「どうぞ」
「あぁ、どうも」
机の上に置かれた紅茶に一瞬に目を向けた後、イチカは目の前に座っている人物へと目を向けた。
「さて、それじゃあ改めて自己紹介をさせてもらうわね。私がこのIS学園生徒会長で、そして暗部組織更識家当主の更識楯無よ。そしてこっちが」
「書記でお嬢様の補佐をさせていただいております、布仏虚と言います」
「布仏と、言いますと」
「はい、本音は私の妹です」
あぁ、そうですか。と納得した表情を浮かべ、イチカは本題を切り出す。
「さて、既にうちの会社からそちらにお願いしていた事、夏休み期間中のシャルロット・デュノアの動向、それの報告を聞いても?」
「えぇ。そちらから電話で依頼された後彼女の動向を調べたわ。電話にメール、あとは学園内での行動とかね。けど、特に可笑しい行動等は無かったわ。特に気にするよう言われた企業とのやり取りとかも無かったわ」
そう言われイチカはそうですか。と返す。
「ねぇ、どうして彼女の動向を調べさせたの? 此方は詳しい話は報告を聞きに来た人に聞いてくれと言われて納得したんだし、教えてくれるんでしょうね?」
「えぇ、社長からも彼女に調べさせた理由は伝えておいてくれと頼まれていますし」
そう言いイチカは拡張領域からあるレポートを取り出した。
「これは最近名を上げてきたとある企業のデータです」
「『オグマ社』。 確か、航空産業で名を上げ始めて、需要数が少ない戦闘機を作っているあの?」
「えぇ。其処の会社は最近デュノア社を買収したようなんです」
デュノア社を買収と聞いた瞬間楯無は首を傾げた。
「どうして航空産業を生業にしているオグマ社がデュノア社を? それに買収されたなんて情報何処からも来ていないわよ」
「デュノア社に潜入させている諜報員からの情報ですし、それにどうやら買収と言うより極秘裏の乗っ取りといった所です」
そう言われ楯無の顔は引き攣った。
「……あなたの会社、相当な事をしているのね」
「あそこは俺のISを奪おうと考えていた企業ですからね、念には念をと潜入させたらしいですよ」
「そ、そう。……話がそれたわね。それで私に依頼したシャルロットさんの監視、あれは彼女がまだ企業と繋がっているかどうか見極めるために調べさせたのね」
「そうです」
イチカの返答を聞き、そう。と返した楯無は虚が居れた紅茶に手を伸ばし口にする。何時もと変わらずほのかな苦みとうま味が楯無の口の中を広がった。
「しかし、本当にどうしてオグマ社はデュノア社を買収と言うか乗っ取ったのかしら。あそこは既に倒産寸前で価値なんて無いはずなのに」
楯無は首を傾げながら、オグマ社が何故デュノア社を乗っ取ったのか。その訳を考え込む。
「お嬢様、もしやこの権利を買い取るためでは?」
書記と書かれた札の机に座っていた虚はパソコンの画面を楯無達の方へと向けた。其処には世界中の商標権やライセンスが書かれたサイトであり、虚が指した所にはラファールの権利がデュノア社ではなくオグマ社所有になっていた。
「なるほど、ラファールの権利ね。けど、オグマ社は航空産業の会社よ。どうしてISの権利が必要なの?」
「もしかして、ISの機能を狙ったのでは?」
「ISの機能?」
イチカの予想に楯無は首を傾げる。
「例えば、機体装甲面に特殊なエネルギーを流し従来の数倍以上の防御能力の向上。そして武装を対空兵装から対地もしくは対艦兵装に一括変更などです」
「「っ!?」」
楯無と虚はイチカの予想を聞き、顔が強張った。
「そ、そんな戦闘機が開発されたら……」
「えぇ、下手をすればISさえ落としてしまう。そんな兵器になってしまうかもしれません。そうなったら世界中の軍事バランスは一瞬で崩壊します。そして戦闘機を乗れるパイロット達、そして男性達は大いに喜ぶでしょうね」
「そうでしょうね。ISとは違い、性別問わず戦闘機は操縦方法さえ憶えてしまえばだれでも操縦できるもの。そうなったら……」
「IS無敵説は崩れる。そしてそれを認めない女性権利団体や女尊男卑の者達との戦闘。そして激化していき、行きつく先にあるのは」
「……第3次世界大戦」
虚の口から出た第3次世界大戦、その言葉に生徒会室は重い空気が流れ込む。
「で、でも現在の戦闘機は化石燃料とかバイオ燃料を使用しているから、さすがに無理でしょ。エネルギー的に足りないだろうから」
「……だったら良いんですが」
イチカは楯無の実現するのはまだ先だ。その言葉に素直に頷けなかった。何故なら臨海学校で自分達を襲ってきたISが擬似ISコアだったからだ。擬似とはいえエネルギーは本物と同等もしくはそれ以上を有している。もしそれが戦闘機に搭載されたら恐らく、実現するのではと。
次回予告
話し合いを終えたイチカは部屋へと帰ろうとしたところ、楯無から生徒会に入らないかと誘われる。その頃マドカは自身のオリジナル、千冬と対峙していた。
次回
生徒会への誘い~お前はお前、私は私だ。~