地獄先生と陰陽師一家   作:花札

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赤が好き?
白が好き?
青が好き?


青と答えれば、水に落とされて殺される。
白と答えれば、体中の血を抜かれて殺される。
赤と答えれば、血塗れにされて殺される。


殺人鬼参上!その名は「A」

「最近、妙にパトカーが多いわよねぇ!」

 

 

登校中の広達の周りには数台のパトカーが走っていた。道にも警察官が所々に立ち、警備していた。

 

 

「何かあったのかしら?」

 

「さぁ……」

 

「この辺りに、通り魔が出たんだって」

 

 

後ろを振り返るとそこには、菓子パンを食べる麗華がいた。

 

 

「おはよう……って、お前何食ってんだよ」

 

「メロンパン」

 

「朝ご飯?」

 

「うん……お兄ちゃんが寝坊して。

 

私も寝坊したけど……」

 

「ねぇ、さっきの話本当なの?」

 

「うん……

 

昨日の夜、見掛けたって話があるって情報が来て、警察が動いたらしい」

 

「へ~」

 

「つか、よく知ってるなぁ。そんな情報」

 

「今朝ニュースは、そんなこと言ってなかったけど」

 

「今日の昼頃には、発表するでしょう。

 

てか、早く行かないと、遅刻するよ!」

 

 

最後の一口を口に入れながら、麗華は駆け出しその後を広達は追い駆けていった。

 

 

放課後……

掃除をする広達。チャンバラをする広達に注意する郷子の声が響く中、麗華はふと窓の外を見た。学校の前で駐まる一台の車。そこから出て来る灰色の背広を着た男と紺色の背広を着た男の姿が、目に入った。

 

 

職員室に着たその二人は、教員達に警察手帳を見せながら、話をし出した。

 

 

「皆様も分かっている通り、この童守にAが目撃されました。

 

調べでは今の所、死傷者は出ていません」

 

「Aを目撃した話については」

 

 

職員室から聞こえる声に、掃除が終わったことを伝えに来た広達は立ち聞きをしていた。

 

 

「オイ、何話してんだ?」

 

「何か…エビがどうとか」

 

「海老?」

 

「違うわよ、Aよ!A」

 

 

三人が話をしている間、麗華はふと地面に付けられた小さいドアに目を向けた。ドアがゆっくりと開き、中から白い鼬が鼻を動かしながら出て来た。

 

麗華は郷子達の目を盗んでソッと近付き、その鼬を抱き上げた。においに気付いたのか、フードにいた焔は鼻を動かしながら、麗華の肩に乗り抱かれている鼬に擦り寄った。そんな焔を鼬は、撫でるようにして毛繕いした。

 

 

「コラァ!!お前等ぁ!!」

 

 

怒鳴り声が聞こえ、恐る恐る振り返ると立ち聞きをしていた広達が、ぬ~べ~に見つかりこっぴどく怒られていた。

 

後から出て来た紺色の背広を着た男は、麗華の元へ駆け寄った。

 

 

「今朝のあれ?」

 

「そう。さぁ、迦楼羅を」

 

 

差し出した男の手に、麗華は迦楼羅を渡した。迦楼羅は自身の毛を舐めると、彼の背広のポケットに入った。

 

 

「ねぇ、今日も遅いの?

 

着替え、持ってく?」

 

「いいよ。

 

今日は、早く帰るようにするから」

 

「本当?!」

 

「あぁ」

 

 

「輝二!行くぞ!」

 

「すぐ行く!

 

じゃあね」

 

 

麗華の頭を撫でると、輝二はもう一人の刑事の元へ駆けていった。

 

 

その帰り道……

郷子達と別れた麗華は、龍二の学校へ向かっていた。角を曲がった時だった……突然、能面の面を顔に付けシルクハットを被り、赤いマントを着けた男が現れた。

 

 

(……び、ビックリしたぁ)

 

「赤が好き?青が好き?白が好き?」

 

「え?赤…!?」

 

 

今朝見た、資料に書かれていた文字を思い出した麗華は、慌てて口を手で抑え声を殺した。

 

だが、既に時は遅く男は手に持っていた鎌を、麗華に向けて振り下ろした。

間一髪避けた彼女は、ポーチから小さい玉を出すと、それを地面に向けて投げ付けた。玉は煙を上げ、男の視界を奪いその隙に、麗華は狼姿になっていた焔の背に乗り空へ逃げた。

 

 

「ど、どうしよう……答えちゃった……

 

 

焔、学校に戻って!!」

 

 

学校へ戻った麗華は、焔から飛び降りるとすぐに校舎へ入り、職員室に入った。

 

 

「先生!いる?!」

 

「麗華!」

 

「あれ?何で立野達が?」

 

「大変なの!!

 

美樹が変な人にさらわれて!!」

 

「変な人?」

 

「赤が好きとか青が好きとか聞いてきて、美樹も私達もそれに答えたら、彼女だけさらわれて」

 

「そいつ、シルクハット被ってなかった!?」

 

「か、被ってたわ」

 

「……先生!私も、郷子達と同じ奴に会った!!」

 

「?!」

 

 

驚きを隠せないぬ~べ~は、郷子達を職員室に残し、美樹を探しに行った。

 

 

外へ出ると、学校の給水タンクからAらしき人物が去るのが見えた。ぬ~べ~はもしやと思い、屋上へ駆け上り給水タンクの中を見た。

おもりを両手首料足首に、さらに首に付けられた美樹が沈められていた。

 

 

「あの野郎ぉぉ!!美樹!!」

 

 

すぐにおもりを外し、美樹を水から出した。数分後彼女はぬ~べ~の掛け声と共に、水を吐き出し咳き込み、そして彼の姿を見て大泣きしながら抱き着いた。

 

 

その頃、郷子達は自分達の教室にいた。ふと何かの気配を感じ取った麗華は、恐る恐る振り返った。

鎌を持つAが、立っていた……目が合った瞬間、Aは鎌を振り上げ、勢い良く振り下ろした。

 

 

間一髪避けた麗華は、立ち構え後ろにいた郷子達に怒鳴った。

 

 

「早く逃げて!!」

 

 

それだけを言うと、麗華はAの目を自分に向けさせ、教室を飛び出した。Aは鎌を持ち構えながら、彼女を追い駆けていった。

 

廊下を駆けていく麗華の前に、ぬ~べ~は現れた。彼は只事では無いことを察し、彼女を後ろへ行かせ目の前にいるAを睨んだ。彼はぬ~べ~を叩き倒すと、麗華目掛けて鎌を勢い良く振り下ろした。

 

 

“キーン”

 

 

鉄と鉄がぶつかり合う音が聞こえ、ぬ~べ~はすぐに起き上がりその光景を見た。

 

 

そこにいたのは、Aの鎌を刀で防ぐ暗殺者の様な格好をした者が、麗華の前に立っていた。Aは突如現れた彼に驚き、その場から姿を消した。

 

 

「麗華!!」

 

 

自分の名を呼ぶ声に、麗華は振り返った。そこには、放課後に会った紺色の背広を着た男と灰色の背広を着た男だった。

 

 

「怪我は無い?どこか痛いところは?」

 

「うわーん!!」

 

 

泣き出した麗華は、紺色の背広を着た男に抱き着いた。もう一人の男の手を借り、立たせて貰ったぬ~べ~は呆気に取られながら、二人を見た。




別の教室に来たぬ~べ~達……


「緊急連絡があり、近くをパトロールしていた我々がこちらに駆け付けました」

「助かりました」


ぬ~べ~と二人の刑事が話している間、麗華は暗殺者の格好をした男の元に近寄った。


「さっきはありがとう!」

「……怪我は?」

「平気!」

「……なら良かった」


そう言いながら、男は麗華の頭を軽く叩いた。
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