魔法少女リリカルなのはEXTRA SEQUENCE 作:黄金馬鹿
なのは1stを見たらなのはの二次が書きたくなって書き始めました。神様転生とかは嫌だったので、開始はStSから十年後から。話は三話目辺りから動きます
新暦七十四年、某月某日某所。
モニターと巨大なポッドのような物が壁一面を覆いつくす部屋の中。意味なさげに、しかし意味のあるコード類が地面に散らばるその部屋の中、一人の男が半透明なキーボードを叩き、とあるデータを閲覧していた。
それは、何処にでもいる一人の青年のデータだったが、それを見る彼はそれを見て笑いを抑えられずにいた。
もう一つの、彼の独自に調べ上げ作り上げたデータには、常人とは唯一違う、かつ常人とは一線を凌駕するようなデータがそこには書かれていた。
それは、彼の考えるプランとは全く違う物だったが、もしも彼の想像できる中で一番不愉快な方法でそれを達成、もしくは失敗させられた場合、それに対する唯一のカウンターとなりえる存在、それが彼だった。
自身は、どちらに転んでも自ら動くことは出来ない。だが、彼を動かす事は出来る。
彼を動かせる時。それはメインプランとはかけ離れていおり、自身にとって不愉快な事が起こっているというのには変わりないが、興味深い事にも変わりない。
既に己も彼と同じ存在となっている。が、己が動くことは歴史が修復不可能なまでに壊れてしまうため、もしもの時は彼を動かすしかなかった。
だが、まずは目の前の事だ。管理局への復讐。その過程を楽しませてもらう事に専念しなければならない。
彼のデータを消して今立ている計画の準備を進める。これはあくまでも、IFが起こった時の案。彼を、特異点を動かす事は、現状有り得ないのだから。
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新暦八十五年、某月某日。その日のミッドチルダは丁度いい天気と快晴。休日にはもってこいな日だった。
十年前のJS事件と四年前のフッケバイン一家によるECウイルスを主にした事件が無事に解決させられ、ミッドチルダは平穏を取り戻していた。小さなゴタゴタはよく起こっているのは変わりないが、それでもJS事件のような極悪な事件が起こっていないため、平和とは言えた。
それ等の事件の解決者でもある高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての三人は激戦を潜り抜けてなお現役であり、三人の幼少期に解決したPT事件と闇の書事件、二つの惑星を巻き込んだ事件等をほぼノンフィクションで再現した映画はかなりの人気を博した。
その中の一人、高町なのはは管理局の白い悪魔やら魔王やらと言われてはいるものの、教導の腕はピカイチであり、是非とも教導をしてほしいという人は後を絶えない。最も、その教導を受けた後はもう十分です、とほぼ全員が口を揃えて言うのだが。
そんな教導を受け、教導期間が終わった後でも、プライベートで時々教導をしてほしいという物好きはおり、その物好きは教導が終わってから数年経った現在でも時々教導を受けている。
その物好きな男の名はライアン・レギルスと言い、仲間内からはドMと言われている。時には桜色の砲撃を受けた際に頭のネジが何本か消滅したとも言われている。
そんな頭のネジが消滅した物好きはこの日、件の魔王の住む家にお邪魔していた。
「いやぁ、やっぱ管理局ってブラック企業ですわ……あっちこっちに飛ばされて大変ですよ……」
「あはは……私も覚えはあるから何とも言えないかな……」
物好き、ライアンはため息を吐きながらもなのはの淹れてくれた紅茶を飲み、なのはも疲労が溜まって大怪我をする、という大参事まで引き起こした経験があるため、何とも言えない顔をしていた。
そんな二人を見て、なのはの横に座っていたなのはの養子、高町ヴィヴィオが口を開いた。
「そんなに大変なんだ……」
「大変だぞぉ……ヴィヴィオちゃんも管理局に入るなら覚悟しておくんだぞ?」
「わ、私はストライクアーツ関連をお仕事にする予定だし……」
ヴィヴィオも十六歳になり、体つきはかつての大人モードとほぼ同じになり、可愛い、という当時の感想は美人に変わった。
そんなヴィヴィオはインターミドル・チャンピオンシップでは毎回好成績を収めており、毎回優勝候補に数えられる程の有力選手として名を連ねていた。そんな彼女ならストライクアーツ一本でも食べていけそうな程ではあるし、コーチとしても食べていける事も可能ではあるだろう。
ライアンは同じ社畜道へとヴィヴィオを引き摺り込めないのを呪いつつ溜め息をもう一度吐いた。
「それならライアンさんもインターミドルに一回出てみれば? ライアンさん、まだ十九歳だし、デバイスも持ってるから出れるよ?」
「それ、俺がここに入り浸るようになった頃から毎年言ってるよね……?」
「そ、そうだっけ……?」
「どっちにしろ、俺は出る気ないよ。仕事、休めないし……」
だが、どうせなら子供の頃からインターミドルに興味を持って大会に出ればよかった、と思わない日は無い。管理局員は金はあるがそれを使う暇がない。有給はちゃんと取れるものの、休日出勤やら残業が多く、前線に出ている管理局員は一日帰れないとかがザラなため、疲労が溜まっていく一方だった。
それはなのはもほぼ同じで、教導に書類仕事、フェイトやはやてと言った知り合いのヘルプに答えて現場まで一跳びしたりするため、仕事が尽きない日々を送っている。管理局の広告塔でもあるため、インタビューやらを受ける事も。
それでも、なのはの仕事量は執務官であるフェイトや管理局海上司令官であるはやてに比べればまだ少ない方だろう。特にはやての方は本部で偶にすれ違って挨拶する仲だが、時々真っ青を通り越して土色の顔をしている時がある。三十台目前で栄養ドリンクと仕事が恋人というのは何とも笑えない。
「まぁ、ライアン君も慣れれば何とかなるようになってくるよ。最悪の場合は誰かに押し付けるとか!」
「なのはさん!?」
「嘘嘘。鬱憤溜まった時にはやてちゃんにやってるだけだから」
「はやてさん!?」
どうやら、土色のはやてはなのはの鬱憤の掃き溜めのようになっているらしい。ただでさえとんでもない量の仕事があるのになのはの分も押し付けられたら顔色も土色に変わってしまうだろう。今度すれ違いでもしたら差し入れでも渡して労っておこうと思った。
「まぁ、最近は自重してるけどね。ヴィータちゃんがはやてちゃんが過労死しそうだって相談してきたし……」
「じゃあ、仕事を幾分か肩代わりしてあげたら……」
「って、言ったんだけどね。そしたら真顔で嫌だ。って返してきてね」
「鉄槌の騎士ェ……!」
主の事を心配するのなら仕事の肩代わり位してあげろよ、と声を荒げたくなった。
JS事件の頃から全く容姿の変わらないエターナルロリータことヴィータはライアンへ教導を行った者の一人だ。なのはよりは言葉が荒いが、しっかりと人を労ってその人に合った教導を行う。言葉が多少荒いだけで、根っこは優しい人だ。
未婚のロリババア一直線だが。
「よし、そろそろ駄弁るのも止めて行こうか。時間、無くなっちゃうし」
「あ、そうですね。久々なので話過ぎちゃいました」
なのはがコップを片付け、ライアンとヴィヴィオは軽く体を解す。元々、高町家にはお茶を飲みに来ただけではない。勿論、近況の報告等を含めて話に来たのもあるのだが、今日はなのはとヴィヴィオが完全なオフという状況なので、なのはからは教導を受け、ヴィヴィオと組手をしようと思い、ここに来た。
なのはの教導はいわずがな、ヴィヴィオとの組手に関しては、単純に格上とも言える犯罪者を相手にした時のための特訓だ。
ヴィヴィオはベルカ主体のミッドチルダ式。近距離戦闘を念頭に置いた魔法の構築をしており、セイクリッド・ディフェンダーとアクセルスマッシュの二つの代名詞とも言える主力技に加えてシューターや砲撃魔法まで行える万能型だ。
それ故に、ヴィヴィオとの組手は結構タメになる。現在全敗だが。
「今日こそは勝たせてもらうからな、ヴィヴィオ」
「そうは行かないかな。これでもインターミドルでの優勝経験もあるんだから、そう簡単には負けないよ」
「その翌年にはミウラ選手に負けてたよな」
「だってミウラさん強いんだもん。抜剣とか年々速く重くなってきてるし……この間はなのはママの砲撃を蹴り返して当てたんだよ? なのはママも流石に呆然としてたよ」
「受けれないなら返せばいいじゃないってか……? やっぱ頭おかしいよお前ら」
「いやいや。普通だって」
「普通はロケットパンチを砕いたり魔法を弾き返したりゴーレムにリングを持たせて質量でぶん殴ったり岩を燃やし尽くしたりしねえから」
「そう?」
「少なくとも断空拳を受け止めてアクセルスマッシュ叩き込むのは異常だよ。俺、あれにカウンター仕掛けたら気失ってたんだけど」
「そりゃあ、断空拳はこう……ディフェンダーで受け止めてから、体の中に伝わってくる衝撃を全部地面に流さないと耐えられないよ」
「えぇ……」
もうヴィヴィオに勝てるヴィジョンが見えない。少し前にあった合同練習で、ヴィヴィオの良きライバルこと、アインハルトの断空拳を興味本位でその身で受けてみたら気を失って、しかも内臓がかき回されたような感じになって死にそうだった。
それを目の前のオッドアイの少女は出来るでしょ? と言いたげな顔をしている。そう簡単に出来てたまるか。水切りも。
「あれ、二人ともやる気だね。どう、ヴィヴィオも混ざる?」
「あ、じゃあ混ざる!」
あ、これは今日は倒れるまでですね。とライアンは察した。大抵、ヴィヴィオが教導に混ざるとヴィヴィオのレベルにも合うような教導に変貌してしまうため、ライアンのような一般管理局員ではついて行けない。というか、最後は親子二人のマジバトルに変貌してしまう。
ピンク色の光と虹色の光が入り乱れるその光景は最早地獄としか思えないレベルだ。少なくとも管理局のエースレベルの人材でも口を揃えて地獄だと言うレベルだろう。
だが、なのはの教導を受けているからにはそういうレベルには達したい。ヴィヴィオなんて魔力量はライアンと余り変わらないレベルだと言うのに、魔力の運用だけでなのはに食らいつきライアンを引きはがす。だから、せめてなのはレベルとは言わなくても、ヴィヴィオのレベルにはなりたい。それは、男としての意地とも言えた。
「じゃあ、練習場に行こうか。今日はみっちりやるよ」
なのはの笑顔は、綺麗ではあったが、怖くもあった。
****
結論から言うと、ライアンはなのはの教導を全て乗り切り、そのままぶっ倒れた。高町親子はそのままガチバトルをしているが、ライアンはデバイス片手に壁際で乱れた息を整えていた。
「はー……すげぇな、あの二人」
なのはのデバイスは、フッケバインの事件以降、安定性が増したため普及した第五世代型デバイスに改造されたレイジングハート。それに加えてフォートレスビットを三機。対してヴィヴィオは己の拳一つでなのはに肉薄している。最早頭がおかしいとしか言えなかった。
ライアンのデバイスも第五世代型のデバイス。ストレージデバイスで、名はN2U。レイジングハートとの違いはインテリジェントデバイスかストレージデバイスかの違いだけ。ヴィヴィオのデバイスも第五世代に改造したセイクリッドハート。インテリジェントかストレージかの違いなんてそんなにないため、この現状は完全に使用者が弱いだけ、という事になる。
N2Uを掲げ、眺める。決して低くない性能のデバイス。接近戦も考えて先端が矛になっているという、という、ミッドチルダ式にしては珍しく、格闘戦の事も考えられたデバイス。
しかし、この矛が活かされた時はない。それもこれも担い手たるライアンの責任でもあるのだが、なのはが言うには、もう並の犯罪者相手なら無双出来る程度には基礎と体の動かし方は出来ているらしい。
暫く休んでいると、親子の全力のバトルは終わったのか、ヴィヴィオがタオルで汗を拭きながらライアンの横に座った。
「どうだった?」
「負けたー……やっぱなのはママって強い」
そりゃあ、エース・オブ・エースですし。とライアンは返した。ヴィヴィオは笑いながら先ほどまで己が戦っていた場所を見た。なのははそこで汗一つかかずにレイジングハートと何やら話をしていた。
インターミドルの有力選手相手にあの余裕。なのはは固定砲台なのに対し、ヴィヴィオがインファイターのため、肉体的な体力の使い方はヴィヴィオの方が断然激しいため、ヴィヴィオが汗をかくのは分かるが、涼しい顔をしているなのはは明らかに格上だった。
「はぁ……なのはママ、あんなに強いのに何で未だに結婚してないんだろ……」
ヴィヴィオがボソっと呟いた。それに関してはライアンも激しく同意だったが、理由は普通に頭の中に浮かんでいた。
「エース・オブ・エースっていう肩書に加えてミッドチルダの英雄的存在。あと教導での鬼っぷり。これ等が合わさっての結果だろうね。それに、恋心というよりも憧れが強いんだと思う」
それがライアンも同じか、と言われると微妙だ。
なのはには恩義を感じている。そして、英雄だとも思っているし鬼だとも思っている。だが、なのはの普段の優しい表情と言葉。出るところは出たスタイルに三十過ぎても十台にしか見えない外見。
恋心か否か、と聞かれるとわからないが、それでもなのはとそういう関係になれたら、毎日幸せなんだろうな、と思ってしまう。
「……じゃあ、ライアンさんの事、パパって呼んだほうがいいかな?」
「は、はぁ!?」
顔に出てしまったのか。ヴィヴィオがニヤニヤしながらそんな事を言ってきた。思わず声を荒げてしまうが、なのははそれに全く気付いていない。何かホロウインドウに打ち込んでいる。
「だって、なのはママってばプライベートで会う男の人、ライアンさん位しかいないし、なんやかんやでお似合いだと思うよ?」
「い、いやいや……俺なんてなのはさんには釣り合わないよ……そ、それになのはさんにはユーノさんとかいるし……」
「ユーノさん、もう司書の人と結婚してるよ?」
「え、マジ?」
「マジ。最近は過労死気味で会えてないみたいだけど」
時空管理局一のブラックな職場とも呼ばれる無限書庫。そこの司書長をやっているユーノはそれはもう忙しいことだろう。同情はするが肩代わりはしない。
「このままだとなのはママ、栄光の三十路ロードを独身で突き進む事になっちゃうから、娘としては結婚してほしいなって」
「いや、けどさ……」
「大丈夫大丈夫。なのはママ、押されると弱いからなんとかなるよ。それに、なんやかんやでライアンさんの事、気になってるみたいだし」
グッと親指を立ててドヤ顔をするヴィヴィオ。そのドヤ顔に憎らしさを感じたのは初めてだ。
うー、とかあー、とか唸っているライアンを見てヴィヴィオは悪戯っ子のような笑顔を浮かべると、ライアンに体を近づけた。
「それとも……私と付き合っちゃう?」
「ウェ!!?」
ヴィヴィオの口から出た衝撃的な言葉に変な声が出た。流石にヴィヴィオとはマズい、と脳内が警告を放つが、それを知ってか知らないでか、ヴィヴィオは再び口を開いた。
「私だって、もう十六歳だし、男の人と恋したいな……って人並には思ってるんだよ?」
ヴィヴィオがゆっくりと近寄ってくる。それに弾かれるようにライアンはゆっくりとヴィヴィオから距離をとっていく。
「私とライアンさんなら歳は近いし、ね?」
「い、いや、そ、それは……いろんな意味でマズイ! 色んな所に俺が抹殺される!!」
聖王教会とかヴィヴィオのファンとか同僚達とか。その他不特定多数の方向から抹殺されかねない。しかし、ヴィヴィオはそれを聞いても蠱惑的な笑顔を浮かべながら徐々にライアンに近寄ってくる。ライアンの背中は既に壁についており、後ろに逃げる事は不可能だった。
「ね、ライアンさん……私、もう子供じゃないんだよ……?」
「か、考え直そう、な? 俺みたいな量産型モブのような男なんて、な、な!」
これ以上近寄られると理性がヤバい。ヴィヴィオからするいい匂いがどうにかして理性の壁をぶっ壊そうとしてくる。
オッドアイの金髪の美少女。マズい、これはマズい。どうにかして逃げなければ。回らない思考回路で何とかこの状況を抜け出すための口実を考えていると、ヴィヴィオの表情が一瞬で青ざめた。
ヴィヴィオが振り向き、手をそちらへ向けた。その瞬間、桜色の光がヴィヴィオにぶち当たり、虹色の光が物凄い勢いで光り、ヴィヴィオの体を守った。
そして、桜色の光が晴れると、その先には真っ白な悪魔が、高町なのはが額に青筋を立てて立っていた。
「ヴィヴィオ……? 色を知るにはまだ早いんじゃないかな……?」
「未だに色を知らない人には言われたくないかなぁ……!」
「へぇ……」
青筋が増えた。
「人の獲物を狙う泥棒猫にはお話しが必要かな?」
「ママ……これは早いもの勝ちなんだよ? モタモタしてたら取られちゃうよ?」
「じゃあ、取られる前に……」
なのはがレイジングハートに掌を向けた。その直後、レイジングハートが見たことのない形態に変化してなのはの手に収まり、どこからかフォートレスビットが飛んできた。
「ヴィヴィオの
全力だ。あの母親、娘に対して大人げなくも全力だ。全力全壊だ。
対して娘の方も額に青筋を浮かべながら、ふよふよと飛んでいたセイクリッドハートことクリスをわしづかみにすると、そのまま己の中に入れ、いつもは白いジャケットを真っ黒なジャケットを羽織り、構えた。
「じゃあ、ヘタレなママはご退場願おうかな」
二人の間に冷たい空気が流れる。
両者引く気はない。本気だ。
何故ヴィヴィオがこんなに必死なのか、何故なのはがヴィヴィオの行動に腹を立てているのか。その理由がわからない鈍感男、ライアンはそーっとヴィヴィオの後ろから逃げ出した。
そして、その直後、二人の間の火蓋が切って落とされた。
「アクセルシューター!!」
「甘い! 旋衝破!!」
それアインハルトの技じゃなかったっけ、というライアンの言葉は二人の攻撃による爆音によってかき消された。
それから二人のバトルは更に激しさを増していく。片や管理局のエース・オブ・エース。片や古代ベルカの聖王のクローン。最早ライアンではどうにも出来ない領域に二人は立っていた。
「……ははは、誰か止めて」
ヴィヴィオのアクセルスマッシュがなのはの顎を捉え、なのはのバインドからの砲撃の黄金コンボがヴィヴィオを呑み込み、ヴィヴィオの拳となのはのレイジングハートがぶつかり合う。そのレイジングハートの形態がかつてなのはの使ったAECデバイス、ストライクカノンと同一の物であるとはライアンはわからなかった。
二人の攻撃がぶつかり合うたびに衝撃波が生まれ、戦いの激しさは徐々に増していく。
そんな地獄のような親子喧嘩が繰り広げられる光景を目の当たりにしてライアンはつい言葉を漏らした。
「誰か止めて……」
縋るように、呟いた。しかしそれを止めるものはなく、止まるのは二人の決着がついてから――ではなかった。
「……え?」
世界が、止まった。
一瞬だった。世界が色をなくし、白黒になった世界は動きを完全になくし、なのはとヴィヴィオに加え、彼女らの魔法と魔力すらその場でピッタリと止まってしまった。まるで時間停止の中に取り残されたような気分だった。
だが、己も動けない。意識はしっかりとしているのだが、指一本、体を動かすことができない。
何が、一体何が起こった。それを焦る思考の中で考えるが、その答えは出ることなく、ライアンの意識はまるでコンセントを抜いたテレビのように急に消失した。
一応、展開は完結まで考えているけど、絶望度数が足りない……!