地獄先生と陰陽師一家   作:花札

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ゲーム屋に並ぶ長蛇の列。その中に並んでいた克也と彼の妹・愛美は発売されたゲームを買いに来ていた。

しかし、買いに来たはいいがお金が足りなかった。それを見た愛美は、目に涙を浮かべて残念そうにした。そんな彼女の姿を見て、克也はお金を借りてくると、彼女に言って、商店街を歩きながら友達(広達)を探した。


しばらく走って行くと、鳥居が見えた。近付き書いてある名前を読んだ。


(はたもん場?

変わった名前の神社だな)


社の中を覗くと、そこには足りない分のお金があった。良くないと思いつつも、克也はそのお金を手に取り、愛美の元へ急いだ。


教室が凶器に変身?!

翌日……

 

 

「え?!あのゲーム買えたの?!

 

 

だって、あれ昨日でたばっかの限定ソフトだろ?!」

 

「良く買えたわねぇ!!」

 

 

愛美と克也から、昨日買ったゲームの話を聞いた広達は驚いていた。

 

 

「ギリギリだったのよ!

 

でも、お兄ちゃんがお友達からお金借りてきてくれて!

 

 

お兄ちゃんは、何でも出来るの!

お兄ちゃんは世界一なの!

 

愛美、とーっても尊敬してるの!

 

 

お兄ちゃん、大好き!」

 

「かあー!見せつけちゃって!

 

まるで恋人同士だな!」

 

「クールな克也も、妹にだけは甘いのよねぇ」

 

「兄貴っつーもんは、そういうもんだ!

 

 

現にここにいる龍二も、昔は麗華に甘々だったからなぁ」

 

「真二!!テメェ!!」

 

「小学生の前で、喧嘩しない!」

 

「と言うわけで麗華……

 

昨日買った限定ソフトで、今日遊ばねぇか!」

 

「無理!

 

今日、お兄ちゃん達と餃子作るから」

 

 

ショックを受けた真二は、電信柱の影で蹲った。

 

 

「悄気るな!置いてくぞ!」

 

「あっちはあっちで、面倒なお兄さんね……」

 

「真兄、いつもああいう感じだから」

 

「愛美、幼稚園の頃まで大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになろうと思ってたの!」

 

「あら、可愛い!」

 

「バカだな」

 

「俺なんかな、小四の頃まで大きくなったら怪獣達を倒すヒーローになろうと思っていたぞ!」

 

「アンタは本当の馬鹿よ」

 

「私なんか、小学校に上がるまで大きくなったら、忍になろうと思ってたから!」

 

「アンタなら、なれるよ」

 

「けどさぁ、克也。

 

金借りたって、誰に借りたんだ?」

 

「うっ……」

 

「そうよねぇ……あの辺りは学区外だしねぇ」

 

「うちの学校の生徒、誰もいないはずだろ?」

 

「そ、それは……その……」

 

「あれじゃね?

 

どっかの神社から賽銭盗んだんじゃねぇの?」

 

「!」

 

「んなわけねぇだろう……」

 

「真二じゃあるまいし」

 

「俺はそんな事しねぇよ!!

 

麗華ぁ!龍二達がいじめる~!」

 

「よしよし」

 

 

広達が騒いでいると、傍から美しいという声が聞こえた。前を向くとそこでは、嬉し涙を流しながら律子先生を撮るぬ~べ~がいた。

 

 

「ぬ~べ~、朝っぱらから何やってんだ?」

 

「お!良いとこに来た!

 

いやぁ、近所のカメラ屋でポラロイドの安売りしてたんで買ったんだが……

 

 

どうせ撮るなら、美しいビーナスの様な律子先生をモデルにと思ってな!」

 

「もう!上手なんだから、先生ってば!」

 

「では、美男美女のツーショットを、撮って貰おうかな!?」

 

「何考えてんだか、この男は」

 

 

撮れた写真を、ぬ~べ~は手に取り律子先生に見せた。

 

そこには二人の他に、数体の霊が写っていた。

 

 

「キャァアアア!!

 

 

こんな悪戯するなんて、鵺野先生大嫌い!」

 

「い、いや……これは浮遊霊が勝手に……律子先生」

 

「さすが霊能力者だな」

 

「俺等も霊感あるけど、こんなの撮れたことないぞ」

 

「普通に撮れるもんね」

 

「俺と麗華の場合は、渚と焔が追い払ってるからな」

 

「おぉ!そうか!」

 

「知っとけ!」

 

「フィルム勿体ないから、皆!撮っちゃお!」

 

 

そう言って、郷子は広達を撮っていった。その中、克也と愛美の写真だけ異様な物が写った……

 

写った二人の首が無くなっていたのだ……

 

 

 

その日の放課後、掃除をしていた克也はさり気なくぬ~べ~にはたもん場の事について質問した。

 

 

「はたもん場?

 

ありゃ、神様何てもんじゃないぞ。

 

 

あそこは昔の処刑所の跡だ」

 

「処!」

 

「あそこは江戸時代、罪人を何百人も打ち首にして、晒し首にして、腐るまで並べていた場所なのさ……

 

 

あの祠には、今でも打ち首に使った刀が納められているという話だが」

 

(打ち首の刀……)

 

「それがどうかしたか?」

 

「い、いえ……(や、やべぇ所から金盗んじまった……

 

罰当たらなきゃいいけど)」

 

 

「克也!!」

 

「?」

 

「大変だ!愛美ちゃんが!!」

 

 

踊り場へ駆け付けると、愛美は首を怪我していた。彼女の傍には、蛍光灯が落ちていた。

 

 

「いきなり蛍光灯が、落ちてきたんだ」

 

「危ねぇな。ネジ、緩んでたのかな?」

 

 

蛍光灯を調べるぬ~べ~……少し触ってみると、指が切れ血が出て来た。

 

 

(何かで削ったのか?

 

まるで、刃物のようだ……)

 

 

「一応、保健の先生に診て貰った方がいいぜ」

 

「あ、あぁ。

 

そうするよ……(はたもん場の呪いか?

 

まさか……偶然に決まってる)」

 

「木村、大丈夫?

 

顔色悪いよ?」

 

「だ、大丈夫……

 

 

あのう、妹が怪我をして……痛!!」

 

 

戸を開けた克也の指に、激痛が走った。彼は慌てて手を見ると血が出ていた。その時、戸が勢い良く閉まり克也は慌てて、戸を避けた。

 

 

「どうした克也!?」

 

「と、扉が刃物みたいに!」

 

「本当だ!一体、誰の悪戯だ!?」

 

「……いや、これは人間の仕業ではない」

 

「妖怪の仕業。

 

微かに妖気、感じるし」

 

「……」

 

「克也!何か、心当たりは」

「し、知らねぇ!!俺は何もしちゃいねぇ!!」

 

「?」

 

 

 

「賽銭を盗んだ!?」

 

 

ぬ~べ~と別れ、帰ろうと下駄箱へ来た克也は広達に昨日の事を話した。

 

 

「三丁目のはたもん場って言ったら、処刑所の跡で超有名な所だよ!!」

 

「何でよりによって、そんな所から!」

 

「知らなかったんだ……

 

それに、愛美はあのソフト、前から欲しがってたし……

 

まさか、こんな祟りがあるなんて……」

 

「祟りも何も、神社とか寺の物を盗めば罰当たるに決まってんじゃん!(真兄の言い分が、正しかったとは……)」

 

「わ、分かってたよ!」

 

「けどよ、そんなら何でぬ~べ~に相談しないんだよ?」

 

「怒られるのが怖いの?」

 

「そ、そんなんじゃねぇよ……

 

 

家は両親とも働いててよ、毎日夜遅くならないと帰って来ない……だから、その間俺がずっと愛美の親代わりになって面倒を見てきた……

 

そのせいか、愛美は俺のこと凄え尊敬してんだ。世界一のお兄ちゃんだって言ってよ……その俺が、賽銭泥するような不良だなんて知ってみろ。

 

あいつ、どんなに悲しむか……あいつの泣き顔だけは、見たくないからだな……」

 

「妹の立場として見ると、木村凄い良いお兄ちゃんなんだけど……」

 

「けど、このままじゃ愛美の命が危ない!!

 

 

はたもんばの奴は、盗んだ金を使った愛美も呪い殺そうとしてるんだ!だから!」

 

「先生に内緒で、一緒にはたもんばに謝りに行ってくれないかってか?」

 

「そ、そう……

 

 

だめ……だろうね……やっぱ」

 

 

ガッカリしている克也を見て、郷子達は互いに顔を合わせると、鼻で笑った。

 

 

「やれやれ……虫のいい話だけど」

 

「愛美ちゃんのためだもんね。仕方ない、行ってやるか!」

 

「妹として、カッコ悪いお兄ちゃんの姿は見たくないからね!」

 

「広!郷子!麗華!」

 

 

はたもん場の神社へ来た郷子達……ぬ~べ~の荷物から白衣観音経文を盗ってきた郷子は、それを広げた。

 

 

「え~……南無……大慈……大悲……救苦救難…広大…霊感……

 

 

駄目だ……読めない」

 

「郷子、あまり言いたくないんだけど……

 

 

ちゃんと読まないと、全く意味ないよ」

 

「うっ……

 

 

じ、じゃあ麗華読んでよ!」

 

「うちの経以外の物読んだら、父さん達に怒られる!!」

 

「と、とりあえず金返そうぜ」

 

 

そう言いながら、克也はポケットからお金を取り出し、それを社の中へ投げ入れた。

 

 

「はたもんば様、お金はお返しします。どうか怒りを鎮め下さい」

 

「貸したのは僕達です。

 

有り難く受け取って下さい!」

 

「広は十円しか出してません。

 

あとは全部、私と麗華です」

 

「と、どうかな?」

 

「許してくれたんじゃねぇか?」

 

「多分ね。帰りましょ、もう遅いし」

 

「何か、嫌な気配感じる」

 

「え?!」

 

「ちょっと麗華!」

 

 

「許さん」

 

 

トーンの低い声が、社の中から聞こえてきた……驚いた広達は振り返り社を見た。

 

社の中に供えられていた刀が、電磁波を放ちながら独りでに動き出した。

 

 

「そ、そうか!借りたら普通利子がつきますもんね!

 

広!」

 

「よ、よし!」

 

 

広からお金を受け取った克也は、再び手を合わせながら社の中へ投げた。しかしはたもんば、許すどころか近くにあった地蔵の首を切り落とした。

 

 

「わぁ!!」

 

「だ、駄目だ!!怒ってる!!

 

逃げろ愛美!!殺されるぞ!!」

 

「待て!盗人が!!」

 

「!?」

 

 

「許さん……許さんぞ……」

 

 

円月輪を体に通し、車輪のように動かした妖怪がそこに姿を現した。

 

 

「我ははたもんば……

 

罪人は首を切る!!」

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