ヴィヴィオはそれでもお兄さんが好き   作:ペンキ屋

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ども〜


ではよろしくお願いします!


第13話【止められない想いと復讐】

「いい湯加減〜。ね、キャロ? 」

 

「ほんとですね〜ティアナさん〜」

 

合宿1日目も終わりが近づき、なのはとフェイトを除いてヴィヴィオ達はお風呂はいっていた。ルーテシアが作ったそのお風呂は彼女達を満足させ、みんな心地よさにうっとりしている。

 

ただそんな中、青年はと言うとまだ訓練場にいた。誰とも関わらずに必死に拳を突き出している。しかし1人……そんな青年を見つけ、黙っていない人間がフェイトと共に青年の側へとやってきた。

 

 

なのはだ。

 

 

彼女はあからさまに不機嫌な顔を見せ、拳を突き出す青年の左手をバインドで強制的に停止させる。

 

「……なんか用か? なのは、フェイト」

 

「用って言うか……その……」

「何考えてるの? こんな時間まで……これがオーバーワークだって元教導隊の人間だったらわからないわけないよね? 」

 

フェイトは青年に対して接し方に困り言葉を濁したが、なのはは攻撃的と言わんばかりに噛み付く。なのはには珍しく強い口調と目つきで青年睨む。だがそれでも青年はなのはに対して言い返したりはしなかった。ただ無言で話を聞いている。

 

「今更……なんでこんな事してるの? 君にはもう戦う理由なんてないはず 」

 

「どうしてお前がそれを決めつけるんだ? 」

「それは君に戦う力がないからだよ! 」

 

「…………」

 

「なのはそれは……」

「フェイトちゃんは黙ってて!! 」

 

なのはは少し感情的になっていた。少しキレていると言ってもいい。青年を庇おうとしたフェイトを黙らせ、青年に言葉を要求する。彼女は不満だった。青年が戦うということに。その理由、目的。なのはは嫌っていながらそれを知ろうとしている。勿論彼女にしても訳あってのことだが、それを青年に悟られる訳にもいかず、雰囲気は悪くなる一方だった。

 

「別に単純な理由さ。自分の身を守れるくらいには力をつけないといけないだろ? つまりはそう言うことだ」

「嘘だよ。そんなの」

 

「あ? 」

 

「君は……4年経った今でも分かってない! まるで分かってない!! 君は自分の事を化け物かなんかだと本気で思ってるの? 違うよ? 君は普通の人間で、普通に怪我をして、普通に死ぬんだよ? ましてや片腕もない。片足もない。それで……誰と戦う気でいるの? 誰に勝てる気でいるの? 無理だよ。自殺行為だよ」

 

「勝手に決めつけるなよなのは……そんなのやって見なきゃ」

「わかるに決まってるでしょ!!! 」

 

怒鳴り声……いや、悲鳴にも似たその声は青年にそれ以上に言葉を許さなかった。なのははもう止まらない。1度決壊したダムがなかなか止まらないように……彼女もまた、その心のうちから出る言葉を止めることができなかった。

 

 

「どうしてそうなの!! 君がいなくなったら悲しむ人がいるんだよ!!! 君が死んだら……ヴィヴィオが……ヴィヴィオが……私だって!? ……あ……バカ…………」

 

自分が今何を言おうとしたのか。なのはは言いかけ、我にかえると、かすれるような捨て台詞をはいて逃げるように駆け出した。青年に背を向け、ひたすらに走り出す。でもフェイトはなのはを追いかけなかった。じっと青年を見つめ、覚悟を決めて喋り始める」

 

「ワン……何があったの? あの怪我……普通じゃなかった。ただのケンカ……にしては」

 

「悪いなフェイト。これは……言う訳にはいかないんだ。特にお前ら管理局の人間には…………」

 

「でもワン!? 私はなのはの言うこともわかるんだ! 今のワンは……こんな言い方本当はしちゃいけないのかもしれない。けどワンの為に言わせてもらう。私はワンが誰と戦うつもりか知らないけど。でも、それでも……今のワンじゃ勝てないって事くらいはわかる」

 

「…………」

 

フェイトは青年が傷つく事を覚悟して言葉を吐き出し続ける。自身もいたい気持ちでいっぱいで、こんな話がしたかった訳じゃないと思いつつも、青年の為に言葉を吐き出し続ける。

なのはの代わりに、ヴィヴィオの笑顔を守る為に。青年を守る為に。

 

「ワンが例え今の状態でも普通の相手なら怪我なんてするはずない。けど今日の怪我はかすり傷とかそんなレベルじゃなかった。つまりそれは……ワンが勝てなかった相手。これは想像だけど……例え五体満足だったとしても……勝てるかわからない相手……違う? だからそんな無茶をしてまで……ううん。今……なのはいないから言うね。ワンはイービル因子を呼び起そうとしてる。昔に戻ろうとしてる。そうでしょ? 」

 

 

「だったらどうする? 俺を止めたいなら今だぞ? 」

 

「ううん。そうしたいのは山々だけど……今の私にはそんな資格ない……と思うから。あはは……不思議だよね。何も知らなかった時はワンの事……どうでもよくなってたのに。真実を知ったら……こんなにもワンに対して負い目しか感じないなんて……私は……何をしてあげられるのかな? 」

 

フェイトは俯き段々と小さくなる声を必死に言葉にした。彼女にとって今の状態は青年となのはとの板挟みになっている。全てを知り、青年の真実へたどり着いた事で、ティアナと共に青年を理解する事は出来た。だが真実を知らないなのはの気持ちをフェイトはよく知っている。勿論なのはの心の内も。だからこそ、フェイトは逃げるわけにはいかなかった。今青年となのは達を繋ぎとめられるのは自分だけ。やり直すチャンスがあるとすれば自分の行動次第。今のフェイトはそう思っていた。

 

 

「……なぁ? 俺が言う事じゃないかもしれないが、不毛過ぎないか? 知ったからほっとけない。知ったから負い目を感じる。……はは……やめようぜもう。俺に対して負い目なんか感じなくていい。俺は……そこまでして貰えるほど……善人じゃない」

 

「そんな事ない。ワンは誰がなんと言おうと、悪人なんかじゃない。それにワン……負い目を感じないなんて無理だよ。だってワンは……私の一番弟子だからね」

 

「……まだそんな昔の事言ってんのかよ。フフ……じゃ〜しょうがないか。こんな俺でも……お前の一番弟子なんだからな」

 

 

「うん! 」

 

仕方がない。そんな事を言いながら2人は少しぎこちなく笑った。そしてフェイトは今更ながらなのはを追いかけ、すぐに走り出す。青年はといえば流石にこれ以上特訓を続けるわけにもいかず、大人しく部屋へ戻ったが、そこで無視できない光景を目の当たりにする。それは青年の部屋のベッド。一見何もないように見えるが、ある一部分だけ不自然に盛り上がっていた。

盛り上がりは割と小さ目だが子供1人分ぐらいはあるだろう。一体なんのイタズラか罠か。青年はゆっくりと音を立てずにその布団をめくった。

 

 

「…………」

 

「スゥー、スゥー」

 

「何故ここで寝てるんだ……アインハルト」

 

「うっ……ん? はっ!? し、ししし失礼しました!? 先生に挨拶もせずに寝てしまうのはいささか失礼かと思いまして待っていたのですが……その…………」

 

「はぁ……それで俺がなかなか戻ってこないから耐え切れずに寝てしまったと? 結局寝てんじゃねーかよ。まぁー別にいいんだが、俺はお前を弟子にした覚えはない。さっさと自分の部屋に戻れ……ん! な、なんの真似だ」

 

ベッドの中にいたのはパジャマ姿のアインハルトだった。彼女は弟子としての責務を果たそうと待っていた。だが青年がオーバーワークをしていた為、規則正しいアインハルトは我慢できずに寝てしまったのだ。しかし青年に帰れと言われ、彼女も大人しく帰るかと言われれば、それはノーだ。彼女はベッドからおり、青年の前に立つと、パジャマを上から順番に脱ぎ始め、とうとうズボンを脱ぎ、下着だけの姿になった。青年はもはや理解が追いつかない。一番まともだと思った子がいい歳の男の前でストリップし始めたのだから。

 

「先生……あの……で、弟子としての責務を……果たしたく。どうぞ、私をお好きになさってください! あたっ!? 」

「何をどう解釈したらそうなる!? お前の中の師匠はどんだけ鬼畜なんだ!? 」

 

右手を股に挟み、左手で胸を隠すような格好をし、中等科の学生とは思えないなんともエロティックな誘い方をし始めたアインハルトは青年に容赦ないゲンコツを叩き込まれる。

流石の青年も将来有望な素質を秘めた身体を持つアインハルトのそんなしぐさを見てか少し顔を赤くし、ドキッとしてしまったのは仕方ない事だろう。

 

 

「い、いえ! 弟子たるもの、先生の下のお世話も仕事のうち! ですので先生のしたいように」

「するわけないだろこの天然アホ娘!! 大体言ってる意味分かってんのかお前は!? 」

 

「勿論です! 性教育は学校で既に受けています。やり方はまだよくわかりませんが、先生が私にしたい事をすればいいのではないかと! だから私も恥かしながら下着になった次第で。お望みとあらば下着もそ、その…… 」

「脱がんでいい脱がんでいい!? お前は俺を犯罪者にしたいのか!? 」

 

顔を真っ赤にし、アインハルトは自分の下着に手をかけたが、青年は全力でそれを阻止する。だがそれでもアインハルトの暴走は止まらない。どこで勉強してきたのか、さらにぶっ飛んだ行動に出始める。

 

「お、お前の熱意は伝わるが待て! 大体俺はお前を弟子にする気なんか」

「これでもまだ足りないとおっしゃるのですか? なら」

 

「いやいや、違うよ! そうじゃない! 熱意は伝わるって! ……ちょっ!? お前何して!? 」

 

 

「こ、これなら……ま、まま満足して頂けますか!? 」

 

「馬鹿!? ちょっ、はやく下着はけよ!? 丸見えだって!? な! な! 頼むから!? ……う、くっ! わかった! 俺の負けだ負け! 弟子にしてやるからなんか着てくれ!? 」

 

青年は左手で自分の目を隠し、今のアインハルトを見ないようにするが、青年も男。中等科とは言え、とびきり美人の部類にはいるアインハルトがうまれたままの姿でいるのに邪な事を考えないわけではない。指の間からわずかばかりその瞳をのぞかせる。しかしまだ良心が邪魔をしてすぐに青年は後ろを向いた。

 

 

「本当ですか!? 本当に弟子にしていただけるんですね!? 」

 

「ああ、そうだよ。わかったから……わかったから勘弁してくれ……こんな所誰かに見られ……た……ら…………」

 

「お、お、おにいしゃん……その……アインハりゅトしゃんと、と……な、なな……何して……あ……へうっ!? お、お邪魔しました!? ……うっ、うわぁぁあああああああああん!? お兄さ゛ん゛のばがぁぁぁああああああ!? 」

「待てヴィヴィオ!? 誤解だ!? ……おい……くっ。どうするんだアインハルト! 変な誤解ができた……ってなんでまだ服着てないんだお前は!? 」

 

 

まるでお約束のように誰かに見られ、その状態を見たヴィヴィオは泣きながら走り出す。流石の青年もこんな状況になりアインハルトに説教しようと彼女の方を向いたが、以前彼女は裸のままで、服を着るそぶりも見せない。

 

「で、弟子にして頂けたなら余計に夜のお供を……その……」

「だからなんなのその使命感!? いいって言ってるだろ! どこで覚えて来たんだよそれ!? 」

 

 

「それでしたらコロナさんが参考にってこれを……」

 

「は? なんだこの本は……何々……弟子が師匠を堕とす夜のテクニックだぁぁぁとぅぉぉぉおおおお!? またお前か!! コぉぉぉおおおおおロぉぉぉおおおおナぁぁああああああああああ!!! 」

 

 

 

夜の屋敷にこれ以上ないぐらいの青年の怒鳴り声が響き渡った。実はアインハルトがこの部屋に来たのは挨拶だけが目的ではない。いつまでたっても弟子として受け入れてもらえない事に悩んでいたアインハルトはコロナがすすめた本を読み、このような行動に出た。ただ本人は弟子とはそういうものだと完全に勘違いしてしまっていたため、全く悪意がない。だから青年の怒りの矛先はその黒幕へと向いた。

 

その頃コロナはといえば…………

 

 

「ねぇ〜コロナ? 私ってあまりヴィヴィオのお兄さんの事知らないんだけどどんな人なの? みんな親しそうだし、私も仲良くしたい! お兄さんはどんな事が好きだったりするの? 」

 

「そっか、リオはあまり接点ないんだもんね。私はヴィヴィオの付き添いで昔から知ってるけど。でも……そうだね。お兄さん優しいからリオとも仲良くしてくれると思うよ? 私はお兄さんの事なんて嫌いだけど。それで……う〜ん……お兄さんが好きな事かぁ〜……あ、これなんてどうかな! 」

 

 

「え……これって…………」

 

「お兄さんはこう言うのが好きみたいなんだぁ〜。だから読んで参考にしてみるといいと思うよ? 」

 

 

コロナはそう言ってリオに一冊の本を渡した。リオはみんなが青年と普通に喋れている事が少し羨ましかった為、自分もまざりたいと感じ青年を知っているコロナに相談したのだがそれが間違いだった。

 

何故ならその本、世間一般では初等科の少女が読むには少しお門違いな本で、下手をすれば青年を社会的に抹殺しかねない危険な物であるからだ。

 

 

「うん、それじゃ読んでみるよコロナ。ありがとう! 」

 

リオはコロナから借りた本をベッドに飛び込みながら読み始めた。その横でコロナが光のない目で見ているとも知らずに。

 

「お兄さん……覚悟してくださいね。私の花園をメチャクチャにした責任はとって貰いますから。うふふ。ふふふふ……始めにアインハルトさん。次はリオ。トドメは……お兄さん大好きのヴィヴィオだから」

 

 

自分の世界を壊されたコロナは青年に復讐を企てていた。アインハルトに渡し、すすめた本はその始まりに過ぎない。そして次の刺客。自覚のないコロナのエージェントと化したリオは引き込まれるようにその本に夢中になっていた。青年に対して仲良くなりたいと思うリオの好意はよからぬ方向へと向かいつつある。

 

コロナがリオに渡した本。そのタイトルは…………

 

 

 

 

 

『兄貴をロリコンにする方法』

 

 

 




次回もよろしくお願いします!

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