ヴィヴィオはそれでもお兄さんが好き   作:ペンキ屋

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どうも〜お久しぶりです!

毎度なが〜く!なガァーく!!

お待たせして大変申し訳ないです……

今後の投稿も気分や浮かんだイメージで遅かったり早かったり不定期だとは思いますが……

よろしくお願い致します!


第20話【動き出す過去と未来】

「ハッ!? ……あ、あれ……ここ……は? 」

 

「あ! よかった、起きたんですね! アインハルトさん」

 

「ヴィヴィオ……さん? 」

 

「はい! ここは帰りの船の中ですよ? アインハルトさん、お兄さんと模擬戦した後完全にのびてしまって。なかなか起きないからそのまま連れてきたんです。お兄さんはママ達2人にとても怒られてましたけど…あはは」

 

アインハルトは飛び上がるように目を覚ました。だがそこは帰りの船の中で、隣にはヴィヴィオが笑顔で座っている。彼女自身最初こそ記憶に混乱が見られたが、すぐに自分がどうなったか思い出す。

 

自分がどれ程の相手と戦い、どれ程の技を受けたのか。

 

彼女は拳を握りしめ、その拳を見つめた。

 

もしこれが彼女でなければ青年の一撃を肌で受ける意味はない。何故なら絶対領域というその領域へ踏み込もうとする意思のあるアインハルトだからこそ意味のある青年からの贈り物であったからだ。

 

 

(あれは……いえ。絶対領域は単なる入り口に過ぎない……まだ上がある)

 

 

今彼女の眼は今までと比べ物にならない程、可能性に満ちていた。そして自分が選んだ師がまごう事なき本物であった事が、彼女の中では嬉しくて堪らない。

自分はまだ強くなれる。アインハルトのそれを疑う気持ちすら消し飛ばしてしまった青年の拳。しかし、彼女もまたそれとは別に理解していた。最後に自分が受けた一撃が、人が生み出すには到底過ぎた力であった事を……

 

魔力を使わず、人間が到達できる領域などたかが知れている。そんな事は武を志す者ならば誰でも知っている事だ。故に彼女は青年の事を少し心配になり始めていた。

人に過ぎた力が出せるという事は当然代償がある。なんのリスクもなしにそんな力を得られるわけもない。それが今アインハルトが感じている事だった。青年が完全に尊敬する対象となってしまったが必然。

 

「あ! そう言えば先生の姿が見られないようですが……」

 

「ああ〜お兄さんならまだルールーの所にいると思いますよ。なんか用が出来たとかなんとか……せっかくお兄さんの隣で一緒に帰れると思ったのに、ぶーぶーですよ! 」

 

ふと……アインハルトは青年がいない事に気づいたが、ヴィヴィオの説明でまだ帰っていない事を理解する。そしてその説明をしたヴィヴィオは頬を膨らませ、口をとんがらせながらふてくされるように愚痴をこぼし始めた。でもそんな彼女の様子をアインハルトは尊い気持ちで見る。本当に青年の事が好きなのだと改めて感じていたからだ。

 

 

「ヴィヴィオさん、私はお二人を応援しますよ? 」

 

「え、でも……アインハルトさんもお兄さんの事好きなんじゃ」

「っ!? い、いえ!? わ、わわ私は先生の事そんな風には!? 」

 

「それじゃ〜嫌いなんですか? 」

 

「うっ……」

 

ヴィヴィオは彼女の応援を素直に受け取らず少し意地悪に返し、彼女をジト目で見つめた。勿論答えなどヴィヴィオは分かっていたが、それでも今のアインハルトと青年の関係に少しばかりの嫉妬を示す。

 

 

「……先生の事は……好き……です。私がしてしまった事も全部許して受け入れて下さって……その上、弟子にまでして頂きました。嫌いと言う方が無理があります。ですが私の好きは……尊敬から来る好きです! ヴィヴィオさんの愛情ではありません。だから……安心して下さい。……はい? 」

 

アインハルトは真剣に、とても真剣にヴィヴィオへそう伝えた。だが当のヴィヴィオはしてやったりという顔でニヤニヤとアインハルトの話をきいている。これには流石のアインハルトも目を丸くせざるおえない。

 

「えへへ、知ってました。でも〜そんな事言いながらお兄さんとイチャイチャするアインハルトさんへの意地悪です」

 

「……もう!? ヴィヴィオさん!? 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃青年はまだルーテシアの作ったシュミレーターの中にいた。そこである人物と向かい合っている。

 

身体は小さく、でも決して子供ではない赤髪の女性。彼女は青年の事をジッと睨み、怒りを露わにしていた。だから当の本人である青年はただただ気まずい。

 

「その……なんだ。お前には……最初に謝っておかないと…だよな。勿論、どれだけ謝っても許してもらえるなんて俺は思って」

「あたしに用があってこの間ザフィーラの所に来たんだろ? 理由は? 用ってなんだ? ただ謝りたかったのか? 悪いけどあたしはどんな事があってもお前を許してなんてやらないかんな! ……で? 」

 

「? 」

 

「お前が謝るだけであたしの所に来るわけねーだろうが! 何があったんだ? お前は……また何をみんなに隠してるだ? 」

 

「ヴィータ…俺は……っ!? 」

「アイゼン!!! 」

 

最初は怒りながらも冷静にタダ青年に問いかけていた彼女だったが、いつまでも言い出さない青年に痺れを切らした。相棒であるデバイスを展開し、そのままハンマー型の得物を青年に向かって振り下ろす。

 

「あ……」

「ヴィ、ヴィータ……」

 

「そういう……こと…か。ぐっ……なんでだよ!? 」

 

当然だが、青年はヴィータの攻撃を左手で受け止めた。結果から言って、ヴィータが何故突然青年に殴りかかってきたか。それは脅しでも青年に対しての報復でもない。ただ彼女は本能的に感づいていたからだった。青年の中で一体何が起きているのかを。

そしてヴィータは青年の状態を奇襲によって確認すると、納得した上でデバイスをしまいながら青年の胸ぐらを掴み、彼を押し倒した。青年はその後彼女に馬乗りにされ、身動きを取る事ができない。ただできるのは、悲痛に歪む彼女の表情を息を呑みながらみているだけだった。

 

 

「なんで!? なんでまだそいつがお前の中にいやがんだ!!! どうして……なくなったじゃんか……元に戻ったんじゃ……なかったのかよ……なんで…………」

 

「ヴィータ……すまん。だからお前には全部話すよ。管理局には言えないが、お前個人は信用してる。だから……聞いてくれないか? 俺にとっては……ヴィータが1番の親友だ。少なくても……俺はまだそう思ってる」

 

「あたしも……管理局なんだぞ…? 」

 

「ああ、そうだな。でも……お前なら信用してる」

 

ヴィータに押し倒されながら、青年は優しい声でそう言った。だが彼女の内心は、いろんな想いがグチャグチャと交差し感情が溢れて止まらない。しかし彼女は涙を流しながら頷いた。

ヴィータは怒っていた。他の誰よりも怒っていた。彼女はフェイトやティアナ達のように青年に呆れて彼との接点を捨てたわけではない。単縦な怒り。絶対に青年を許したくはなかった。それは青年が彼女に何の相談もなく、何の悩みも打ち明けずに自らの命を投げようとした事、彼女にとってそれは何よりもショックな事だった。

 

青年に対し、恋愛感情などは彼女は持ち合わせていない。青年と彼女はかつての戦友であり、背中を預けられる親友だった。互いに気の合う者同士。だからこそヴィータはショックだった。青年の中のイービル因子が消え去り、心の底から喜んでいた彼女であるからこそ余計に。

 

「聞いてくれ……ヴィータ。俺は今力が欲しい。手段は問わない。あんなに毛嫌いしていた……俺の中の……イービル因子の力だとしても構わないんだ」

 

「本気なのか?せっかく消えたんだぞ? それに……何のために今更そこまで力を求めるんだよ!? あたしはわからねー。お前にそこまで力を求めさせる理由は何だ? 」

 

「ヴィータ……俺の中のイービル因子は消えてない。俺の中で眠っていただけだ。それと……理由ならある。絶対に譲れな理由があるんだ。……妹が……生きていた」

 

「なっ!? 嘘……だろ……あ、ありえないだろ、そんな事!? だって!? だって……お前の妹は……」

「ああ、俺がこの手で殺した」

 

かつて青年は実の妹をその手にかけた。絶望し、怒り、どうしようもない状況で一切の加減をする事なく妹を一撃の元に葬った。だがそれは青年が……いや、全世界全ての技術を駆使した所で決して止める事は叶わなかっただろう。Dr.ベルンによって、青年の妹はイービル因子の実験体とされた。そしてその過程で暴走。青年の妹はまともな思考判断もできないまま青年と戦い……敗れた。

この時どんなに青年がやりきれない気持ちを覚えたか、誰にも理解できないだろう。力が足りない訳ではない。考えが甘い訳ではない。ただただ理不尽に……自分の大切な人を自分の手で壊す。それが青年の送ってきた人生のトラウマの一つ。変えようのない過去である。

だからこそヴィータは信じられなかった。これは例え彼女でなくても簡単に信じる事はしないだろう。その状況を……青年が妹を殺すその瞬間を……仲間だった彼女達はその目で見ていたのだから。

 

 

「事情は分かった……で? あたしは何をすりゃ〜いいんだ? お前の事だから私にしか頼めない用なんだろ? さっきも言ったけどよ……お前が謝る為だけに呼ぶわけ…ないかんな。だ、だが勘違いするなよ!? あたしはお前の事許してやるつもりはないからな!? 」

 

「ああ……それでいいよヴィータ、ありがとう……な。それで頼みがあるんだ」

 

青年は自分を理解してくれているヴィータにとても暖かい……どこか懐かしい物を感じていた。そして少し笑みを浮かべた青年はヴィータの目を真っ直ぐ見つめると静かに口を開く。彼女がどんな反応をするかを分かっていながら……

 

「なんっ……本気で言ってんのか? 」

 

「……本気だ! 手伝ってくれ。今の妹に対抗しようと思ったら『絶対領域の外』にしか活路がない。だから……」

 

真っ直ぐに……どこまでも強く、力のある目の輝き。そんな真剣な青年を前に……その本気が伝わったヴィータは覚悟を決め、息を呑んだ。

 

 

「後半月で、この拳に『雷を纏わせる』 」

 

拳を握り、それを見つめる青年。ヴィータは終始驚きを止められない。ヴィータ自身、青年からのまさかの頼みであったからだ。

 

 

「わかってる…よな? 今のお前が【雷撃拳】(ボルテックス・フィスト)をやるって事は……」

 

「そうだな……失敗したら反動でタダじゃすまないだろうな」

 

「……はぁー! まぁ……昔のお前の技の中じゃマシな方か……ギリギリ人の身でも生きていられそうだし。しょうがねーな。わかったよ、アイゼン! 」

 

ヴィータは大きくため息をつきながら相棒を展開し、それを自分の肩へ乗せると、満面の笑みで青年に告げた。

 

彼女にとってはこれが止まっていた物を動かす、キッカケとなる。だからこそ彼女は笑った。

 

昔青年に向けていた物と……同じ笑顔を。

 

 

「本気でぶっ叩いてやるから覚悟しやがれ! ……親友! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰? 」

 

そんな間の抜けた言葉を発したのは合宿から家に帰って来たコロナだった。自分の家の前で息を荒くしながら、見知らぬ美少女が資源回収へ出したであろう愛読している週刊誌を必死に読み漁っているのを目撃する。

当然だが、突然声をかけられた少女は驚いてコロナをみた。しかし無邪気な少女は悪い事をしている自覚もなければ何故声をかけられたかも理解していない。ただただ、目の前の本が気に入ってしまい真剣に読んでいただけであった。

 

「え、えっと……これ貴方の本? 」

 

「へ!? ……う、うんそうだけど……ハッ!? 」

 

もしこれが普通の感性をもつ、ごく普通の少女であったのなら……不気味な雰囲気の少女には関わろうともしないだろう。だが、事このコロナに限っては違う。何故なら彼女の頭は……

 

 

お花畑だからだ……

 

 

「ねぇねぇ!? もしかしてそっち!? 貴方そっちの世界の人!? 」

「うへっ!? そ、そっち? ……え、えっと……そっちって……え? ……ってか圧が凄い……」

 

ここでコロナの本を読んでいたのは言うまでもなく、フーである。彼女は今までにないほど動揺をしていた。それはコロナが突然目を輝かせながらフーの両手を握り、顔を急接近させて来たからである。しかも理解できない事を永遠と1人で語り始め、フーは完全に押し負けていた。

 

「貴方も好きなんでしょ!? 〇〇派? それとも〇〇〇〇×〇〇〇〇? えー! で、でもこれ読んでたし、もしかしなくても〇〇〇派でしょ? 絶対そう!! 」

 

「う、うんと……私、たまたま見つけたこれ読んでただけで……貴方の言ってる事全然分からな…」

「え!? そうなの!? でもあんな真剣だったって事は、興味あるんだよね!? それっていい!! 貴方とは凄く気が合いそうだよ!! 来て! まだ染まってないんだったら『私が染めてあげるから』!!! さ、早く早く!!! 」

 

「え、ちょっ!? うわっ!? 何何!? なんなの!? 」

 

コロナはフーの手を取る。これ以上ない程の笑みを浮かべ、とても楽しそうにフーに笑いかけた。

これが彼女にとってどれだけの救いと未来をもたらすのか自覚のないまま。コロナ自身は気が合いそうな友達が出来るような感覚だったに違いない。だがそれは少し間違いだ。

 

何故ならフーにとってこの出会いは間違いなくかけがえのない物。

 

知らない事を知り、フー誰かに対する確かな愛情を再び取り戻すキッカケ。

 

 

 

初恋なのだから。

 

 




次回もよろしくお願いします!!
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