歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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プロローグⅥ

イチカは束が教えた方向へとバルキリーを飛ばしていると、島の多い地域へと到着した。

 

「それで束さん。束さんの言う家って何処にあるんですか?」

 

「ちょっと待ってね」

 

そう言って束はスマホを取り出し、電話を掛ける。

 

「あ、クーちゃん? 今飛んでる飛行機って確認できてる? うん、それそれ。滑走路の方出して。うん、お願いね~」

 

そう言って束は電話を切る。するとさっきまで何もなかった島群の一角に巨大な滑走路が現れた。

 

「束さん、これって?」

 

「降りたら説明するよ」

 

そう言われ、イチカは取り敢えず降りるかと思い、VF-31A2を滑走路へと進路を向け着陸させる。イチカは機体を進ませると停止線が書かれている場所へと到着し、そこで止めると機体は地面の下へと降りて行った。

 

「まさか、ここって空母だったんですか?」

 

「ううん、違うよ。結構昔にこの辺りで秘密の航空基地を建造しようってことで、建てられてたんだけど、途中で計画は中断。此処はその建設途中だった航空基地を束さんとその仲間達とで完成させたんだ」

 

イチカはそんな計画がと呟いていると、エレベーターは下まで到着し、イチカはVF-31A2を動かし、空いている場所に停めた。そして荷物を持って機体から降りると銀髪の少女が機体の近くに歩いてきた。

 

「束様、お帰りなさいませ。それと初めまして、一夏様」

 

そう言いながらお辞儀をしてきた

 

「君は?」

 

「私は束様の助手をしております、クロエ・クロニクルと申します」

 

「クーちゃんはね、束さんの助手でもあり、娘でもあるんだよ」

 

そう言いながら束はクロエの後ろから抱き着く。クロエは恥ずかしがりながらも抵抗せずジッとしていた。

 

「……束様、恥ずかしいので止めていただきたいのですが」

 

「やだよ~」

 

そう言ってギュ~と抱きしめ続ける束にクロエは諦めたかのようにため息を吐く。

 

「あら、博士今戻ってきたの?」

 

そう言いながら一人の金髪の女性がやって来た。

 

「あ、スーちゃん。お疲れ~」

 

そう言いながら束はクロエの頭に胸を置きながら手を振る。

 

「全くよ、あそこの連中ったらいろいろ危ない物作ってたから本当に危なかったわよ」

 

そう言いながら金髪の女性はやれやれと言った感じで手を上げた後、イチカに気づく。

 

「それで、貴方ってもしかして」

 

「そうだよ~。彼はいっくんだよ」

 

束は当然と言った感じで言うと女性は驚いた表情をイチカに向ける。

 

「えっ!? だって彼はドイツで行方不明になって死んだんじゃなかったの?」

 

「いや、それは……」

 

イチカは異世界に行っていたなんて言えるわけがないと思っていると

 

「いっくんは異世界に行ってて、ついさっきこっちに戻ってきたんだ~」

 

「ちょっ、束さん!?」

 

イチカはいきなり暴露した束に驚く中、スコールはどいう事と言った疑問の表情を浮かべた。

 

「言っている意味が分からないわよ、博士?」

 

「まぁ説明は束さんがやるから、取り敢えずいっくんは疲れているだろうし、クーちゃん。いっくんを部屋に案内してあげて。確かまだ使ってない部屋があるはずだし」

 

「畏まりました。」

 

束に頼まれたクロエは、イチカを連れ部屋へと案内していく。束はスコールを連れて格納庫を後にした。

 

「こちらがイチカ様のお部屋になります」

 

そう言ってクロエがイチカに案内した場所は、宿直室だと思われる場所で、かなり広めの部屋だった。

 

「ありがとうな、クロエ」

 

「いえ。では何か必要な物がありましたらそちらの壁に掛かっている受話器を取っていただきましたら束様か私に繋がりますので。それでは失礼します」

 

そう言いお辞儀をしてからクロエは部屋を後にした。一人残ったイチカはバルキリーに載せていた服に着替え、この世界の状況を確認しておこうとパソコンを開こうとしたところで扉からノックする音が響いた。

 

「ん? どうぞ」

 

そう言うと扉が開かれ一人の黒髪の少女が入ってきた。その顔を見たイチカは驚愕の表情を浮かべた。

 

「初めましてだな、兄さん」

 

そう言って黒髪の少女は近づいてくる。イチカはなんでアイツに似ている少女が。と疑問で頭が一杯だった。

 

「……やはり驚くよな。この顔を見れば」

 

少女は自虐的な笑みを浮かべているとイチカは閉ざしていた口を開いた。

 

「……お前は一体誰なんだ?」

 

「私か? 私は織斑マドカ。お前の姉、織斑千冬のクローンだ」

 

マドカと名乗った少女にイチカはある言葉に驚いた。

 

「く、クローンだと?」

 

「あぁそうだ。私は織斑千冬のクローンだ」

 

イチカはマドカの言葉を聞き、手で顔を覆い怒りを零した。

 

「クソッ! 結局この世界でも人の命を兵器みたいに創造するのかよ!!」

 

イチカの突然の怒りの言葉、そしてまるで自分と同じような人間を知っているかのような言葉にマドカは疑問を浮かべた。

 

「どういう事だ? まるで私と同じような人間と会ったかのような口ぶりだったぞ」

 

マドカの問いにイチカは正直に話した。自分が異世界に行ったこと、そこであった出来事、そしてマドカと同じように命を造られ、兵器として利用されようとした自分の恋人のことを。

 

「――――これがさっきの口ぶりの理由さ」

 

マドカはイチカの言葉を聞いて自分と同じように造られたのに、仲間やイチカのお陰で救われたんだと、羨ましいと思ってしまった。

 

「……そうだったのか。けど私とその彼女じゃ違うな。私は信頼できる奴がいない」

 

マドカの言葉にイチカはただ黙ってマドカの頭を撫で始めた。マドカは突然のイチカの行動に驚きつつも胸に安心するような気持ちが芽生え、黙って受けていた。

 

「お前は信頼できる奴がいないと言っているが、此処には束さんもいるし、クロエ、そしてスコールさんだっけ? 信頼できる奴らが沢山いるじゃないか? 勿論俺もお前の傍にいてやるからよ」

 

イチカにそう言われ、マドカは何故か分からなかったが目元から涙が流れ始め、イチカは泣き止むまで頭を撫で続けた。

 

 

 

 

イチカが束の家?に居候を初めて4日が経った。そんな中で変わったこととすればマドカが、名前をイチカと同じ『マドカ・メルダース』へと改名したことくらいだ。

ある日、イチカは束に呼ばれある一機のISの前にいた。

 

「それで束さん。このISは一体何なんですか?」

 

「これは最近起動もしなかったISのコアを積んだ機体なんだけど、実はこれを見て欲しいの」

 

そう言って束はイチカに、レポートを見せた。そこには此処1週間ほどのデータだと思われるものが書かれていた。

 

「これのどこを見ればいいんですか?」

 

「この表なんだけど、実はこのISのコア、いっくんがこの世界に帰ってきてから起動したんだよ」

 

「はぁ? どいう事ですかそれ?」

 

「束さんもそればっかりは分からないんだ~。もしかしたらこの機体はいっくんにのみ反応する特別な機体かも知れないんだ。だから試しに」

 

そう言って束はイチカの方に体を向ける。

 

「この機体に一度触れてみて欲しいんだぁ」

 

そう言われイチカはえぇ~と言った嫌な表情を浮かべる。

 

「束さん、それは流石に…」

 

「お願い! この通り!」

 

そう言って束は思いっきり頭を下げてきたため、イチカは仕方がないと思いISに近付き触ると、突然目の前が光で覆われ気付いたらISを身に纏っていた。

 

「やっぱりか。ねぇいっくん、何処か可笑しいとことかない?」

 

「いや、特に何も」

 

イチカの報告を聞いた束はフムフム。と空中モニターに何かを入力していた。

そして束は何かを決断したのか真剣な表情になる。

 

「よし、いっくんIS学園に行こう」

 

「はぁ!?」

 

突然の言葉にイチカは驚く。

 

「な、なんでそんなとこに行かなきゃいけないんですか?」

 

「理由はデータが余りないからそのデータ取集が目的と、いっくんをこのまま此処に居させてもただ時間を潰すだけ。それだったら此処から出てISの扱いになれておけば向こうの世界に戻った場合でも少しでも役に立つかもしれないからね」

 

そう言われイチカはまぁ確かにそうだがと思い、仕方がなく了承する。

 

「勿論いっくんと同じようにマーちゃんもいるから安心してね」

 

束はそう言ってイチカが乗っていたISを回収する。

 

「この機体はいっくんが入学する前日に渡すから、それまで楽しみにしててね」

 

こうしてイチカはIS学園に行くこととなった。




次回予告
IS学園に入学したイチカとマドカ。入ったクラスが4組でイチカ、そしてマドカは取り合えず自己紹介をしてクラスメイト達と仲良くなり始めた。面倒な奴がクラスに訪れてくるまでは
次回IS学園入学~仕方がないな、兄さん。私が勉強を見てあげるよ~
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