地獄先生と陰陽師一家   作:花札

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霊霧魚を霧の中から引き揚げたぬ~べ~達……


だが釣れた途端、霊霧魚は暴れ出し広達がいる教室へ突進してきた。


怪魚死滅

「皆!!怪我はないか!!」

 

 

向こうの木の枝にいたぬ~べ~は、大声で教室の中にいる広達に呼び掛けた。

すると、美樹が泣きながら指を押さえて訴えた。

 

 

「あーん!ガラスで指斬ったー!」

 

 

その言葉を聞いたぬ~べ~は、怒りに満ちその感情に反応してか、鬼の手から只ならぬ霊力が高まっていった。

 

 

「こうなったら、力ずくで太陽の下に引きずり出してやるぜ!

 

 

南無大慈大悲救苦救難……

 

 

喰らえ!!鬼の威力を!!」

 

 

鬼の手を近づいてきた霊霧魚目掛けて、振り下ろし攻撃した。霊霧魚はぬ~べ~と共に霧の中へと入っていった。

 

 

「霧に潜った!」

 

「大変だ!!奴は霧の中じゃ、不死身なんだ!!」

 

「先生が死んじゃう!!」

 

「よぉし!!

 

焔、行くよ!」

 

「応よ!」

 

 

麗華の掛け声に、焔は窓の外へと飛び出し、そのまま狼化した。麗華は薙刀を持って窓から飛び降り、焔の背に乗り霧の中へと入って行った。

 

 

「麗華!!」

 

「おい!玉藻!!」

 

 

広は、教室の隅にいた玉藻に振り返り、玉藻の名を呼んだ。

 

 

「アンタも、一緒に先生達と闘ってくれ!!」

 

「バカを言うな!なんで私が!」

 

「生徒一人でも死んでみろ?!

 

ぬ~べ~は、責任をとっても教師を止めるかもしれない。最悪の場合自殺する可能性もある(一か八かだ。ハッタリかましてやる)。

 

 

そうなれば、ぬ~べ~の力の秘密は永久に分からなくなるんだぞ?それでもいいのか?!」

 

 

玉藻を責める広に、疑問を抱いた美樹は傍にいた郷子に質問した。

 

 

「郷子、どういうこと?

 

何で玉藻先生なら、闘えるの?」

 

「え?そ、その……

 

 

実は、玉藻先生もぬ~べ~に負けないくらいの、霊能力教師なのよ!それで…」

「ええ!!」

 

 

事実を知った生徒達は、一斉に玉藻に駆け寄った。その中にいた美樹は彼の腕を掴んで頼んだ。

 

 

「先生お願い!!

 

皆を助けて!!

 

 

このままじゃ、ぬ~べ~も晶達も麗華も死んじゃうわ!!

 

頼れるのは、玉藻先生しかいないの……だからお願い!!」

 

 

言い終わると、美樹は泣き崩れてしまった。そんな様子を見た玉藻は、顔を顰めた。

 

 

 

その頃、霊霧魚の頭に乗りながら、ぬ~べ~は霊霧魚に鬼の手で攻撃していた。だが、いくら切ってもその傷はすぐに再生してしまった。

 

 

(やはり太陽の光に当てなければ、ダメなのか?!こいつを倒すことはできないのか?!)

 

「先生!!日没まで、もう時間がないよ!!」

 

(くそ!!とうとう生徒達を守れなかった……ちきしょう!!)

 

 

“ドオオオ”

 

 

突然、どこからか火が噴出された。火に驚いた霊霧魚はそこから身動きが取れなくなってしまった。何かに気付いたぬ~べ~と麗華は、火が放たれた場所へ顔を向けた。

 

 

「玉藻!!」

 

 

そこにいたのは、狐の姿となり首さすまたを持った玉藻だった。

 

 

「鵺野先生!校庭を火の海にする!そうすれば、霊霧魚は耐え切れず浮上するはずだ!そこで仕留めろ!」

 

「なら!私達も協力する!焔!」

 

「勘違いするな!これは助太刀ではない!

 

あなたが負けては困るので、力を貸すだけの事だ!」

 

「玉藻……」

 

(それを、助太刀って言うんだけど……)

 

 

 

「日が沈む!!もう駄目だ!!」

 

 

窓の外で沈む夕日を見た広は、卵を産み付けられた晶達を見た。彼等の背中に着いた卵は、孵化をし小さい霊霧魚が誕生していた

 

 

「キャア!!」

 

 

“ドーン”

 

 

火の暑さに耐えきれなくなった霊霧魚が、霧の外へと這い出てきた。その頭にぬ~べ~の姿があった。

 

 

「先生!!」

 

「太陽の光よ!霊霧魚を照らせ!

 

邪悪の魂を焼き尽くせ!」

 

「今だ!鵺野先生!!」

 

「とどめだぁ!!」

 

 

太陽の光に照らされた霊霧魚に、ぬ~べ~は鬼の手で攻撃した。霊霧魚の身体はバラバラ日され、太陽の光と共に消えた。教室では霊霧魚が倒されると晶達の背中に産み付けられていた卵が一瞬で消え去り、その喜びから生徒達は歓声を上げた。




夜……


校庭に置いてあるベンチに、玉藻は腰を下ろしていた。そこへ麗華と焔、ぬ~べ~が姿を現し、彼に近付いた。


「玉藻……」

「私は、妖狐失格だ。

理由はどうあれ、人間を助けてしまったのだから……」

「妖怪が人を救うのはいけない事じゃないよ」

「?」

「人を救うことがいけないって言うなら、ここにいる焔も私の式神である雷光も氷鸞も、失格だよ」


そう言いながら、麗華は狼の焔の頭を撫でた。焔は甘え声を出しながら、彼女に擦り寄った。


「……君は妖怪に恵まれているだけだ。


アディオス鵺野先生、麗華君。


結局、鵺野先生の力の秘密を知ることが出来ず、残念です」

「待てよ、玉藻。


見せてやるぜ?あれが、俺の力の秘密だ」

「え?」


「いたー!!」


その叫び声に気付いた玉藻は後ろを振り返ると、美樹を先頭に多くの生徒たちが玉藻の傍へ駆け寄ってきて、玉藻を囲った。


「先生が助けてくれたんだってね!ありがとう!」

「玉藻先生だーい好き!」

「教員試験受かったら、絶対この学校に来てね!」


喜び、お礼を言う生徒達に、何をすればいいのか分からなかった玉藻は、先にいるぬ~べ~に再度確認した。


「ぬ、鵺野先生!これのどこが…?」

(生徒達の「ありがとう」や「大好き」……これが俺の力の源なのさ。教師になれば分かるぜ玉藻)


困り果てる玉藻を見ながら、ぬ~べ~はそう心の中で呟いた。
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