外へと出てきてイチカとマドカはヴァルキリーが停められる広い場所に向かうと、上空から6機のバルキリーが現れ、2機がガウォーク形態で降りてきた。
『イチカ、マドカ! 早く機体に乗れ、行くぞ!』
「「了解!」」
直ぐに制服の下に来たパイロットスーツに着替え、バルキリーに乗り込む。
「此方デルタ2、デルタ6、これより原隊復帰する」
『デルタリーダー、了解。 お前等行くぞ!』
そう言いスラスターを吹かすアラドに続きイチカ達も後に続く。
遠ざかっていく6機の機体に鈴達はただただ無事を祈るほかなかった。
「死ぬんじゃないわよ、イチカ。マドカ。」
「無事に帰って来てね」
~首都上空~
首都の上空は激しい爆発や機銃が飛び交っていた。
『此方シュトリゴン1! くそったれ、2,3が喰われた!』
『コクーン3! 敵の攻撃を受けた‼ 糞、イジェクトする!』
『こちらAWACS、ホークアイ! 上がっている味方機に伝える! 現在エンシェントセキュリティー社の戦闘機部隊が救援の為此方に向かっている! 何とか持ち堪えてくれ』
ホークアイからの報告にパイロット達に安堵の表情は余り無かった。
『ホークアイ、その報告はある意味嬉しいがこいつらを撃墜できるほどのパイロットは居るのか?』
『分からない。兎に角幕僚長が独断で許可して加えた戦力で、今の我々にとっては貴重な戦力だ』
首都の上空での激しい戦いは時間が経つにつれ更に過激になっていく。
そして上空を飛行していた一機の戦闘機の背後にフェニックスが張り付いていた。
『こちらコクーン4! ケツについている奴を何とかしてくれ!』
『待ってろ、今行くぞ!』
そう言いシュトリゴン1がコクーン4の後ろについているフェニックスの後ろにつく。
『貰った! シュトリゴン1、FOX2、FOX2!』
シュトリゴン1が乗っているF-15Jからミサイルが発射される。ミサイルはまっすぐフェニックスに向かうも、フェニックスはすぐさま方向を転換。そしてミサイルを回避した。
『くそ、避けられた! だがコクーン4から引き離した。このドッグファイトで落としやる!』
『此方ホークアイ。シュトリゴン1、ドッグファイトは止めろ! そいつらは直ぐに返り討ちに合うぞ!』
『持ち込まなくても同じだ!』
そう叫び必死にフェニックスに喰らい付くシュトリゴン1。
『よっしゃ! 今度こそ外さねぇ!』
そう言いミサイルを撃とうとした瞬間、突如フェニックスが急制動にしてスピードを一気に落としシュトリゴン1の背後に周った。
『クソッタレ! 何だよ、あれは!』
『シュトリゴン1逃げろ!』
味方機からの叫びを聞きシュトリゴン1はスラスター全開でビル群を抜けていく。
『まだ貼り付いてやがる! ッ!? ロックオンアラート!』
フェニックスからのロックオンにキャノピー内にアラート音が鳴り響く。
『シュトリゴン1、ミサイル、ミサイル!』
『くっ! フレア放出!』
シュトリゴン1の機体後部からフレアが放出され、ミサイルはフレアを追って行く。
『シュトリゴン1、まだ後ろに居るぞ!』
『逃げろ!』
味方機からの叫びシュトリゴン1はキャノピー内に響くアラート音に、走馬灯の様な物が走る。
(此処までか)
そう思った瞬間、背後についていたフェニックスが撃墜された。
『敵機が撃墜されたぞ。誰がやった?』
『俺達じゃないぞ。一体?』
『…っ!此方ホークアイ、よく聞け、騎兵隊のご到着だ!』
その言葉に全員レーダーを見ると、新たに6つの青い点が現れた。
「此方エンシェントセキュリティー社、特務飛行部隊『デルタ』だ。これより武力介入を行う!」
『やっと来てくれたか! 此方AWACS、コールサインはホークアイ。君達の到着をずっと待っていた!』
「待たせて済まない。よし、各機攻撃を開始!」
アラドの号令と共に散開し、フェニックスの撃墜に掛かる。
デルタの到着に漸く巻き返しが出来ると思い、上空の航空隊は反撃に転じた。更にやっとの事で地上に対空機銃を積んだ車両が到着し、首都防衛の為に攻撃を開始した。
「デルタ2ミサイルロック、ファイヤ!」
イチカは一機のフェニックスの背後に周りミサイルを撃つも避けるフェニックス。逃がすまいとその後に続き、バルカンを撃ち放ち撃墜する。
「スプラッシュ1!」
『いいぞ! 君達のお陰で敵の数が減って来た。これで……待て、新たな機影? 真上だと!?』
AWACSの報告に全員驚いていると、航空隊の何機かが突然爆散した。
『コクーン2、シュトリゴン4が撃墜! 上から敵機が来るぞ!』
そう叫ぶと濃い緑の機体が5機、更にSu-27に似ている可変戦闘機が上空から現れた。
『こいつら一体何処から来やがった!』
「ホークアイ、レーダーにはこいつらの影は無かったぞ!」
『此方ホークアイ、こちらも長距離レーダーには何も映っていなかった。兎に角現れた連中は敵機とする。各機撃破しろ!』
ハヤテの問いにホークアイは苛立ちの声でそう指示を飛ばす。
新たに現れた敵機に航空隊は更に苦戦を強いられた。
『こ、こちらラビット3、もう機体がっ…』
『ラビット3が撃墜! ホークアイ、援軍をっ!!?』
次々に墜とされていく航空隊。そんな中でもデルタは敵機を撃墜していく。
『クソッ! ドラケンにまた別の可変戦闘機かよ!』
『愚痴っていないで墜とせ、デルタ5!』
『デルタ6、背後に回っているぞ!』
『了解、回避する!』
苦戦を強いられながらも戦うデルタ達。そんな時、チャックの機体に妙な通信を傍受した。
『ん? これは?』
『どうしたチャック?』
『これを聞いて下さい』
そう言いチャックは傍受した無線をアラド達にも聴けるよう回す。
『~~~~♪』
『これって、歌か?』
『でも、なんで?』
全員が傍受した無線から歌が流れているのか疑問を浮かべる。
「ウィンダミアのアイツの歌の様では無い。別の奴か?」
『恐らくな。すぐにワルキューレ達を呼ばなければ』
『ですが、彼女達は既に避難施設の中です。外に出れるとは思えません』
そう言われアラドはクソッ!と声を荒げる。するとイチカはある事を思いつく。
「デルタ3、この無線は敵のか?」
『あぁ、恐らくな』
「だったらその無線から避難施設に居る美雲達の歌を流せば、何かしら変化があるんじゃないのか?」
『恐らくあると思う。だが、これがもしヴァ―ル現象とは違う何かだったら、効果は無いかもしれないんだぞ?』
「やってみなきゃ分からねえだろ」
イチカはそう言いながら敵機を墜とす。
「デルタ1、許可を!」
『……分かった。直ぐに彼女達に連絡しろ。但し歌を歌う際は避難施設の人達を落ち着かせるというカモフラージュでだ』
そう言い無線ですぐさまカナメ達に伝えた。
『―――分かりました。直ぐに準備します』
『頼む。うまくいくかどうかは分からない。最早賭けみたいなものだ』
『任せてください』
そう言い無線は切れた。
『よし、デルタ3。ワルキューレ達の声を無線で流す用意をするんだ』
『ウーラ・サー‼』
アラドの指令にチャックはすぐさま作業に取り掛かった。
次回予告
アラド達に歌を歌って欲しいと頼まれ、ワルキューレ達は歌う。そして戦闘は止まるかに見えた。だが、ドラケンのみ未だ戦闘を繰り返すも突如戦闘を中断し、撤退していく。
戦闘を終えイチカ達は学園へと戻る。
次回
戦闘終了