旅館から飛び立ったオスプレイ内では、本部にいるスコールから作戦の内容が伝えられていた。
『先ほどイスラエルのIS技術開発所から依頼が来たわ。依頼してきたイスラエルによると突如出現した所属不明のIS群がアメリカと合同で開発していたISを強奪しようと攻撃をしてきたらしく、そしたら今度は攻撃を受けていたISが突然暴走し実験場から飛び立ち、太平洋を横断して日本に向かって飛んでいるらしいの。アメリカ政府は日本政府に頼みIS学園にこのISの撃墜を依頼したらしいけど、イスラエル側はISと搭乗者を無事に救護してほしいと私達に依頼してきたわ』
スコールからの通信にイチカ達は険しい表情を浮かべる。
「アメリカの連中、自分達が正義だからって何でもしてもいいって思ってるのか?」
「あぁ、軍事用のISは本来国土防衛用が暗黙のルールのはずだ。だが暴走したISは違うんですよね?」
『えぇ、暴走したISはオールレンジ型。完全に国土防衛用にしては火力が大きすぎるわ』
「イスラエル側はこれを知って技術を提供したのですか?」
ラウラは元軍人として気になりスコールに聞くと、スコールはため息を吐き首を縦に振った。
『イスラエルは技術は有ってもそれを活かすほどの資金も資材も無いの。それに目を付けたアメリカが今回の事を持ちかけたらしいわ。…ほとんどの権利はアメリカ側が握ってたようだけど』
その話を聞いたオスプレイ内に居た全員が眉間にシワが寄った。そしてイチカは本題へと移ろうと思い、学園側との作戦をスコールに聞く。
「それで学園側とはどういう作戦で行きますか?」
『現在此方の衛星によると暴走したIS、銀の福音の周りにはその所属不明らしき機影は無いわ。けど銀の福音は未だに暴走した状態の為、私達は2つの防衛ラインを構築しそれで迎え撃つ作戦で行くわ。第一防衛ラインにエンシェントセキュリティー社、そして第二防衛ラインにIS学園の専用機持ちが受け持つ。万が一第一防衛ラインでは抑えられない場合は第2防衛ラインまで後退し、学園側と共闘してISを止めてパイロットを救護よ』
スコールの作戦にイチカ達はそれが妥当かと思い、ISの準備に入ろうとすると学園側のモニターに映っているセシリアが手をあげた。
『あの、全員で攻撃した方が宜しいのではないでしょうか? 全員で攻撃すればすぐに終わる気がしますが』
『確かにそうすれば早く終わるかもしれないけど、さっきも言った通り所属不明機が何時乱入してくるから分からない状況では不用意に全戦力を投入出来ない。万が一所属不明のISが貴女達が泊まっている旅館付近で現れたら、教師達が持っている打鉄やラファールでは歯が立たないかもしれない為、即座に動ける予備部隊が必要なのよ』
そう言われセシリアは納得し分かりました。と言い座る。
『それじゃあ質問は以上ね? では作戦を開始して』
スコールの合図とともにイチカ達は頷き後方のハッチへと移動してISを纏う。イチカとマドカは何時も通りの機体で、ラウラはドイツで使っていたISは取り上げられていた為、エンシェントセキュリティー社のIS部隊に導入を考えている粘土色のIS、VF-171ナイトメアプラスを身に纏った。
「全員準備はいい?」
束は後部ハッチを開くレバーまで行き、イチカ達に問うと全員頷きサムズアップをする。
「よし、それじゃあ気を付けてね‼」
そう言い束はレバーを引き下ろしハッチを開いた。イチカ達は外へと出て福音が居る方へとブースターを吹かした。
オスプレイから飛び立ったイチカ達は目標の福音が通ると思われるルート付近を飛行していると旅館に設けられている指令室から通信が入った。
『こちら指令室です。メルダース君、目標とは接敵した?』
「いえ、まだです。引き続き索敵を「目標を視認‼」訂正! 目標と
イチカはそう言い、マドカとラウラと共に福音に攻撃を開始しようとした瞬間、3人の目の前に突然ディスプレイが現れ、其処に『銀の福音』と表記されており、そして声が流れてきた。
「貴方達は何処の所属なの?」
「「「!?」」」
突然声を掛けてきた福音にイチカ達は驚きながらも、イチカが答えた。
「俺達はエンシェントセキュリティー社所属の兵士だ。俺達に与えられた指令は銀の福音に搭乗しているパイロットの救護だ」
そう言うと突然銀の福音の動きが停まり、イチカ達は何だと思いながら警戒する。
「そう、良かった。私はアメリカ空軍IS部隊所属のナターシャ・ファイルス中尉よ。救援感謝するわ」
そう言われイチカ達はある疑問が生じた。
「救援? 待ってくれ。俺達が聞いた話じゃ、暴走したISからパイロットを救護してほしいとはイスラエル側から依頼されたが救援なんて一言も無かったぞ」
「それとアメリカ側はその機体の撃墜をIS学園側に依頼してきました」
イチカとマドカの言葉にナターシャは驚いたのか、えっ!?と声をあげた。
「そんな…。私はあの所属不明のISから皆を守る為に、実験場から離れただけなのよ。それなのに撃墜だなんてそんな……」
「恐らくその機体の事が他国に漏れるのを防ぐためにIS学園に依頼したんだろう。まぁ、イスラエルがエンシェントセキュリティー社に依頼を出していた為その計画は潰れた様だが」
そう言い仮説を言うがナターシャは落ち込んだ感じを出し続けた。そんな中、マドカは目標を確保したことを本部に報告していた。
「はい、パイロット並びにISは無事に確保しました。見た限りパイロットはかなり疲労しているみたいですし、ISも所々破損が見受けられます。恐らく此処から旅館まで飛行させるのは難しいかと。…了解しました」
旅館からの新たな指令を貰ったマドカはイチカに報告する。
「兄さん、本部からの新しい指令で彼女を連れて旅館へと戻ってくるように。その際彼女を負ぶって出来るだけ早く戻ってくるようにだそうだ。それとナターシャ中尉、貴女の身柄はエンシェントセキュリティー社が預かることになりました」
その報告を聞いたイチカは指令のある部分に疑問が生じる。
「なんで彼女を背負わなきゃいけないんだ? マドカかラウラが運べばいいじゃないか」
「パイロットの疲労等を顧慮しての判断だそうだ。それと私達では体格的に難しい……変なことはするなよ兄さん?」
「するかっ‼」
イチカはそう叫び、ぶつくさ文句を言いながらISを解除したナターシャを背負い旅館へと戻ろうとした瞬間、束から突然無線が入った。
『3人ともよく聞いて‼ 其処から5㎞先で例の所属不明機の反応を検知したの! 急いで其処から離脱して‼』
「っ!? 了解しました! 急ぐぞ!」
イチカの号令と共に3人は大急ぎでその場から離れ始めた。そして数十分後3人は第2防衛ラインまで後退してくると、鈴や簪達IS学園組が居た。
「イチカこっちよ!」
「早くその人を旅館に‼」
そう言われイチカは頷き、第2防衛ラインを後にしようとした瞬間、背後から迫っていた所属不明のIS事ドラケンⅢが襲ってきた。
「やっぱりあのIS!?」
「っ!? 皆注意しなさいよ!」
「分かったよ!」
「分かってますわ!」
4人はそれぞれ武器を展開しドラケンⅢに攻撃を始め、イチカ達は無茶するなよと心の中で祈りながら旅館へと向かうと前方から一機の打鉄が現れた。
「一夏! 敵の前から逃げるとは何だ! 男なら戦え‼」
「チッ! 何でこいつが此処に居るんだよ。 悪いがお前の相手をしている暇は無いんだよ!」
そう言いイチカは箒を放置してマドカとラウラと共に離脱する。だが箒をそれを阻止しようと前に出てくる。
「ふざけるな‼ 貴様それでも男か! 男なら逃げるな!」
すると突然後ろに居た鈴がイチカを大声で呼んだ。
「イチカ‼ 一機そっちに行った!」
「っ!? マドカ迎撃に向かってくれ! ラウラは引き続き警護だ!」
そう聞こえヤバいと感じ、イチカはマドカに抜けてきたドラケンを撃退に向かわせた。そして箒を無理矢理押し退け旅館へと向かおうとすると箒がイチカの機体に掴みかかる。
「逃げるなって言っているだろうが‼」
「今お前の相手をしている暇は無いんだよ!」
そう怒鳴り、掴んでいた手を振りほどこうとした瞬間、背後からのロックオンのアラームが鳴り、振り返るとマドカに撃墜されそうになっているドラケンがビーム砲を自身に向け攻撃したのが見え、イチカは咄嗟に背負っていたナターシャをラウラに投げた。ラウラは突然の事に驚きながらもナターシャを掴んだ瞬間イチカはドラケンの攻撃を受けた。
「ぐはっ!?」
攻撃はイチカの背中に命中しそのまま海へと落ちていった。攻撃をしたドラケンを撃墜したマドカは直ぐに後ろを振り向くと、バシャ―ンと海へと落ちたイチカを目撃してしまった。
「そ、そんな……。に、兄さぁーーーん!!!??!」
戦場にマドカの悲痛な叫びが木霊した。
次回予告
イチカが落とされたのを目撃したマドカは怒りで我を忘れBITで次々にドラケンを落とし、そして箒を殺そうとした瞬間束の手によって眠らされた。そして旅館へと戻って来た7人の前に束が現れた。
次回
白き翼の墜落~本当に要らない事ばかりするよな、この愚妹が~