10話の続きです。
今回は結構シリアスで、エロとグロがあります。
それでは本編はじまります。
「サンダルフォン、召喚されました」
「「・・・・・・」」
突如現れたバニーガールの女性に、セシリアとスィーリアは何も言うことが出来なかった。というよりも、どう言えば良いのか解らなかったのだ。
「なんというか。ある意味驚いたな?」
「僕も最初に見たときは驚きましたよ。後の機械の羽が無かったら、ただの水商売している女性にしか見えませんからね」
「・・・・・・やはり、マスターもそう思いますか・・・」
「あっ!?ごめんサンダルフォンさん!」
「本人も気にしていたんだな?」
「それはまあ、あのような格好を好き好んで着る人なんておりませんわ」
キラに自分の格好のことを言われて、サンダルフォンは落ち込んだ。
「あの・・・僕はサンダルフォンさんのその格好・・・好きです」///
「ま・・・マスター」///
「「・・・・・・」」
急に二人の周りにピンク色の空間が出来てしまい、二人はさらになにも言えなくなった。
「あの・・・キラさん」
「おっと、ごめん。サンダルフォンさん、二人に自己紹介してください」
「了解しました。はじめまして、私の名はサンダルフォンです」
「はじめまして、セシリア・オルコットですわ」
「スィーリア・クマーニ・エイントリーだ、よろしく頼む」
セシリアとスィーリアが自己紹介をすると、ふとサンダルフォンは瞳を閉じて呟き始めた。
「セシリア・オルコット、スィーリア・クマーニ・エイントリー、ライブラリー登録完了」
「登録?」
サンダルフォンから発せられた言葉に、二人は頭に疑問符を浮かべた。
「サンダルフォンさんは自らを機械化して、驚異的な戦闘能力を手に入れたんだよ」
「なに!?まさか・・・サイボーグなのか!?」
「さ・・・さすが異世界ですわね」
「似た様な物です。とはいえ、涙も出ますし血もでます」
「なるほど・・・」
サイボーグだと聞いて驚いた二人に、サンダルフォンがさらに指摘する。
「それで、キラさんとサンダルフォンさんは、どのようにお会いしたのですか?」
話を戻したセシリアは、キラとサンダルフォンがどうやって会ったのかを尋ねる。
『あれはキラ様が、11歳の時でしたわ』
「最初は、とある大きな遺跡だったんだ。その時はガイアさんとヤンさんと一緒に、どんなところなのか調べていたんだけど・・・・・・突然現れたサンダルフォンさんが僕達を攻撃して来たんだ」
「大丈夫でしたの?」
『私が咄嗟に防御魔法を展開したので、キラ様とヤン様には傷一つありませんでしたの』
「その時の私は、マスター達が神域を荒らしていた者だと勘違いしていました」
思い出しながら話すキラとガイアに、サンダルフォンは申し訳なさそうに言う。それを見たキラは「気にしてないから大丈夫ですよ」と声をかける。
「ですが、どうしてキラさんを襲ったのですか?先ほど勘違いをしたとも言っておりましたが?」
「私は本来、神の代行者として神域を守護しておりました。しかし何時からか、その神域を荒らす者が現れました」
「だからヤマト達を、犯人と勘違いしたのか?」
スィーリアの問いにサンダルフォンは静かに首を縦に振った。
「それでガイアさんが説得してくれて、なんとか誤解が解けたんだ。その後事情を聞いて、僕達と一緒に行こうって言ったんだけど・・・」
「先ほども言った通り、私は神の代行者として神域を任された身。下手に神域を離れることはできません。とはいえ、ガイア様からも来て欲しいと言われたので、その時は考えて欲しいと言って分かれました」
ですが、と言ってサンダルフォンとキラは少し表情を暗くした。
「その日の夜でした。何時も通り神域を巡回していると、彼らが現れました」
「もしや、神域を荒らしていた犯人達か?」
「・・・そうです」
今まで隠れていた者達が、突如サンダルフォンの目の前に現れた。それはつまり、隠れる必要が無くなったということだ。
「私はすぐさま攻撃態勢に入ろうと思いました。ですが突如荒らした犯人達は持ち出したであろう機械を取り出し、半径1キロに特殊な結界を張りました。すると私は飛行できなくなり、魔弾を撃つことも出来なくなりました」
「そのようなことが可能なのですか!?」
『神姫・英霊・幻獣などが生まれて数千年、私達の力を恐れた研究者達が、理解者の神姫達と共に力を封じる道具を開発したのです。その一部は善ある者達に託し、悪意あるものが現れるまで封印したのですわ。因みにキラ様達が持っている最新鋭のデバイスにも、私達の力を封印する機能がありますわ』
「そうなのか?」
「うん」
『とはいえ、キラさんがその機能を使う時は、決まって説得する時位ですわ』
ガイアからの説明に、スィーリアとセシリアは納得した。
「話を修正します。犯人達はさらに私を『封印の鎖』で拘束したのです」
「『封印の鎖』?」
『先ほど言った、私達の力を封じる道具の一つですわ。私達三つの種を拘束するのに一番使われている拘束具ですわ』
「なるほど。ですがどうしてそのようなことを・・・・・・・・・まさか!?」
「け、契約のため・・・か?」
恐る恐る開いたスィーリアの質問に、またサンダルフォンが「そうです」と首を縦に振った。
「三種と契約するには性的な好意、所謂エッチをしなくてはいけません。その中でも一番非人道的なのがその三種を洗脳し奴隷にする『強制契約』、つまり・・・」
「強姦や調教・・・ですの?」
「はい・・・」
「なんと下衆な」
『それだけではありませんわ。キラ様と契約した方の殆どは、強制契約とは関係なく強姦された方々ばかりですわ。そうでなくても、心に深い傷を負った者も多いのです』
「「なっ!?」」
デバイスの中に居るガイアから発せられた言葉に、セシリアとスィーリアはまたしても驚愕し、キラの方に顔を向ける。
「そうなのですかキラさん!?」
「・・・うん。現に僕と契約した、『アモン』さんに『サタナキア』さん、『シヴァ』さんに『イシス』さんに『ガヴリエル』さんに『アリアンロッド』さん、英霊の『オリヴィエ』さんに『ローゼンクロイツ』さんに『アーサー王』さん、幻獣の『スレイプニル』さんに『ヨルムンガンド』さん『メデューサ』さん達は皆強姦されたり辛い過去があったりする人ばかりなんだ。中にはその所為で人間不信になった人も・・・」
「けっこうおりますわね・・・・・・」
「知らない者から見れば後から刺されるな。しかも中には最高クラスの神様がいるとなると、完全に罰当たりも良い所だ」
「僕自身そう思ってますし、地獄に堕ちる覚悟は出来てますよ(鬼灯さんも言ってたし)」
((私達はその気はさらさらありませんし、キラ様(マスター)ならハーレムでも構いません(わ)))
余りにも多すぎる数に二人は苦笑いしながら感想を述べ、キラも自覚があるのか地獄に行く覚悟は出来てると言った。しかしガイアとサンダルフォンは、キラの考えを完全否定した。因みに他にもアテナやオーディンもいるが、アテナは自らキラに強制契約を持ちかけており、オーディンも本人がマゾと認めており、たまにキラに会っては「私をもっと滅茶苦茶にして♥」と言っているのでノーカウントである。
「また話を修正します。お二人が言った通り、犯人達は・・・私を強姦しました」
その時のことを思い出したのか、サンダルフォンは震えていた。
「私が暴れようとすると、持っていたスタンガンを浴びせて・・・・私の胸や秘部を、乱暴に・・・私が嫌と叫ぶ度に彼らは笑って・・・」
「サンダルフォンさん・・・」
「なんということを・・・」
『「・・・・・・」』
話す度にサンダルフォンは震えていき、更には眼から涙が流れ始めた。その姿を見てセシリアは悲しくなり、スィーリアは怒りを覚えた。そしてキラとガイアも苦虫を噛み潰したような顔になっていた。大きな力を持っていてもやはり彼女達は女。そのようなことをされれば恐怖しないわけがない(但し一部の者を覗いてだが)。
「そして犯人たちの頭と思われる者のソレが、私の女性器に入ろうとした時、マスター達が助けに来てくれました」
「さすがキラさんですわ」
『キラさん自身「なにか嫌な予感がする」とおっしゃっておりましたわ。それで予感は的中し、下衆な方々がサンダルフォンさんの秘部に入れようとしていた場面でしたわ』
「殆どギリギリだったか」
『とはいえ、結界が張られていたので。単純に身体能力でしか戦えませんですが・・・』
「それでも間に合ったのですわ。まだ良い方ですわ」
「強姦されている時点で良くは無いがな・・・」
キラ達が間に合ったことにスィーリアとセシリアはホッと胸を撫で下ろした。
「・・・・・・」
「ヤマト?」
「キラさん?」
しかしキラの顔は晴れては居なかった。それどころか爪が食い込んでおり、更に悲しそうな顔になっていた。何故なのか二人は解らなかったが、ガイアとサンダルフォンからとんでもないことを口にしたのだ。
『確かに私達は間に合いましたわ。・・・・・・ですが、その光景を見たキラさんが・・・』
「私を犯そうとした犯人達を、皆殺しにしたのです」
「「!?」」
二人の口から放たれた言葉に、セシリアとスィーリアは何度目かの驚愕をするのだった。
『キラ様の両手には、いつの間にかシヴァさんとオーディンさんの槍が握られており、気が付いた時には犯人達の頭であろう方の胴体を切り裂いておりましたわ』
「あれはもう、ただの人間が出来るような動きではありませんでした。相手の銃弾や魔力弾を、まるで呼吸をするかのようにかわしては、首を切り裂き、腹部を狙って投擲し、命乞いをする者も容赦なく血しぶきが出るほど槍を叩きつけていました」
『そして終わった頃には、地獄絵図でしたわ。キラさんの服には返り血で濡れており、目からは涙が流れておりました』
その時の様子を思い出しながら話すガイアとサンダルフォンに、二人はありえないと言わんばかりに驚いていた。あのキラがそのようなことをしていたとは。
「な・・・なぜですの、キラさん」
セシリアは恐る恐るキラに、どうしてそんなことをしたのか質問をする。
【BGM:あんなに一緒だったのに athrun zala feeling】
「・・・・・・許せなかったから・・かな」
「それだけですの?」
「僕にとっては充分だよ」
「ヤマト?」
「この世界も含めて、今も僕らが生きていられるのは、皆ガイアさん達が頑張ってくれたからだ。それには僕だけじゃない、ヤンさんやアスラン、ヒイロにデュオ、アムロさんやシャア大佐、ロイエンタールさん達女神艦隊の皆も感謝してる」
「マスター・・・」
「なのに・・・なのに僕達人類は、そんな人達を傷つけてばかりじゃないか!」
キラの中で我慢していた何かが爆発して、叫びながら立ち上がった。
「神様達は僕達の平和の為に戦ったのに、僕達人類は争ってばかりじゃないか!人を殺して、犯して、壊して、傷つけて、憎しみばっかりが生まれて、無抵抗な人を虐殺して、捕まえた人を強姦して、自分の利益のために他人を利用してる!!それで今度は神様や幻獣や英霊の人達を化け物って罵倒して、捕まえてはレイプして奴隷にするなんてあんまりじゃないか!」
「キラさん・・・」
「ヤマト・・・」
「どうして・・・どうしてガイアさん達が、そんなことされなくちゃいけないんですか!?だからシヴァさんが世界を破壊しようとしたんだ!だから一部の神様や幻獣の人達が世界を壊そうと考えてしまったんだ・・・」
そう叫ぶキラの瞳からは涙が流れており、それには今は人間であるスィーリアとセシリアも何も言えなかった。それは勿論キラの言うことが正しいからだ。彼女達の話を聞けば聞くほど、完全にこちらに非があるとしか思えないのだ。前に彼女達の世界では数千年前、世界の終末と呼ばれたラグナロクが起ころうとしていた。そのラグナロクを阻止したのが、彼女達神姫だ。それなのに今では彼女達を強姦し、自分達の物にしようとする輩まで出てきてしまった。
「だから・・・許せなかったのだな?」
「今でも思い出します。クズな人達に騙されて、ドロドロにされて、「助けて」って言いながら泣き叫んでいたオリヴィエさん。人質になった僕の代わりに犯されて、泣きながら「見ないで」って叫んだシヴァさんやアモンさん達が・・・うぅ・・」
一体この少年は、どれだけの狂気を見てきたのだろうか。知り合った人達が皆目の前で犯された。優しい彼からしてみればある種の拷問だ。そのようなことを彼は何度も見てきたのだ。
「・・・・・・それで犯人達を皆殺しにした後、マスターは私を抱きしめ「ごめんなさい、ごめんなさい。僕達の所為で、ごめんなさい」と泣いて謝っておりました。それで結界は解除したのですが、鎖を解くことはできませんでした」
『封印の鎖は、確実に契約を完了しない限り解くことができませんの』
「ということは・・・」
「はい・・・契約しました」///
先ほどとは打って変わって、顔をトマトの様に赤くするサンダルフォン。機械で強化されようと、やはり感情はあるのだ。
『ヤン様は「私は神域の方を調べてみるね」と、空気を呼んでその場から離れて行き、私は『もしも』のことも踏まえてその場に残り、キラ様のお手伝いを・・・』///
「たまに思うのですが、ガイアさんは本当に創造神ですの?」
「そのことに関してはヤンさんもショック受けてたよ」
『失礼な!』
セシリアとキラの言葉にガイアが突っ込む。
「それで契約が完了し、何とか鎖を解くことは出来ました。しかしマスターとの契約が気持ちよく感じてしまい、「天使失格です」と言いました。するとマスターが――」
『それなら、僕の天使になって下さい!もう神様の天使は無理でも、僕にとっては貴方が天使に見えるから!』
「――と泣きながら言ってくれました」
「なんという口説き文句ですの?」
「これが泣き落としというものか?」
「・・・・・・」///
サンダルフォンから発せられたキラの言葉に、セシリアとスィーリアは各々感想を述べる。そしてキラはこれまた顔をリンゴのように顔を赤くする。
「あの時は本当に救われました。私のために泣いてくれて、さらには私を天使として見てくれたのが・・・」
『アスラン様達は、キラ様のことを泣き虫と称しますが、キラ様と契約した方々は皆さん、キラ様の涙で救われた方々ばかりなのですわ』
「キラさんの涙で?」
『先ほどキラ様は後から刺される自覚は持っていると言いましたが、みなさんその気はまったくありませんわ。人質になった際もキラ様はもう、ボロ雑巾の様な状態で・・・シヴァさんもアモンさんも、自分のために泣いてくれたキラ様が、これ以上痛めつけられるのを見たくないがために、下衆な方々に・・・・・・』
「・・・そうか」
サンダルフォン達の話を通して、スィーリアとセシリアは改めてキラが優しい人間なのだと理解した。他人のために泣くというのは簡単に出来ることではない、ソレなのに目の前の少年はそれを平然とやり、そして多くの者達を救ってきたのだ。それはある意味強さでもあり、弱さでもあるが・・・。
「おっと、私はそろそろ練習に戻る」
「あの、僕も見学して良いですか?」
「かまわないよ」
「それでしたら私も!」
「それでは私は戻ります」
「ありがとうサンダルフォンさん」
「ありがとうございますわサンダルフォンさん」
「私からも礼を言う、為になる話を聞けた」
「いえ」
それでは、と言ってサンダルフォンはデバイスの中に戻った。すると張られていた結界は解除されて、キラ達は馬小屋に向かった。
すると、
「キャアアアアアアアアアーーーーーーーー!?」
「「「!?」」」
突如悲鳴が聞こえ、3人は悲鳴が聞こえた場所に向かうのだった。
次回は・・・ちょっとエッチかも。///