歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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次の話を書こうとしたら、まさかの風邪をひいてしまいました。

だから風邪の閑話を投稿することにしました。
皆さんも気を付けてください。


閑話集
閑話:風邪


「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!! あぁ~、だるいぃ」

 

そう咳込みながら零したのは、イチカだった。彼は今ベッドの上で横になりマスクをして寝ていたのだ。

――ピピピピ!

 

脇からそう機械音が鳴り響き、脇に手を伸ばし体温計を取り出し数値を見ると

 

「……39.4℃。完全に風邪だなこりゃあ」

 

そう言い体温計を仕舞い、天井を見上げるイチカ。

 

「あぁ~、安静にしてよぉ」

 

そんなイチカの呟きが部屋を木魂した。

 

 

 

「―――と言う訳で本日はイチカが風邪の為、訓練は俺達のみで行う。質問ある奴いるかぁ?」

 

ハンガー横に設けられている会議室でミーティングを行っていたデルタ小隊の面々はイチカが体調不良で休みという事で、一人抜けて訓練を行おうとしていた。

 

「いや特にないが、イチカの奴大丈夫なのか?」

 

ここ(エンシェントセキュリティー社)の医者が言うにはただの風邪らしい。2,3日したら全快だとよ」

 

ハヤテの質問に心配ないとアラドが説明し、他にある奴は?と首を振る。

 

「はい! イッチーのお見舞いに行っていいですか?」

 

「フルーツ持って行きたい」

 

マキナとレイナがそう言うとアラドが、苦笑いを浮かべた。

 

「あぁ~、すまん。イチカが移すといけないから見舞いは別に良いって言ってたんだ」

 

「えぇ~! 折角レイレイとフルーツの盛り合わせ買ってきたのにぃ」

 

「…ショック」

 

落ち込む二人にアラドは、だがと続ける。

 

「ちゃんと移らない様に対策して行くなら問題無いだろ。病は気からって言うからな、2人の元気をあいつにやったらすぐに元気になるかもな」

 

そう言うとマキナとレイナは嬉しそうな笑顔を浮かべ、後で行こうっと約束し合う。

 

「よし、他に質問ある奴はいないな? それじゃあ訓練を始めるぞ!」

 

そう言い各々機体へと向かった。

 

アラド達が訓練をしている頃、イチカは部屋で未だに咳込んでいた。

 

「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。うぅ~、チキショぉ。なんだってこんな日に風邪なんかひいちまったんだよぉ。久しぶりにバルキリーに乗れると思ったのにぃ」

 

そう零しながら風邪のウイルスを恨みながら寝ていると、扉をノックする音が鳴り響いた。

 

「はい、どちら様ですか?」

 

「スコールよ、入るわね」

 

そう言って扉を開け入って来たのはマスクをしたスコールだった。手には風邪によく聞くと言われる葛根湯の入った袋があった。

 

「大人しくしている様ね」

 

「……そりゃあ大人しくしていないと、あれが拘束して来ますからね」

 

そう言ってイチカが指さした先には、人と同じサイズのゴーレムがプラカードを持って立っていた。

プラカードには『大人しく寝ているように。部屋から出ようものならゴー君が捕まえるよ。By束』と書かれていた。

 

「……束なりの思いやりよ」

 

「……思いやりなんですかね?」

 

そう言いながらぼぉーと天井を眺めるイチカ。

 

「まぁ、これでも飲んで体を休めなさい。貴方は十分すぎる程働きづめているんだから」

 

「そんなに働いた覚えが無いんですけどね」

 

そうイチカが言うとゴーレムの持っているプラカードに書かれていた内容が何時の間にか変わっていた。

 

『いや、いっくん働き過ぎているから。ちゃんと休みも取らないと(´。` ) =3』

 

「……聞いてたのね」

 

「……今初めて知りましたよ」

 

その後スコールは部屋から出て行き、また暫くシーンと静まり返る部屋。

するとまた扉をノックする音が鳴り響く。

 

「どうぞ」

 

「邪魔するぜ! おいおい、風邪なんかにやられるなんて鈍ってるんじゃないのか?」

 

「オータム、病人なんだからあまり大声上げないの!」

 

部屋に入って来たのはオータムとエリシアだった。

 

「なんですか? お見舞いですか?」

 

「それ以外何があるって言うんだよ? ほれ、見舞い品のポカリだ」

 

そう言ってオータムは袋から2Lのポカリのペットボトルを机の上に置く。

 

「私はこれ」

 

そう言ってエリシアが机の上に置いたのはゼリー飲料だった。

 

「あまり食欲が無いと思ってね」

 

「あぁ助かります」

 

イチカはゼリー飲料の蓋を開け、ちゅるちゅると飲み始めた。

 

「それじゃあちゃんと治せよ」

 

「それじゃあ失礼するわ」

 

そう言いオータムとエリシアは部屋から出て行った。

 

――3時間後

 

「…ん。あ、寝てたのか」

 

貰ったゼリー飲料を飲んだ後暫し寝ていたイチカ。目を覚まし時間を確認すると、既にお昼前だった。

 

「もう昼か。……お腹空いたな」

 

そう思いながら机の上に目を向けるも、既にゼリー飲料は無く残っているのは医者が処方した薬とポカリのみだった。

※葛根湯は不味いのが嫌いな為速攻胃に流し込んだ。

 

――コンコン

ノックする音が鳴り響き、また誰か来たのかと思い声を掛ける。

 

「どうぞ」

 

「お邪魔しまぁ~す!」

 

「お見舞いに来た」

 

そう言って入って来たのはマスクをしたマキナとレイナだった。

 

「……二人共俺の風邪うつるといけないから「大丈夫! タバタバ特製のマスクしているから!」「全然耳も痛くならないし、超快適」……さいですか」

 

諦めたイチカはレイナの握られている物に目が行く。

 

「それ、フルーツか?」

 

「うん、食べる?」

 

「あぁ。ちょうど腹が減っててどうしようかと思って悩んでいたんだ」

 

そう言うと二人は、そっかぁ!と嬉しそうな顔を浮かべフルーツの盛り合わせを机の上に置きレイナがリンゴを取る。

 

「おいおい、まさか自分で切るとかする気じゃないよな?」

 

「その気」

 

そう言って果物ナイフを取り出し切ろうする。だがその手は若干震えており、慣れていないと誰でも見て取れた。するとゴーレムがひょいっとナイフとリンゴを取り上げた。

 

『怪我したら危ないよ。ちゃんと包丁の握り方を勉強してからやりなさい。(*'へ'*)ぷんぷん』

 

そうプラカードを見せ直ぐにシャリシャリとリンゴを剥くゴーレム。

 

「ありゃりゃ、怒られちゃったねレイレイ」

 

「仕方ない。ちゃんと練習してからイチカに食べてもらおう」

 

イチカはふぅ~と安堵のため息を吐く。

そして紙皿に載せられたリンゴを頬張りながら、今日の訓練の様子を楽しげに話し始める3人。

ハヤテがまたミラージュと喧嘩を始めスコア対決を始めたり、何故かチャックを執拗に追いかけ回し楽しんでいたマドカだったりと会話は弾んでいた。

 

「ハッハハハハ。うん? そう言えば二人共、この後歌のレッスンじゃなかったのか?」

 

イチカは机の置き時計に目が行きそう言うと、二人はそうだったと思い出したように立ち上がる。

 

「いっけなぁい、カナカナに怒られちゃう!」

 

「急げ、急げ」

 

そう言い二人は扉を開け部屋を出て行く。するとまた扉が開き2人が顔を覗かせる。

 

「「早く元気になってね。チュッ」」

 

とマスクを外して投げキッスをして扉を閉めて行く2人。

2人の行動に顔を若干赤くしながら暫し扉を眺めるイチカ。するとゴーレムからピンポンと鳴り、そちらを顔を向けるとプラカードには

 

『モテモテだねぇ、いっくん‼ ☆ヒューヒュー♪ヾ(^ε^ゝ)“☆』

 

「……」

 

プラカードを見たイチカは更に顔を真っ赤に染め、頭から布団をかぶり顔を隠す。

 

「―――てな感じで皆見舞いに来てくれた」

 

「そう、良かったわね」

 

あれから暫く経ち、今度は美雲がお見舞いにやって来ていた。美雲もイチカのお見舞いに行きたかったが、お見舞いの品をどうしようかと色々と悩んでしまい結局最後になってしまったのだ。

 

「それで、私が作った雑炊はどうかしら?」

 

「滅茶苦茶美味い」

 

そう言いイチカは茶碗に入っている雑炊を頬張る。机の上には小さな土鍋が置かれている。

 

「そう。頑張って作った甲斐があるわ」

 

美雲は嬉しそうに笑みを浮かべながらイチカが頬張る様子を見続けた。

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末様でした、で良いのかしら?」

 

綺麗に食べ終えたイチカを見て満足そうに頷く美雲。

 

「熱も下がり始めてるの?」

 

「少しだけな。まぁもう少し休んでおくよ」

 

そう言い横になるイチカ。

 

「早く元気になってちょうだいね」

 

そう言いイチカの手を握る。

 

「あぁ、良くなったらデートに行こう」

 

「えぇ。なら早く良くなってね」

 

そう言い別れを惜しみながらも美雲は部屋から出て行く。

早く治そうとイチカはそう心に決めながら、またゆっくりと目を閉じ眠りについた。

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