地獄先生と陰陽師一家   作:花札

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寝静まる夜童守小の生徒達……その時、窓に巨大な影が映った。窓から見えたのは、赤く光る巨大な目……鶏の鳴き声に、寝ていた少年は目を覚ました。

目を擦ろうと腕を上げた……その時頬に当たったのは、手ではなく羽だった。


「う……ウワァァアア!!」


鳥の悪霊

翌朝……

 

校庭を歩く鶏。ぬ~べ~はその鶏を捕まえようと、朝早くから追い駆けていたが、一向に捕まえられなかった。

 

 

「ぬ~べ~の奴、ついに食事をも追い駆ける状況に」

 

「どんだけお金無いのよ……」

 

「違うわ!!

 

見てないで、捕まえるの手伝って!!」

 

 

そう言われ、広達は逃げ回っている鶏を捕まえようと追い駆けた。

 

 

「広!そっち行った!」

 

「おっしゃー!

 

って、ヤバっ!克也!」

 

「任せろ!

 

あれ?美樹!そっち行ったぞ!」

 

「オッケー!えい!

 

ありゃ?どこ行った?」

 

 

美樹から逃げていく鶏は、校門を抜け学校の外へ出てしまった。

 

 

「ギャー!!鶏がぁ!!」

 

「追い駆けなきゃ!」

 

 

慌てて鶏を追い掛ける一同だったが、校門を出る寸前に目の前に鶏がひょっこりと現れた。

 

 

「あれ?何で?」

 

「さっき、そこで捕まえた」

 

 

鶏を抱き上げていたのは、麗華だった。

捕まえた鶏を檻に入れ、ぬ~べ~は鍵を厳重に掛けた。

 

 

「これでもう、脱走はしないだろう」

 

「器用に開けたなぁ、こいつ」

 

「しっかしこの鶏達、私達には反抗的なのに……何で麗華には、懐くし言う事を聞くのかしら」

 

「何か秘訣でもあるのか?」

 

「別に無いよ、秘訣なんて」

 

「さぁ、朝のホームルーム始めるから、早く教室に行け」

 

「はーい!」

 

 

元気よく返事をして、郷子達は校舎の中へ入っていった。ぬ~べ~は、壊れた鶏小屋と檻に入れた鶏を交互に、鬼の手を翳した。

 

 

(……微かだが、妖気を感じる。

 

まさか)

 

 

鶏を見るぬ~べ~……そんな彼に、麗華はチラッと目を向け、郷子達の後を追い駆けていった。

 

 

放課後、麗華は鶏が入った檻の前に座り、スケッチブックに絵を描いていた。その時、飛んできたボールが麗華の頭に当たり、続いて檻に当たりその勢いのまま、ケージは倒れた。

 

 

「ゲッ!また……」

 

 

鶏は鳴き声を高らかに上げた。その声に共鳴するかのようにして、他の鶏達が鳴き声を上げた。

 

 

「な、何だ?」

 

「痛ったぁ……」

 

 

痛がる麗華……その時、檻のドアが蹴られ壊された。そこから、赤く目を光らせた鶏が鳴き声を上げ出て来た。

 

 

その妖気に気付いたぬ~べ~は、職員室の窓を開け外を見た。巨大化した鶏が、校庭を歩き遊んでいた生徒達を嘴で攻撃していた。

 

 

「な、何?!あの化け物!?」

 

「すぐに、外にいる生徒達を中に!」

 

「わ、分かりました!」

 

 

職員室の窓から外へ出たぬ~べ~は、白衣観音経を投げ鶏の動きを止めた。

 

 

「大人しくしろ!」

 

 

白衣観音経を振り払おうと、鶏は暴れ回った。ふとぬ~べ~は鶏の足下を見た。そこには、麗華と彼女にしがみつく下級生がいた。

 

 

「麗華!!」

 

「?

 

あ、先生!」

 

「待ってろ!すぐ助けに行く!」

 

 

助けに行こうとするぬ~べ~だが、手を緩めると鶏は今にも暴れ出そうとしていた。

 

 

(クソ!どうすれば……)

 

 

戸惑うぬ~べ~……麗華はポーチから、黒い玉を二つ取り出した。

 

 

「それ何?」

 

「アニメで出て来る煙幕みたいな奴。

 

息止めといて!」

 

 

彼女の指示に従い、下級生は鼻と口を手で抑え息を止めた。それと同時に煙幕玉を、麗華は思いっ切り地面に投げ捨てた。すると玉は割れ玉から煙が上がった。

 

突然自身の下から煙が出て来たのに気付いた鶏は、驚きそこから離れた。その隙を狙い、麗華は下級生の手を引きそこから出て行った。

 

 

「麗華!」

 

「先生!この子を!

 

走って!早く!」

 

 

下級生は息を吸いながら、ぬ~べ~の元へ駆け寄った。駆け寄っていた下級生を連れて、ぬ~べ~は彼を校舎の中へと入れ、再び鶏の元へ行こうとした。

 

だが、目の前に広がる光景は違った……どこからか現れた巨大な白狼が、鶏を銜えていた。鶏は妖気を吸われているかのようにして、体が徐々に小さくなっていった。

 

 

(どういう事だ……

 

妖気が減っている!?)

 

 

元のサイズになった鶏に、麗華は手を差し出し優しく撫でた。

 

彼女の元へ駆け寄るぬ~べ~に、白狼は飛び上がりその場から姿を消した。

 

 

(何だったんだ……今のは)

 

「先生、こいつもう大丈夫だよ」

 

「?」

 

「ほら、すっかり大人しくなってる!」

 

 

麗華に撫でられる鶏は、気持ち良さそうにしていた。

 

 

 

夜……

 

 

とある家に来たぬ~べ~。母親に案内され、入った部屋にいたのは、鳥のような腕を持った少年だった。

 

 

「……見たこと無い。

 

この症状は、いつ頃からですか?」

 

「今朝起こしに来たら、もう……

 

けど、息子の話だと夜中何かが来て、それにやられたって」

 

「何か……」

 

 

帰路を歩くぬ~べ~……コンビニの前を通った時、その前に座る麗華を見つけた。

 

 

(あいつ……

 

今何時だと)

 

 

叱りに行こうとした時、麗華の元へ駆け寄ってくる一人の黒い髪を少し長めに伸ばし、ハーフアップにした少年がいた。少年に気付くと、彼女は嬉しそうに立ち上がり、彼の腕に抱き着いた。抱き着いてきた麗華を、少年は撫で一緒に歩いて行った。

 

 

「……家族か?」




翌日……


麗華の調査表を見るぬ~べ~。家族構成には、父親と兄の名前は書いてあったが、母親の名前が無かった。


「鵺野先生、何をしていらっしゃるんですか?」

「あ、律子先生!

いや、少し気になる生徒がいまして」

「気になる?

あぁ、神崎さんね!


とても素直で、いい子よ。ただ昔と比べて落ち着きが無くなったのが……」

「え?律子先生、昔の麗華を知っているんですか?」

「別のクラスを担当していたので、詳しくは……

私が見る限り、いつも一人で図書室に籠もってましたね。休み時間も放課後も……放課後なんて、授業は午前中で終わったのに、四時過ぎまでいたこともありましたから」

「そんなに?!

ご家族には、何も言われないんですかね」

「それが……

神崎さんのお宅、お父さんが警察の人で夜帰ってくるのが遅いらしいんです。
それで確か、お兄さんと一緒に帰ってるって聞いたことが」

「……そうか…あれはお兄さんだったのか」
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