働くIS魔王様   作:サダーオ

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戦闘シーンがこれほど難しいとは思いませんでした。

かなりおかしい部分が目立つと思います。


魔王、初の戦闘が終了する

貞夫の変化に最初に気づいたのは、モニターで戦況を見ていた千冬と真耶であった。

 

 

「どういう事なんだ?訓練機がセカンドシフト?いや、ありえない……まだ貞夫が搭乗して、1時間も経っていないんだぞ?」

 

 

「で、でも……背中の翼が刺々しくなってますね。全体的にも黒いカラーになって、少し怖い感じがしますね……」

 

 

「あのISは貞夫にしか反応しなくなった。このことと関係があるのか?」

 

 

そうして二人はモニターに映るISを再び確認する。

先程までの大きな翼、全体的に大きくゴツゴツとしたその緑色の巨体は、今や全体的に黒く、禍々しい機体へと変貌していた。

 

 

 

観客席で観戦している生徒にも動揺が広がる。

その中であっても、箒と一夏、観客席へ移動していた千穂は、じっと黒いISを見つめる。

 

 

「なぁ箒、あれってどういうことなんだ?」

 

 

「わ、私にも分からん。しかし、ファーストシフトやセカンドシフトの類ではないだろう。」

 

 

「だよな……佐々木さん、何か貞夫から聞いたりしてる?」

 

 

「わ、わかりません。でも、何だろう……あのISを見ていると、少し悲しい気持ちになっちゃいます。」

 

 

「そうか?俺はなんて言うんだろう……ダークヒーローみたいでかっこいいと思うぞ。」

 

 

「子供か、貴様は……」

 

 

箒の言葉に肩を落とす一夏。

 

 

「そ、そういう気持ちも大事だと思いますよ!だから、凹まないでくださいね!」

 

 

「さ、佐々木さんは優しいなぁ……」

 

 

そんな一夏を励ます千穂に、一夏は不覚にも可愛いと思ってしまう。

その気配を箒は悟ったのか、一夏にフォローを入れるも、一夏は全く気づかないのであった。

 

 

 

相手の姿が変わっていることに驚くセシリアであったが、気を取り直し再びスターライトを構える。

 

 

「貴方がどんなトリックを使ったのかはわかりません……しかし、その程度の変化で、私を翻弄できるとは思わないことですわ!」

 

 

そして放たれるレーザー、それは貞夫を貫くはずの1発であるはずだった。

しかし、貞夫は棒立ちの状態から、糸の切れた人形のように地上に落下する。

その動作に合わせ、セシリアはBTを4機全て貞夫の追撃に向かわせる。

空中で体勢を立て直した貞夫の周りをBTが囲み、一斉にレーザーが放たれる。

貞夫はそんなレーザーを、最低限の動きで避ける。

四方から打たれたレーザーを軽く躱した貞夫に、驚愕するセシリア。

 

 

「なっ、今のを躱したんですの!?」

 

 

セシリアの反応に、貞夫が冷たく言い放つ。

 

 

「ふ~ん、お前……BTを操作してる時、他の動作は出来ないだろ?逆の場合はBTを待機させるぐらいしか出来ない、つまりお前は通常動作とBTの精密操作を並行して行うことは出来ない。」

 

 

「そ、それがわかったとして、この状況をどうするおつもりで?貴方のシールドエネルギーは残り僅か、私はまだ半分以上残っていますのよ!」

 

 

己の優位な立場は揺るがないと信じ、セシリアは余裕の態度を取る。

実際に、貞夫のシールドエネルギーは残り250、セシリアは600以上残っており、圧倒的優位なのは確かであった。

しかし、そんな状況でも、貞夫は不敵に笑う。

 

 

「おいおい、こっちはもう、お前の戦い方を分析できたんだぜ?いくら倍以上の差があったとしても、大したことじゃない。」

 

 

「いい加減に強がりはおよしになってくださいまし!決定打を与えられるような兵装もない貴方に、私を倒すことは不可能でしてよ!」

 

 

セシリアは言い得ぬ感情に、押しつぶされようとしていた。

圧倒的な差にも変わらず、それでも自分に食いかかろうとしている男。

今まで出会ってきたどの男とも違う、力強い言葉。

普段の平凡そうな顔とは違う、男らしくも優しい双眸を携えた顔。

そんな今まで出会った男とは、圧倒的に違う男が語りかけてくる。

 

 

「さっきも言ったろ?」

 

 

「なっ……なんですの?」

 

 

「男の実力を見せてやるって、それにさ……追い込まれた状況を打開するのって楽しいじゃん?」

 

 

貞夫の顔が凛々しいものから、柔らかい笑顔に変わる。

 

 

「確かに最初は、お前を倒すことに必死だった……でも、今は楽しみたいとも思ってる。だから……」

 

 

「セシリアですわ。」

 

 

「え?」

 

 

「お前ではなく、セシリアという名前がありましてよ。貞夫さん?」

 

 

「……あぁセシリア、今からこの状況を打開してやっから、楽しみにしとけ!」

 

 

貞夫の言葉に、セシリアは自身の深い部分にあった黒いものが少しずつ溶けていくのが感じられた。

世界には強い男もいるのだと思い知らされ、自分の周りにいるような弱い男なんてほんの一部、そう思わせてくれるような男が目の前にいる。

真奥貞夫との戦いの中で、セシリアの感情は徐々に変化していった。

ただ純粋に、この男と戦いたいと、自身が出せる本当の全力をぶつけたいと。

 

 

「いいですわ。全力できてくださいな、真奥貞夫!」

 

 

「行くぞ!セシリア・オルコット!」

 

 

セシリアがスターライトを構える。

貞夫は武器を全て格納し、右手を突き出す。

貞夫の行動に反応し、セシリアがスターライトを放った。

しかし、貞夫の展開したブレードによって、レーザーは打ち消されてしまう。

試合開始直後から見ていた近接ブレード、しかし先程までとは違い、刀身は淡く光っており、大きさは一回りは大きくなっている。

貞夫の目の前には、<強化近接ブレード:フォース・スライサー>と画面に表示されている。

 

 

「な、なんですのそれは!?」

 

 

相手の新武装に驚くセシリア。

対する貞夫は、ブレードを右手に持ったまま、セシリアに向かって突撃する。

セシリアは冷静にBTを貞夫の左右に1機ずつ配置し攻撃しようとしたが、貞夫がブレードを右に投げ、BTが一つ破壊される。

しかし、セシリアは冷静にもう片方のBTから貞夫めがけてレーザーを放つよう命令する。

レーザーが放たれる瞬間、貞夫は瞬時に加速し、セシリアの眼前まで迫ってくる。

BTに集中していたセシリアは、完全に虚を突かれ、慌ててスターライトを構えようとしたが、貞夫が新たに展開していたレイン・オブ・サタディが、彼女のスターライトを破壊した。

スターライトの破壊で発生した爆風によって、二人の距離が離れる瞬間、貞夫はサタディを1発、セシリアにお見舞いした。

 

 

「本当に、無茶苦茶な戦い方をしますわね。」

 

 

「これぐらい大胆じゃないと、倒せないと思ったからな。」

 

 

「しかし、まさかあの土壇場でイグニッションブーストをするなんて、思いもしませんでしたわ。」

 

 

「イグ……なんだそれ?」

 

 

「……知らずに出来ることに感服いたしますわ。おかげで近距離でのショットガンを浴びてしまい、シールドエネルギーもかなり削られる始末……ですがまだ負けたわけではありません!」

 

 

互いのシールドエネルギーは、セシリアが350、貞夫が150と未だにセシリアが貞夫の倍近くある。

しかし、もう一度サタディを近距離で食らった場合、この数値はすぐに逆転するだろう。

先に仕掛けたのはセシリアであった。

BTを3機全て使い、貞夫を近づけまいと撃ち続ける。

対する貞夫は、迫り来るレーザーを避けながらも、徐々にセシリアに近づく。

貞夫は避けながらも、サタディと取り出したガルムでBTを撃ち落としていく。

2機のBTを撃ち落とし、残るBTはセシリアの上方にある1つのみ、貞夫は先程と同様、一気に間合いを詰め、セシリアに弾幕をお見舞いしようとする。

セシリアも負けずとミサイルを放つが、貞夫の放つ弾幕によって撃ち落され、爆発する。

至近距離で爆発し、一瞬ひるんだセシリア、貞夫はその一瞬を逃さず上昇し、急降下してセシリアにサタディを撃ちこんで終わらせようと突進する。

 

 

「これで、最後だ!」

 

 

「っな!?」

 

 

この時、貞夫のシールドエネルギーは残り30を切っていた。

後一発かすりでもすれば、その時点で負けるようなエネルギー残量だが、それでも臆すること無く食いつこうとする貞夫。

セシリアも相手の行動に一瞬遅れながらも反撃しようとするが、もはや間に合うはずもなかった。

徐々に近づいてくる貞夫に、負けを確信するセシリア。

貞夫も勝ちを確信し、ガルムを格納し、サタディをセシリアに向ける。

 

 

「終わりだぁ!」

 

 

貞夫の言葉に、目を閉じるセシリア、BTの操作も諦め、糸の切れたように落下するBT。

カキィーンという音と共に、試合終了の合図が鳴り響く。

 

 

<試合終了、勝者……セシリア・オルコット!>

 

 

セシリアの耳に届いたのは、自身の勝利を知らせるアナウンスであった。

 

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