歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

42 / 67
35話

IS学園の行事の一つ、学園祭の為4組では今どんな出し物をしようかとクラス内で会議が開かれていた。

教壇にはクラス代表の簪が立ち、クラスメイト達にアイデアを聞いていた。

 

「えっと、それじゃあ皆何か案があれば言って欲しい。けど、イチカ君を主体にしたのは駄目だから」

 

釘をさすようにイチカを主体にした出し物は駄目と言うと、数人程の生徒が出ばなをくじかれたと肩を落とす。

 

「はい、喫茶店とかが良いと思う!」

 

「え~。 喫茶店って他のクラスでもやると思うし別のが良いよ。例えば、ゲームセンターみたいな自作のゲームを置くとかは?」

 

「自作って言ってもプログラムやら設計するのに結構時間かかるから無理でしょ。簡単な科学実験とかは?」

 

「それじゃあ普通の高校とかでやりそうで面白みが欠けると思う」

 

色々な案が出されるが、どれも面白みが欠けるといい案が出ず全員難しい顔を浮かべながら思案する。

 

「……イチカ君、何か案ある?」

 

簪はふとイチカの方に顔を向けそう尋ねると、イチカも難しい顔を浮かべながら考え込む。

 

「他のクラスがやらなくて、面白みがあるものかぁ。う~ん、ISの解説とか?」

 

何となく呟いたその一言に周りの生徒達は首を傾げる。何故ISの解説と言った表情であった。

 

「イチカ君、なんで出し物にISの解説って言ったの?」

 

「いや、だって此処IS学園だろ? 俺達は普段からISに触れているからいろいろ知っているが、ISに触れた事が無い人とかは殆んど知らないだろ? そういった事をわかりやすく解説したりしたらお客さん面白がるんじゃないかなと思ったんだが」

 

イチカの説明に、クラスメイト達は確かに。と納得の表情を浮かべそれいいかもと声が上がっていく。

 

「えっと、みんなはイチカ君が出した案で良い?」

 

「「「「さんせ~~い!!」」」」

 

「それでいいのか?」

 

簪の確認にクラス全員が賛成の声を上げる中、イチカは苦笑いを浮かべる。しかし内心嬉しくも思っていた。こういった出し物でISの本来の使い方を説明すれば、何時か束の夢が近づく。そう思ったからだ。

 

「それじゃあ、具体的な内容決めに移るね」

 

簪の進行の元話し合いは続けられた。初めての学園祭、目指すは学年一番の出し物にと心を一つにしながら。

 

 

 

~オグマ社・社長室~

アメリカに本社を置くオグマ社の社長室。社長室と言うだけに豪華な調度品や額などが置かれていた。

 

そんな部屋に豪華な椅子に座りながら電話に出ていた初老の男性が居た。白髪で顔は厳つい男性は電話の相手に丁寧な口調で会話していた。

 

「では後日我が社の新鋭機をお送りします。データ収集の件お忘れなく。はい、では失礼します」

 

そう言って電話を切る男性。男の名はジェフ・ドース、オグマ社をたった一人で有名企業まで押し上げた男で野心家であった。

 

「ふっ、新鋭機が貰えるからと浮かれるとは。少しは疑うといった事をしておけばいいものを」

 

ジェフはそう黒い笑みを浮かべながら、つぶやいているとまた電話が掛ってくる。表示されている番号を見たジェフは顔つきを替え、受話器を耳にする。

 

「はい、私です。はい、計画は万事問題なく進んでおります。お任せください、貴方様の計画、必ず成功させます。はい、失礼します」

 

受話器を置き息を吐き、そして椅子に深々と座る。

 

「あと少しだ。あと少しでこの愚かな世界は真の平和が訪れる!」

 

そう言い窓の外に広がる街に目を向ける。その目には野心に燃える炎がメラメラと燃えていた。




次回予告
学園祭に向け色々と準備をするイチカ達。するとスコールから通信が入り、エンシェントセキュリティー社が近々横浜に停泊するアメリカの太平洋艦隊の護衛に着くべく近々来ると知らされる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。