛辣なんだ。私は何かお前の気に障ることでもしたか? 」

 

 頭が痛い、とばかりに額に手を当ててはいるものの、その表情はむしろ不敵な笑みを浮かべているのは織斑千冬、一夏の実の姉だ。IS競技の世界大会モンド・グロッソにおける初代優勝者である彼女は世界最強(ブリュンヒルデ)の二つ名を持つIS操縦者で、このIS学園の教員、それも事もあろうに私の担任でもある。

 

 そんな彼女とは弟の一夏共々10年以上前からの付き合いになるが、私は正直彼女が嫌いだ。理由は単純明快、私の一方的な嫉妬である。私の想い人と近い位置に居る、という事実への嫉妬。彼女自身に疚しい気持ちは微塵も無いと理解はしているが、ただ近くに居るというだけで私にとっては十分に妬む理由となる。

 とはいえ、そんな理由を馬鹿正直に答えてやる心算も無い。いつも通り適当に誤魔化す。

 

「別に、何も気に障る事などありません。ただ貴女の存在それ自体が私を苛立たせるというだけの話ですから、何も気にせず私に憎まれていてください」

 

「結局私が気に障っているのではないか。やれやれ、見当違いの嫉妬もいい加減にして貰いたいものだが……土台無理な話だろうな、お前がお前である限り」

 

「当然無理ですね。むしろ嫉妬だと分かってるならさっさと悔い改めて消えて頂きたいものです、主にこの世から」

 

「それこそ無理な話だな。私がお前の嫉妬に付き合ってやる道理は無い」

 

 そう言ってくつくつと笑う織斑千冬。マジ腹立つ。

 腐れ縁でも10年来の付き合いだ、当然のように彼女も私の想いには気付いているし、私が彼女を嫌う真意もとっくに知られている。さっきの質問は只の嫌味にすぎないし、対する私の誤魔化しも只の嫌味だ。

 というかこのやり取り自体、10年前からずっと続いている私達二人の挨拶のようなものだ。とはいえ、私は()()()()()により十歳の頃引っ越してしまった為、この学園で再会してから久しぶりに再開された応酬ではあるが。

 

 私は彼女が嫌いだが、仲が悪いわけではない。私の恋路を邪魔するこの女への殺意は胸の内に秘めているが、敵意は微塵も無いあたり私は私なりに彼女の事を認めているのだと思う。想い人以外は路傍の石ころ程度にしか感じない私にとって、この織斑千冬という人間は例外中の例外だ。

 そして腹立たしい事だが、恐らく彼女も私を憎からず思っているのだろう。彼女なら私の殺意が十割本気である事にも気付いているだろうに、それで尚その相手を友と呼べるのは流石世界最強(ブリュンヒルデ)と言った所か。……いや、むしろその真っ直ぐな殺意故に私を強敵(とも)と認めたのかもしれないが。この脳筋世紀末女め。

 

「しかし今は授業時間外だから許すがな、形式上私は教師でお前は生徒だ。少しはその減らず口も慎むように」

 

「減らせないから減らず口なんでしょう。そもそも慎みと言うならば、現時点でも立場を踏まえて十分慎んでいるつもりですよ? ……何なら昔のように敬語も使わず罵詈雑言の限りを尽くしてやっても構わないが?」

 

「今以上に慎め、と言ってるんだ阿呆が。……それより、明日の事だが……」

 

 挨拶も終わり、我らが担任様たる織斑先生殿は本題を切り出してきた。しかし翌日に迫ったさる重要案件については、誰に言われるまでも無く私自身がその意義を理解している。

 

「無論、明日のクラス代表決定戦に一分の憂いもありません。心配せずとも私の恋人を蔑んだあの英国青ドリルの事ならば、確実に息の根を止めて見せますとも」

 

「それが心配なんだ馬鹿者! やはり本気で人死にを出す心算だったのか!?」

 

 何故か叱られた。解せぬ。

 世界最強(ブリュンヒルデ)たる貴女と違って、殺せば素直に死んでくれる小娘が恋人を公然と侮辱したのだ。報いを受けて然るべき……というか死以外の結末など必要無いだろう?

 

 




 もともと一話に纏める筈だった物を無理やり途中でぶった切ったので中途半端な終わり方。
 とりあえずセッシー編までで終わる予定。鈴は二組なので登場しない。
 そして今現在、クラス代表決定戦決着後のあれこれを書き進めていますが、何故かそこからもう一話くらい使いそうな勢い。
 8割方は次々生えてくる余分な脳内設定の所為だと思う。残りは薄い内容を更に薄めて引き伸ばす僕の悪い癖。

 当ssのモッピーは便宜上ヤンデレと呼んだけれどやっぱりライトすぎるよね。でもヘヴィなヤンデレはスプラッタとバッドエンド苦手な筆者には書けないからね。仕方ないね。
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