歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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38話

アラド達を学園内へと連れ自身の教室へと向かうイチカ達。

 

「此処って、結構デカいんだなイチカ」

 

「そりゃあISを学ぶための学園だから、世界中から通おうと大勢の人が集まるからな」

 

「大勢ねぇ。集まるのが全員女子なんだろ? 男としてその辺どうなんだ、イチカ?」

 

チャックの茶化すような質問に、イチカは困った表情を浮かべた。

 

「嬉しくねぇよ。男一人でクラスの中いてみろ。居た堪れない気持ちになるわ」

 

「……た、確かにきついな、それ」

 

イチカの説明にハヤテは苦笑いを浮かべ、イチカに同情の視線を向けた。

 

「それに、威張るような連中もいる場所なんだぞ? 良い気になれると思うか?」

 

その言葉にはアラド達も良い表情を浮かべ無かった。ISは女性しか乗れない。だから男性は劣等種だと勝手に決めつける女性たち。

自分達の世界では男性が圧倒的に多いPMCや統合軍でも女性は居た。数は少ないが、戦場に立つ女性もいた。

戦場では役に立たない。そんな考えを持つ男性はいるが、戦いっぷりを見ればすぐに背中を任せられる頼れる仲間として見られていた。とある船団に大型ヴァルキリー、ケーニッヒモンスターをたった一人で操る女性が居るという話も存在しているからだ。

 

「さて、あんまり通っている学校の悪いところを愚痴っても仕方ねぇし、早いとこ俺のクラスまで案内するわ」

 

そう言い話を切り上げイチカはアラド達を4組へと案内した。

暫く賑わう学園内を歩き4組前へと到着した。

 

「ほい、此処が俺とマドカのクラスだ」

 

「なんか賑わってるな」

 

「ISを簡単に説明するって言う出し物だけど、確かに賑わってるね」

 

出し物が出し物で其処まで賑わうものではないと思っていたイチカとマドカは首を傾げながらアラド達と共に中に入る。

中へと入った瞬間、彼らの目に飛び込んできたのは多くの来園者だった。彼らは立て掛けられているISの簡単な資料や絵などを見たり、近くに居た生徒にISの事を教えてもらっていたりしていた。ISを分かり易く解説した絵本(束監修)を読み聞かせるコーナーの所は小さな子供達でいっぱいだった。

 

「よ、予想していた以上に賑やかだな」

 

「あ、あぁ。まさか此処まで賑やかになるなんて思わなかったぞ、兄さん」

 

そう呟き驚き固まっていると、クラスメイトの一人がイチカ達に気付き声を掛けてきた。

 

「あ、メルダース君達戻って来たって、もしかして臨海学校の時来られていた方々ですか?」

 

「あぁ。今日はうちの息子たちの行事を見学しにな」

 

「そうだったんですか! それじゃあごゆっくり観覧して行ってください!」

 

そう言いクラスメイトは他の来園者の応対に向かった。

 

「それじゃあ俺とマドカも手伝いに行くから、それぞれ見て回って行ってくれ」

 

「わかった。それじゃあ行くかお前等」

 

「うぃ~す。フレイア、まず何処に行く?」

 

「え~と。あ、此処に行かん?」

 

「芸術は○○だぁ!展? なんだそりゃ? ……まぁお前が行きたいって言うなら行くが」

 

そう言ってフレイアとハヤテは教室を出て行く。

 

「私達はどうしよっか、レイレイ?」

 

「此処でちょっと見てから他に行こう」

 

「さんせ~い!」

 

そう言いマキナとレイナは発表資料の方へと向かう。

 

「アラドさんは?」

 

「俺も暫く此処を見てから他に行く」

 

「それじゃあ私もご一緒させてもらいます」

 

カナメとアラドも同じく残って見学に向かった。

 

「美雲さんも此処に残られますか?」

 

「そうねぇ。イチカ、休憩って何時ぐらいに取れるの?」

 

「ん? そうだなぁ。昼くらいには取れると思うぞ」

 

「そう。あ、そう言えば2組に鈴が居るんだったかしら?」

 

「あぁ、鈴は2組だ。確か、中華喫茶をやってたと思うぞ」

 

「それじゃあ其処で少し時間を潰してくるわ」

 

「では、私もご一緒します」

 

「俺も喫茶店とはいえ、中華風なら気になるんで行ってくるぜ」

 

そう言い美雲とミラージュ、チャックは教室を出て2組へと向かって行った。

 

「さて、俺らも仕事するぞマドカ」

 

「分かった」

 

イチカとマドカも4組の出し物を手伝うべく来られている人々の対応を始めた。

時刻がお昼へと差し掛かり大勢いた来園者はお昼を食べに出て行き、少なくなり始めた。

 

「大分減って来たな」

 

「そうだな。兄さん、そろそろ美雲さんが居る2組に行かないか?」

 

「そうだな。休憩に行けるか、聞いてくるか」

 

そう言いイチカは簪の元に行き休憩できるか聞くと

 

「うん、イチカ君とマドカちゃんは行ってきて。それに普段離れているお父さん達が来てるんだったら一緒に回った方が良いよ」

 

そう言われマドカと共に2組へと向かった。

2組に入ると教室の中は中華風に装飾されており、香ばしい匂いで満ちていた。

 

「なんか旨そうな匂いが漂ってるな」

 

「うん、さすが中華喫茶だね」

 

「あら、あんた達来てたの?」

 

そう声を掛けられ、声の方に顔を向けるとチャイナ服を着た鈴が両手に蒸籠(セイロ)を載せたお盆を持っていた。

 

「おう。美雲達も此処に来ていると思うが」

 

「えぇ、来てるわよ。あそこの端に座ってるから行って来たら」

 

「そうか。サンキュ」

 

鈴に礼を言い端の席へと向かうと其処には確かに美雲達が居た。

 

「おまたせ、休憩貰ったから何処か行くか?」

 

「そう? それじゃあ何処かでお昼食べに行かない? 食べ歩きってものやってみたいのよ」

 

「食べ歩きをか? 分かった、行くか」

 

そう言い美雲達と共にイチカとマドカはお会計を済ませ、教室を出て外へと出た。そして学園の出店が並んでいるところへ足を向けた。

道中他の教室に行っていたマキナ達とアラド達、そしてハヤテ達と合流し出店へと向かい、焼きそばやフランクフルトを買って行った。

それから幾分か経ちイチカ達はベンチや机が並べられたテラスへと来て買ってきた物を食べながら午後の予定を考えていた。

 

「それで午後からは『ウー!ウー!ウー!』!?」

 

突然学園全体に鳴り響く警報にイチカ達は警戒態勢に入り、すぐさまイチカはスマホを取り出しエリシアに連絡を取った。

 

「エリシア先生、一体何が?」

 

『首都の上空に向かって12機ほどの戦闘機が向かっているという情報が入ったの。しかも接近しているのは例の新型機で、既に偵察に向かった味方の戦闘機数機を撃墜しているわ』

 

「っ!? どういう事です? 何故その機体が日本に?」

 

『分からないわ。兎に角一般生徒及び来賓全員をシェルターに避難させるわ。イチカ君達は指揮所に出頭して』

 

「了解です」

 

通話を切りイチカはアラドの方に顔を向ける。

 

「緊急事態みたいだな」

 

「あぁ。例の新型機が首都に向かっている。しかも味方を撃墜してだ」

 

「「「「!?」」」」

 

「不味いな、そりゃあ」

 

アラドは苦虫を噛んだように顔をしかめる。

 

「俺とマドカは指揮所に出頭してくる。父さん達は「俺達デルタ小隊は空母に急ぎ戻る」まさか?」

 

「そのまさか。いざというときの為にバルキリーを載せておいてもらったんだ。イチカとマドカの機体も積んでいる。戻り次第直ぐに学園に運ぶ」

 

「了解。美雲達は?」

 

「私達はシェルターに避難するわ」

 

「分かりました、では案内します」

 

そう言いそれぞれその場で別れアラド達は急ぎヘリポートへと向け走り、カナメ達とイチカとマドカはシェルターへと向かって行く。

暫く走って行くと教師がシェルターに避難するよう誘導している場所に到着した。

 

「此処です。山田先生!」

 

「えっ? あ、メルダース君達無事でしたか!」

 

「えぇ。すいませんが、彼女達も中に入れてもらっても?」

 

「はい、構いません。どうぞ入ってください!」

 

そう言われカナメ達は中へと入って行く。美雲とマキナとレイナは入る前にイチカの元に向かう。

 

「イチカ、無茶しないでね」

 

「イッチー、気を付けてね」

 

「怪我しちゃダメ」

 

そう言われイチカは力強く頷く。

 

「な、なにこれ?」

 

そんな声が聞こえイチカはその方向に顔を向ける。其処にはIS学園の生徒がスマホの画面を見て驚愕していた。

 

「た、立ち止まっていては危険です! 中に早く「せ、先生。こ、これ…」え、何が?……っ!?」

 

立ち止まっていた生徒に真耶が駆け寄り動くように促そうとした瞬間、生徒は振るえる唇でスマホの画面を真耶に見せた。それを見た真耶も驚愕の余り固まり、そして顔を青くする。

 

「どうしたんですか?」

 

様子がおかしい事に気になったイチカとマドカはその画面を見る。其処には

 

 

 

 

 

自衛隊に所属していると思われるIS部隊が次々に撃墜されている映像が流れていた。




次回予告
突如現れた新型機。すぐさまケストレルに戻ったアラド達はヴァルキリー発進させようと待機するも日本政府が許可しなかった。
しかし現場指揮官が出撃を許可。アラド達はすぐさまイチカ達の元にヴァルキリーを送る。

次回
燃え盛る首都
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