歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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25話

海辺で遊び、日が沈み始めた頃。アラド達はウッドハウスの元に戻って来てバーベキューの準備をし、肉を焼き始めた。

 

「よぉ~し、お前等肉が焼けたぞ」

 

そうアラドが言うと、それぞれ箸を手に肉や焼けた野菜を取り始めた。

 

「いやぁ~、滅茶苦茶遊んだ後に食う肉はうめぇなぁ」

 

そう言いながらハヤテは肉を頬張る。傍に居たフレイアはちょっと怒った顔を浮かべる。

 

「ハヤテ、野菜も食わんとあかんよぉ!」

 

そう言いフレイアは自分の皿にのっていたシイタケやピーマンをハヤテの皿に移す。

 

「ちょっ!? 自分でとるからのせるなよ!」

 

そう言いつつもフレイアがのせた野菜を戻さず頬張るハヤテ。

 

「アラドさん、どうぞ」

 

カナメはそう言い肉や野菜がのった皿をアラドに渡す。

 

「おぉ、ありがとう」

 

そう言い、アラドはトングを置き肉を食べる。

 

「兄さん、このサラダ旨いな」

 

「そう言ってくれて嬉しいぞ。新しく考えてみたドレッシングだったから心配だったがよかったぜ」

 

「へぇ~、イチカの考えたドレッシングだったのね。なかなかいい味じゃない」

 

「ん~~~! すっごく美味しぃ!」

 

「ん、美味しい」

 

サラダを頬張る美雲達はイチカの考えた特製ドレッシングに舌鼓していた。

 

「相変わらず、どうやったらこれ程の料理の腕を磨けるんですか?」

 

ミラージュは女性としてまた負けた気分がとボヤキながらサラダを頬張る。

そんな光景を見ていたチャックはと言うと

 

「あれ、可笑しいな。野菜が異様にしょっぱいぞ」

 

そう言いながら何故か異様にしょっぱい焼き野菜を頬張った。

 

 

 

「――――はぁ~、食った食った」

 

夕飯を終えたイチカはそう言いながら部屋の外にあったデッキに出て、デッキチェアにもたれながら夜空を眺める。

 

「もうすぐ半年が経つのか」

 

そう呟きながらイチカは今までの事を思い返す。

 

「色々あったなぁ。元家族との再会。新しい仲間達との出会いとか」

 

ぼぉーと夜空を眺めながらそう呟いていると、窓が開く音が背後から聞こえイチカは顔を向けると美雲やマキナ、レイナがラフな格好でやって来た。

 

「此処に居たのね、イチカ」

 

「潮風がきもちぃ~」

 

「ひんやりして良い風」

 

そう言いながら3人はそれぞれイチカと同じようにデッキチェアに座り同じく夜空を眺めた。

 

「……星空が綺麗だねぇ、イッチ~」

 

「ん? そうだな」

 

「夜空に似合うBGMオン」

 

そう言いレイナは空間ディスプレイから夜に合うBGMを流し始めた。

BGMを聞き流しながら4人は夜空を眺める。

するとマキナが口を開く。

 

「ねぇ、イッチー」

 

「なんだ?」

 

「この前私とレイナが言った事覚えてる?」

 

「あぁ~、もしかして俺の事が好きだって事か?」

 

そう言うとマキナは月明かりでも判るくらい頬を赤く染めながら、両手を胸の部分で遊ばせながら「うん」と頷く。

 

「最初は、イッチーの手助けをしたいと思って色々イッチーの事をサポートしようとバルキリーの整備をレイレイと一緒に頑張ってた。そんな時にイッチーが「何時も整備してくれてありがとう」ってお礼を言ってくれた時、他の皆から言われた時は嬉しいという気持ちを占めたのに、イッチーからのお礼は胸がポカポカしたの。レイレイも同じようにドキドキしたって聞いて、どうしてイッチーのお礼だけこんなにも胸がポカポカしてドキドキしたのか分からなかった。けど、何時しか分かったの。これが恋なんだって」

 

そう言いながらマキナとレイナは立ち上がり、月を背にイチカの正面に立つ。

 

「私、マキナ・中島と」

 

「レイナ・プラウラーは」

 

「「貴方事を心の底から愛しています」」

 

2人は頬を真っ赤に染めながらそう言うと、イチカは困った表情を浮かべる。

 

「その、2人の気持ちは嬉しい。だが俺には――」

 

イチカは美雲が居ると言おうとした瞬間2人はイチカの傍へと行き

 

「んっ」

 

「チュッ」

 

頬にキスをした。

 

「えっ!?」

 

「今はこれ位しかできない」

 

「けど、何時かくもくもと同じくらい愛される人になるから!」

 

そう言い2人はデッキから出て行った。イチカは突然キスをして出て行った2人に驚いた表情を浮かべたまま茫然としていると、美雲が口を開く。

 

「どうやらあの子達、前とは違って私から振り向かせるんじゃなくて、自分達にも私と同じように見て欲しいみたいね」

 

そう言うとイチカは「えっ?」と零す。

 

「以前はイチカを自分達に向けようと頑張ってたの、けど今のあの子達は私と同じように恋人にして欲しいと頑張ってるみたいね」

 

そう言うと美雲はデッキチェアから立ち上がり、スッとイチカの傍へと行きイチカの頬に手を添える。

 

「私自身、別にイチカがあの子達も恋人にするって言うなら反対はしないわ。けど、これだけは憶えておいて」

 

そう言い美雲はイチカの口にキスをする。

 

「貴方の一番は私だって言う事を」

 

そう言い美雲は頬を赤く染めたまま部屋へと戻って行った。イチカは美雲からのキスに驚きながらもデッキチェアに深く座る。

 

「……どうしたらいいだろうな、俺」

 

そう呟き、満天の星空を見上げた。




次回予告
バカンスが終わり、夏休みが終わり間近になったある日。鈴が職場見学をしたいと願ってきた。イチカはスコールから許可を貰い鈴をエンシェントセキュリティー社の職場見学を行った。

次回
職場見学~何事も下調べをして、就職先を見つけたいもの~
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