働くIS魔王様   作:サダーオ

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酢豚=酢豚に入ってる肉って感じに変換しておいてください。


魔王、学生生活を謳歌する

 

千冬にこってりと絞られ、満身創痍の中、貞夫は教室の机に突っ伏している。

周りの女子たちの奇妙な視線にさらされながらも、余りの疲労に反応する気力すら無い貞夫は、隣の席に座っている一夏に肩を揺されるまで、できるだけ失った体力を取り戻そうと目を瞑っていた。

 

 

「なぁ貞夫、どうして昨日のパーティー来てくれなかったんだ?いやまぁ、バイトのせいでパーティーには参加できないのは頷けるけど、部屋に帰ってこないってどこに行ってたんだ?」

 

 

一夏の言葉に、重々しく顔を向ける貞夫、その容貌に一夏はたじろいでしまう。

貞夫の席まで来た千穂も、貞夫の表情に心配になり声をかけた。

 

 

「うわっ!どうしたんだよその顔?!寝てないのか?クマがひどいことになってるぞ?」

 

 

「真奥さん、何かが取り憑いたような顔してますよ!?」

 

 

「いやまぁ、女にナイフで襲われてその女が知り合いの部屋にまで追いかけてきて散々文句言って帰る際に人の名前を馬鹿にした上、更に悪魔のような女に朝方まで説教されれば……いやでもこうなる。」

 

 

「いや意味わかんねぇよ。とりあえずもうちょっと短く言ってくれ。」

 

 

「女は怖いって話だよ。」

 

 

「なるほど。」

 

 

一夏も怖い女性に心あたりがあるのか、貞夫の言葉に素直にうなづく。

一方の千穂は、貞夫の口から女と言う言葉が出たことでかなり動揺したようだった。

 

 

「女!?そそそ、それって……彼女さんとか……ですかね?」

 

 

「彼女じゃないよ……仮にそうだとしたら、命がいくつあっても足りないよ……」

 

 

「そ、そうなんですか?はぁー……よかったぁ!」

 

 

「何が!?」

 

 

三人で話していると、周りに女子が集まってくる。

皆の話している内容は、今度のクラス対抗戦の事のようだ。

その会話の中で、2組で新たに転入してきた女の子がクラス代表になったという話が耳に入る。

その話に一夏が反応する。

 

 

「転校生……今の時期に?」

 

 

一夏に話しかけられた女子が、中国から来た少女という言葉を付け加えると、セシリアが胸を張りながら語り始める。

 

 

「こんな時期になんて珍しいですね真奥さん。」

 

 

千穂に話しかけられた貞夫だが、寝ているのか返事がなく、貞夫が寝ている間、千穂は机の端から顔を半分出し、貞夫の寝顔を堪能していた。

 

 

「ふん、私の存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら?」

 

 

「どんな奴だろう?強いのかな?」

 

 

一夏にスルーされ、少しばかり頬を膨らますセシリア。

大声でアピールしようとする彼女だが、寝ている貞夫を起こしてはならないと思い、ぐっと押し黙る。

その間にも、他の女子が専用機を持っているのが1組と4組だけだと言う話をしていたが、その会話に待ったがかかる。

 

 

「その情報古いよ!2組も専用気持ちがクラス代表になったの、そう簡単には優勝できないから!」

 

 

「お前、鈴か?」

 

 

「そうよ!中国代表候補生、凰鈴音!今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

 

鈴の言葉に教室がざわめき始める。

 

 

「鈴……何格好つけてるんだ?すっげぇ似合わないぞ?」

 

 

「っな!?なんてこと言うのよあんたは!」

 

 

大体こういった時間は多少五月蝿いものだと貞夫も我慢し目を閉じていたが、中国の代表候補生という奴が来てから、彼女の発する高く大きい声に、ついに貞夫の我慢も限界を突破する。

 

 

「だぁ!耳障りな声を控えてくれ!こっちは昨晩、千冬という鬼にたっぷり虐められたんだ!少しでもいたわってくれよぉ!」

 

 

貞夫の心からの叫びに、教室が静まり返る。

担任を鬼と言った貞夫の言葉に、なんとなく危険を感じた千穂は、貞夫の笑顔を堪能したということもあり、自分の席に戻っていった。

一夏は先程の言葉から、悪魔というのが誰かというのを理解し、貞夫に向け合掌する。

しかし、そんな一夏とは裏腹に、クラスのあっちこっちから千冬様にお説教なんてなんて羨ましいや私もされたいなど、少しズレた反応も帰ってくる。

鈴は、そんな貞夫の千冬という言葉に反応し、腕を組み頷く。

 

 

「うんうん、千冬さんは確かに人間の皮を被った鬼だよね。ってかあんた誰?男って一夏だけじゃなかったっけ?」

 

 

「あぁ、俺は真奥貞夫だ。まだ世間一般に公表されてない二人目の男性IS操縦者だ。」

 

 

「ふぅ~ん、まっどうでもいいけど……ってかよく千冬さんの説教の後に学校に来ようとか思ったわね!根性あるじゃない!」

 

 

「まぁ、俺はこう見えてなかなかにダンディーな生き様を送って……ってか千冬先生は仏のような人だよな!ハヤクホトケノヨウナチフユサンノジュギョウヲウケタイナー!」

 

 

貞夫の余りの豹変っぷりに、怪訝に思う鈴は一夏に尋ねる。

 

 

「ねぇ一夏、こいつって頭のネジどっか無くしてるの?」

 

 

しかし、一夏は反応せず、顔面蒼白で冷や汗を流している。

不思議そうに思った鈴は、おもむろに背後を見ると、腕を組んでいる鬼が立っていた。

やばいと思ったときには既にゲンコツが鈴の頭に直撃し、ゲンコツとはかけ離れたその音に、クラスの全員が一斉に自分の席に戻る。

 

 

「人間の皮を被った……なんだって?最近少しばかり聞き取りづらい時があってな、もう一度言ってくれないか?」

 

 

「ひぇ、ち……千冬さんはとても魅力的な大人の女性って言ったんですよ!」

 

 

震え声で訴える鈴に容赦なく眼光を浴びせる千冬、その姿はまるで蛇に睨まれた蛙そのものであった。

 

 

「……もういい、自分のクラスに戻れ邪魔だ。」

 

 

「す、すみません……また後で来るからね!逃げないでよ一夏、後……貞夫!あんたも覚悟しときなさいよ!」

 

 

そう吐き捨てて、鈴は戻って行くが、代わりに千冬が教室に入り、貞夫の席の前で止まる。

 

 

「真奥……貴様、さっきはよくも言ってくれたな?説教が足りなかったか?」

 

 

「えっ、あいつのは聞こえてなくて、なんで俺のは聞こえるんだよ!?」

 

 

「ほぉ、更に教師に対してのタメ口か……覚悟はいいか、真奥貞夫?」

 

 

「千冬先生……出来ればお手柔らかに……」

 

 

その後、頭が雪だるまになった貞夫が原因で、授業中も失笑が絶えなかったという。

 

 

昼休みになり、皆で昼食をとるため食堂に向かう。

鈴も加わり、一夏と鈴の二人で1つのテープルを使って昼食を食べている。

箒やセシリア、貞夫や千穂は隣のテープルで食べており、箒は昼食も食べずに一夏の方をガン見していた。

鈴になぜIS学園に入ったのかという疑問に一夏が答え終わると、箒が立ち上がり二人の会話を遮って一夏を問い詰めた。

 

 

「一夏、そろそろ説明して欲しいのだが?まさか、二人は付き合って……?」

 

 

「べ、べべべ別に私は……」

 

 

「そうだぞ、ただの幼なじみだよ。」

 

 

一夏の肯定に、鈴が少しばかり不満げな顔をする。

鈴の表情に気付いた一夏が鈴にどうしたと尋ねるが、鈴は恥ずかしいのかそっぽを向いてしまう。

 

 

「幼なじみ……」

 

 

「そうか、丁度お前とは入れ違いに転校してきたんだっけな……篠ノ之箒、前に話しただろ?箒はファースト幼なじみで、お前はセカンド幼なじみってとこだ。」

 

 

「ファースト……」

 

 

「ふぅーん、そうなんだ……初めまして、これからよろしくね。」

 

 

「あぁ……こちらこそ。」

 

 

一夏達の会話を聞いているセシリアと千穂は、お互いにニヤニヤしながらそのやり取りを見守っていた。

貞夫は興味がないのか、目の前に置かれている酢豚定食を口に放り込んでいる。

 

 

「オルコットさん、あの二人……絶対織斑君の事、……だよね?」

 

 

「えぇ、間違いありませんわ!どう取り合うのか見物ですわね!貞夫さんはどう思います?」

 

 

「え、何が?」

 

 

「あの三人の行く末ですよ真奥さん!」

 

 

「あぁ~、まぁ……当人同士、ちゃんと収まるところに収まるだろ。セシリアも、あんま好奇の目で見ちゃだめだよ?」

 

 

「「は、はい……」」

 

 

貞夫の言葉にしょんぼりとする二人、見かねた貞夫は自身のおかずを二人に差し渡した。

 

 

「まぁまぁ、俺の酢豚上げるから、二人ともご飯食べちゃおう。」

 

 

「「……え?」」

 

 

貞夫に貰った酢豚、貞夫が何の気も無しに、貞夫が使っていた箸で渡された酢豚。

その一塊の肉に、二人の喉がなる。

 

 

「貞夫(真奥)さんの酢豚……」

 

 

「あ、俺の使った箸で渡すのもあれだよな、悪い……それ俺が食うから、新しいの俺の皿から取って。」

 

 

そう言い、貞夫がセシリアの酢豚を取って食べる。

その瞬間、セシリアの顔が蒼白に変わり、ブルブルと震えながら貞夫に詰め寄る。

 

 

「っんな!さ、ささ貞夫さん!?せ、せっかく楽しんで食べようと思っていましたのに!楽しみにしていましたのに!」

 

 

「えっ?いや、俺の皿から取ればいいんじゃ……」

 

 

「貞夫さんの箸で!こちらのお皿に移して下さいまし!!」

 

 

「お、おぅ……」

 

 

少し涙ぐんでいたセシリアの気迫に、思わず酢豚を取り移す貞夫。

一つ置いたが、セシリアの目がもう一つと言っており、貞夫はもう一つセシリアに酢豚を渡した。

残り2つになった酢豚を、悲しみながらも食べようとした貞夫だが、千穂が目の前に自身の皿を出してくる。

千穂の目からも、もう一つと言っているのがわかった貞夫は、渋々千穂の皿にも一つ追加で乗せる。

貞夫は肉が残り一つになった酢豚を、噛み締めるように食べ終えた。

 

 

「ご、ごちそうさん。」

 

 

「ふぅ、最高のご馳走でしたわ。」

 

 

「うん、凄く美味しかったですねー。」

 

 

「「酢豚!」」

 

 

食堂から、意気消沈気味の貞夫と、それとは反対に満面の笑みで教室に戻る少女二人の姿が目撃された。

 

 

 

午後の授業も終了し、千穂と共にアルバイトに行く貞夫。

駅を出て徒歩で向かっている間、千穂が貞夫に話しかける。

 

 

「真奥さん、最近地震って多くないですか?」

 

 

「だね、最近結構たくさん軽いのが来るよね。」

 

 

「大きいのもありません?」

 

 

「大きいのとかあったっけ……ごめん、全然覚えがないや。」

 

 

「この前学校の女子更衣室で、私だけ遅れて着替えてたんですけど、その時かなり大きいのがきて、ロッカーが倒れたりしたんですよ?」

 

 

「え!?そんなの知らなかったよ、大丈夫なの?」

 

 

「はい、幸い怪我とかはなかったんですけど……グラウンドに出てた人に聞いても、誰も大きな地震なんてなかったって言ってましたし……」

 

 

「……そう、他になんか変なコトとかなかった?」

 

 

「あ、そういえば最近変な……」

 

 

「え?」

 

 

「……いえ、なんでもないです。」

 

 

そう言うと、千穂は恥ずかしくなったのか、先に走って行ってしまった。

 

 

「なんで走っていったんだ……?」

 

 

貞夫は不思議に思いつつも、千穂を追ってマグロナルドへ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




真奥貞夫 ISプロフィール

通常時

名称:ラファール・リヴァイヴ

武装:近接ブレード「ブレッド・スライサー」x1
   六一口径アサルトカノン 「ガルム」x1
   六二口径連装ショットガン 「レイン・オブ・サタディ」x1


魔力強化状態(変形)

名称:ラファール・リヴァイヴ・サタン

武装:魔力強化ブレード「フォース・スライサー」x1
   六一口径アサルトカノン 「ガルム」x1
   六二口径連装ショットガン 「レイン・オブ・サタディ」x1


変形には魔力を消費し、魔力がなくなれば元の姿に戻る。
起動と変形にのみ魔力を使用するが、魔力さえ通せば誰にでも展開可能になっている。
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