働くIS魔王様   作:サダーオ

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サタンとアルシエルはまだ日本語が堪能じゃないのでカタカナ表記をしています。
母国語は普通に表記しております。
読みにくいと思いますが、最初だけですのでご了承を。


魔王、死の危険を乗り越える

悪魔大元帥アルシエルは自身の耐久力に自信がある。

強靭なコブシで殴られ、吹き飛ばされても無傷だ。

強力な石化魔法で石にされても数秒で解呪し、何事も無く戦闘を続行できる。

魔王サタンの腹心であり、絶対的な強さを持った。

そのことに誇りを持っている。

相手が何者であろうとも、魔王以外には絶対に屈しない、その忠誠心の硬さ。

そのことにも誇りを持っていた。

 

 

「アルシエル!シッカリシロ!」

 

 

自身の体に残る痛みを感じながら、壁にめり込んだ悪魔大元帥アルシエルは、意識を失った。

 

 

「クッソ!オマエニンゲンジャネェ!」

 

 

魔王サタンは突如現れた女性に怒りの眼を向ける。

発端はついさっき、真耶と話している最中のことだ。

真耶が二人を学園の外に案内しようとした時である、二人はこれからの住まいなどをどうしようかなどと、軽い気持ちで真耶の後を付いていく。

扉を開いた先に一人の女性が立っていた。

その姿は真耶のふわっとした姿とは正反対のピシッとした黒い服を着ており、髪の毛は黒色、身長は170cm前後だろうか。

 

 

「お、織斑先生!?なぜここに?」

 

 

「警報が鳴り響いて何事かと思い、当直室で山田先生を待っていたんだが、一向に貴方が来ないのでな、迎えに来たんだ。」

 

 

二人は知り合いのようだとサタンが安心する。

しかし、そんなサタンを他所に織斑と呼ばれた女性がこちらを睨みつける。

 

 

「この二人が侵入者か?どういう経緯でこんな所まで入ったんだ?」

 

 

「あ、駄目ですよ織斑先生、この二人は海外から来たコスプレイヤーで簡単な日本語しか話せないんですよ~、ちなみに打ち上げで飲み過ぎてここまで来たらしいんですよ~!」

 

 

真耶の言葉に他の三人の頭上にクエスチョンマークが大量発生した。

サタンとアルシエルはそんな事言ったっけ?と不思議な顔で見つめ合う。

一方、織斑は眉間のしわを指でほぐしながら侵入者二人に質問する。

 

 

「貴様ら二人はなぜここにいるんだ?この部屋に入るには少なくとも扉や窓をどうにかしなければならないのだが……?」

 

 

その言葉を聞いた真耶の目がハッと見開かれる。

その様子を見ていた織斑は、はぁ~っと溜息をつき質問を続ける。

 

 

「見たところ、窓や扉は施錠してあったし、特に細工をされた形跡もなかった、ここは学校なので基本校内には監視カメラがついていないから貴様らがどうやって入ったのかはわからない。」

 

 

そう言う織斑の顔は恐ろしいほどに不表情であった。

彼女の近くにいた真耶はすこしばかり震えている。

しかし、魔王サタンとアルシエルは、彼女の言葉を半ば聞き流しながら、どう言い訳したらいいのかと考えていた。

そんな二人に織斑が近づき、サタンの腕を掴む。

 

 

「とりあえず貴様らには聞きたいことが結構あるんでな、場所を変えるぞ。」

 

 

その織斑の動作にいち早く反応したのが、魔王サタンの絶対的腹心、悪魔大元帥アルシエルである。

サタンの腕を掴んだ織斑の腕を、今度はアルシエルが掴む。

人間の姿になっても尚、アルシエルの気概は相当なものであった。

 

 

「マオウサマニ、キヤスクフレルナ!」

 

 

相手の言葉は片言であった、だが織斑にはこの銀髪の男が、よほどこの自分自身より背の低い男を敬愛しているのかが認識できた。

その志は見事だと、織斑は顔には出さなかったがいい印象を受けていた。

しかし、当の本人は自身の主人に楯突く女に対して掴んでいた腕に力を込める。

結果的に、その行為が織斑とサタンのバランスを崩す事となってしまった。

織斑は何とか踏ん張りつつも、力を失った貧弱なサタンは腕を思いっきり引っ張られた形となり。

顔面から織斑の胸部へとダイビングしたのである。

 

 

「……貴様、何をしている?」

 

 

織斑の額に青筋が浮かび、サタンの腕を放し突き飛ばす。

麻耶はちゃっかり一足先に退散して、扉から顔だけを出している。

 

 

「ッテェ!ナニシヤガル!」

 

 

「黙れ、貴様のような侵入者……いや、変質者を野放しにはできないな。」

 

 

ユラリと近づく織斑にビビるサタン。

 

 

「チョ、チョチョ!マッテ、アイツガバランスヲクズシタンダヨ!?」

 

 

「ちょ、魔王様!?責任転嫁は良くないですよ?!」

 

 

「うっせぇ!元はといえばお前が思いっきり腕を掴まなかったりしなかったら、こんなことにはならなかっただろ!」

 

 

余りの焦りっぷりに悪魔の時の言葉で話してしまう二人。

そんな二人の会話が癪に触ったのか、織斑が呟く。

 

 

「どうせ、ISが目当てのコソ泥だったんだろう……最近鬱憤も溜まっていたんだ。」

 

 

その言葉が耳に届いたのだろうか、二人が固まる。

 

 

「気絶しているぐらいが、ちょうどいいとは思わないか?」

 

 

その刹那、今までサタンと言い合いをしていたアルシエルの体が、飛んだ。

一瞬で間合いを詰めてきた織斑に、蹴り飛ばされたのだ。

腹を蹴られ、くの字になって吹き飛ぶアルシエル、きれいな弧を描いて飛んでゆく。

そのまま部屋の壁へ激突、壁にめり込み、アルシエルの意識は途絶えた。

 

 

「アルシエル!シッカリシロ!クッソ!オマエニンゲンジャネェ!」

 

 

「黙れ、次は貴様の番だ。」

 

 

サタンに目標を定めた織斑から凄まじい蹴りが繰り出される。

しかしその斜め蹴り上げにエンテイスラでの戦い、その経験がサタンの体を動かす。

すかさずしゃがみ蹴り上げを避ける、その行動に織斑はかかと落としで追撃しようとした。

この時、サタンの思考が爆発する。

アルシエルならば、後ろに下がるだろう、危険からは遠ざかるほうがいいに決まっている。

しかし、サタンは踏み込んだ。

織斑に抱きつく、そして押し倒す。

 

 

「なっ、貴様!!」

 

 

この時、サタンの脳内ではどう自身が危険な存在ではないか証明するために、様々な思考を巡らせていた。

麻耶から聞いた謝るときの最上級、それを思い出し実行する。

 

 

「ゴメンナサイ!」

 

 

織斑に抱きついていたサタンが飛び退き、空中でポーズをとりそのまま着地する。

一見戦車に見えなくもないこの姿。

 

 

「な、貴様一体何のつもりだ?」

 

 

サタンが土下座している姿を見て織斑が狼狽える。

 

 

「ジツハ、オレタチモナゼココニイルノカワカラナインダ!」

 

 

その後、サタンはいつの間にかこの場所にいた事、誰かに連れてこられたんだが、誰に連れてこられたかわからないこと自身の名前が真奥貞夫、あっちで気を失っているのが芦屋四郎という名前で最近日本に移り住んだ事などをできるだけ嘘だど気づかせないよう、詳細に説明した。

最初は胡散臭いと思っていた織斑だったが、なにか心当たりがあるのか、途中から少しずつうなずきはじめる。

 

 

「一夏がISを起動して間もない今、他に男二人を誰にも気づかせず、進入不可能なISのある施設に放置する……あいつなのか?」

 

 

「エ?ナンテイッテルノ?キコエナインダケド?」

 

 

「いや、気にしないでくれ……そうだな、そのISに触ってみてくれないか?」

 

 

「ナンデ?」

 

 

「私はお前の言葉を1%も信じていない、しかしお前がそのISを起動させることができたのなら、お前の話を無条件で全部信じてやろうと思ったからだ。」

 

 

織斑の言葉に目が点になる貞夫、麻耶から聞いた情報によると、ISを起動させる男は今のところ一人しかいないという、そんなものをこの世界に来て1時間も経ってない自分に出来るはずがないと高を括っているのか。

貞夫の額に汗が滲む、もし起動しなければどうなるのか、考えるだけでおぞましい。

しかし、半ば諦めモードに突入した貞夫は銅像らしきもの、もといISに近づいていく。

ISの前に来た貞夫は最後の確認と希望を織斑に告げる。

 

 

「シンジルダケジャダメダ、オレタチハナニモナシデココニイルンダ……スコシノアイダダケデモイイ、セイカツニヒツヨウナモノヲシエンシテクレ……」

 

 

「……わかった。起動できた場合、お前たち二人の身の安全及び今後の生活に必要なものはできるだけ整えるとしよう。タダとはいかないがな。」

 

 

織斑のわかったと言う言葉を聞けて安心したのか、貞夫はISに手を伸ばす。

貞夫が触った瞬間、何も起こらなかった。

あれ、と思った貞夫は触った状態で固まっている。

 

 

「……何も起こらないですね~。」

 

 

いつの間にか織斑の横にいた真耶が呑気に死刑宣告をしてくる。

織斑の目も点になっている、起動させるものだとばかり思っていたのか、「えっなんで?」と呟いてしまった。

しかし、貞夫もここままではいけないと思い目を閉じて己の中の魔力を集中させる。

ISの構造を少しずつ解析していっているのだ。

 

 

「IS、インフィニットストラトス、コア、使用エネルギーは俺の魔力で……」

 

 

待てども起動しないISに業を煮やした織斑が近づいてくる。

 

 

「もういい、やはり私の杞憂だったのだな、悪いがお前たちの身柄を警察に預け、お前たちの国に強制送還させるとしよう。」

 

 

「ちょ、もうちょっと待ってみましょうよ!まだ慣れていないだけかもですし……?」

 

 

なぜか真耶が織斑に食い下がる。

 

 

「山田先生……あいつが起動できない以上、犯罪者として拘束するのは当然のことだ。」

 

 

真耶を振り切った織斑が貞夫の肩に手をかけようとした瞬間。

 

 

「……どっせぇええい!」

 

 

そう貞夫が叫ぶと、ISが淡く輝き出す。

諦めていた織斑は、その光景を見て少しばかり頬を緩め、安堵する。

ISから手を離した貞夫は、得意げな顔でこう言った。

 

 

「ドンナモンジャイ!!」

 

 

気絶しているアルシエルを他所に貞夫は子供のようにはしゃいでいる。

アルシエルが目を覚ましたのはそれから1時間後のことだった。

 

 

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