魔法少女リリカルなのはEXTRA SEQUENCE   作:黄金馬鹿

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ライアン「幼女に先生って呼ばせて頭を撫でる……あれ、これ、事情を知らない人にバレたら確実に通報されるし、高町家にこれが露見したら死ぬ……!?」


第十四話

 ジュエルシード三つの一斉回収。それは本来、何処かで暴走するはずのジュエルシードが一か所に集まったと言う事であり、その何処かのジュエルシードが存在しない事によって何かしらのタイムパラドックスの発生が懸念された。しかし、それは杞憂だったのか分からないが、ここ数日。ジュエルシードの反応は検出されず、なのはとユーノはジュエルシードが見つからない事に若干の焦りを感じていた。

 が、ライアンだけは違い、ここまでにジュエルシードが一つも見つからない事にホッとしていた。

 つい先日。ジュエルシード三個を取り込んだジュエルシードモンスターとの戦闘の翌日、久しぶりにライアンはスカリエッティと通信をした。彼はそのジュエルシードモンスターによるタイムパラドックスの可能性として、何処のジュエルシードが無くなると未来にも影響をしかねないのかをライアンに教えた。

 その内の二つ。夜中の学校らしき場所でのジュエルシードの暴走。そして、プールでのジュエルシードの暴走。この二つのジュエルシードが暴走しなければ、数合わせ的には問題なく、心配をしなくてもいいとの事だった。

 それを信じ、ハラハラドキドキしながら数日の間、なのはの特訓をしながら願い続け、土曜日の夜、つまりは夜中の学校での封印が無かったため、本当に細かなタイムパラドックスの発生のみで終わった。

 これによるマイナスの点はなのはの実践不足なのだが、そこはライアンが訓練をする事で多少は賄う事が出来た。だから、このタイムパラドックスは無いものと考えてもいい。

 そして、それが過ぎた事により、ライアンは日曜日は安心した顔でなのはの部屋でクッキーを齧っていた。

 用意された寝床でクッキーを食べ、丸まり、そして眠る。正しく動物のような事をして次のジュエルシードに備えていると、ライアンとユーノはなのはの手で部屋の外に追い出された。どうやら、着替えるらしい。

 

『出かけるのか?』

『あ、うん。今日はお父さんが監督をしているサッカーチームの応援。アリサちゃんとすずかちゃんと一緒に』

『おー、そうか。たまには魔法の事は忘れてはしゃいでこい』

 

 その間、ライアンは休む。ユーノも魔力回復のために休む。つまりは完全な休暇だ。

 最近はニートレベルで昼間はゴロゴロしていたライアンだが、改めて今日が休日と思うと、結構気分も良ければいつも以上に休める気がする。

 あくびをしながらなのはが部屋から出てくるのを待つこと数十秒。着替えと身支度を終えたなのはとすれ違うように部屋に入り、ニートをかまそうとしたが、ライアンの体がなのはの手によって掴まれ、そのまま肩に乗せられた。掴まれた時、中身が出そうになった。

 

『……なのはさん?』

『ライアンさんもユーノくんも一緒。二人に連れてきてって言われちゃったし』

 

 そういえば、アリサとすずかと会うのは年単位で久しぶりになるし、この時代の二人とは初めて会うな、とライアンは軽く現実逃避をしていた。

 さらば休日。さらばニートの日。魔王の手からは逃れる事は出来ない。

 魔法の訓練をし始めてからこの子、随分と図太くなったきがする、となのはの小さなツインテールをせめてもの抗議で弄ってみるが、小さなフェレットの体では大した抗議にはならなかった。己の体を呪いながら、しかし逆らえない雰囲気を感じ、ライアンはなのはの肩に乗せられユーノと共にドナドナされていった。

 そしてなのはが家族に声をかけてから外に出かけ、歩く事数分。現地にて、なのははアリサとすずかと合流した。

 

「あ、なのは! おはよ!」

「なのはちゃん、おはよ」

「うん、二人とも、おはよ」

 

 仲良し三人は笑顔で挨拶し、そのまま三人で駄弁り始めかけたが、ふとアリサがなのはの肩の上で垂れているライアンとフェレットのふりをしているユーノを見つけた。

 その瞬間、アリサの顔が面白い物を見つけた子供のように変わっていき、そのままユーノ……ではなくライアンの方を思いっきりひっ掴み、己の方に持ってきた。

 

「ぎゅっ」

『うげぇっ!?』

 

 思った以上に強いアリサの握力に今朝食べた物と共に人語が口から飛び出しそうになるが、何とか耐えた。

 アリサはすぐに力を入れ過ぎたと気が付いたのか、すぐに力を緩めたが、アリサはライアンの事を離してくれない。そのまま真っ黒なフェレットであるライアンの事を眺めている。

 

「へぇ、この子がなのはの言っていた新しいフェレットのギル?」

「うん。そう見えても人懐っこいからあんまり強く持たなくても大丈夫だよ?」

『な、なのはさん? そう言われると脱出しにくいのですが……』

『ご、ごめんね……? そういう事だからあまり逃げようとしないであげて?』

 

 アリサにバレないようになのはの方へ視線を投げれば、なのはは片目を閉じてごめんね? と小さく呟いていた。流石にそんな仕草をされると断りたい物も断れない。

 ライアンはアリサの手から抜け出すと、アリサの手を伝ってそのまま肩に乗り、垂れた。アリサはそれに驚いたのか、小さくわ、わ、わ、と言っていたが、ライアンがアリサの肩を指定位置にして垂れた所でちょっと笑顔になっていた。ライアンとしては手から抜け出して早く肩の上で昼寝に興じたかったのだが、アリサは初対面で慣れてくれたことが嬉しかったのか、横から見ても分かる位に笑顔になっている。

 初対面のライアンでも分かる位に大人びた、というか大人っぽく振る舞っている子だったが、やはり感性は女の子なのだろう。ライアンは何かサービスをしようかと思ったが、もしも将来バレた時に抹殺されかねんので、肩で垂れるだけに留めておくことにした。

 

「ほ、ほんとに人懐っこいのね……」

「アリサちゃん、笑いを隠せてないよ?」

「うえっ!?」

 

 どうやら、笑わずにクールぶっているつもりだったらしい。その満面の笑みは隠そうと思って隠せる物では無かった。

 可愛いのう、とライアンは垂れながら思っていると、頭をすずかに撫でられた。取り敢えず、サッカーの応援とやらが終わるまではされるがままにされておこう。ライアンはアリサよりも遥かに強いすずかの撫でる力に耐えながら、肩の上で安らぐ事にした。

 

『……なのはさん。こっちの紫の子、すっごい力が強いんだけど。何か目が怖いんだけど。犬歯見えてるんですけど。怖いんですけど。ねぇ、これバレてない? バレてないよね? 俺、いきなり首をもがれたりしないよね? 首折れそうなんだけど』

『すずかちゃん、運動神経いいから……』

『いや、運動神経の一言じゃ片付かねえからこれぇ!?』

 

 今この時だけ、アリサの手で弄ばれているユーノが羨ましかった。

 

 

****

 

 

 結局、と言えるのか。ライアンが首をもがれる事は無く、アリサの肩の上を指定地としたライアンは三人が応援している中、アリサの肩の上で熟睡していた。

 魔法で肩の上から落ちないように己の体とアリサの体を固定して熟睡し、ユーノは三人娘の手によって玩具にされて午前が終わった。ユーノは疲労困憊、ライアンは熟睡出来たため、かなり気分が良かった。

 

『ライアンさん、恨みますよ……』

『誰かの肩を指定地にしなかったお前が悪い』

 

 ライアンはアリサのお気に入りとなったのか、頑なにライアンを離そうとはしなかった。というか、肩から降ろそうとはしなかった。よっぽどライアンが肩に乗っているのが気に入ったのだろう。それか、フェレットを二匹肩に乗せているなのはが羨ましかったのか。

 ライアンは少女の夢を壊さないようにアリサの肩に乗り続ける人懐っこいフェレットを演じ続けた。

 そして、午後。サッカーチームのメンバーと応援に来たメンバーは監督である士郎の言葉によって翠屋で昼食をとる事になった。なんでも、相手チームに勝った事へのご褒美だとか。

 ライアンも時々なのはから受け取る翠屋のおやつやクッキーは好きなため、アリサの肩に乗せられた状態で昼食をペット枠で共にする事となった。

 ライアンを降ろそうとしないアリサの手から直接クッキーを食べ、ユーノは三人娘をたらい回しにされている。

 

「……ねぇ、なのは? この子、このまま持って帰ってもいい?」

「駄目だよ!」

 

 何やら不審な会話があった気がしないでもないが、昼食もつつがなく終了。なのはが一瞬何処かを見て暗い表情をした気がしたが、アリサの手からクッキーを食べるライアンにはそれを気に掛ける余裕は無かった。

 何時の間にかサッカーチームの方は解散となったのか、元気に昼食を食べていた少年たちは帰っており、なのはの暗い表情はさっきよりも頻繁に見えるようになっていた。まさか、なのはの初恋の人でもいたのか? と考えたが、まっさかー、とすぐにその考えを改めると、アリサの肩の上で休まる事にした。

 すると、なのはがいきなり立ち上がった。

 

「ご、ごめん。わたし、用事があるの思い出したから行くね!」

「え? そうなの? 何か急ね」

「じ、実はさっき思い出したんだけど、言おうか迷っちゃって……」

「じゃあ、今日は解散かな?」

「ほ、ほんとごめんね! あ、ユーノくんは持ってくから! じゃっ!」

『ちょ、なのはさん!? 俺忘れてますよ!?』

 

 ユーノを鷲掴みにして走り去っていくなのは。そして残されるライアン。

 何か挙動不審だったなのはに疑問を感じたのか、アリサとすずかは顔を見合わせて首を傾げた。そして、アリサはライアンをテーブルの上に降ろすと、すずかと共に立ち上がった。

 

「じゃあ、なのはも行っちゃったし、帰りましょうか。ちょっと早起きしたから眠いわ」

「そうだね。あんまりここに居ても迷惑かもしれないし」

 

 そのまま士郎と桃子に礼を言ってから帰っていくアリサとすずか。ライアンは一人翠屋に残されたため、完全に手持無沙汰になった。

 テーブルの上で放置されたライアンは暫く呆然としていたが、テーブルの片づけに来た桃子に見つかり、優しく抱き上げられた。

 

「あら、ギル君は置いて行かれちゃったの」

「ん? なのはは何処に行った?」

「さっき用事があるって出て行ったわね……取り敢えず、ギル君はお店に置いておきましょうか」

「そうだな。なるべく目の届く場所に置いておこう」

 

 ライアンは結構大人しい性格だと思われているからか、士郎と桃子はライアンを翠屋に置いておくことにしたようだ。ライアンはカウンター席に置かれ、大人しくしていてね? という言葉と共に餌のクッキーを置かれた。

 普通のフェレットなら動き回るのだろうか、ニート志望の大人しいフェレット、ライアンなら別だ。ライアンは言われたとおりに大人しくしておくことにした。

 午前中はまさかの外出に同伴させられたが、昼になったら平和だ。このまま何も無ければ最高だな、と思い、クッキーを齧っていると、全身に嫌な感覚が走った。

 

『な、何だ、この魔力……』

 

 それは強大な魔力を感じたがためだった。その直後、翠屋を地震が襲った。

 

『まさか、ジュエルシード!?』

 

 恐らく、暴走したのは一個だけだろう。だが、その規模はこの間のジュエルシードモンスターの比ではない。あれが生命体の暴走だとしたら、これは自然の暴走だ。

 ライアンはすぐに幻術を使い、一般の人にはライアンが寝ていた場所にライアンがいるように見えるようにしてから、ライアンは街へと躍り出た。

 万が一にも犠牲者を出してはならない。これは魔法がもたらした事。つまりは管理局員の仕事だ。絶対に、犠牲者は出さない。守って見せる。それが、未来のなのはから教わった事の一つでもあるから。

 フェレットの姿で走る。ジュエルシードを止めるために。




何気に大災害な話ですよね、これ。なのはさんが居なかったらって思うとゾッとしますね……w

ってか、再構成は書いていてもアレだから、早く無印は終わらせたいのに話を飛ばせないこのジレンマ。取り敢えず、ライアンは爆死したらいいと思いました。
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