歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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12話

謎の穴に吸い込まれ、突如未知の宙域へと到着したマクロス・エリシオンはイチカの機体の反応が有った方角へと進んでいた。

そしてアラドは格納庫にいる自身の部下達、そしてワルキューレ達が居る待機室へと到着して居た。

 

「全員揃っているな?」

 

「隊長、一体何が起きたんだよ?」

 

ハヤテは何時でも出撃できるようパイロットスーツを着た状態でアラドに聞いた。

 

「あぁ。どうやらこのマクロス・エリシオンは何処か他の宙域に飛ばされた可能性がある。そして現在この艦が向かっている方角は」

 

アラドは其処でいったん言葉を区切り、一呼吸入れた。

 

「……イチカの機体がある方角だ」

 

アラドから出た言葉に全員驚いた表情を浮かべ、言葉が出なかった。

 

「な、なぁ隊長。いまイチカって……」

 

チャックは震える唇でそう伝えると、アラドは首を縦に振って肯定した。

 

「そうだ。先ほど艦長の所に行った際にイチカの機体の反応が有った。その為イチカが居る方角に今向かっている」

 

その言葉に美雲は自然と目から涙が出てきた。

 

「……生きてた。イチカが生きていた!」

 

美雲は溢れる涙を抑えられず、涙を流しながら喜んだ。美雲以外にもレイナやマキナも泣き喜び、互いに手を掴みながら跳ねていた。

 

「喜んでいるところ悪いが、まだイチカが生きているかどうか分かっていなんだ。その涙はアイツと会うまで残しておくようにな」

 

アラドがそう言っていると、待機室に備えられている通信モニターにブリッジにいるアーネストが映った。

 

『デルタ小隊、並びにワルキューレに通達だ。イチカが居るだと思われる惑星、そして座標を特定した。見てくれ』

 

そう言いモニターにある惑星が映った。

 

「あれ、これって……」

 

マキナはモニターに映った惑星に見覚えがあった。

 

「地球?」

 

ミラージュは思いついた惑星の名前を言うと、アーネストはそのとおりだ。と肯定する。

 

 

『だが、この惑星は恐らく我々が知っている地球ではない。恐らく別の地球だと思われる。そしてイチカの居ると思われる場所が此処だ』

 

そう言い地球のある一点が拡大された。

 

「此処にイチカが居るのか?」

 

ハヤテはそう聞くと、アーネストは首を横に振る。

 

『正確にはイチカの機体がある場所だ。詳しくは降りてみないと分からない。其処でデルタ小隊、並びにワルキューレ達を降ろそうと思う。各員は速やかに準備を終え任務にあたってくれ』

 

「了解だ。よし全員速やかに機体に搭乗しろ。ワルキューレ達は輸送機に乗り込んでくれ」

 

「「「了解(ウー・ラー・サー)!」」」

 

アラドの指令に全員機体に搭乗していき、ワルキューレ達も輸送機へと乗り込んだ。

そしてデルタ小隊とワルキューレ達を乗せた輸送機はイチカの機体の反応が有った地点へと降下していった。

デルタ小隊達が降りた場所は、イチカの機体があるエンシェントセキュリティー社から400㎞程の位置だった。エンシェントセキュリティー社は突然防空レーダー感知範囲に機影を確認できたことに驚き、スコールに報告する。

 

「司令! 此処から400㎞地点に突然所属不明の機影を確認! 数は5。真っ直ぐ此方に向かって来ます!」

 

「基地全体に警報を発令! 対空戦闘を準備の上、上げられる戦闘機は順次スクランブル用意! 所属不明機にオープン回線で呼びかけ、何処の編隊か聞きなさい!」

 

「イエス・マム! 此方エンシェントセキュリティー社、現在此方に向かっている機影に告げる。――――」

 

スコールからの指示に指令室にいた無線手はオープン回線で呼びかけ始めた。

その無線はデルタ小隊にも入っていた。

 

『此方エンシェントセキュリティー社、現在此方に向かっている機影に告げる。そちらは当基地の防空範囲に侵入している。目的を明らかにしろ。繰り返す、目的を明かせ。さもなくば防空侵犯として撃墜する』

 

『おいおい、隊長。降りる所間違えたんじゃないのか?』

 

ハヤテがそう言っている中、アラドはどうすべきか判断に迫られていた。

 

(機体の反応があったのはあの地点なんだ。だが無暗に俺達の正体を明かすのは不味いし、どうすべきだ?)

 

そう悩んでいると、突然先ほどの男性とは違う女性の声が無線に入ってきた。

 

『はろはろ~、聞こえてるぅ? 一つ確認したいんだけど、もしかして君達っていっくんが所属していたデルタ小隊って言う名前かな?』

 

「!?」

 

突然の問いにアラド、そしてデルタ小隊のメンバー全員が驚いた。

 

「そうだ。アンタが言ういっくんがイチカと言う名前なら、俺の大切な息子で部下だ」

 

『そっか、そっか。それじゃあ大丈夫だね。スーちゃん! 接近している戦闘機はいっくんの仲間だから降ろしても大丈夫だよ!』

 

その声が聞こえたと同時に女性からの無線は切れ、先ほどの男性の声が届いた。

 

『今から指示する滑走路に進入して着陸してくれ。……可笑しな真似だけはするなよ』

 

そう言われ、アラドはホッと息を吐き指示に従い滑走路へと向かった。そしてデルタ小隊、輸送機が着陸すると指示棒を持った兵士に指示されながら、機体ごとエレベーターへと乗せられ地下へと降ろされた。降りた空間にはイチカの機体もあり、アラドは機体を指示された場所へと停めた後すぐにイチカの機体によるが、数人の銃を持った兵士達に止められた。

 

「ごめんなさい。まだ貴方達がイチカ君の仲間であると確証が取れるまでは貴方達は味方か敵か判断できないの」

 

兵士達の間からスコール出てきながらそう説明する。

 

「いや、誰だってそうなるからな。そう言えばさっきの無線の女性は?」

 

アラドがそう言うと何処からともなく束が現れた。

 

「やぁやぁ、初めまして。君達がいっくんと同じ部隊の人達だね」

 

「あ、あぁ。さっきの無線の女性か? 何故俺達がイチカと同じ部隊の仲間だと気付いたんだ?」

 

ハヤテは突然現れた束に驚きつつもそう聞くと束はニンマリとした表情で答えた。

 

「そりゃあいっくんから君達の機体の写真、そして集合写真を見せてもらった事があるからだよ。ハヤテ君」

 

「!」

 

「そして其処の丁髷みたいな人が、チャック。で、赤紫色の君がミラージュ。そして貴方がいっくんのお父さん、アラドさんだね?」

 

全員驚いた表情を浮かべる中、アラドは口を開く。

 

「それで、イチカは? 俺の息子は此処に居るのか?」

 

その質問に束が答えた。

 

「うん、この世界にいるよ。けど今この基地には居ない。今は別の場所で学校に通っているんだぁ。いっくんはあぁ見えてまだ高校生だし」

 

そう言うと、アラドはそうか。と一安心したように息を吐く。その光景を見たスコールは部下達に銃を下ろすよう伝え、下がらせた。

 

「それじゃあハンガーで立ち話も何だし、応接室に行きましょう。色々聞きたいことがあるでしょうし」

 

そう言いスコールはアラド達を連れ応接室へと向かった。

 

アラド達を連れ応接室へと入ったスコール達はそれぞれ席へと着き、飲み物を持ってくるよう部下に伝えた。

 

「それじゃあまず自己紹介から始めましょうか。私がこのエンシェントセキュリーティー社社長のスコール・ミューゼルよ。で、こっちが」

 

「篠ノ之束さんだよぉ! よろしく~!」

 

そう言い、次にアラド達が自己紹介を始めた。

 

「俺がデルタ小隊の隊長、アラド・メルダースだ」

 

「デルタ3のチャック・マスタングだ」

 

「デルタ4のミラージュ・ファリーナ・ジーナスです」

 

「デルタ5のハヤテ・インメルマンだ」

 

デルタ小隊の自己紹介を終えた後にワルキューレのメンバーが自己紹介を始めた。

 

「カナメ・バッカニアと言います。ワルキューレのリーダーをやっています」

 

「マキナ・中島って言います」

 

「レイナ・プラウラー」

 

「フ、フレイヤ・ヴィオンって言います」

 

「美雲・ギンヌメールよ」

 

「美雲?」

 

束は美雲の自己紹介にすぐに反応し、その傍に近寄る。

 

「ねぇねぇ、君ってもしかしていっくんの恋人?」

 

「えぇ、そうよ」

 

美雲は答えると、束はそっかぁ。と朗らかな笑みを浮かべ手を差し出した。

 

「いっくんの事お願いね。いっくんはどうしても一人で抱え込んじゃうことが偶にあるから、傍で一緒に支えてあげて欲しいの」

 

そう言われ美雲は一瞬惚けてしまうが、直ぐに我に返り束の手を握り返した。

 

「勿論!」

 

美雲の自信たっぷりな返事に束は安心したような表情を浮かべ元の位置へと戻る。

 

「さて、自己紹介も終えた事だし、お互い情報を交換し合いましょうか? 我々はこの世界の事。そちらはこちらで出現したある機体の事を教えてもらいたいのです」

 

「ある機体? そりゃあ一体?」

 

アラドは首を傾げながらそう聞くと、スコールは部屋を暗くしスクリーンにある画像を映し出した。

それを見たアラド達は驚いた表情を浮かべる。

 

「おい、この機体って!」

 

「ドラケン! 何でウィンダミア王国の機体がこの世界に!」

 

チャック、ハヤテがそう呟いてる中、スコールが順を追って説明を始めた。

 

「この機体はイチカが今通っている学園に突如襲撃した機体の写真です。この機体が襲撃してきた後、イチカともう一人の仲間が撃退。何処で作られ、誰の命令で動いたのか調べようとしたのですが何も分かりませんでした」

 

「この機体はISって言う本来人が乗って動かす物を、機械で動かせられるよう作られているみたいなんだぁ。まさかこの束さん以外にもこんな芸当が出来る奴が居るなんて信じられないよぉ」

 

スコール達の説明にアラド達は首を傾げる以外何も出来なかった。

 

「これを作った奴がこの世界にいる可能性はあるかもしれない。だがその人物に俺達は心当たりがなぁ」

 

「あぁ。あの戦争は、元凶となった奴は白騎士が相打ちを覚悟で止めに行き戦争は終結した。奴の可能性は低い」

 

「となると、一体誰がこの機体を?」

 

応接室にいた全員が頭を捻っている中、マキナが一人手を上げる。

 

「ん? マキナさん何かしら?」

 

「あの、話は代わるんですがいっちーの機体って誰か整備とかされていたんですか? あまりいっちーの機体を見ていないので整備とかしておかないと、いざって言うとき不調で撃墜とかされたくないから」

 

そう言うと、束が答えた。

 

「束さんが時折見てたよ。けど、束さんでもどれがどのパーツなのか見当が付かなかったから、自分でわかる範囲しかしてないよ」

 

「それだったら整備の方をしたいのですが、いいですか?」

 

マキナのお願いに、スコールは別に構わないかと思い、許可した。

 

「ふむ、まぁ構わないわよ。必要な道具とかは整備班に言ってくれたら貸してくれるし。そうだ束、貴女も行って来たら? イチカ君に渡す予定の強化パーツ今行き詰ってるんでしょ」

 

「それもそうだね。ねぇマッキー、束さんもその整備見学してもいいかな?」

 

「勿論です! 何だか貴女からは私と同じ雰囲気をずっと感じていたので、2人でお話ししたかったんです!」

 

そう言われ束も私もだよぉ!と喜びながらマキナと、端末担当のレイナと一緒に束はイチカの機体があるハンガーへと向かった。

 

「ありがとうございます。メンバーのお願いを聞いて下さって」

 

カナメはスコールにそうお礼を言うと、スコールは笑みを浮かべ別にいいわよ。と返す。

 

「それではこちらの世界に関する情報をお教えします。少し信じられない事もありますが、すべて真実なので心して聞いて下さい」

 

そう言いスコールはこの世界の状況を伝え始めた。




次回予告
臨海学校の準備をしにレゾナンスへと来ていたイチカとマドカ。そして一緒についてきた簪と鈴と共に回っていた。
買い物を終えて数日後臨海学校が始まった。
次回
臨海学校~前編~
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